700社を超える候補リストはあるものの、既存取引先との重複や担当者情報を確認できていない状態
ある建設関連会社では、取引先候補を優先度別に分け、営業対象となる企業を抽出していました。なかでも、これから関係をつくりたい層には700社を超える候補があり、見込み客の母数が足りないわけではありませんでした。
ただし、元のリストには先方の担当者情報がなく、自社ですでに取引している会社も混在していました。そのため、まずは既存取引先との重複を確認し、候補になりそうな企業だけを人の手で抜き出している段階でした。
「候補企業はある。ただ、どう確認すれば必要な情報までたどり着けるのかが分からない」
この言葉が示すように、問題はリストの有無ではありません。営業対象、接触先、接触方法、実行責任者がつながっておらず、リストが“営業で使える状態”になっていないことが停滞の出発点でした。
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リスト精査を続けても、誰がいつどう接触するかが決まらず営業件数が増えない状態
この会社では、春ごろからリストの精査を進めていました。しかし、数カ月が経っても十分な接触数にはつながっていませんでした。
「精査は続けているのに、接触数が伸びていない。『やってください』だけでは、これまでと変わらないと思う」
候補企業を抽出した後に、次の項目が決まっていなかったためです。
- どの企業から接触するのか
- 先方のどの部署・役職を探すのか
- 電話、紹介、メールなど、どの方法で接触するのか
- 誰が実行責任を持つのか
- いつまでに何社へ接触するのか
- 不在や断りの場合に、いつ再接触するのか
- 接触結果をどこへ残すのか
「営業担当に任せる」という方針だけでは、実行に必要な判断が担当者へ集中します。 担当者は企業ごとに情報を調べ、既存取引の有無を確認し、窓口を探し、話す内容まで考えなければなりません。日々の案件対応と並行するには負担が大きく、優先順位が下がりやすくなります。
リストを作った段階で営業準備が終わったように見えても、実際には「誰が、いつ、何をするか」まで落とし込んで初めて営業活動が始まります。
本社から営業所へ依頼するだけの体制では、現場ごとの動き方と責任の所在が曖昧になる構造
営業が進まなかった背景には、複数の会社や営業所が関わる取引構造もありました。
提携先は組織規模が大きく、本社から一括で顧客へ接触する形ではありません。各営業所に紹介や営業活動を依頼する必要がありましたが、本社側も「営業所の動きが十分ではない」と認識しながら、具体的な改善には至っていませんでした。
その結果、次のような状態が生まれていました。
- 提携先が接触する企業と、自社が直接接触してよい企業の境界が曖昧
- 本社、営業所、自社のうち、誰が進捗を管理するのか決まっていない
- 紹介を依頼した後の実行状況を確認できない
- 接触できない理由が、やり方の問題なのか、チャネル自体の問題なのか判断できない
「具体的な進め方を用意しても、結局それを誰が広め、誰が動かすのかという話になる」
この状況では、営業所に繰り返し依頼しても結果は変わりにくくなります。反対に、営業所経由を諦めて自社で勝手に接触すれば、既存取引や提携先の営業活動と重複する可能性があります。
営業の停滞を個人の行動量だけで捉えず、関係者間の合意形成と実行フローの不足として捉えることが重要です。 誰かが動いてくれることを前提にするのではなく、どのリストをどの組織が担当し、どこから自社が直接動くのかを明確にする必要があります。
リストを営業管理表へ変え、小規模な接触検証と週次改善を一つの業務として回す設計
必要なのは、リストをさらに増やすことではなく、既存の候補を実行可能な単位へ変えることです。「リスト精査」「接触」「記録」「改善」を別々の作業にせず、一つの営業フローとして設計します。
1.最初に「接触できるリスト」の条件を決める
候補企業の名称だけでは、営業担当は動けません。少なくとも、次の項目を一つの管理表にまとめます。
- 企業名と拠点名
- 対象とする部署・役職
- 担当者名と連絡先
- 既存取引の有無
- 提携先からの接触履歴
- 自社から直接接触してよいか
- 優先度と、その判断理由
- 自社側の担当者
- 初回接触期限
- 接触結果と次回対応日
すべての情報が揃うまで待つ必要はありません。「担当者不明」「既存取引を確認中」といった状態も記録し、その確認作業自体に担当者と期限を設定します。
使えるリストとは、情報が完全なリストではなく、次に誰が何を確認するか分かるリストです。
2.提携先経由と自社接触の境界を合意する
複数の会社や営業所が関わる場合は、営業を始める前に役割を分けます。たとえば、次のような整理です。
- 既存取引がある企業は提携先が担当する
- 一定期間、提携先から接触がない企業は自社へ戻す
- 未接触の候補企業は自社が直接担当する
- 重複が判明した場合の連絡先と処理方法を決める
この線引きは、現場担当者同士の口頭確認だけで終わらせず、本社を含めて合意しておくと進めやすくなります。特に確認したいのは、「接触してよいか」だけではありません。依頼後に動きがなかった場合、いつ、誰の判断で次の経路へ切り替えるかまで決めておきます。
営業所経由で成果が出ないときも、すぐにチャネルを切るのではなく、接触件数や紹介件数を確認します。実行量が少ないのか、一定数動いても反応がないのかによって、次の判断は変わります。
3.複数のトークを少数のリストで試す
接触方法は、最初から一つに決め打ちしません。対象企業の課題に合わせて、入口となるトークを複数用意します。
実務では、各担当者に異なるトークを持たせ、一定数のリストへ接触して一巡させる方法が取り組みやすいでしょう。たとえば、既存サービスを直接案内するパターンと、関連する業務課題を聞くパターンを分け、反応を比較します。
検証時には、トークの良し悪しだけでなく、次の条件も揃えます。
- 対象企業の属性
- 接触件数
- 接触する部署・役職
- 電話やメールなどの手段
- 実施期間
- 反応を評価する基準
少数で一巡させ、反応のよい対象とトークを次週へ残すことで、営業を止めずに精度を高められます。 最初から完成した台本を作ろうとすると準備が長引きます。まず試し、実際の反応をもとに直す進め方が現実的です。
4.週次で実行量と結果を分けて確認する
営業会議では、アポイント数だけを見ると原因が分かりません。経営者が確認したいのは、成果の手前にある実行量です。
最低限、次の数字を週ごとに確認します。
- 今週の対象企業数
- 接触を試みた件数
- 担当部署や担当者につながった件数
- 課題や状況を聞けた件数
- アポイント件数
- 再接触予定件数
- 未実行件数と、その理由
接触件数が少なければ、担当者の時間配分やリスト準備に問題があります。接触件数は多いのに担当者へつながらなければ、連絡先や対象部署の見直しが必要です。会話はできてもアポイントにならなければ、対象企業の優先順位やトークを調整します。
「成果が出たか」だけでなく、「どの段階で止まったか」を確認できる数字を持つことが、経営者の役割です。 これにより、担当者へ精神論で行動を求めるのではなく、営業フローのどこを補助すべきか判断できます。
5.責任者は営業の代わりではなく、営業が止まらない状態をつくる
責任者がすべての電話や訪問を担う必要はありません。必要なのは、次の週も活動が続くように、担当者と期限を明確にすることです。
週次の確認では、以下をその場で決めます。
- 次週に接触する企業群
- 企業ごとの担当者
- 使用するトーク
- 接触期限と目標件数
- 前週から変更する点
会議後に「各自で進める」とすると、再び判断が個人へ戻ります。対象リストを割り当て、期限と接触方法まで決めて会議を終えることが大切です。
営業責任者が管理するのは人の気合いではなく、リストが滞留せず次の工程へ進んでいるかどうかです。
まとめ
見込み客リストがあるのに営業が進まないとき、候補企業の数を増やしても状況は変わりにくいものです。今回のように700社を超える候補があっても、担当者情報、既存取引との重複、接触経路、実行責任者が整理されていなければ、リストは保管されたままになります。
整理したいポイントは次のとおりです。
- リストを、次の行動が分かる営業管理表へ変える
- 提携先経由と自社接触の境界を関係者間で合意する
- 複数のトークを少数の対象へ試し、週単位で改善する
- 担当者、期限、接触履歴、次回対応日を一つの場所で管理する
- 経営者はアポイント数だけでなく、接触件数と停止箇所を確認する
リスト営業は、目新しい施策よりも、基本動作を途切れず回せるかどうかで差が出ます。まずは候補企業を20社程度に絞り、担当者と期限を決めて一巡させると、自社の営業がどこで止まっているのか見えやすくなります。
自社の見込み客リストを、動かせる営業フローへ整理したい方へ
「リストはあるが、誰に何を任せればよいか決まらない」「提携先との役割分担が曖昧」「営業担当へ任せた後の進捗を確認できない」といった段階では、営業施策を増やす前に業務の流れを整理することが近道になります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大や案件獲得について、顧客リストの整理、営業フローの設計、実行状況の管理まで一緒に組み立てています。「うちの場合はどの数字を見るべきか」「何から整理すればよいか分からない」という段階でも構いません。
建設業の経営課題を解決し、未来をつくるパートナーとして、実情を確認しながら必要な進め方を整理します。無理にサービスを勧めることはありませんので、まずは現在の営業体制を言葉にする場としてご活用ください。
































