前提

少数精鋭で年商約5億円をつくる改修工事会社が直面した採用の壁

中部地方で改修工事を手がける、実質6名ほどの建設会社があります。社長自身が営業を担い、管理会社や不動産会社との直接取引に近い形で受注。少人数ながら年商は約5億円に達しています。

一方で、社内の人数は限られており、受注できる工事量は頭打ちになりつつありました。実際に、人手が足りず数千万円規模の工事を断ることもあります。将来的にはいったん売上を追う手を緩めてでも社内体制を整え、その後に年商10億円を目指す考えです。

必要なのは、入力作業や現金出納帳の管理を担う短時間のパートだけではありません。数年後を見据えると、顧客との打ち合わせを任せられ、工事が収まるところまで対応できる中核人材も必要です。

ところが社長からは、こんな言葉が出ました。

「何人か採用してきましたが、なかなか欲しい人材が来ません。そもそも一人を雇う術さえないという感覚です」

過去には求人媒体へまとまった費用をかけ、人材紹介も利用しました。それでも期待する人とは出会えず、採用後のミスマッチも経験しています。

この会社に足りなかったのは、新しい求人媒体ではなく、誰を採るのかを言葉にした採用要件と、その人に選ばれるための情報でした。

1週間で 19件の相談 がありました

  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

「建設経験者が欲しい」だけでは顧客対応力や実行力を見極められない採用

建設会社の採用では、「施工管理経験者」「有資格者」「同業での実務経験がある人」といった条件が先に並びがちです。しかし、経歴や資格が仕事の成果に直結するとは限りません。

この会社では、建設業界で働いてきた30代の男性社員より、業界未経験で入った女性取締役のほうが、元請けや発注者から高く評価されていました。数千万円規模の工事対応と経理を並行して担当し、社長が同行しなくても顧客との関係を維持できています。

社長が評価していたのは、専門知識の量だけではありませんでした。

「結局、言ったことを理解して、言った通りにできるかなんです。経験があっても、指示が伝わらない人はいます」

ここから見えるのは、この会社が求める中核人材の条件です。

  • 顧客と直接やり取りし、信頼関係をつくれる
  • 指示の意図を理解し、実行に移せる
  • 未経験の仕事でも教わりながら吸収できる
  • 工事の途中だけでなく、収まりまで責任を持てる
  • 現時点の能力だけでなく、数年かけて担当範囲を広げられる

採用要件は「何を経験した人か」だけでなく、「入社後にどの仕事を、どの水準まで任せたいか」から逆算して決める必要があります。

要件が曖昧なまま人材紹介会社へ依頼すると、紹介する側も年齢、資格、年収、業界経験といった分かりやすい条件で候補者を探すしかありません。その結果、書類上では条件を満たしていても、自社が本当に必要とする顧客対応力や実行力が合わない人が面接へ来ます。

紹介された人が悪いとも、媒体が悪いとも限りません。採用する会社と候補者をつなぐ共通の物差しがないことが、応募者の質が合わない大きな原因です。

背景

求人媒体への掲載を急ぎ、自社の強みと10億円までの将来像を伝えられていない状態

この会社は、求人媒体へ約3か月掲載したほか、成功報酬型の人材紹介も試していました。しかし、採用した人が早期に休業するなど、苦い経験が残りました。短時間パートについても、時給を高めに設定して地域掲示板で募集しましたが、思うように応募が来ませんでした。

こうした経験が続くと、「うちには良い人が来ない」と考えたくなります。ただ、採用活動を整理すると、媒体以前の準備に改善の余地がありました。

会社のホームページは、取引上の必要から作った簡素なものでした。社長自身も「適当に作っておいてくださいと頼んだものです」と話しています。そこには、次のような情報が十分に表現されていませんでした。

  • なぜ少人数で約5億円の売上をつくれるのか
  • なぜ不動産会社や管理会社から直接相談を受けられるのか
  • 未経験者でも工事対応を任されるまで成長できた理由
  • 今後、どのような体制で年商10億円を目指すのか
  • 入社した人が、数年後にどの仕事を担えるのか

これらは、求人票の給与欄や資格欄だけでは伝わりません。しかし、候補者が応募や入社を判断するときには重要な情報です。

紹介を受けた人であっても、社長から直接声をかけられた人であっても、多くは会社のホームページを確認します。一度だけでなく、応募前、面接前、内定後と繰り返し見ることもあります。

そのとき、会社概要と事業内容しか載っていなければ、候補者は「ここで働くと何を任され、どう成長できるのか」を判断できません。

採用サイトは求人票をきれいに見せる場所ではなく、採用要件に合う人が自分の将来を確かめる場所です。

また、自社の魅力は社長一人で考えるだけでは見つけにくいものです。社長にとって当たり前になっている顧客との関係や仕事の進め方が、社員や候補者から見ると大きな魅力である場合があります。

自社の強みを言語化できていない会社ほど、社員へのヒアリングから採用情報を掘り起こすことが有効です。

解決

社員へのヒアリングで採用要件を固め、求人原稿と採用サイトを同じ軸でつなぐ進め方

最初に行いたいのは、求人媒体の選定ではなく、採用要件の整理です。今回のように、短時間パートと将来の中核人材を同時に求めている場合は、両者を同じ求人で募集しないことも重要です。

入力作業を担う人と、顧客対応や工事管理を担う人では、任せる仕事、必要な力、伝えるべき魅力が異なります。

1.未来の仕事から採用要件を逆算する

まず、現在の組織図だけでなく、2〜3年後の組織図を描きます。まだ在籍していない役割も含めて、「誰に何を任せる必要があるか」を明らかにするためです。

今回の会社であれば、年商10億円を目指す過程で、社長や取締役の分身となり、一定規模の案件を担当できる人が必要になります。その前提から、採用要件を次のように分けて整理します。

  • 入社時点で必ず必要な条件
  • 入社後に教育できる知識や経験
  • 顧客対応で重視する行動
  • 指示を受けた際に求める理解・実行の水準
  • 1年後、2年後に任せたい仕事
  • 自社の仕事の進め方と合いにくい傾向

資格が必要な仕事であれば、資格は外せません。ただし、資格だけで採否を決めないことが大切です。

「資格を持っているか」と「顧客から仕事を任せてもらえるか」は、別の採用要件として評価します。

2.社長と社員へ個別にヒアリングする

採用要件と会社の魅力をそろえるには、役員と社員への個別ヒアリングが役立ちます。今回示された進め方では、初月に可能な限り全員と一対一で話し、情報収集と分析を行います。

確認したいのは、華やかな成功談だけではありません。

  • 顧客はなぜ自社へ仕事を頼んでいるのか
  • 他社ではなく自社が評価される場面はどこか
  • 入社後、どのように仕事を覚えたか
  • 未経験者が任されるようになったきっかけは何か
  • 社長が仕事のできる人に共通すると感じる行動は何か
  • 会社が今後どこへ向かおうとしているか

たとえば、「未経験でも顧客対応を任されるまで成長できた」という事実は、それだけで採用上の強みになります。ただし、「未経験歓迎」と書くだけでは弱く、何を教え、どのような仕事を任せ、どんな評価を受けるようになったかまで伝える必要があります。

社員へのヒアリングは、会社を必要以上によく見せるためではありません。社内ですでに起きている成長や、顧客から選ばれている理由を、候補者にも分かる言葉へ置き換える作業です。

3.採用要件を求人原稿へ落とし込む

ヒアリングで採用したい人物像が見えたら、その人に届く求人原稿を作ります。

「施工管理経験者募集」だけで終わらせず、実際に任せる仕事や期待する行動を具体化します。たとえば、顧客との打ち合わせ、協力会社との調整、工事完了までの対応など、入社後の役割が想像できる表現に整えます。

同時に、面接の質問や評価項目も採用要件に合わせます。顧客対応力、指示の理解力、実行力、成長可能性を確認したいのであれば、面接担当者の感覚だけで判断せず、同じ項目を同じ基準で確認できるようにします。必要に応じて適性検査も補助的に使います。

求人原稿・書類選考・面接で異なる人物像を追わず、最初に定めた採用要件を一貫して使うことが、ミスマッチを減らします。

人材紹介会社を利用する場合も、採用要件を具体的に共有します。条件に合わない紹介が続くときは、「なぜ合わないのか」を要件に沿って伝えられるため、候補者の精度を調整しやすくなります。

4.採用サイトで会社の強みと将来像を伝える

採用サイトには、求人票の情報を転載するだけでなく、候補者が働く姿を判断できる材料を載せます。

今回のような会社なら、少なくとも次の内容が候補になります。

  • 少人数で大きな案件を動かせる仕事の進め方
  • 顧客や発注者から選ばれている理由
  • 社長が営業を担い、社員へ案件を引き継ぐ流れ
  • 業界未経験から顧客対応を任されるまでの成長例
  • 今後の会社規模と、採用する人へ任せたい役割
  • 社長と社員それぞれが考える会社の強み

見栄えのよいデザインだけでは十分ではありません。採用したい人が何に反応するのかを考え、その人が知りたい情報を優先します。

採用サイトの目的は応募数を増やすことだけではなく、採用要件に合う人から「この会社なら力を発揮できそうだ」と思ってもらうことです。

進め方の目安としては、初月に役員・社員へのヒアリングと分析を行い、2か月目に採用要件と求人原稿を整えます。そのうえで採用サイトの改訂範囲や利用する媒体を判断し、3か月単位で応募数だけでなく、要件に合う応募者や面接者が増えたかを確認します。

まとめ

求人を出しても欲しい人が来ないとき、媒体を増やすだけでは状況が変わらないことがあります。求人媒体や人材紹介会社は候補者と出会う手段であり、誰を採るべきかを代わりに決めてくれるものではないからです。

今回の会社では、業界経験の長さよりも、顧客対応力、指示を理解して実行する力、入社後の成長可能性が重要でした。それにもかかわらず、その基準が求人原稿やホームページに十分反映されていませんでした。

採用を立て直す順番は、「媒体選び」ではなく、「未来の役割を決める」「採用要件を言語化する」「社員から自社の強みを聞く」「求人原稿と採用サイトへ反映する」です。

この順番で整理すれば、経験者だけに対象を狭めるのか、未経験でも伸びる人を採るのか、その判断も明確になります。人材紹介会社へ依頼するときも、合う人・合わない人を具体的に伝えられるようになります。

自社の魅力は、社内では当たり前になっていて見えにくいものです。顧客から評価されている理由や、現在活躍している社員が成長した過程から拾い直すと、採用したい人に届く言葉が見つかります。

自社に合う採用要件と採用サイトの整理から始めたい方へ

「欲しい人物像をうまく言葉にできない」「求人原稿と採用サイトのどこから直すべきか分からない」という段階でも、採用活動は整理できます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用テーマでは、役員・社員へのヒアリング、採用要件の設計、求人原稿や採用サイトへの反映まで、自社で運用を続けられる形を一緒につくります。

まだ募集職種や採用人数が固まっていなくても、「うちの場合は何から整理すべきか」というところからお話しいただけます。無理に施策や契約をおすすめすることはありませんので、状況を整理する機会として気軽にご活用ください。

お問い合わせはこちら