1課・2課・3課で仕事内容も必要な人材も異なる中堅建設会社
関東圏にある、複数の工事部門を持つ中堅建設会社の採用計画です。
社内には1課、2課、3課のほか、本部や営業部門があります。同じ建設会社の中でも、担当する工事や役割は一様ではありません。
ある部門では社員職人が必要です。別の部門では施工管理が必要です。さらに組織構成まで確認すると、将来の番頭や管理職を任せられる人材が不足していました。
「原稿は1課、2課、3課をまとめて出すのでしょうか」
採用を始める際に出てきたのが、この問いでした。
複数部門を持つ建設会社では、全社共通の求人原稿を先に作るのではなく、部門ごとの採用目的を分けるところから始める必要があります。
1週間で 15件の相談 がありました
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社員職人と将来の番頭候補を一つの求人原稿で募集する難しさ
求人を一つにまとめると、「誰に、何を任せたい募集なのか」が曖昧になります。
この会社では、当初は1課の採用が主な検討事項でした。ところが経営陣や各部門の話を聞くと、優先課題として浮かび上がったのは3課でした。
3課で必要だったのは、単なる増員ではありません。施工管理を担い、将来は番頭のような立場で部門を支えられる候補者でした。中途採用だけでなく、場合によっては個別に候補者を探すことも視野に入る人材です。
一方、1課で検討されていたのは社員職人の採用でした。仕事内容も、求める経験も、入社後に期待する役割も異なります。
「各課でターゲットも属性も違います。仕事の内容も変わってきます」
この状態で一つの求人原稿にまとめると、施工管理経験者には職人募集のように見え、職人を目指す人には管理職候補のように見える可能性があります。募集対象を広く見せても、自分向けの求人だと感じてもらいにくくなります。
求人原稿の本数を減らすことよりも、異なる採用目的を一つの募集に混ぜないことが重要です。
欠けている年代と部門再編の可能性が採用の優先順位を複雑にする状況
採用ターゲットを決めにくかった背景には、部門ごとの人員不足だけでなく、年齢構成と将来の組織体制がありました。
特に3課では、20代後半から40代前半程度の中間層が薄くなっていました。若手とベテランの間をつなぎ、将来の管理を担う年代が不足していたのです。
「この年代が組織構成上ほとんどいない。それが不安なんです」
必要なのは、現場経験がある人を一人採ることだけではありません。数年後に誰が部門をまとめるのかまで見据えた採用でした。そのため、施工管理候補よりも一段具体的な「将来の番頭候補」という人物像が出てきました。
ただし、3課だけを見ればよいわけでもありません。1課では社員職人の確保が必要でした。さらに、経営側には将来的に1課と2課を統合する可能性もありました。
このような会社では、各部門から「人が欲しい」と言われた順に求人を出すだけでは整理しきれません。経営上の優先順位と、現場が感じている不足感が異なることもあります。
そこで有効だったのが、役職者だけでなく社員にも面談し、各課の問題と意向を洗い出す進め方です。面談によって、次の違いが見えやすくなります。
- 現在の業務を回すための増員なのか
- 欠けている年代を補う採用なのか
- 将来の番頭や管理職を育てる採用なのか
- 技能を担う社員職人の採用なのか
- 部門統合を見据えた採用なのか
条件面も同時に確認されました。特に休日については、周辺の大手企業も採用上の競合になるため、現状のままでよいかを検討する必要がありました。その一方で、社内では当たり前になっていた福利厚生の良さも見つかりました。
採用ターゲットは「何人足りないか」だけでは決まりません。年代構成、将来の役割、部門再編、条件面まで確認して初めて優先順位が見えてきます。
各部門への面談から人物像・条件・訴求内容を分けて求人原稿へ落とし込む手順
進め方は、求人媒体を決めることからではなく、部門ごとの採用課題を並べることから始めます。
1.各部門の管理職と社員から仕事内容を聞く
最初に確認したいのは、各部門の実際の仕事です。同じ施工管理でも、担当工事や現場で求められる動きは異なります。
管理職には、今後の組織に必要な人材を聞きます。社員には、日々の仕事内容や部門の実情を聞きます。両方の声を集めることで、経営側の期待だけで作られた人物像になることを避けられます。
確認する項目は、少なくとも次の内容です。
- 主な仕事内容
- 現在の年齢構成
- 不足している経験や技能
- 入社直後に任せたい役割
- 数年後に期待する役割
- 現在の採用条件
- 社員が感じている会社の良さ
管理職が考える将来像と、社員が語る実際の仕事を重ねることが、求人原稿の土台になります。
2.採用目的を部門ごとに一文で定める
面談後は、各部門の採用目的を一文で整理します。
今回の会社であれば、3課は「不足している中間年代を補い、将来の番頭を担える施工管理経験者の採用」です。1課は「現場の技能を担う社員職人の採用」と整理できます。
ここが分かれれば、同じ原稿にまとめるべきではないことが自然に見えてきます。
反対に、1課と2課の仕事内容や将来の組織像が近く、統合の可能性があるなら、共通する人物像を整理したうえで募集をまとめる余地があります。
求人を分ける判断軸は部門名ではなく、仕事内容、必要な経験、入社後の役割、採用目的が同じかどうかです。
3.経営上の優先順位を決める
すべての部門が同じ強さで「人が欲しい」と話しても、同時に同じ量の採用活動を進められるとは限りません。
優先順位は、次の観点で整理すると判断しやすくなります。
- 現在の業務への影響が大きい部門
- 年齢構成の空白が大きい部門
- 将来の管理職候補が不足している部門
- 部門統合などの組織変更に関係する部門
- 採用後の受け入れが可能な部門
今回の会社では、3課の将来を支える人材が大きな課題でした。一方で、1課と2課についても採用の手を止めるのではなく、一定の比重を置いて進める必要がありました。
優先順位は「募集する・しない」の二択ではありません。原稿作成や掲載の順番、情報収集にかける時間、募集の強さを調整するためのものです。
4.人物像と条件を求人原稿へ反映する
人物像が決まったら、年齢だけでなく、経験、役割、条件、訴求内容へ落とし込みます。
将来の番頭候補であれば、施工管理経験があることだけでなく、部門を支える役割をどこまで期待するのかを明確にします。社員職人であれば、担当する技能や仕事の魅力、入社後に身につけられることを中心に組み立てます。
条件については、現状をそのまま掲載する前に、採用競合と比べて見直す余地がないかを確認します。休日などの条件を変える必要がある場合は、求人原稿だけで処理せず、経営判断として協議します。
同時に、福利厚生など、社員が当たり前だと思っている良さも拾います。条件を過度に飾るのではなく、すでにある魅力を漏らさず伝える考え方です。
職種別の求人原稿は、人物像、任せる仕事、将来の役割、条件、会社の良さを一つの筋としてつなげると伝わりやすくなります。
まとめ
複数部門がある建設会社では、全社共通の求人原稿を一つ作るだけでは、それぞれの採用目的を伝えきれないことがあります。
今回の会社でも、1課では社員職人、3課では施工管理から将来の番頭を担える人材が求められていました。さらに、20代後半から40代前半の中間層が薄いことや、1課と2課を統合する可能性も採用設計に影響していました。
整理する順番は、次のとおりです。
- 各部門の管理職と社員に面談する
- 仕事内容と年齢構成を確認する
- 採用目的を部門ごとに一文で定める
- 経営上の優先順位を決める
- 人物像、条件、訴求内容を職種別の求人原稿へ反映する
「どの媒体に出すか」より先に、「どの部門が、何のために、どのような人を採るのか」を分けて考えることが、職種別採用の出発点です。
部門ごとの採用課題を整理するところから始めたい方へ
「各部門から採用要望は出ているが、誰を優先して採るべきかわからない」「職種別に求人を分けたいが、人物像を言葉にできない」という段階でも、整理できることがあります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。職種別の採用ターゲット設計についても、各部門の状況整理から求人原稿への反映まで一緒に検討できます。
うちの場合は何から確認すべきか、という段階でも構いません。無理にサービスを勧めることはありませんので、社内だけでは整理しにくいときの次の相談先としてご活用ください。



























