前提

全国から相談が入る一方、案件ごとに現地の施工会社を探している少人数企業の現在地

関西圏に拠点を置く、少人数の建設系スタートアップがあります。工場で製造したコンクリート製の壁部材を現地へ運び、基礎の上で組み立てる工法を展開しています。

壁部材の製造はロボットが担いますが、建物が自動ですべて完成するわけではありません。現地では、基礎工事、壁部材の組み立て、断熱材やコンクリートの充填、屋根、内装、電気設備などの工事が必要です。

現在はBtoB案件が中心で、用途や形状を確認しながら一件ずつ設計・施工を進めています。全国から多数の問い合わせがあるものの、営業対応も技術対応も限られた人数で担っている状態です。

「これまで施工したことのない地域から依頼が来ると、まず近くの施工会社を探します。見つからなければ、遠方の協力会社に走ってもらっています」

工場で部材を量産できても、現地で施工する会社がいなければ案件は動きません。全国展開では、生産能力だけでなく、案件が発生した地域ですぐ動ける施工体制が必要になります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

案件発生後に施工会社を探すことで、移動費と滞在費、着工までの時間が膨らむ状態

案件が決まってから現地の施工会社を探す進め方では、受注エリアが広がるほど対応が後手に回ります。

近隣で依頼先が見つからなければ、すでに取引のある施工会社を遠方から派遣することになります。その場合、通常の施工費に加えて移動費や滞在費がかかります。職人の拘束日数も増え、別案件の日程にも影響します。

相談企業でも、被災地域へ壁部材だけを送り、施主側の知り合いの工務店に基礎や組み立てを任せた事例がありました。遠方から工務店を連れていくより、現地の施工力を活用したほうが余分な費用を抑えられるという判断です。

ただし、毎回施主側で施工会社を探せるとは限りません。自社で施工会社を用意する場合も、基礎、組み立て、内装、設備を別々の会社へ分離発注すると、調整先が増えてしまいます。

「壁はこの会社、内装は別の会社となると、そのたびに交渉が必要になります。人が少ないので、ここに任せれば一式対応できる、という会社が一番進めやすいのが本音です」

問題の中心は、施工会社の絶対数だけではありません。地域別の対応状況が見えず、案件ごとに探索・選定・調整をやり直していることです。

背景

問い合わせ対応と施工会社探しが少人数の担当者に集中し、先回りした開拓まで手が回らない構造

協力会社網を整えたいと考えていても、日々の案件対応が優先されます。

この会社では、多数の問い合わせを当初ほぼ一人で処理していました。現在は担当者を増やしつつありますが、問い合わせ内容を確認し、対応可能性を判断し、技術部門と相談し、見込みがあれば現地の施工会社を探すという流れは変わりません。

案件が少ない段階では、一件に関係者が集まって丁寧に進める方法でも対応できます。しかし、案件数が増えると同じやり方では回りにくくなります。全国各地の施工会社とつながるだけでなく、誰が教育し、誰が案件を割り振り、誰が施工状況を確認するのかも決めなければなりません。

また、「施工できる会社ならどこでもよい」というわけでもありません。施工方法そのものは、最初にレクチャーを受ければ対応しやすい設計です。それでも、最終顧客へできるだけ負担を抑えて提供したいという方針を共有できるかは、別の確認事項になります。

地域条件も一律ではありません。積雪地域では屋根の補強が必要になり、標準仕様のままではコストや施工条件が変わる可能性があります。対応エリアを都道府県名だけで管理すると、こうした条件差を見落とします。

協力会社網づくりは、会社名を集める作業ではなく、対応地域・施工範囲・方針・教育状況をそろえて管理する仕組みづくりです。

解決

地域別の施工体制を可視化し、選定・面談・教育・案件配分を順番に整える進め方

最初から全都道府県で協力会社を集めるより、現在の対応状況を可視化し、空白地域から埋めるほうが進めやすくなります。問い合わせ実績がある地域や、今後の受注可能性が高い地域を優先すると、開拓だけが先行することも避けられます。

1.地域別の施工対応表をつくる

都道府県ごとに会社名を並べるだけでは、実際に案件を任せられるか判断できません。少なくとも、次の項目を一つの表で確認できるようにします。

  • 対応可能な都道府県と移動可能範囲
  • 基礎工事への対応可否
  • 壁部材の荷受け・組み立てへの対応可否
  • 内装、電気、設備まで含めた一式対応の可否
  • 協力業者を含めた施工体制
  • 初回教育の実施状況
  • 対応可能な案件数と着工までの目安
  • 積雪など地域固有の施工条件

「つながっている会社」と「案件を割り振れる会社」を分けて管理することが重要です。 面識があるだけの会社を施工可能と数えると、受注後に再確認が必要になります。

2.一式対応を基本にしつつ、分離発注の条件も決める

少人数の発注側にとっては、基礎から組み立て、内装、設備まで一式で任せられる会社が有力です。窓口が一本化され、工程間の調整も任せやすくなるためです。

一方、すべての地域で一式対応会社が見つかるとは限りません。そこで、選定基準を二段階に分けます。

  • 第一候補:基礎、組み立て、内装、設備を一式で管理できる会社
  • 第二候補:主要工事を担い、地域の協力会社をまとめられる会社

単一工種だけの会社を個別に増やすと、本部側の調整負担が膨らみます。施工範囲の広さだけでなく、現地で他工種を取りまとめられるかを確認することが選定の軸になります。

3.登録前に初回面談を行い、施工方針を確認する

候補会社とは、登録前にオンラインで顔を合わせます。施工能力の確認だけでなく、どのような考え方で顧客と向き合う会社なのかを確かめる場です。

相談企業でも、「一度オンラインで挨拶し、方針を話したうえで、本当に合うかを見たい」という意向がありました。特に確認したいのは、適正な利益を確保しながら、不要な工程や費用を増やさない姿勢を共有できるかです。

面談では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 対応できる地域と工事範囲
  2. 現場管理者と実際の施工体制
  3. 標準的な工程への理解
  4. 顧客への見積もりと追加工事の考え方
  5. 初回施工時の教育を受け入れられるか

施工技術と事業方針の両方が合う会社を残すことで、案件発生後の行き違いを減らせます。

4.オンライン説明と初回現地指導を組み合わせる

施工方法は難しくなくても、動画や資料を送るだけで終えるのは避けたいところです。相談企業では、まずオンラインで説明し、壁部材が現場に到着する日に担当者が立ち会って施工を誘導しています。初回は一日から二日程度の指導を想定しています。

この方法を全国へ広げるには、教育内容を共通化しておく必要があります。

  • 事前説明で確認する項目
  • 現場到着前に準備する基礎や重機
  • 部材の荷受けと組み立て手順
  • 初回現場で確認する施工品質
  • 次回から単独対応を認める基準

案件数が少ないうちは本部社員が指導できます。件数が増えた段階では、施工経験のある協力会社を地域の指導役にする方法も検討できます。協力会社数を増やす速度は、教育を担える人数とセットで決める必要があります。

5.案件を割り振る窓口と優先順位を決める

協力会社が増えた後は、案件を誰に割り振るかという運用が必要です。当面は本部が窓口となり、地域、施工範囲、教育状況、稼働状況を見て配分する形が現実的です。

割り振りを担当者の記憶だけに頼らず、次の順番で判断できるようにします。

  1. 現場までの距離と対応エリア
  2. 必要工種を一式で管理できるか
  3. 教育・初回施工が完了しているか
  4. 希望工期に対応できるか
  5. 過去の施工で品質や連絡に問題がなかったか

担当者が少ない会社ほど、例外対応を減らすことが大切です。地域別の協力会社情報と案件配分の基準を一体で整えると、「案件が来てから探す」状態から抜け出しやすくなります。

まとめ

全国から案件が入る事業では、現地施工会社の確保が受注後の問題になりがちです。しかし、案件発生後に探し始めると、遠方からの応援による移動費・滞在費が増え、着工までの時間も長くなります。

先に整えたいのは、全国一律の大規模な募集ではありません。

  • 地域別の対応状況を可視化する
  • 一式対応または現地で工種をまとめられる会社を選ぶ
  • 初回面談で施工能力と方針を確認する
  • オンライン説明と現地指導で教育する
  • 本部に案件割り振りの窓口と基準を置く

この順番で進めれば、少人数の会社でも管理負担を抑えながら協力会社網を広げられます。全国展開に耐えられる施工網とは、会社数の多さではなく、必要な地域へ教育済みの会社を迷わず割り振れる状態です。

自社に合う協力会社網のつくり方を整理したい方へ

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

「どの地域から開拓すべきか」「協力会社に何を求めるべきか」「案件の割り振りまで自社で回せるか」といった検討段階からでも構いません。現在の案件分布や施工体制を確認しながら、無理のない進め方を一緒に整理します。無理な営業はいたしませんので、まだ課題がまとまっていない段階でもお気軽にご相談ください。

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