前提

売上5億円台から9億円を目指す、約20名の通信・電気工事会社の現在地

兵庫県を拠点に近畿圏の通信・電気工事を手がける、約20名の建設会社があります。50社を超える協力会社とのネットワークがあり、自社で対応できない工種も協力会社と組むことで幅広く受注できる体制です。

現在の売上は5億円台。2年後には9億円規模を目指しています。ただ売上を積み上げるのではなく、価格交渉を行い、利益を残せる案件を増やすことが前提です。

施工体制には一定の余力がある一方、経営者が最も大きな課題として挙げたのは営業でした。

「案件が増えても施工は対応できます。今の課題は営業ですね」

新規案件の多くは、経営者同士のつながりや協力会社からの紹介です。「この案件をさばけないから、一度見てもらえないか」と声がかかり、経営者自身が内容を聞きに行きます。

紹介を起点に成長してきた会社だからこそ、信頼関係は強みです。しかし、紹介が発生する時期や件数は自社で決められません。次の成長に必要なのは、紹介をやめることではなく、紹介以外からも商談を計画的につくれる状態です。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

協力会社からの紹介だけでは、1カ月先まで新規商談を組めない状態

この会社が増やしたいのは、単なる問い合わせではなく、受注の可能性がある「打席」です。

「一人あたり1日1件は商談を入れたい。2週間後、1カ月後まで予定が埋まる状態にしたいんです」

ところが、現在の商談経路はほぼ紹介に限られています。案件の相談は入ってくるものの、翌月に何件の商談が生まれるかを予測できません。売上目標から逆算して商談数を増やそうとしても、自社で入口を調整できない状態です。

もう一つの課題は、営業手段をまだ決め切れていないことです。

「電話で取るのか、メールを送るのか。履歴と割合を出して、どちらでいくかを決めないと分からないと思うんです」

この感覚は、とても重要です。新規営業では、電話、メール、紹介依頼などの手段そのものに正解があるわけではありません。対象顧客や提案内容によって結果は変わります。

営業手段を先に一つへ決め打ちするのではなく、同じ条件で小さく試し、商談と粗利につながった手段を残す必要があります。

一方で、商談を増やせば済むわけでもありません。現状では、初回商談や価格交渉を経営者が担っています。工事分野が細かく分かれ、案件ごとに対応できる協力会社をその場で判断する必要があるためです。

「初めて見る案件だと、社内の担当者は判断に迷ってしまいます。結局、最初の商談は僕が行くことになります」

商談獲得だけを増やしても、経営者が対応できなければ詰まります。新規商談の安定化と、初回商談を担える人材の育成は、切り離さずに設計したい課題です。

背景

社長の判断力と人脈が、案件獲得から価格交渉までを支えてきた営業構造

紹介営業から抜け出しにくい背景には、経営者の経験が営業成果を支えてきた事情があります。

相談を受けた瞬間に、工事内容を見極め、対応できる協力会社を思い浮かべ、受注するかどうかを判断する。金額が合わなければ、その場で交渉する。こうした動きは、長年の施工経験と協力会社との関係があるからこそ可能です。

経営者の商談は30分ほどで終わることが多く、近畿圏内であれば1日に複数件を回れるという話もありました。時間そのものより、短時間で判断し、話を前へ進める力に価値があります。

一方、社内で営業を任せたい候補者は、複数の現場を抱えています。

「営業を任せられそうな人は一人います。でも人手が足りず、一人で三つ、四つの現場を持っている状態です」

工事を理解している人を営業へ移せば、現場側の負担が増えます。外部から営業経験者を採用しても、工種ごとの違いや施工可否、価格の妥当性をすぐに判断できるとは限りません。「話せる工事屋がなかなかいない」という悩みは、専門工事会社では珍しくないものです。

それでも、経営者と同じ受注率を最初から求める必要はありません。

「僕が10件中8件を決めるとしても、担当者は3件、4件でいいんです。商談数があれば成り立ちます」

ここに営業体制をつくるヒントがあります。経営者の成約率をそのまま再現するのではなく、担当者が一定の受注率を出せる商談数と判断基準を用意することが現実的です。

解決

電話・メールを小さく試し、商談化率と粗利から有効な販路を選ぶ進め方

最初に取り組みたいのは、電話かメールかを感覚で選ぶことではありません。対象顧客と検証条件をそろえ、一定期間試した結果を比較することです。

1.先に「どこへ営業するか」をそろえる

手段を比較する前に、営業先の条件を決めます。対象が異なれば、電話とメールの結果を正しく比べられないためです。

この会社の場合は、次のような条件が判断材料になります。

  • 対応可能な工事であるか
  • 近畿圏を中心に、経営者が初回商談へ動ける地域か
  • 小口案件から取引を始められるか
  • 協力会社を含めて施工体制を組めるか
  • 価格交渉によって必要な粗利を確保できるか

施工可能な工種が広くても、営業先を無制限に広げると検証結果がぼやけます。まずは顧客属性や工事分野をある程度そろえ、反応を比較できる単位に絞ります。

「何でもできます」から始めるのではなく、「誰の、どのような小口案件を受けたいか」まで決めると、営業結果を評価しやすくなります。

2.接触から粗利までを一つの表で記録する

電話とメールを試すなら、送った件数だけではなく、受注後の利益まで追う必要があります。最低限、次の項目を記録します。

記録項目

確認したいこと

対象顧客

どの業種・規模・地域へ接触したか

営業手段

電話、メール、紹介依頼のどれか

接触数

実際に連絡できた件数

商談数

面談や現地確認へ進んだ件数

商談化率

接触数に対して何件が商談になったか

見積提出数

具体的な案件へ進んだ件数

受注数・受注率

商談から何件受注できたか

見込粗利・実績粗利

売上ではなく、どれだけ利益が残ったか

失注理由

価格、工種、地域、時期など

商談化率が高くても、低価格案件ばかりでは継続する意味が薄くなります。反対に、商談化率が少し低くても、継続発注や適正な粗利が見込める販路なら育てる価値があります。

営業手段の良し悪しは、アポイント数だけでなく、受注率と粗利まで見て判断します。

3.新規取引は小口案件から始める

この会社では、新しい取引先について「小口から広げたい」という方針が明確でした。

小口案件には、発注側と受注側の双方が、相手の対応を確認しやすい利点があります。施工品質だけでなく、見積もりの速さ、連絡の取りやすさ、現場での調整力も見てもらえます。自社側も、支払い条件や担当者との相性、実際に残る粗利を把握できます。

最初から大型案件だけを狙うより、小口案件で取引実績をつくり、問題がなければ件数や対応範囲を広げる方が、新規販路を安定させやすくなります。

小口案件は売上の小ささだけで判断せず、継続取引へ進むための検証案件として位置づけます。

4.営業担当の採用は、商談が生まれる見通しを確認してから判断する

営業担当を先に採用するか、商談獲得を先に試すかは、多くの会社が迷うところです。

この会社では、経営者が初回商談へ動く余地があり、商談数が増えた段階で新しい担当者を同行させる考えがありました。この条件であれば、まず経営者が初期商談を担当し、営業経路の有効性を確かめる進め方が合っています。

判断の目安は次の三つです。

  • 一定数の新規商談を継続して獲得できるか
  • 採用後に担当者が経験を積めるだけの商談数があるか
  • 経営者の判断を、同行や記録によって引き継げるか

商談がない状態で営業担当を採用すると、何を誰に提案するかが曖昧なままになります。反対に、経営者だけで商談を抱え続ければ、営業が再び属人化します。

そこで初期段階では、経営者が商談へ出ながら、次の内容を記録します。

  • 受ける案件と断る案件の違い
  • 価格交渉で確認する項目
  • 施工可否を判断するための質問
  • 協力会社へ確認が必要になる条件
  • 次回提案までに用意する情報

そのうえで、担当候補者を同行させ、最初は案件情報の整理や次回対応から任せます。採用か育成かを先に決めるのではなく、商談をつくりながら、任せられる業務の範囲を広げていく進め方が現実的です。

まとめ

紹介営業は、信頼を前提に商談が始まる強い販路です。ただし、紹介だけでは翌月の商談数を自社で調整しにくく、売上目標から逆算した営業計画を立てづらくなります。

新規商談を安定して増やすには、電話やメールのどちらかを先に正解と決める必要はありません。対象顧客をそろえ、小さく試し、接触数、商談化率、受注率、粗利を記録します。その結果から、自社に合う販路へ人と時間を配分します。

また、新規取引は小口案件から始めることで、施工対応や採算、取引の継続性を双方で確認できます。商談数が見えてきたら、経営者が初回商談を担いながら担当者を同行させ、判断基準を引き継いでいきます。

紹介という強みを残しながら、営業活動を数値で見えるようにすることが、商談数を計画的に増やす第一歩です。

自社に合う新規営業の進め方を整理したい方へ

営業先をどこまで絞るか、電話とメールをどう比較するか、経営者がどの段階まで商談へ出るかは、施工体制や商圏、目標粗利によって変わります。「うちの場合はどこから試すべきか」「営業担当を採用する前に何を整えるべきか」という段階から整理しても問題ありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大を、現場体制や人材、原価管理まで含めて整理し、実行を支援しています。建設業の経営課題を解決し、未来をつくるパートナーとして、ものづくりに集中できる営業体制を一緒に考えます。無理に営業を進めることはありませんので、現在地の整理先として気軽にお声がけください。

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