前提

半年で3件程度の落札を目指す関東圏の防犯カメラ工事会社

関東圏で防犯カメラや弱電設備を扱うある工事会社では、公共案件の受注を増やすため、半年で3件程度の落札を目標にしていました。

過去の経験から、札入れまで進んだ案件の落札率は、おおむね3件に1件から5件に1件という感覚です。この数字をそのまま使えば、3件の落札には9〜15件程度の応札が必要になります。

ただし、応札数を増やせばよいわけではありません。同社からは、次のような率直な言葉も出ています。

「わざわざ入札で、小さい粗利を取りに行く気にはならない」

公共工事は受注量の見通しを立てやすい一方、案件によって競争環境や仕様、必要な施工体制が大きく異なります。目標にするべきなのは落札件数そのものではなく、必要な粗利を確保できる案件の落札件数です。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

極端に安い競合と同じ案件に入り、落札しても利益が残らない構造

入札案件を幅広く拾って応札件数を増やすと、価格を大きく下げる競合とぶつかる機会も増えます。

同社が過去の落札結果を確認したところ、防犯カメラ案件に繰り返し参加し、他社より数百万円低い価格で落札している競合が見つかりました。発注機関や案件によっては最低価格に関する条件が設けられていないケースもあり、「どこまで下げるのか」という競争になりやすい状況も見られます。

このような競合は、機器の仕入れ条件、施工体制、案件全体での採算の考え方が自社とは異なる可能性があります。受注量の確保を優先している会社と、1件ごとの粗利を重視する会社が、同じ価格基準で勝負するのは簡単ではありません。

そのため、自社の原価を削って追随するより、その競合が強い案件を先に見分けて外すほうが合理的です。

また、価格だけでなく案件規模によって競争相手が変わります。大手の設備会社やシステム会社が参加する案件では、実績、調達力、対応範囲を含めて競争条件が異なります。反対に、入札資格の等級や案件規模が自社に合っていれば、大手が参加しにくく、自社が戦いやすい場合もあります。

「参加できる案件」と「利益を残して勝てる案件」は別物です。ここを分けないまま落札件数だけを追うと、見積もりの手間が増え、受注できても現場が忙しい割に利益が残らない状態になりやすくなります。

背景

案件発見後の選別が社長の経験に依存し、競合・価格・仕様の傾向が蓄積されていない状態

同社の入札業務は、大きく「案件を発見する」「参加案件を選ぶ」「仕様書を読み、見積もって札を入れる」という流れでした。

とくに重要なのが、発見から選択までの段階です。案件を見た社長が「これはやめておこう」「この仕様は手間がかかる」と判断できれば、その後の見積もりや札入れに余計な工数をかけずに済みます。

実際に重視していたのは、カメラの台数や予定金額だけではなく、仕様書の内容でした。参考型番が明記され、自社が扱いやすいメーカーや同等品で対応できる案件もあれば、仕様が複雑で確認や機器選定に手間がかかる案件もあります。

「一番見ているのは仕様です。難しい仕様だと、手間がかかるので見送ることがあります」

ただし、この判断が社長の頭の中だけにあると、案件を見つけるたびに確認が必要です。さらに、見送った理由が記録されなければ、同じような案件を何度も拾い、同じ確認を繰り返すことになります。

案件名の表記にもばらつきがあります。「防犯カメラ」だけでなく、「監視カメラ」「ネットワークカメラ」「見守りカメラ」といった名称が使われるため、検索を狭くすると候補を取りこぼし、広くすると医療用など対象外のカメラまで混ざります。

したがって、入口で対象案件を完全に絞るのは難しく、発見後の選別が欠かせません。価格競争を避けるには、検索精度だけでなく、見つけた案件を利益の観点からふるいにかける仕組みが必要です。

解決

過去の落札結果で勝ちやすさを分類し、粗利と施工負荷から応札を決める仕組み

最初に行いたいのは、過去の落札結果を使った競争環境の整理です。自社が参加した案件だけでなく、同業他社が落札した案件も確認すると、価格競争になりやすい条件が見えやすくなります。

整理する項目は、少なくとも次のとおりです。

  • 発注機関
  • 案件名と工事・納入の区分
  • 予定価格と落札価格
  • 参加企業と落札企業
  • 案件規模
  • 入札資格や等級
  • 機器の参考型番、メーカー指定、同等品可否
  • 現地対応や施工範囲
  • 自社で見積もった場合の想定粗利
  • 見積もり、機器選定、施工にかかる負荷

1件ずつ眺めるだけではなく、競合別、発注機関別、案件規模別に並べることがポイントです。たとえば、特定の競合が繰り返し大幅な低価格で落札している発注機関や仕様が分かれば、その条件を「価格競争になりやすい案件」として扱えます。

一方、自社が扱い慣れた機器で対応でき、仕様の読み替えや同等品提案がしやすい案件は、価格競争力を出しやすくなります。過去に同じ発注機関の案件を施工した経験があれば、現地条件や必要書類も読みやすくなります。

落札結果は、単なる実績一覧ではなく、自社が勝つ市場と撤退する市場を分けるためのデータです。

実務では、案件を次のように3段階で分類すると判断しやすくなります。

  • 優先案件:資格、仕様、規模が合い、想定粗利を確保しやすい
  • 確認案件:一部条件が不明で、仕様書や競合傾向の追加確認が必要
  • 見送り案件:低価格競合が強い、仕様負荷が高い、必要粗利を確保できない

見送り基準は、競合企業の名前だけで決めないことも大切です。同じ競合でも、発注機関や案件規模によって価格の出し方が変わる可能性があります。「特定の競合がいるから撤退」ではなく、過去の価格差、案件規模、仕様を組み合わせて判断します。

次に、落札目標から応札数を逆算します。仮に過去の落札率が20〜33%で、3件の落札を目指すなら、9〜15件の応札がひとつの目安です。ただし、この落札率を全案件共通で使うと判断を誤ります。

優先案件では落札率が高く、見送りに近い案件では低くなるはずです。そこで、KPIを次のように分けます。

  1. 入札資格や地域などの基本条件を満たした発見件数
  2. 仕様と競合傾向を確認した件数
  3. 優先案件として選んだ件数
  4. 実際に応札した件数
  5. 落札件数と案件分類別の落札率
  6. 落札案件の想定粗利と実績粗利
  7. 見積もり工数と施工負荷

応札数と落札率だけでなく、粗利と負荷まで追って初めて、入札が経営に貢献しているかを判断できます。

始めから精密な基準を完成させる必要はありません。新着案件を数件選び、社長や担当者が「参加する・見送る」を判断し、その理由を記録します。「参考型番が扱いやすい」「同等品で対応できる」「価格差の大きい競合が頻出する」「仕様確認の負担が重い」といった判断を積み重ねれば、選別基準を徐々に共通化できます。

まずは機械的に資格、地域、案件区分で足切りし、その後に仕様、競合、粗利、施工負荷で判断する二段階の運用が現実的です。案件を大量に拾う仕組みより先に、拾った案件を正しく捨てられる仕組みをつくることが、利益を残す近道です。

まとめ

公共工事の入札で価格競争に巻き込まれる背景には、落札件数を優先し、自社と採算構造の異なる競合が強い案件まで追ってしまうことがあります。

過去の落札結果から、競合、落札価格、案件規模、発注機関、仕様の傾向を整理すると、自社が勝ちやすい条件と見送るべき条件が見えてきます。

そのうえで、落札目標から必要な応札数を逆算しつつ、想定粗利、実績粗利、見積もり工数、施工負荷をKPIに含めます。入札の成果は「何件取れたか」ではなく、「どの案件を選び、いくら利益を残せたか」で見ることが重要です。

利益を残せる入札条件を自社の判断基準にするために

入札案件の選別は、資格条件だけで自動化できるものではありません。過去の落札結果と、社内に蓄積された仕様・原価・施工の知見を結びつける必要があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して整理し、入札案件の抽出、競合分析、収支管理、デジタル活用を実行段階まで支援しています。

「うちの場合、どの案件を追うべきか」「社長の判断をどう基準に落とせばよいか」といった整理途中の段階でも構いません。無理にサービスを勧めることはありませんので、自社の次の整理先を考える機会としてご活用ください。

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