売上約6億円の通信・電気工事会社が、公共工事を2〜3割の柱に育てようとしている段階
兵庫県を拠点とする、売上約6億円、社員20名弱の通信・電気工事会社があります。約60社の協力会社と連携しながら事業を広げ、数年後には売上10億円を目指しています。
ただし、目標は売上だけを増やすことではありません。利益を確保しながら成長するため、既存の通信工事に加えて、新しい収益源を育てようとしていました。その一つが公共工事です。
経営者が避けたいと考えていたのは、特定の民間取引先に売上が偏る状態でした。
「一社への依存度が高いのは避けたい。1社で売上の大半を占めるより、複数の柱を25〜30%ずつ持っておきたいんです」
公共工事では、自社が元請けとなって受注し、施工まで管理できる可能性があります。そのため、既存事業とは異なる売上の柱として期待していました。
すでに入札参加資格は取得済みです。近隣企業が落札した案件の施工にも入り、「積算はどうしているのか」「どのような流れで工事を進めるのか」と、実務をつかみ始めています。
公共工事への参入は、入札参加資格を取得した時点がゴールではありません。そこから案件を選び、原価を積み上げ、応札価格を決められる体制をつくることが本当のスタートです。
1週間で 15件の相談 がありました
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
- 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
- 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
- 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
- 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
自社単価を整えても「この価格で応札してよいか」の判断が残る積算の壁
公共工事へ参入するとき、最初に立ちはだかりやすいのが積算です。
この会社でも、自社の施工単価は一通り整えられていました。それでも、実際の案件に対して応札価格を決める段階では迷いが残ります。
「自社単価まではできました。これで応札して落ちなかったら、もう仕方がないと思っています」
この言葉には、初めて公共工事に取り組む会社が感じやすい難しさが表れています。自社単価が分かっても、それだけで落札できるわけではありません。一方で、落札を優先して価格を下げすぎれば、受注後に利益が残らなくなります。
初期段階では、少なくとも次の数字を分けて考える必要があります。
- 自社で施工する場合の労務費
- 協力会社へ依頼する場合の外注費
- 材料費や機器費
- 現場管理や書類対応に必要な間接的な負担
- 確保したい利益
- 実際に提出する応札価格
積算の目的は、落札できそうな価格を当てることではなく、自社が利益を残して履行できる価格の下限を把握することです。
公共工事を新しい売上の柱にするなら、「取れる案件」だけでなく「取ってよい案件」を判断できる状態が欠かせません。
資格取得後も、案件選定と価格判断を経営者だけで抱えやすい参入初期
積算が難しい背景には、価格情報だけでなく、公共工事の経験そのものが社内に蓄積されていないことがあります。
民間工事であれば、過去の取引や現場経験から、必要な人工、協力会社の手配、価格交渉の余地を判断できます。ところが公共工事では、発注資料を読み、自社で対応できる工事かを見極め、決められた条件に沿って価格を組み立てなければなりません。
この会社は、その差を埋めるため、他社が落札した公共工事の施工に入りました。
「実際の現場に入って、進め方を見ています。積算をどうしているのかも聞いています」
これは、初受注を急ぐ前の現実的な準備です。書類だけでは分かりにくい人工数、段取り、現場管理の負担を把握できれば、自社単価の精度も上げやすくなります。
一方で、案件の探索、資料確認、積算、応札価格の決定までを経営者が担当すると、公共工事を増やすほど経営者の時間が足りなくなります。実際、この会社の経営者も、既存顧客との打ち合わせや新規案件の交渉を抱えており、「一日じっくり考える時間もなかなかない」という状況でした。
そこで、公共工事の見積もりや関連事務を担う人材を1名採用しています。受注量が増えた段階でもう1名を加え、2名で回す構想も持っていました。
公共工事を継続的な事業にするには、経営者が毎回積算するのではなく、担当者が情報を整え、経営者は案件と価格の最終判断に集中できる分担が必要です。
案件選定、自社単価、応札検証、担当者配置を小さく一巡させる仕組みづくり
初受注に向けては、最初から多くの案件に応札するより、案件選定から結果検証までを小さく一巡させることが大切です。
1.最初に「応札する案件の条件」を決める
公共工事は、公告されている案件すべてが自社に合うわけではありません。売上規模だけで判断せず、既存の施工力や協力会社網を生かせるかを見ます。
初期の案件選定では、次のような軸をそろえておくと判断しやすくなります。
- 自社または既存の協力会社で施工できるか
- 類似工事の経験があるか
- 必要な人員を無理なく確保できるか
- 現場管理や提出書類を含めて対応できるか
- 積算に必要な単価を把握できるか
- 受注した場合に利益を確保できるか
この会社は、通信・電気工事を軸にしながら、幅広い協力会社と連携できることが強みでした。ただし、施工できることと、適正な利益を残せることは別です。
最初の案件は、売上の大きさよりも「施工方法と原価を説明できるか」で選ぶほうが、次の入札に知見を残せます。
2.自社単価を「誰が使っても同じ数字になる形」にする
自社単価は、経営者の頭の中だけにある状態では十分ではありません。担当者が積算しても、同じ前提で原価を組み立てられる形にします。
少なくとも、工種ごとの労務費、材料費、外注費を分け、どの条件で単価が変わるのかを残します。協力会社を使う場合も、「通常はこの単価」だけでなく、地域、工期、施工量などによって変動する部分を確認しておくことが必要です。
また、他社が落札した案件へ施工者として入った経験は、自社単価を見直す材料になります。想定より人工がかかった作業、書類や調整に時間を要した工程があれば、次の積算へ反映します。
自社単価は一度つくって終わりではなく、実際の施工結果を受けて更新する経営データです。
3.落札・不落札の両方を次の応札に残す
初期の入札では、不落札も検証材料になります。「落ちなかったから仕方がない」で終わらせず、提出した価格と結果の差を記録します。
案件ごとに、次の情報を一覧にしておくと振り返りやすくなります。
- 案件の工種と規模
- 自社の積算原価
- 確保しようとした利益
- 応札価格
- 落札価格など確認できた結果
- 応札価格との差
- 次回見直す単価や数量
ただし、落札価格との差だけを見て、次回の価格を機械的に下げるのは避けたいところです。まず確認するのは、自社の数量、人工、材料費、外注費に見落としがなかったかです。
応札結果の検証では、「いくらなら落札できたか」より先に、「自社の積算は正しかったか」を確認します。
4.担当者は積算準備、経営者は応札判断に役割を分ける
参入初期から、積算業務のすべてを経営者が抱える必要はありません。案件情報の収集、資料の整理、単価の入力、過去案件との比較などは、担当者へ移せます。
一方、当面は経営者が担ったほうがよい判断もあります。
- 自社の事業方針に合う案件か
- 現場と協力会社の体制を組めるか
- この利益水準で受注する意味があるか
- 実績づくりを優先する案件か
この会社のように、まず1名を公共工事の見積もり・事務担当として置き、案件が回り始めた段階で2名体制へ広げる進め方は、中小建設会社にも取り入れやすい形です。
先に大きな入札部門をつくるのではなく、1名の担当者と経営者で一連の流れを回し、受注件数と事務量に合わせて体制を増やすほうが無理なく定着します。
まとめ
公共工事を新しい売上の柱にするうえで、入札参加資格の取得は入口です。その後に必要なのは、案件選定、積算、応札、結果検証を繰り返せる体制です。
初受注までの流れは、次のように整理できます。
- 自社の施工力と協力会社網に合う案件を選ぶ
- 他社案件で実際の施工や積算の考え方を把握する
- 工種ごとの自社単価を担当者も使える形にする
- 利益を確保できる応札価格を決める
- 落札・不落札を問わず結果を記録して単価を更新する
- 受注量に合わせて積算・事務の担当者を増やす
公共工事を安定した柱に育てる鍵は、一度の落札ではなく、応札のたびに積算精度と社内体制が高まる仕組みをつくることです。
特定の民間取引先への依存を減らしたい会社にとって、公共工事は有力な選択肢になり得ます。まずは自社が利益を残して対応できる案件を見極め、小さく経験を積み上げることが次の一手になります。
自社に合う公共工事の進め方を整理するために
公共工事へ参入したくても、「どの案件から入るべきか」「自社単価が妥当か」「積算担当をどこまで置くべきか」は、会社の施工領域や協力会社体制によって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。公共工事を売上の柱にするための案件選定や収支管理、積算・入札体制についても、「うちの場合はどう考えるべきか」「何から整理すればよいか」という段階から一緒に検討できます。
無理にサービスを勧めることはありません。自社の現在地を確認する機会として、気軽にお声がけください。




























