材料費と労務費の内訳提示を求められ始めた内装工事会社の見積環境
関東と近畿に拠点を持つ、ある内装工事会社では、元請けへ提出する見積について、材料費と労務費を分けて示す場面が増えていました。
これまでの見積は、施工項目ごとに数量と複合単価を入れ、総額をまとめる形が中心です。複合単価の中には材料費と労務費だけでなく、積算、廃材処理、場内運搬など、工事を成立させるための経費も実質的に含まれていました。
ところが、材料費と労務費を分けると、その間に含まれていた経費の置き場が曖昧になります。
「材料と労務を分けて出すと、見積が丸裸になる。しかも、今まで単価に含めていた経費が見えなくなります」
材料価格も職人の労務費も上がるなか、従来の複合単価を単純に二分するだけでは、採算が合いません。
材料費と労務費の分離は、見積の表示方法を変えるだけではありません。これまで複合単価に埋もれていた経費を、改めて積み上げ直す作業です。
1週間で 17件の相談 がありました
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
- 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
- 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
- 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
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- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
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- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
積算費や廃材処理費が抜けたまま値下げされる見積構造
最も大きな課題は、材料費と労務費以外の必要経費が計上されないまま、提示金額だけが値下げされることです。
現場では、施工そのもの以外にも費用が発生します。対話のなかでは、次のような項目が挙がりました。
- 図面を読み、数量を拾って見積をつくる積算費
- 工事で発生する廃材の処理費
- 搬入口から施工場所まで材料を運ぶ場内運搬費・横持ち費
- 現場会議や施工調整にかかる管理費
- 現場条件に応じて増える職人の手間
これらを入れずに材料費と労務費だけを提示すると、見かけ上は内訳が明確でも、工事全体の原価は表せません。
特に注意したいのが、労務費を一律の平米単価で扱うことです。同じ施工面積でも、平場と役物では手間が違います。作業場所や搬入条件、納まりによっても、必要な人工は変わります。
「平場はいくら、役物はいくらと分けて、何人で納められるのかまで見ないと、いつまでたっても利益が出ません」
一人親方や協力会社へ工事を任せる場合も同様です。現場一式の総額だけで発注すると、施工難度と支払額の対応関係が見えにくくなります。
利益が見えなくなる原因は、材料費と労務費を分けたことではなく、積算費や現場経費、施工難度による手間の差を分けていないことです。
現場ごとの単価変更と過去見積の流用で基準価格が残らない状態
見積の土台となる単価は、現場ごとに変わります。この会社でも、会社共通の計算ロジックはあるものの、材料単価は現場の仕入条件に合わせて変更していました。新しい材料が出たときは都度追加し、過去の現場から単価を引っ張ることもあります。
この運用自体は、現場に合わせた見積をつくるために必要です。ただし、会社としての標準単価と、個別現場で変更した単価が混ざると、どの金額が本来の基準だったのか分からなくなります。
さらに、受注のために値引きが必要な場面もあります。
- 元請け側の予算が決まっている
- 継続して取りたい所長や現場がある
- 仕事の少ない時期に職人を動かしたい
こうした事情による値引きを、最初から単価の引き下げとして処理すると、その金額が次回の基準として残ります。発注側から「前回もこの単価でできた」と見られ、次の見積も同じ水準から始まりやすくなります。
値引きそのものよりも、値引き後の金額だけが実績として残り、本来の基準単価が消えることのほうが長期的な問題です。
標準原価と現場補正、値引きを三段階で分ける見積基準
見積は、標準原価、現場条件による補正、受注判断による値引きの三段階に分けて考えると整理しやすくなります。
1.会社としての標準原価を決める
最初に整えるのは、通常条件で施工した場合の基準です。少なくとも、次の区分を分けて持ちます。
- 標準的な材料単価
- 平場や役物など施工内容別の労務単価
- 積算費
- 廃材処理費
- 場内運搬費・横持ち費
- 現場管理費
労務単価は、単なる相場だけでなく、想定する人工と施工数量が合うかを確認します。職人へ支払う金額と、自社が見積へ計上する労務費を同じ数字として扱わないことも大切です。施工管理や調整に必要な負担まで含めて、工事を成立させられる金額にします。
標準原価は、最も安く受注できる金額ではなく、通常条件で必要な品質と利益を確保できる基準です。
2.現場条件による増減を標準原価と分ける
次に、個別現場の条件を反映します。材料単価が現場ごとに違うなら、会社共通のマスターを直接書き換えるのではなく、その現場だけの単価として設定します。
労務費についても、平場の標準単価をすべての作業へ当てはめるのではなく、役物、搬入の難しさ、作業場所など、手間が増える条件を反映します。
判断するときは、「相場より高いか安いか」だけでは足りません。次の順番で確認すると、根拠を説明しやすくなります。
- 標準条件なら何人工で納まるか
- 今回の現場では何が標準と違うか
- その違いによって何人工、どの経費が増えるか
- 増加分を材料費、労務費、経費のどこへ計上するか
標準原価と現場条件を分ければ、「この現場だけ高い理由」を感覚ではなく、作業条件で説明できます。
3.値引きは基準単価を書き換えずに残す
受注上の事情で値引きするときも、標準単価や現場補正後の単価は残します。そのうえで、今回だけの調整額として値引きを記録します。
残しておきたいのは、次の三つです。
- 本来提示すべき基準金額
- 値引きした理由
- 値引き後の受注金額
最初の提出で経費項目を削られたとしても、項目そのものまで消す必要はありません。「当社の見積基準では必要な経費として積み上げている」と継続して示すことが、次回以降の交渉材料になります。
基準金額と今回限りの値引きを分けて残すことで、値下げ後の単価が次の標準になることを防げます。
4.見積基準を都度更新できる形にする
基準は一度つくって終わりではありません。材料価格が変わったとき、新しい施工項目が出たとき、想定人工と実績が合わなかったときに更新します。
担当者ごとに別々の表を持つのではなく、会社共通の基準を一つ置き、現場別の変更を上乗せする形が扱いやすいでしょう。誰かが標準単価を更新すれば、次の見積から同じ基準を使える状態が理想です。
ただし、すべての現場を同じ単価に固定するわけではありません。共通化するのは出発点と計算方法です。現場ごとの差は、理由を残したうえで調整します。
統一すべきなのは最終金額ではなく、材料費、労務費、必要経費を積み上げる考え方です。
まとめ
材料費と労務費の内訳提示を求められたとき、従来の複合単価を二つに分けるだけでは、利益は見えません。積算費、廃材処理費、場内運搬費、現場管理費など、工事を成立させるための経費まで改めて整理する必要があります。
そのうえで、会社の標準原価と現場条件による補正を分けます。平場と役物の違い、必要な人工、材料の仕入条件を反映し、値引きは基準単価とは別に記録します。
利益を守る見積に必要なのは、一律に高い単価ではなく、何にいくらかかるのかを継続して説明できる基準です。
自社の見積基準を整理するところから
「経費をどの項目で出せばよいか分からない」「現場ごとの単価変更で標準が見えなくなっている」という段階でも、まずは現在の見積と原価の持ち方を並べると、整理すべき点が見えてきます。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。見積基準や収支管理について、自社の場合は何から整えるべきかという段階からでもご相談いただけます。
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