営業案件の増加に対して、カーポートソーラーを施工できる協力会社が限られている状況
中部地方を拠点に、太陽光発電設備や蓄電池を販売・施工する40名規模の会社では、営業部門の拡大に伴い、施工を担う協力会社の確保が課題になっていました。自社職人は10名弱。通常の太陽光発電設備や蓄電池に加え、新たにカーポートソーラーの取り扱いも進めています。
カーポートソーラーは、一般的なカーポートの屋根にパネルを後付けするだけではありません。新設型では、太陽光パネル自体が屋根の役割を担う商品もあります。そのため、構造物としてのカーポートを施工する技能と、太陽光設備を接続する電気工事の技能が必要です。
担当者は、施工体制の現状を次のように話していました。
「今は、カーポートを施工できる人と、メーカーの施工IDを持っている人が組んで進めています。それぞれにノウハウがあって、お互いに確認しながら施工しているイメージです」
複合工事では、一社ですべて施工できる会社を探すことより、必要な工種と認定を分解し、複数社で再現できる体制をつくることが重要です。
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「カーポートも太陽光も一社で対応できる会社」という条件では候補が極端に少なくなること
協力会社を探す際、「カーポートソーラーを一式で施工できる会社」という条件を置けば、発注や連絡はシンプルになります。一方で、構造物の施工、電気工事、商品固有の施工知識まで一社で備える会社は限られます。
とくに確認が必要になるのが、次の3点です。
- カーポート本体を適切に施工できるか
- 電気工事に必要な資格者がいるか
- 対象メーカーの施工方法を理解し、必要な施工IDや認定を持っているか
相談企業でも、「カーポートもやれて、太陽光もやれるところでないと対応できない」という認識がありました。しかし実際の現場では、カーポート施工を担う職人と、メーカー施工IDを持つ太陽光工事の担当者を組み合わせています。
ここには、協力会社探しで整理したい大事な違いがあります。必要なのは“一社完結”ではなく、“案件全体として完結できる施工体制”です。
一社完結だけを募集条件にすると、本来は十分な技術を持つカーポート工事会社や電気工事会社まで候補から外れてしまいます。案件の増える地域で候補企業が少なければ、特定の一社が埋まった時点で「今月は受けられません」という状態にもなりかねません。
構造工事と電気工事の境界が曖昧なまま、協力会社の対応力だけで判断しやすい募集方法
複合工事の協力会社探しが難しくなる背景には、募集条件が「何の工事ができるか」に偏りやすいことがあります。
相談企業が協力会社を見る際には、施工技術だけでなく、現場調査への回答速度、施工費、書類対応も重視していました。
「現場調査をお願いしたとき、事務の方からすぐに『この日なら行けます』と返ってくる会社もあれば、回答までかなり時間がかかる会社もあります」
複数社で一つの現場を進める場合、この連絡体制はさらに重要になります。構造側の施工日が決まらなければ電気側の予定を固められず、現場条件の共有が遅れれば、必要な部材や施工方法の確認も後ろにずれます。
また、メーカー施工IDの扱いにも注意が必要です。相談企業では元請側で取得済みのメーカーIDがある一方、実際に施工する人もIDを持っていたほうが、技術面で安心して依頼できるという考えでした。
会社として認定を取得していることと、当日施工する人が対象商品の施工方法を理解していることは、分けて確認する必要があります。
メーカーごとに認定条件や保証上の扱いは異なるため、「元請がIDを持っているから問題ない」と一括りにせず、案件ごとにメーカーへ確認することが欠かせません。
さらに、工種ごとの担当を集めただけでは、施工体制としては不十分です。カーポート側と電気側の間で、誰が墨出しや設置位置を確定するのか、配線経路をいつ確認するのか、施工後の不具合に誰が一次対応するのかが曖昧だと、品質に関する判断が現場任せになります。
複合工事で起きやすい問題は、個々の職人の技術不足よりも、工種と工種の境界に責任者がいないことです。
工種別の協力会社と現場統括責任者を組み合わせる施工体制づくり
現実的な進め方は、カーポートソーラーを一つの工事として募集するのではなく、必要な役割に分けて協力会社を探すことです。
たとえば、施工体制を次のように整理します。
役割 | 主な確認事項 |
|---|---|
カーポート施工 | 基礎、柱、梁、屋根部分の施工経験、対応可能な商品・工法 |
太陽光・電気工事 | 電気工事士の在籍、配線・接続の経験、太陽光・蓄電池の施工実績 |
メーカー施工対応 | 対象商品の施工ID・認定、研修受講状況、施工要領の理解 |
現場統括 | 工程調整、施工範囲の確認、品質・安全上の判断、窓口の一本化 |
この分け方であれば、「カーポートは施工できるが電気工事はできない会社」も候補になります。反対に、「太陽光と蓄電池には強いが、構造物の新設は請けていない会社」も電気工事側の協力会社として組み込めます。
ただし、工種を分けるほど調整事項は増えます。そこで、受注前から次の順番で体制を固めておくと進めやすくなります。
1. 商品ごとに必要な工種・資格・施工認定を一覧化する
通常の屋根置き太陽光、蓄電池、既存カーポートへの後付け、新設カーポートソーラーでは、必要な施工範囲が異なります。商品単位で、構造工事、電気工事、メーカー認定、申請・書類対応を整理します。
「どんな会社が欲しいか」ではなく、「この商品を施工するために、どの役割が必要か」から募集条件をつくります。
2. 工種の境界と引き渡し条件を決める
カーポート施工会社から電気工事会社へ、どの状態で現場を引き渡すのかを決めます。少なくとも、次の項目は着工前にすり合わせたいところです。
- 設置位置と施工寸法を誰が確定するか
- 配線経路と機器位置をいつ確認するか
- 部材の手配をどちらが担うか
- 各社の施工開始・完了条件は何か
- 写真、完了報告、メーカー提出書類を誰がまとめるか
- 手直しや不具合が出た場合の一次窓口を誰にするか
口頭だけでなく、工程表や施工範囲表に残しておくことで、「そこは相手側の工事だと思っていた」という行き違いを減らせます。
3. 拠点または案件ごとに統括責任者を置く
相談企業では、関東・東海などの拠点ごとに、協力会社の選定や施工状況を統括する担当者がいました。新しい協力会社との顔合わせでも、事務員の人数、工事班の編成、月間対応件数などを確認しています。
複合工事でも、この統括役が要になります。各社への個別連絡だけでなく、工程変更、安全・品質上の判断、顧客への説明を一本化します。
複数社施工の成否は、職人を何社集めるかではなく、全体を見て判断する責任者を誰にするかで決まります。
4. 書類対応と連絡速度も施工能力として確認する
協力会社の評価を、単価と施工実績だけで決めないことも大切です。現場調査の日程回答、施工写真の提出、完了報告、メーカー関連書類への対応まで含めて確認します。
最初から大きな件数を任せるのではなく、対応可能な地域と商品を限定して小さく組み、次の観点で継続可否を見ていく方法が現実的です。
- 予定した工程を守れたか
- 工種間の確認が滞らなかったか
- 施工要領と必要書類を理解していたか
- 変更や不具合の報告が早かったか
- 次回も同じメンバーで再現できるか
価格が安くても、工程調整や手直しが増えれば、全体の施工原価は上がります。反対に、一式対応ではなくても、連絡と役割分担が安定していれば、複数社の組み合わせを標準体制として横展開できます。
まとめ
カーポートソーラーのように、構造物の設置、電気工事、メーカー施工認定が絡む案件では、一社ですべて対応できる協力会社は多くありません。
一社完結に固執せず、工種ごとの協力会社を組み合わせ、責任範囲と工程を明文化し、全体を統括する責任者を置くことが基本になります。
整理の順番は、次のとおりです。
- 商品ごとに必要な工種・資格・施工認定を洗い出す
- 各社の施工範囲と引き渡し条件を決める
- 工程・品質・安全を統括する責任者を置く
- 技術、連絡速度、書類対応を含めて協力会社を評価する
- 限定した案件から始め、再現可能な組み合わせを残す
協力会社探しは、「何でもできる一社」を見つける活動だけではありません。自社が案件全体を組み立てられるようになるほど、地域ごとの協力会社候補は広がり、複合工事を受けられる体制も安定します。
複合工事に必要な協力会社と役割を整理したい方へ
複数の工種が絡む案件では、「どの会社を探すか」より先に、「自社がどこまで担い、何を協力会社へ任せるか」を整理する必要があります。必要資格や施工認定、対応地域、工事班の数、書類対応まで条件を具体化すると、探すべき相手が見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して整理し、協力会社の条件設計や候補企業へのアプローチ、その後の実行まで支援しています。「うちの商品ではどう分けるべきか」「何から条件にすればよいかわからない」という段階でも構いません。状況を伺ったうえで整理するため、無理に営業を進めることはありません。































