前提

年間7,000万円規模の工事を断り、見積もりが1カ月止まることもある東海地方の改修工事会社

東海地方で改修工事を手がける、少数精鋭の建設会社があります。仕上がりのきれいさと提案力が評価され、大手企業や元請けから継続的に相談が入る会社です。

一方で、前期はタイミングや施工体制を理由に、合計7,000万円ほどの工事を断っています。そのうちの一件は約5,000万円。案件がないのではなく、受けても品質を守り切れないため、辞退せざるを得ませんでした。

社長は、その状況を次のように話していました。

「ちゃんとやりたいので、ちゃんとできない仕事は断っています」

また、繁忙期には顧客への連絡や見積もり提出が追いつかず、催促を受けながら約1カ月保留になることもあります。遅れて提出しても提案力で受注できる案件はあるものの、すべてがそうなるわけではありません。

技能者については、新たに外国人材を4人ほど受け入れる準備が進んでいます。しかし、技能者が増えても、見積もり、顧客対応、施工計画、現場判断が社長に残ったままでは、会社全体の受注余力は大きく増えません。

この会社の成長を止めているのは営業力ではなく、社長の判断と管理能力に依存した供給体制です。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

「人が足りない」だけでは現場管理職・事務職・技能者の採用順を決められない状態

受注を断っている建設会社では、すぐに職人募集を始めたくなります。しかし、先に確認したいのは、工事を受けられない直接の原因です。

工事の流れを分けると、少なくとも次の工程があります。

  • 問い合わせへの対応
  • 現地調査と顧客要望の整理
  • 見積もりと提案資料の作成
  • 職人や協力会社の手配
  • 工程・安全・品質の管理
  • 完了確認と顧客への報告

このうち、どこか一つが社長待ちになるだけでも、案件全体が止まります。

たとえば、施工できる技能者が空いていても、社長が見積もりを出せなければ受注には至りません。事務員を採用しても、現場の段取りや品質判断を社長しかできなければ、同時に動かせる現場数は増えません。反対に、現場管理者がいても、実際に施工する技能者が不足していれば工期を組めません。

採用すべき職種は、人数が少ない部門ではなく、案件を最も長く滞留させている工程から決めます。

今回のように、技能者の増員が進む一方で、社長に見積もり、顧客対応、現場判断が集中している会社では、次の採用候補は技能者よりも現場管理職です。ただし、社長が見積書の入力や日程調整、資料回収まで抱えているなら、事務職への業務移管を先行させたほうが早く余力をつくれます。

背景

社長自身の施工基準と提案力が受注の強みであるほど、仕事を任せにくくなる構造

この会社が仕事を獲得できている理由は、安さだけではありません。新築工事で磨いた仕上がりの基準を改修工事にも持ち込み、「ここまできれいにするには、この施工が必要です」と事前に説明し、その通りに納めてきました。

社長は自身の強みを、次のように表現しています。

「僕がやるときれいになる、ここが入ると最後まできれいに終わらせる、と言ってもらってきました」

納めた工事を見た人から次の仕事を紹介されるため、営業を強くかけなくても案件が増えていきます。価格が高すぎる大手と、品質面に不安が残る地場業者の間で、品質と価格のバランスが評価されている状態です。

ただし、この強さは社長個人の経験にも支えられています。現場を見て必要な工程を判断する。原価を踏まえて見積もる。品質を言葉で説明する。難しい顧客にも納得してもらう。これらが一人に集まると、社長の時間がそのまま会社の受注上限になります。

過去には「CADが使える」という説明で採用したものの、入社後に期待した業務を任せられなかった経験もありました。採用人数だけを追い、入社後に担ってほしい判断や業務を詰め切れていないと、社長の負担は減らず、むしろ教育や確認が増えることがあります。

社長の技術や判断が競争力になっている会社では、社長を現場から外すのではなく、判断基準を残しながら周辺業務を移す必要があります。

解決

受注上限と社長業務を可視化し、事務移管・現場管理職・技能者の順を判断する進め方

最初に行いたいのは、求人掲載ではなく、現在の受注上限を把握することです。売上目標から必要人数を逆算するだけではなく、品質を落とさず同時に管理できる現場数を確認します。

直近3カ月程度の案件を並べ、次の項目を整理すると、ボトルネックが見えやすくなります。

  • 受注した工事と断った工事の金額
  • 断った理由と、その時点で不足していた役割
  • 問い合わせから見積もり提出までの日数
  • 社長が現地調査、見積もり、顧客対応、現場確認に使った時間
  • 社長の判断待ちで止まった案件数と日数
  • 品質を維持したまま同時進行できる現場数

失注額だけでなく、社長待ちの時間と品質を維持できる現場数を把握することが、採用職種を決める出発点です。

次に、社長の仕事を3種類に分けます。

  1. 社長が当面持つべき仕事
  • 最終的な価格判断
  • 難易度の高い施工方針の決定
  • 重要顧客への提案
  1. 基準をつくれば現場管理職へ移せる仕事
  • 現地調査
  • 職人や協力会社の段取り
  • 工程確認
  • 写真を使った品質確認
  • 顧客への進捗報告
  1. すぐに事務職へ移しやすい仕事
  • 問い合わせの一次受付
  • 現地調査の日程調整
  • 見積書の入力と体裁調整
  • 必要資料の回収
  • 提出期限と折り返し連絡の管理

この分類をすると、職種ごとの優先条件も明確になります。

社長の現場判断待ちで工事数が増やせないなら現場管理職、連絡や書類作成で見積もりが止まるなら事務職、管理できる案件はあるのに施工班が組めないなら技能者が優先です。

今回の会社では、技能者4人の受け入れが進んでいるため、採用の第一候補は現場管理職です。ただし、現場管理職が入社するまで何もしないのではなく、事務担当へ連絡、日程、資料、見積書作成の補助を移します。これにより、社長は現地調査、提案、最終判断に時間を使えるようになります。

現場管理職を採用する際も、「施工管理経験者」という職歴だけで決めるのは避けたいところです。任せたい業務を具体化し、次の点を面接や選考で確かめます。

  • 社長が定めた仕上がり基準を理解し、現場へ伝えられるか
  • 前後工程を見ながら職人や協力会社を調整できるか
  • 判断できないことを抱え込まず、早めに確認できるか
  • 写真や報告書で品質と進捗を共有できるか
  • 顧客への説明を、施工内容と結びつけて行えるか

採用後は、いきなり現場を丸ごと渡すのではなく、現地調査、段取り、進捗報告、品質確認の順に移管します。社長の確認回数が減り、手直しや顧客からの指摘が増えていないことを確認しながら、受注件数を段階的に増やします。

採用の目的は頭数を増やすことではなく、社長の施工基準を守ったまま、受けられる工事を増やすことです。

まとめ

受注があるのに工事を断っている会社では、営業強化より先に供給体制を整える必要があります。特に、見積もり、顧客対応、施工判断が社長に集中している状態で案件を増やすと、提出遅れや現場確認の不足につながりやすくなります。

採用の優先順位は、次の順で整理できます。

  • 社長待ちで案件が止まる工程を確認する
  • 事務職へすぐ移せる業務を切り出す
  • 品質と工程を担う現場管理職の役割を定める
  • 管理可能な現場数に合わせて技能者を増やす
  • 品質を確認しながら受注上限を段階的に引き上げる

受注余力を増やすには、現場管理職・事務職・技能者の人数を一律に増やすのではなく、現在のボトルネックに合わせて採用と業務移管を組み合わせることが大切です。

自社の受注上限と採用の優先順位を整理したい方へ

「うちの場合は現場管理職と事務職のどちらが先か」「社長の仕事をどこまで任せられるか」といった悩みは、求人を出す前に業務の流れを整理すると判断しやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用手法がまだ決まっていない段階や、何から整理すべきかわからない段階でも問題ありません。

自社に必要な職種、社長から移す業務、品質を維持できる受注上限を一緒に整理できます。 無理にサービスを勧めることはありませんので、今後の体制づくりを考える材料として気軽にお声がけください。

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