前提

見積作成に約2時間かかり、Excelからシステムへの移行を進める内装工事会社の現在地

関東と関西に拠点を持つ、ある内装工事会社では、積算・見積業務の効率化を進めています。担当者は30代から50代まで。見積は会社共通のExcelフォーマットを使い、現場ごとの材料単価を入力して作成してきました。

ただし、Excelでは明細の右側へ一つずつ単価を入れ、「この単価はどの現場で使ったものだったか」と過去ファイルを探す作業が発生します。担当者によって計算式やファイルのつくりも異なり、引き継いだ際に意味が分からなかったり、計算式が壊れていたりすることもあります。

積算・見積システムを使う担当者からは、「Excelよりかなり楽です。処理できる件数も増えます」という実感が出ています。それでも、1件の見積をきちんと仕上げるには約2時間。複数の業務と並行すれば、3〜4時間に延びることもあります。

そこで期待されているのが、AIによる積算・見積の自動化です。図面や内訳書を読み込み、標準的な項目の6〜7割が自動で埋まれば、担当者は特殊な部分の確認に集中できます。

AI積算・AI見積の現実的な出発点は、全自動化ではなく、約2時間の作業を1時間へ近づける部分自動化です。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
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課題

AIが出せる精度と実務で安心して使える精度の隔たり

AI導入で最初に確認したいのは、「できるかどうか」ではなく、どの範囲を、どの精度で、どれだけ速くできるかです。

積算や見積は、数字が出力されれば終わりではありません。現場ごとに材料価格が違い、同じように見える工事項目でも、工法や仕様によって拾い方が変わります。一般的な工法のマスターを、特殊な工法の案件に当てれば、担当者が修正しなければなりません。

項目名称の揺れもあります。同じ材料や施工内容でも、図面、内訳書、元請、社内マスターで呼び方が異なるケースがあります。AIが名称の違いを同一項目として認識できなければ、単価マスターとの紐付けが止まります。

「AIでできると言われても、相手が言う精度と、こちらが求める精度が一致するかは、やってみないと分からない」という声は、導入判断の核心を突いています。

特に注意したいのは、件数ベースの正答率だけで判断しないことです。単価の安い項目で多少の差が出る場合と、高単価の壁や下地で数量を誤る場合とでは、見積総額への影響が違います。

AIの精度は「何項目合ったか」だけでなく、「見積総額にどれだけ差が出たか」「高単価項目を正しく拾えたか」で見る必要があります。

背景

AIの性能より先に問われる単価マスターと社内ルールの整備状況

AI積算・AI見積が動くためには、正解となる社内データが必要です。AI開発会社が積算の仕組みを持っていても、自社固有の単価や工法、判断基準までは最初から持っていません。

相談企業でも、会社共通の計算ロジックはある一方、材料単価は現場ごとに設定していました。マスターにない項目が出たら都度追加し、材料価格が変われば更新します。前の現場のファイルを引っ張り、担当者が調整することもあります。

さらに、同じ見積でも次のような違いがあります。

  • 会社共通の基準単価と現場別の材料単価
  • 標準工法と特殊工法
  • 元請の受注検討段階に出す概算と、最終価格交渉に使う見積
  • 担当者によって異なる経費率の考え方
  • マスターに登録済みの項目と、初めて出てきた項目

これらを整理せずAIへ渡すと、AIは何を正解として学べばよいか判断できません。過去の見積が大量にあっても、名称、単価、工法、計算方法がばらばらであれば、そのままでは学習や自動照合に使いにくいデータです。

一方で、すべてを完璧に整えてから始めようとすると、準備だけが長くなります。現場からは「本当はすぐやりたい」という声も出ています。若手ほど「この面倒な作業を減らせるシステムはないのか」と感じやすく、長年担当してきた人ほど、一つずつ確認しないと結果を信用しにくい傾向もあります。

AI導入の難しさは技術だけではなく、社内のどのデータを正解とし、誰が更新し、どこまで自動化するかを決めることにあります。

解決

標準案件の6〜7割を対象に、マスター整備と人の確認を並行する進め方

最初から100%自動化を目指すより、標準案件の6〜7割をAIで処理し、残りを人が確認する設計が進めやすいでしょう。積算・見積の実務では、最終確認がなくなるわけではありません。であれば、確認を前提に、入力、検索、転記、並べ替えといった時間を減らすほうが効果を出しやすくなります。

進め方は、次の4段階に分けられます。

1.AIへ任せる標準範囲を決める

過去案件を、標準案件と特殊案件に分けます。標準案件は、よく使う工法、項目、材料構成が共通しており、社内で計算方法が揃っているものです。

一方、特殊工法、現場固有の納まり、例外的な拾い方が必要な案件は、当初の自動化対象から外します。通常工法のマスターが誤って適用されると、修正のほうが増える場合があるためです。

最初の対象は、件数が多く、判断基準が揃い、担当者による差が小さい案件に絞ります。

2.単価マスターと名称の対応表を整える

単価マスターは、一つの固定価格だけを登録するのではなく、会社の基準単価と現場別単価を分けて扱える状態にします。少なくとも、次の情報は紐付けておきたいところです。

  • 正式な項目名称
  • 図面や内訳書で使われる別名称
  • 材料単価と労務単価
  • 数量の計算方法
  • 適用する工法・仕様
  • 更新日と更新担当者
  • 現場別に変更できる項目

過去ファイルから単価を探す運用を続けると、AIを導入しても参照先が増えるだけです。誰か一人がマスターを更新すれば全員が使えるよう、集中管理する形が適しています。

ただし、現場ごとの差まで消す必要はありません。共通マスターを基準にしながら、材料価格や経費率などは現場単位で変更できる余地を残します。

単価マスターは固定するものではなく、基準を共有しながら現場差を反映できる形で育てるものです。

3.AIの出力後に人が見る項目を固定する

担当者によって確認箇所が違うと、検証結果も揃いません。AIが出した見積について、最低限どこを見るかを先に決めます。

優先して確認したいのは、高単価項目、数量が大きい項目、特殊工法、マスター未登録項目、現場別単価へ変更した項目です。AIが判断できなかった箇所を明示できると、確認作業も軽くなります。

見積を提出する前に担当者が確認する運用は残します。ただし、全項目を一から作るのではなく、AIが埋めた標準部分を確認し、例外だけを修正する流れへ変えます。

人の確認をなくすのではなく、人が見るべき箇所を絞ることが部分自動化の目的です。

4.時間削減と誤差率を同時に測る

効果検証では、同じ図面や内訳書を使い、従来方法とAI利用時を比較します。最低限、次の数字を残します。

  • 1件あたりの作業時間
  • AIが自動入力できた項目の割合
  • 修正が必要だった項目数
  • 見積総額の誤差率
  • 高単価項目の数量・単価の差
  • マスター未登録で処理できなかった項目数

たとえば、従来2時間かかっていた見積が1時間になり、総額差が社内で許容できる範囲に収まるなら、部分自動化として十分な価値があります。反対に、入力率が高くても高単価項目の修正が多ければ、対象範囲やマスターを見直したほうがよいでしょう。

数回の検証で導入可否を即断せず、修正内容をマスターへ戻して精度を上げます。そのうえで、「この精度なら継続して積み上げる」「この範囲は人が担当する」と線を引きます。

AI導入の成否は自動入力率だけでなく、作業時間、総額の誤差、高単価項目の精度を合わせて判断します。

まとめ

AI積算・AI見積は、図面を入れれば完成した見積がすぐ出てくる仕組みとして考えると、実務との隔たりが大きくなります。一方、標準的な項目の6〜7割を埋め、担当者が特殊部分を確認する使い方なら、現実的な効果を期待できます。

導入前に整理したいのは、次の4点です。

  • 標準案件と特殊案件の境界
  • 会社共通単価と現場別単価の扱い
  • 項目名称とマスターの紐付け
  • 時間削減と誤差率の検証基準

AIへ任せる範囲と人が確認する範囲を先に決め、単価マスターを育てながら小さく検証することが、積算・見積業務を着実に軽くする道筋です。

自社の積算・見積業務をどこから整理するか考えるために

AI積算を検討していても、「過去データがそのまま使えるのか」「単価マスターをどこまで整えるべきか」「自社では何割を自動化できそうか」は、業務の進め方によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合はどう考えるべきか」「何から整理すればよいか分からない」という段階でも構いません。無理にサービス導入を勧めることはありませんので、自社の次の整理先を考える機会としてご活用ください。

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