前提

60代・70代の職人3名が現場を支え、今年から若手採用を始める電気工事会社の現在地

関東圏にある従業員6名ほどの電気工事会社では、商業施設の電気・空調工事を中心に、配線、空調設備の交換、サイン工事などを手がけています。なかでもアミューズメント施設の新築・改修工事が売上の半分以上を占め、営業終了後の夜間作業にも対応してきました。

現場を担っている職人は3名で、全員が60代以上、そのうち1名は70代です。長年の経験があり、電気工事と空調工事の両方に対応できることが会社の強みになっています。

一方で、現場以外の体制はまだ整備途中です。新たに役員として入った担当者は、営業や採用の経験はあるものの、建設業は未経験でした。人手が足りない月には自ら現場へ入りながら、一から仕事を覚えている状況です。

会社としては、今年中に若手を1名、翌年にはさらに複数名を採用したいと考えています。しかし、採用後の育成まで考えると、簡単には進められません。

「上の3人がいるうちなら、まだ教えてもらえます。体のこともあるので、本当に早く動きたいんです」

この会社にとって若手採用は人数を増やす施策ではなく、ベテランが持つ技術を会社に残すための取り組みです。 採用と技術承継を別々に考えず、同時に設計する必要があります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

若手を採用できても、自社で育てる担当者と教育工程が決まっていない状態

最大の課題は、採用の入口だけを整えても、その後に誰が何を教えるのかが決まっていないことです。

若手が入社した場合、年齢の近い先輩はいません。現場責任者になり得るベテランはいるものの、通常の工事を回しながら未経験者を一から育てる余裕があるとは限りません。営業や採用を担当する役員も、「段取りはできても、作業そのものを教えられない」と話していました。

そこで検討されていたのが、採用した未経験者を1〜2週間だけ自社で研修し、その後1〜2年ほど他社の現場へ出して育ててもらう方法です。受け入れ先の現場で働きながら技術を身につけ、一定の仕事を任せられるようになった段階で自社へ戻す構想でした。

この方法には、次のような利点があります。

  • 自社のベテランだけに教育負担を集中させずに済む
  • 若手の稼働先と給与原資を確保しやすい
  • 自社にない現場経験を積ませられる可能性がある

ただし、会社側も「引き抜かれる可能性があるのが怖い」と感じていました。ほかにも、長期間にわたって他社の仕事だけを経験すると、自社への帰属意識が育ちにくくなることがあります。身につけた技術が、自社の主力である商業施設の電気・空調工事と合わない可能性もあります。

他社で育ててもらうこと自体が問題なのではなく、育成の目的、期間、到達点、自社へ戻った後の仕事が曖昧なまま送り出すことにリスクがあります。

背景

「教えられる職人はいるが、教育を仕組みにできていない」という技術承継の空白

この会社には、技術を持つ職人がいないわけではありません。むしろ、60代・70代の職人が現在も現場を支えています。それでも「教える人がいない」と感じるのは、技術力と教育力が同じものではないからです。

ベテラン職人は、現場の状況を見ながら自然に判断しています。図面だけでは読み切れない納まり、作業順序、設備の状態に応じた対応などを、経験の積み重ねで処理しています。しかし、その判断が本人の中に留まっていると、若手に何から教えればよいのかを整理できません。

会社が扱う工事も一様ではありません。アミューズメント施設の配線や空調工事だけでなく、工場の照明交換、業務用空調設備の更新、サイン工事など、細かな案件を幅広く受けています。現場が毎回変わるなかで、若手を連れて行くだけでは、経験が断片的になりやすい面があります。

「一緒に現場へ行かせれば育つ」という進め方は、教える側と教わる側に十分な時間があった時代には成り立ちました。しかし、ベテランの引退時期が読めず、採用人数を増やしたい会社では、自然な技術承継だけに頼るのは難しくなっています。

さらに、この会社では若手の給与を内部留保から払い続ける余力も限られていました。採用した人をすぐに売上につながらない教育期間へ置くことが難しいため、稼働と教育を両立できる他社育成が現実的な案として浮上したのです。

「教える人がいない」の実態は、職人がいないことではなく、教える内容、順番、担当、確認方法が決まっていないことです。 ここを分解できれば、ベテランにすべてを背負わせず、社内教育と外部育成を組み合わせられます。

解決

得意工事を基準に教育工程をつくり、社内実務と外部育成を分担する進め方

最初に取り組みたいのは、教育担当者を一人決めることではなく、自社に残すべき技術を、得意工事から絞り込むことです。

この会社であれば、長年対応してきた商業施設の電気・空調工事が起点になります。配線、設備交換、サイン工事をすべて一度に教えるのではなく、受注頻度が高く、若手が今後も担当する可能性が高い工事から教育対象を決めます。

1.ベテランが在籍している間に、得意工事の手順と判断を残す

標準化というと、分厚いマニュアルを想像しがちです。しかし、最初から完成度を求める必要はありません。まずは主力工事について、次の内容を記録するところから始められます。

  • 現場へ入る前に確認していること
  • 作業の基本的な順序
  • 若手に最初から任せられる作業
  • 必ずベテランが確認すべき作業
  • 失敗しやすい箇所と確認方法
  • 一人で担当できると判断する基準

文章にしにくい作業は、写真や短い動画を使う方法もあります。重要なのは、きれいな教材を作ることではなく、ベテランが無意識に行っている確認と判断を残すことです。

技術承継では、作業手順だけでなく「どこを見て、何を基準に判断しているか」を記録することが欠かせません。

2.技術指導と教育管理を別の役割にする

現場経験のない担当者が、施工技術まで教える必要はありません。ベテラン職人が技術を教え、営業・採用担当者が教育の進捗を管理する形でも育成は進められます。

役割は、たとえば次のように分けられます。

  • ベテラン職人:作業の実演、技術的な確認、合否判断
  • 管理担当者:教育日程の調整、習熟度の記録、本人との面談
  • 経営者:育成対象とする工事、教育に使う現場の決定

この分担なら、ベテランに求めるのは「教育制度を一から作ること」ではありません。自分が得意な工事について、実演し、確認し、できているかを判断してもらうことに集中できます。

技術を教える人と、育成全体を管理する人は、同じでなくても構いません。 むしろ役割を分けたほうが、現場任せになりにくくなります。

3.現場同行を「経験した」で終わらせず、習熟度を段階で確認する

若手の成長は、在籍期間だけでは判断できません。1年間現場に出ていても、補助作業だけを続けていれば、自社へ戻った後に仕事を任せられない可能性があります。

主力工事ごとに、習熟度を段階で確認できるようにします。

  1. 作業内容と注意点を説明できる
  2. ベテランの作業を補助できる
  3. 指示を受けながら作業できる
  4. 作業後の確認まで自分でできる
  5. ベテランの確認を受けて一連の作業を担当できる

確認表は、工事名、経験した日、担当した作業、確認者、次に覚える内容が分かる程度で十分です。月に一度でも更新すれば、「現場には出ているが、何ができるようになったのか分からない」という状態を避けられます。

4.他社育成は丸投げではなく、自社教育の一部として使う

外部の会社で経験を積ませる場合は、送り出す前に少なくとも次の点を双方で確認しておきたいところです。

  • 育成を依頼する工事と作業範囲
  • 予定する期間と見直し時期
  • どの状態になれば自社へ戻すのか
  • 習熟状況を誰がどの頻度で確認するのか
  • 自社との定期面談や現場参加をどう設けるか
  • 自社へ戻った後に担当させる仕事

外部では、基礎作業や反復経験を積ませます。一方、自社では、商業施設の夜間工事など、主力案件に必要な進め方や判断を教えます。このように役割を分ければ、外部の教育力を借りながら、自社に必要な技術とのずれを抑えられます。

若手が長期間にわたって他社の現場だけで働く場合も、定期的な面談や自社現場への参加機会を設けることが大切です。給与を支払う所属先というだけでなく、「戻った後にどの仕事を任せたいか」を本人と共有することで、帰属意識も保ちやすくなります。

外部育成を選ぶ判断軸は、費用を賄えるかだけではなく、自社に必要な技術が身につき、本人が戻る道筋まで描けるかどうかです。

まとめ

若手を採用しても教える人がいない会社では、採用活動を始める前後から教育体制を整えておく必要があります。ただし、専任の教育担当者を新たに雇い、立派な研修制度を一度に作る必要はありません。

まずは、現在のベテランが得意とする工事のなかから、今後も会社に残したい技術を絞ります。そのうえで、作業手順と判断基準を記録し、指導担当、教育工程、習熟度の確認方法を決めます。

外部の会社に育成を依頼する方法も、有効な選択肢です。ただし、期間だけを決めて送り出すのではなく、何を身につけ、いつ自社へ戻り、どの仕事を任せるのかまで設計しておくことが欠かせません。

採用、教育、技術承継は一続きです。ベテランが在籍している今のうちに、小さくても自社の教育工程をつくることが、若手を迎えられる会社への第一歩になります。

自社に合う技術承継の進め方を整理したい方へ

「ベテランの技術を何から残せばよいか分からない」「外部育成と社内教育をどう分けるべきか」といった段階でも、状況を整理することはできます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用や教育体制、組織づくりを、現場の受注状況や原価、デジタル活用まで含めて横断的に整理し、実行を支援しています。若手採用だけを切り離さず、誰が何を教え、どの現場で育てるのかまで一緒に組み立てます。

自社の場合に何から着手すべきか分からない段階でも構いません。無理にサービスを勧めることはありませんので、次の整理先の一つとして気軽にお声がけください。

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