前提

月70件ほどあった現場が社長不在で25件前後まで減った専門工事会社

関西を中心に、関東や中部にも施工網を持つ、ある太陽光・電気工事会社の話です。

同社は、調子のよい時期には月70件ほどの現場を動かしていました。ところが、社長が別事業に注力すると、案件数は月25件前後まで減少しました。

社内に仕事を回す体制はあります。協力会社のネットワークもあります。それでも、受注の入口に社長がいないと動きが鈍くなります。

社長は率直にこう話していました。

「自分がいる時のように70件、80件を目指すつもりはない。まず月50件まで戻して、あとは社員で回せる状態にしたい」

目指しているのは、社長を完全に営業から外すことではありません。社長が不在でも、月50件程度の案件を維持できる営業の土台をつくることです。

主な販売先は2社に集中し、売上の6割強を占めていました。既存取引先のなかには、直接取引があり、経営者同士も知り合いである一方、実際の発注は半年に1件ほどという会社もありました。

つまり、新規顧客がまったくいないわけではありません。施工力がないわけでもありません。案件を見つけ、関係を動かし、見積もりと価格を決め、受注まで追い切る機能が社長に集まっている状態でした。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

商談を増やしても見積もりと価格決定を社長から切り離せない状態

営業の仕組み化で詰まりやすいのは、アポイント獲得だけを切り出してしまうことです。

同社にも、外部の営業支援を利用した経験がありました。しかし、アポイントが入っても「何の話だったか」が曖昧だったり、相手の関心が薄かったりして、社長が拾い直さなければなりませんでした。

「トスは上がってくるけれど、それでは打てない、という案件が多かった」

この感覚は、営業代行を使ったことのある建設会社なら覚えがあるかもしれません。接点の数が増えても、次の工程が社内に残っていなければ、社長の負担は減りません。

建設会社の営業は、少なくとも次の流れに分けて考える必要があります。

  1. 狙う会社を決める
  2. 見込み先リストをつくる
  3. 接点をつくり、商談内容を記録する
  4. 現場条件を確認して見積もる
  5. 価格と取引条件を決める
  6. 受注後も関係を追い、次の案件を掘り起こす

このうち、社員や外部担当者へ任せやすいのは、リスト整備、初回接触、日程調整、商談記録、過去取引先への連絡です。

一方、原価や施工条件を踏まえた価格決定、大きな値引き、新しい取引条件、重要顧客との関係づくりは、社長の判断が残りやすい領域です。

「営業を任せるか、社長が続けるか」の二択ではなく、営業工程ごとに任せる範囲を変えることが必要です。

背景

社長の人脈だけでなく利益を守る判断と取引先との関係まで属人化している構造

案件数が社長不在で減る理由は、単純に営業担当者がいないからではありません。

同社では、社長自身が販売先を見つけ、相手の事業を見極め、施工能力との相性を判断していました。既存取引先に対しても、購入額や過去の関係を踏まえながら「もう少し仕事を出してほしい」と直接交渉していました。

さらに、価格設定にも社長の経験が必要でした。

「うちは大企業ではないので、ある程度の価格帯は自分が面倒を見ないといけない」

価格を現場任せにすると、受注は増えても粗利が残らない可能性があります。逆に、慎重になりすぎると回答が遅れ、別の工事会社に案件が流れます。

協力会社についても同じです。案件の提示が遅れれば、先に動いた別の発注元に日程を押さえられます。営業の遅れは受注機会だけでなく、施工体制の確保にも影響します。

もう一つあったのが、権限移譲への迷いです。

社長不在中の営業を担う候補者はいました。ただし、社長が長年育てた社員ではなく、別会社で営業部門の立ち上げ経験を持つ外部役員でした。

「自分が決めた枠の中なら任せられる。ただ、その人が価格も関係も全部決めるとなると、戻った後に動かしにくい」

これは、誰かを信用する、しないだけの話ではありません。価格決定と顧客関係が一人に集中すれば、社長から別の担当者へ属人化の中心が移るだけです。

社長営業の仕組み化では、権限移譲と同時に、判断の記録と相互チェックを設計する必要があります。

解決

案件管理を共通化し社員決裁と社長承認の境界を先に決める進め方

最初に決めたいのは、「社長と同じ売上をつくる方法」ではありません。社長不在時に守りたい最低ラインです。

同社であれば、月70件以上への回復ではなく、まず月50件を維持することでした。目標が決まれば、必要な見込み案件数や、優先して掘り起こす既存顧客も考えやすくなります。

仕組み化の第一歩は、最大売上ではなく、社長不在でも維持したい受注件数と粗利の最低ラインを決めることです。

そのうえで、次の順番で整えると進めやすくなります。

1.営業案件を一つの管理表に集める

まずは、新規と既存を分けず、動いている案件を一覧にします。高価な営業管理システムから始める必要はありません。

最低限、次の項目を共通化します。

  • 会社名と担当者
  • 新規先か既存先か
  • 対象エリアと工事内容
  • 商談で確認できた発注見込み
  • 見積もりの提出状況
  • 次回連絡日と担当者
  • 社長承認が必要な論点

重要なのは、電話件数やアポイント件数だけを追わないことです。商談後に口座開設や見積もりへ進んだのか。既存取引先から次の案件が出たのか。受注につながる工程を見ます。

案件管理は活動量の報告ではなく、「次に誰が何を判断するか」を見えるようにするためのものです。

2.既存顧客の掘り起こしを社員へ任せる

社長不在時に成果へつながりやすいのは、完全な新規開拓だけではありません。

同社には、直接取引がありながら発注が少ない会社や、過去に取引したまま関係が薄くなった会社がありました。こうした既存顧客への状況確認は、社員へ移しやすい業務です。

たとえば、「直近の施工予定」「不足している施工エリア」「繁忙期に必要な応援体制」を確認し、その内容を管理表へ残します。

社員がその場で条件を確約する必要はありません。案件の可能性を確認し、見積もりに必要な情報をそろえるところまでを担当します。

3.見積もりと価格決定を分ける

見積書の作成と、最終価格の決定は別の仕事です。

図面や現場条件から数量を拾い、原価を整理し、見積書のたたき台をつくるところまでは社員や在宅担当者へ任せられます。同社でも、メーカー経験のある在宅担当者へ図面を渡し、設計や作成業務を進める体制がありました。

一方で、粗利をどこまで確保するか、値引きに応じるか、戦略的に受ける案件かは経営判断です。

そこで、次のように境界を決めます。

  • 標準価格と通常条件の範囲内は担当者決裁
  • 一定以上の値引きは社長承認
  • 粗利の最低ラインを下回る案件は社長承認
  • 新規取引先との例外的な条件は社長承認
  • 標準外の工事や大型案件は社長承認

社長が長期間連絡できない場合は、承認できない案件を無理に進めないルールも必要です。受注を急ぐより、帰任後に修正できない条件を残さないことを優先します。

社員には見積もりを前へ進める権限を渡し、利益や取引関係を変える判断だけを社長承認に残します。

4.担当者一人で価格と顧客関係を閉じない

不正や新たな属人化を防ぐには、担当者を疑うより、取引の経緯が残る形にします。

見積書は版ごとに保存し、価格変更の理由を記録します。商談内容や顧客からの要望も、個人の携帯や記憶だけに残さないようにします。

また、見積もりを作成する人と、最終確認する人を分けます。重要顧客については、担当者一人だけで関係を持たず、社内の別メンバーも経緯を確認できる状態にします。

これなら、社長が戻った後も「誰が、どの条件で、なぜ決めたか」を追えます。

チェック体制の目的は社員を監視することではなく、担当者が一人で重い判断を背負わずに済む状態をつくることです。

5.社長不在前に短期間で判断材料を移す

社長の経験をすべてマニュアル化するのは現実的ではありません。まず移すべきなのは、よくある判断です。

過去の案件を見ながら、次の点を社員と共有します。

  • どの業態の販売会社を優先するか
  • どのエリアなら施工体制を組みやすいか
  • どの規模や内容の工事を受けたいか
  • どの条件では利益が残りにくいか
  • 既存顧客のうち、どこを優先して掘り起こすか

実際の案件を使い、「これは社員判断」「これは社長承認」と振り分けると、抽象的な営業マニュアルより使いやすくなります。

まとめ

社長が現場を離れると受注が減る会社では、営業担当者を一人置くだけでは解決しにくいものです。

社長の中には、人脈だけでなく、狙う顧客の選定、施工条件の見極め、見積もり、価格決定、既存顧客への働きかけまで集まっています。

必要なのは、それらを一括して誰かへ渡すことではありません。

案件の発見と情報整理は社員へ移し、利益や重要な取引条件に関わる判断は社長承認として残す。さらに、案件と判断の経緯を共有し、担当者一人に閉じないことが営業の仕組み化につながります。

最初から月70件、80件を目指さなくても構いません。まずは社長不在でも守りたい件数を決め、既存顧客の掘り起こしと案件管理から始める。それだけでも、営業が止まるリスクは小さくできます。

社長不在でも動く営業体制を一緒に整理するために

「どこまで社員へ任せてよいかわからない」「案件はあるが、見積もりや価格決定が社長から離れない」という段階では、営業だけでなく、現場と収支を含めて整理する必要があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販売先開拓、案件管理、原価管理、組織づくり、デジタル活用を横断して整理し、実行まで支援しています。

社長の判断をすべて手放すのではなく、何を社内へ残し、どこを外部の力で補うか。その切り分けからご相談いただけます。無理にサービスをおすすめすることはありません。「うちの場合は何から整理すべきか」という段階でも、お気軽にお声がけください。

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