10名弱で年商2億円規模まで伸び、次の成長に向けて管理職と自走する体制を求める現在地
首都圏でBtoBの電気工事を手がける、10名弱の専門工事会社があります。新築マンションやテナントビル、オフィスなどを中心に施工し、社員の平均年齢は30代前半。組織は施工管理が2名、事務が2名、ほかは職人という構成です。
現在の年商は2億円前後で、3年後には5億円前後まで伸ばしたいという展望があります。そのために採用や取引先開拓を進めていますが、社長が同時に考えていたのが業務マニュアルと社内体制の整備でした。
「僕がいなくても自走する組織はつくりたいんです」
一方で、人手が足りなければ社長自身も現場に出ています。営業や経営に専念したくても、目の前の工事を納めるには社長が動かざるを得ません。
売上を次の段階へ伸ばすには、人を増やすだけでなく、社長が現場を離れても施工と管理が回る仕組みが必要です。
1週間で 15件の相談 がありました
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
- 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
- 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
- 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
- 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
人手が欠けるたびに社長が現場へ戻る、成長と自走を止める構造
この会社の課題は、社長が現場に出ること自体ではありません。必要なときに現場へ入れることは、小規模な専門工事会社の強みでもあります。
問題になるのは、社長が現場へ戻らなければ工事を回せない状態が繰り返されることです。
「人がいなかったら、僕も現場に出ますよ」
この状態では、現場の人手不足を社長の稼働で埋めるたびに、採用、組織づくり、将来の案件に向けた活動が後ろへずれていきます。社長が頑張るほど当面の工事は収まりますが、社長が現場を離れるための準備に時間を使えなくなります。
さらに、管理職を1人採用すれば解決するとも限りません。この会社が求めているのは、社長の右腕として実務を任せられる人材です。しかし、資格や役職経験だけでは、図面を渡した後にどこまで判断し、工事を進められるかまでは分かりません。
採用できたとしても、会社側で役割や判断基準が整理されていなければ、新しい管理職は社長に確認を重ねることになります。結果として、社長の仕事が「自分で施工すること」から「すべての判断に答えること」へ変わるだけになりかねません。
右腕を採ることと、右腕が機能できる仕事の仕組みをつくることは、同時に進める必要があります。
社長の経験に集まった施工判断と、採用だけでは引き継げない役割の曖昧さ
社長が現場を離れにくい背景には、仕事量だけでなく、判断の集中があります。
会社が小さい時期は、社長が案件の状況を把握し、現場の相談に答え、自ら不足を補う方法が合理的です。判断が速く、顧客や現場との認識もずれにくいからです。その積み重ねで、年商2億円前後まで会社を伸ばしてきました。
ただし、会社の規模が変わっても同じ方法を続けると、社長の処理能力が組織の上限になります。今回の会社も、施工管理を担う社員はすでに2名います。それでも人が足りないときには社長が現場に入っています。
ここで整理したいのは、次の違いです。
- 社長にしかできない経営判断
- 現在は社長が行っているが、基準があれば管理職に任せられる判断
- 手順をそろえれば、担当者が自分で完了できる業務
- 例外が起きたときだけ、社長へ上げるべき事項
この区分が曖昧なままだと、社員は安全を見て社長に確認します。社長も品質や納期を考えれば、その場で答えざるを得ません。誰かの能力が足りないというより、どこまで自分で決めてよいかが組織として定義されていない状態です。
この会社では、工事台帳や原価管理、労務管理などにソフトを導入し、デジタル化も少しずつ進めています。ただ、システムに情報を入れることと、その情報を使って担当者が判断できることは別です。
業務マニュアルも、操作方法や作業手順を並べるだけでは自走につながりません。必要なのは、「誰が担当するか」「何をもって完了とするか」「どの範囲まで判断してよいか」「どの状態になったら上長へ相談するか」まで共有することです。
属人化の中心にあるのは作業のやり方だけではなく、社長の頭の中にある判断基準です。
社長業務の棚卸しから始め、マニュアル化と権限移譲を段階的に進める方法
社長不在でも回る体制は、いきなり現場を任せ切ることでつくるものではありません。まず社長の仕事を分け、そのうち再現できる部分から管理職へ移していきます。
1.社長が現場で行っている仕事を、作業と判断に分ける
最初に整理するのは、役職表ではなく、社長が実際に行っている業務です。人が足りない日に現場へ出たとき、社長が何をしているのかを書き出します。
その際は、単に「現場対応」とまとめず、次の観点で分けると整理しやすくなります。
- 自分で手を動かしている業務
- 施工や段取りについて判断している業務
- 管理担当者から確認を受けている事項
- 自分が不在だと止まる業務
- 問題が起きたときだけ対応している事項
社長しかできない仕事を探すのではなく、社長が今やっている仕事のうち、他の人でも担える部分を見つける棚卸しが出発点です。
2.業務マニュアルには手順だけでなく、判断基準を残す
マニュアルを一度に全業務分つくろうとすると、日常業務に追われて止まりやすくなります。まずは、社長への確認が多い施工・管理業務を一つ選びます。
マニュアルに最低限入れたいのは、次の5項目です。
- 業務の担当者
- 着手する条件
- 標準的な進め方
- 完了と判断する条件
- 上長や社長へ相談する例外条件
特に重要なのが5番目です。すべての現場をマニュアル通りに処理することはできません。そのため、マニュアルは例外をなくすためではなく、担当者が自分で進める範囲と、社長へ上げる境界線をそろえるためのものとしてつくります。
3.既存の管理職に、小さな判断単位から移す
施工管理を担う社員がすでにいるなら、最初から現場全体を任せる必要はありません。棚卸しした業務の中から、繰り返しが多く、判断条件を言葉にしやすいものを一つ移します。
進め方は次のようになります。
- 管理職がマニュアルに沿って実行する
- 社長は実行前の承認ではなく、実行後の確認へ移る
- 判断に迷った事例を記録する
- 記録した例外をマニュアルへ追加する
- 問題なく回れば、任せる範囲を広げる
毎回、実行前に社長の許可を取る形では、担当者の判断経験が蓄積されません。品質や収支への影響を見ながら、まずは事後確認に変えられる範囲を探すことが現実的です。
権限移譲は「任せるか、任せないか」の二択ではなく、確認のタイミングと判断できる範囲を段階的に変える取り組みです。
4.右腕採用では、経歴より「任せる役割」を先に決める
管理職を採用する場合も、先に社内の役割を整理しておく必要があります。「右腕が欲しい」という表現だけでは、候補者に期待する実務が曖昧だからです。
採用前に少なくとも、次の点を明らかにします。
- 入社後に任せたい施工・管理業務
- 自分で判断してほしい範囲
- 社長が引き続き持つ判断
- 既存の管理職との役割分担
- 任せる範囲を広げる順番
これが決まっていれば、資格や過去の役職だけではなく、自社で必要な仕事をどこまで担えるかを確認できます。採用後も「思っていた管理職と違った」というずれを減らしやすくなります。
採用の前に受け皿を整えることで、新しい管理職を社長への確認役ではなく、業務を完結させる責任者として迎えやすくなります。
5.社長が現場へ出た回数ではなく、戻った理由を確認する
体制づくりの進捗は、「社長が現場へ出たかどうか」だけで評価しないほうが実態をつかめます。重要なのは、なぜ社長が戻る必要があったのかです。
人手そのものが足りなかったのか、担当者が判断できなかったのか、役割が決まっていなかったのかによって、次の打ち手は変わります。
- 人数不足なら、採用や配置の見直し
- 判断基準の不足なら、マニュアルの更新
- 経験不足なら、任せる範囲の調整
- 役割の重複なら、責任者の明確化
社長が現場へ戻った出来事を失敗と捉えず、組織のどこを整えるべきかが分かる材料として使うことが大切です。
まとめ
人手不足のたびに社長が現場へ戻る会社では、採用だけを先行させても、社長依存が解消されるとは限りません。新しく入った人が何を担い、どこまで判断できるかが曖昧なら、確認は引き続き社長へ集まります。
取り組む順番は、次のように整理できます。
- 社長が行っている作業と判断を書き出す
- 社長以外でも担える業務を選ぶ
- 手順、完了条件、例外条件をマニュアルにする
- 既存の管理職へ小さな単位で権限を移す
- 実際に起きた例外をもとにマニュアルを更新する
- 役割を明確にしたうえで、必要な管理職を採用する
年商2億円前後から5億円規模を目指すような局面では、社長個人の稼働を増やす成長には限界があります。一方で、社長が積み上げてきた判断を組織へ移せれば、若い社員や新しく採用した管理職が力を発揮しやすくなります。
社長が現場を離れることが目的ではありません。社長が不在でも現場が回り、必要なときには経営へ時間を使える状態をつくることが目的です。
社長不在でも回る体制を、自社の業務から整理したい方へ
「どの仕事からマニュアルにすればよいか分からない」「管理職はいるが、どこまで任せるべきか決められない」という段階では、採用と組織づくりを別々に考えず、現在の業務と役割から整理すると次の一手が見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。社長業務の棚卸しや教育体制、管理職への権限移譲について、「うちの場合はどう考えるべきか」という段階からでもご相談いただけます。
無理にサービスを勧めることはありません。ものづくりに集中できる体制へ向けて、まず何から整理するかを一緒に確認します。




























