前提

年間を通して仕事が埋まり、未経験者の育成が始まった5名規模の防水工事会社

三重県北部を中心に、マンションや大型施設の改修工事を手がける5名規模の防水工事会社があります。施工の中心はシーリング防水です。屋根防水や塗装などは、付き合いのある協力会社へ依頼しています。

取引先の多くは、元請けの下に入る地域の建設会社です。新しい仕事も、協力会社や既存の知り合いから紹介されることが中心でした。

足元の受注は安定しています。社長の言葉では、「今の人数でも、年間を通して仕事は十分に回っている」という状況です。

その一方で、社長自身はまだ現場に出ています。未経験者が入社した初日も現場へ行き、「ここは危ないよ」と一つずつ伝えながら作業を見ていました。早めに現場を離れた後は、建設キャリアアップシステムや安全書類関係の登録を進めています。

仕事が不足している会社ではなく、仕事を受け止める社内体制をつくっている途中の会社です。そのため、新規開拓を急がない判断には、はっきりとした理由があります。

1週間で 22件の相談 がありました

  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
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課題

新規受注が既存取引先への対応と自社施工を圧迫しかねない受注余力の不足

新規取引先を増やせば、売上の入り口は広がります。ただし、自社の施工能力を超えて受注すると、既存取引先からの依頼に応えにくくなります。

この会社でも、紹介による新しい取引の話はすでにあります。それでも社長は、すぐには受けていません。

「今の段階で取引先を増やしたら、現状のお客さんに迷惑をかけるかもしれない。受け切れなければ、下請けさんを多く使うことになる。できるだけ自社でさばきたいんです」

ここで大切なのは、受注余力は社員数だけでは決まらないという点です。

未経験者が1人増えても、すぐに1人分の施工能力が増えるわけではありません。教える側の職人が手を止めるため、入社直後は現場全体の進みが遅くなることもあります。同時に未経験者を複数採用すれば、育成負荷はさらに大きくなります。

受注を増やした結果、次のような状態になれば、目指していた成長とは少し違ってきます。

  • 既存取引先からの依頼を断る場面が増える
  • 社長や既存社員の現場負担が下がらない
  • 自社施工で収まらず、協力会社への依存が高まる
  • 新人を急いで現場に出し、育成が追いつかなくなる

営業を始めるかどうかは、「仕事を取れるか」ではなく「既存の仕事を守りながら受けられるか」で判断する必要があります。

背景

採用人数ではなく育成負荷まで含めて見なければならない小規模施工体制

この会社が優先しているのは、販路拡大よりも受け皿づくりです。

採用活動には反響があり、未経験者を1人迎えました。ただし、すぐに次の採用へ進むのではなく、まず3カ月ほど仕事ぶりや育成状況を見る方針です。

社長は、次の採用についても慎重です。

「もう1人未経験者を入れてもいいけれど、同時に教えると作業が全然進まなくなる。今の人の様子を見てからです。できれば経験者が1人入ってくれるといいですね」

この判断から見えるのは、人員計画と受注計画を別々に考えていないことです。採用した人数ではなく、現場で実際に動ける人数を基準にしています。

さらに、社長には将来的に現場から離れたいという考えがあります。日々の施工や指示を社内へ任せ、自分は新しい仕事や事業を開拓できる状態を目指しています。そのためにも、受注だけを先に増やして社長の現場負担を重くするわけにはいきません。

取引先の選び方にも、同じ慎重さがあります。知らない会社へ広く営業するのではなく、協力会社などから「シーリング業者を探している」と紹介された先を優先しています。

理由は信用面です。

  • 工事代金が確実に支払われる会社か
  • 業界内でどのような評判があるか
  • 紹介者が取引実態を把握しているか
  • 既存の知り合いが取引する会社と競合しないか
  • 自社の得意な工事や対応可能な範囲と合うか

建設業界は横のつながりが強く、知らないうちに既存関係とぶつかることもあります。社長が話すように、「知っている会社が担当している仕事を横から取りに行くわけにはいかない」という配慮も欠かせません。

受注先の数よりも、支払い、評判、既存関係まで含めて安心して付き合えるかが重要です。紹介であっても無条件に受けるのではなく、信用を確かめる必要があります。

解決

施工能力と信用条件を先に決めてから販路を広げる段階的な受注設計

新規開拓の前に行いたいのは、営業先のリストづくりではなく、自社が無理なく受けられる仕事量の把握です。

まず、直近12カ月の施工実績を、月ごとに整理します。細かな分析から始める必要はありません。次の4点が見えれば、受注余力を考えやすくなります。

  1. 年間の仕事量

月ごとの稼働状況と、既存取引先から見込まれる仕事を確認します。

  1. 社員の施工能力

一人で任せられる作業、指導が必要な作業、社長の確認が必要な作業を分けます。

  1. 育成に必要な時間

新人を教える職人と、教育によって減る施工時間を把握します。

  1. 協力会社への依存度

現在どれだけ外部へ依頼しているか、新規受注後にどこまで増えるかを見ます。

社員数ではなく、施工に使える人日で整理すると、現場の実態に近づきます。新人1人をそのまま1人分として数えず、指導する側の負担も差し引いて考えることがポイントです。

そのうえで、営業を始める条件を社内で決めておきます。例えば、この会社であれば次のような状態が判断材料になります。

  • 入社した未経験者の担当範囲が明確になっている
  • 既存案件を回しながら育成できている
  • 経験者または次の未経験者を受け入れる余裕がある
  • 協力会社への依頼が、自社の想定範囲に収まっている
  • 社長が現場以外の業務に使える時間を確保できている

すべてを完璧にしてから動く必要はありません。「どの状態になったら、どの程度の受注を増やすか」を先に決めることが大切です。

営業開始前には、候補先の情報も蓄えておけます。まだ営業をかけなくても、紹介があった会社について、紹介者、工事内容、支払いの確実性、業界内の評判、既存関係との競合、対応エリアを記録しておきます。

候補先を選ぶ際は、会社の規模や知名度だけで判断しないほうがよいでしょう。大手の直請けは魅力的に見えますが、安全書類や各種手続きへの対応が増え、現場に出ている社長へ負担が集中する場合があります。

自社にとって良い取引先とは、受注量が多い会社ではなく、施工体制、事務負担、信用条件が自社に合う会社です。

実際に開拓を始めるときも、一気に取引先を増やす必要はありません。受注可能な量を先方へ伝え、既存案件への影響を確認しながら段階的に取引を広げるほうが、自社施工を軸にした体制を守りやすくなります。

まとめ

仕事がある会社ほど、新規開拓の開始時期には慎重さが求められます。売上の入り口だけを広げても、施工する人員が足りなければ、既存取引先への対応や新人育成にしわ寄せが出ます。

新規開拓の前に確認したいのは、年間の仕事量、社員の施工能力、育成負荷、協力会社への依存度です。そのうえで、営業開始の条件を決めておくと、受注を増やすタイミングが見えやすくなります。

取引先についても、会社規模だけでなく、紹介経路、支払いの確実性、評判、既存関係との競合を確認することが欠かせません。

人員という受け皿を整え、信用できる相手を選び、受けられる分から広げる。この順番なら、既存の仕事を大切にしながら次の成長へ進めます。

受注の受け皿と新規開拓の条件を整理したい方へ

「人を何人増やしてから営業を始めるべきか」「今の施工体制で、どこまで受注を増やせるか」といった判断は、会社ごとに異なります。年間の仕事量や社員の習熟度、協力会社との関係を並べるだけでも、次の一手はかなり整理しやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材、組織、原価、販路、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。まだ営業を始めると決めていない段階や、「うちの場合は何から見ればよいか」という段階でもご相談いただけます。

無理に営業や施策をおすすめすることはありません。既存取引先を大切にしながら販路を広げるための、次の整理先としてお声がけください。

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