売上の7割を前職からつながる1社が占める、神奈川県の5名規模の設備メンテナンス会社
神奈川県を拠点に、工場やオフィスビルの冷却設備を洗浄・保守する専門工事会社があります。創業から日が浅く、社員とアルバイトを合わせた5名ほどで現場を回しています。
主力は、冷却塔の洗浄や水質管理です。冷却塔は、業務用空調や工場の生産機械から出る熱を逃がすための設備です。洗浄しないまま使うと、水道水に含まれる成分が石のように固まり、内部が詰まります。雑菌の繁殖を抑えるためにも、定期的な管理が欠かせません。
技術と現場経験はあります。一方で、売上構成には偏りがあります。
「メインの取引先1社で、売上の7割ほどを占めています。何とか取引先を増やしたいのですが、次の大口がなかなか見つかりません」
社長は現在の大口取引先に12年間勤めていました。独立のタイミングで、廃業する外注先の仕事を引き継いだことが現在の受注基盤になっています。
これは創業期の専門工事会社では珍しくない形です。過去の勤務先や人脈から仕事を確保できるため、立ち上がりは早くなります。ただし、その関係が強いほど、売上も1社に集中しやすくなります。
既存の大口取引先は大切にしながら、売上を支える別の受注経路を意識してつくることが、次の経営課題になります。
1週間で 15件の相談 がありました
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
- 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
- 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
- 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
- 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
200件に電話しても「次の大口」に届かず、単発工事から定期発注へつながらない状況
取引先の分散は、新規顧客の数だけを増やせば実現するものではありません。経営の安定につながるのは、定期的に発注があり、自社の施工体制と収益性に合う取引先です。
この会社では、社長自身がGoogleマップを見ながら、冷却塔らしき設備が確認できる工場を数百件単位で拾っています。そのリストを電話営業の代行会社へ渡し、月に約200件の電話をかけてもらっています。アポイント率は1%前後です。
そこから設備内部の入れ替えや大型ファンの交換といった工事を受注できたケースもあります。ただし、単発の工事にとどまり、年1回の洗浄や毎月の水質管理といった定期発注にはつながっていません。
「できれば年1回、月1回と定期的に案件をいただける会社を増やしたいです」
ここで難しいのは、必要性が明確な施設ほど、すでに既存業者が入っていることです。一方、法的な義務がない施設では、「そこまで必要ではないのでは」と受け止められることもあります。
つまり、営業量だけの問題ではありません。
- どの顧客層に当たるのか
- 誰から仕事を受けるのか
- 単発工事後にどの保守業務を提案するのか
- どの顧客なら定期発注に発展しやすいのか
この整理がないまま営業件数だけを増やすと、社長がリスト作成と面談対応に追われても、取引先の分散が進まない状態になりやすいです。
「何件電話したか」ではなく、「どの顧客層から、どのような継続受注をつくるか」まで設計する必要があります。
元請候補だけを探す営業では、既存業者の壁と設備保有企業の見極めに時間がかかる構造
取引先の分散が進みにくい背景には、営業先を「冷却塔がありそうな工場」とひとまとめにしていることがあります。
同じ工場でも、保有する設備の台数、点検頻度、現在の委託先、外注への考え方は異なります。大型工場で複数の冷却塔を保有していれば、洗浄や水質管理が定期化する可能性があります。一方、設備が1台だけで、問題が起きたときにしか動かない工場では、単発対応で終わるかもしれません。
施工エリアも重要です。この会社が動きやすいのは、神奈川県東部から東京都心、湾岸部までです。同じ県内でも高速道路から外れ、移動時間が長くなる地域は施工効率が下がります。
さらに、社長自身が技術畑で、営業経験が少ないことも重なっていました。
「訪問したものの、1分くらいで話題がなくなってしまったこともありました。相手のニーズをどう深掘りするかは課題です」
冷却設備の構造や洗浄の必要性を説明できても、それだけでは受注につながりません。相手が抱える設備管理上の課題や、現在の業者に対する不満、点検を外注したい事情まで聞けるかどうかで、その後の提案が変わります。
もう一つ見落とせないのが、発注者へ直接営業する以外の受注経路です。
ビル管理会社やビルメンテナンス会社は、複数の施設を管理しています。工場へ出入りする設備会社や工事会社も、顧客との接点をすでに持っています。人件費の上昇などを背景に、専門性の高い保守業務をすべて内製することが難しい会社もあります。
顧客を1社ずつ直接開拓する経路と、複数施設との接点を持つ会社から二次請けで受注する経路では、営業の進め方も収益構造も異なります。
この二つを分けずに営業すると、誰に何を提案するのかが曖昧になります。
元請候補への直接営業と設備会社・管理会社のパートナー開拓を分けて検証する進め方
取引先の分散を進めるなら、営業先を闇雲に増やすより、「直接受注」と「パートナー経由の受注」を両輪として設計する進め方が現実的です。
1.元請候補への直接営業
直接営業の対象は、冷却設備を保有する工場、オフィスビル、公共性の高い施設などです。直接受注できれば、顧客の設備状況を把握しやすく、洗浄から水質管理、部品交換まで継続して提案できる可能性があります。
ただし、設備が見えることだけを理由にリストへ入れるのではなく、次の基準で優先順位をつけます。
- 月次・年次の定期点検が発生するか
- 冷却塔や関連設備を何台保有しているか
- 自社の施工エリア内にあるか
- 移動時間や必要人数を含めても収益が残るか
- 既存業者がいる場合、切り替えや補完の余地があるか
営業の場では、技術説明を急ぐ前に、現在の管理状況を確認します。
「水質点検はどのくらいの頻度で行っていますか」
「洗浄や部品交換は、現在どの会社へ依頼していますか」
「急な詰まりや設備停止への対応で困ることはありますか」
こうした質問を通じて、単発工事の有無だけでなく、定期管理へ発展する可能性を見ます。
2.設備会社・管理会社とのパートナー開拓
もう一方は、ビル管理会社、ビルメンテナンス会社、設備設置会社、工場へ出入りする工事会社への営業です。
この層には、「冷却塔の洗浄を発注してください」と伝えるだけでは十分ではありません。相手が受注した設備管理業務のうち、専門性が必要な工程を外注してもらう提案になります。
確認したいのは、次のような点です。
- 管理しているビルや工場の数
- 冷却設備を持つ施設の有無
- 洗浄や水質管理を内製しているか
- 人手不足や採算面から外注したい作業があるか
- 対応エリアが自社の施工範囲と重なるか
パートナー経由では中間マージンが発生するため、直接受注より粗利が下がる場合があります。一方で、1社との関係から複数施設の仕事につながる可能性があります。
直接営業は収益性と顧客接点を取りやすく、パートナー開拓は複数現場への入口をつくりやすいという違いがあります。どちらか一方に絞らず、役割を分けることが大切です。
3.顧客層ごとに営業結果を残す
営業活動は、対象を分けたうえで結果を比べます。最低限、次の項目を顧客層別に記録します。
- 接触件数とアポイント件数
- 現地確認や見積もりへ進んだ件数
- 受注件数と失注理由
- 1件あたりの売上と収益性
- 定期発注へ進む可能性
- 保有設備数と対応エリア
工場への直接営業は反応が薄くても、設備を複数保有する大口顧客につながるかもしれません。管理会社は1件あたりの利益が低くても、複数施設の定期案件へ発展する可能性があります。
一定件数へ営業した後は、「アポイント率が高かったか」だけで判断しません。受注単価、定期性、施工効率まで含めて比較します。その結果をもとに、次に当たるリストと営業時の質問を修正します。
取引先の分散は、会社数を増やすことではなく、売上構成を支える顧客層を見つけ、その受注経路を再現できる状態にすることです。
まとめ
売上の7割を1社が占める状態は、創業期に仕事を確保してきた結果でもあります。既存取引先との関係を否定する必要はありません。その基盤があるうちに、別の受注経路を育てることが大切です。
進め方の軸は二つです。
- 設備を保有する工場やビルへの直接営業
- 設備会社や管理会社から二次請けで受注するパートナー開拓
そのうえで、定期発注の有無、設備の保有数、施工エリア、収益性を基準に営業先を分けます。接触件数だけでなく、見積もり、受注、継続性まで追えば、自社と相性のよい顧客層が少しずつ見えてきます。
大口顧客への依存を減らす第一歩は、新規開拓先を増やすことではなく、「誰から、どのような仕事を、どの頻度で受けたいか」を整理することです。
自社に合う取引先の分散方法から整理したい方へ
取引先を分散したくても、元請候補へ直接営業すべきか、設備会社や管理会社との関係を広げるべきかは、施工内容やエリア、現在の売上構成によって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大をはじめ、現場・組織・原価・デジタル活用まで横断して課題を整理し、実行を支援しています。「うちの場合はどの顧客層を優先すべきか」「営業結果をどう検証すればよいか」という段階からでも、一緒に整理できます。
無理に営業を進めることはありません。まずは現在の取引構造や営業状況を共有いただき、次の整理先を考える場としてご活用ください。




























