前提

近畿圏で電気通信工事を担う6名規模の会社が、売上より労務単価を重視している現在地

兵庫県を拠点とする、6名規模の電気通信工事会社があります。通信インフラや弱電設備の工事を中心に、改修、機器の入れ替え、オフィスや商業施設など、現場を限定せず対応しています。

自社の職人に加え、案件に応じて声をかけられる協力会社のネットワークも20名以上あります。電気通信工事であれば、自社だけで抱えられないときにも、協力会社と組んで施工体制をつくれることが強みです。

一方、受注は自社より上位の会社から請ける形が中心で、取引先ごとの発注量によって年間売上に幅が出ます。売上目標は年商1億円前後を安定して確保することですが、経営者がより重く見ているのは、その中身でした。

「売上が目標に届いたからいい、というわけではないです。利益率のほうが重要です」

さらに、単なる利益率ではなく、職人一人当たりの労務単価について社内の最低ラインを持っています。

売上規模が大きくなっても、労務単価が低いままでは、人材が会社に残り続けられる処遇や必要な利益を確保できません。

ここでは、自社へ仕事を発注する上位会社を「元請」として、単価交渉の前に何を整えるべきかを考えます。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
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課題

希望する労務単価を伝えるだけでは、継続発注を伴う交渉になりにくい難しさ

労務単価を上げたいと考えたとき、まず伝えたくなるのは希望額です。ただし、元請から見ると、金額だけでは判断しにくい面があります。

元請が確認したいのは、希望単価そのものだけではありません。その単価を支払うことで、現場運営がどれだけ安定するのか、どこまで任せられるのかという判断材料です。

この会社も、2年ほど前から新しい取引先との関係づくりを進め、一社とは実際に工事を行ったうえで、次の案件に向けた金額交渉に入っていました。その進め方について、経営者は次のように話しています。

「最初から大きな案件を受けるというより、一度うちを使ってもらいたいんです。その中で、ここまでやります、ここまで考えて動きます、というところを見てもらいたいです」

単価交渉の土台になるのは、自社が希望する金額ではなく、元請が現場で確認できた施工品質、対応範囲、判断力、動員力です。

特に少人数の専門工事会社では、一度の受注を取ることだけに目を向けると、安い単価や過大な責任範囲を受け入れやすくなります。その結果、売上は増えても、職人の処遇や会社の利益に結びつかない状態になりかねません。

労務単価を上げるには、交渉術より先に「なぜ自社へ継続発注する価値があるのか」を、実際の現場で示せる状態をつくる必要があります。

背景

個人の技量だけでは発言力を持ちにくく、会社としての対応力が評価材料になる取引構造

この会社は、もともと複数の個人事業主が長くチームを組んで仕事をしていました。法人化した背景にも、元請との交渉力に対する問題意識があります。

「個人事業だと一人ひとりになるので、どうしても元請に対して発言力がないんです。それでチームを組み、売上もある程度の規模になったので会社にしました」

ただし、法人になれば自動的に単価が上がるわけではありません。元請が評価するのは、会社名や人数以上に、現場で発揮される対応力です。

この会社の場合、評価につながり得る具体的な要素がすでにあります。

  • 電気通信工事を主力とし、弱電設備にも対応できる
  • 改修や機器入れ替えなど、既存設備を扱う現場経験がある
  • オフィス、商業施設、屋外の通信インフラなどに対応している
  • 自社だけで難しい案件でも、協力会社と施工体制を組める
  • 指示された作業だけでなく、現場で考えて動く姿勢を示せる

経営者が「アピールするより、一度使ってみてもらう」と考えているのは、これらの強みが営業資料だけでは伝わりきらないからです。小さな案件でも、実際の仕事を通じて確認してもらえれば、元請側の判断材料になります。

もう一つ重要なのが、交渉相手の選び方です。案件を多く持つ大規模な会社ほど魅力的に見えますが、組織が大きくなると単価や発注条件が制度化され、現場担当者の裁量が小さくなることがあります。

「規模が大きすぎると、交渉の余地がなくなる部分があります。ある程度の規模で、話が通りやすい会社のほうがいいと思っています」

上流へ近づけば中間層が減る可能性はありますが、その分、管理や施工に伴う責任も重くなります。この会社も、上位の立場で直接請けることについては「経営責任が変わるので、まだその段階ではない」と慎重に見ています。

良い交渉相手とは、単に規模が大きい会社ではなく、十分な案件量があり、自社の実績を見たうえで単価を判断でき、引き受ける責任も自社の体制に合う会社です。

解決

小規模案件で任せられる範囲を示し、次の発注前に単価を協議する進め方

労務単価の交渉は、元請へ希望を伝える場面だけを切り取らず、最初の案件から順番をつくると進めやすくなります。

1.自社が守る労務単価の最低ラインを決める

最初に整理したいのは、希望単価と最低ラインです。この会社は「職人が会社に残っていける水準か」という観点から、一人当たりの労務単価を見ています。

売上目標から逆算するだけではなく、現在の人数で持続的に施工できるか、人材の定着と必要な利益を両立できるかを基準にします。

最低ラインは、交渉で勝ち取れればよい希望額ではなく、その条件を下回ると会社として受注を続けにくい基準です。

この線が曖昧なままだと、案件量の多さに引かれて受注した後で、忙しいのに利益が残らない状態になりやすくなります。

2.単価を決められる相手かどうかを見極める

交渉先は、案件量だけで選ばないことが大切です。確認したいのは、次のような点です。

  • 継続的な案件を持っているか
  • 現場での評価が次の発注条件に反映されるか
  • 担当者や経営者に単価を調整する余地があるか
  • 組織が大きすぎて条件が固定されていないか
  • 求められる管理責任が自社の体制を超えていないか

取引階層の上位へ直接つながることが、常に最善とは限りません。中間会社を通すことで責任範囲が明確になり、安全に受注できる場合もあります。反対に、直接の取引関係を先につくっておけば、その後に別の会社を介して現場へ入る選択肢も持てます。

取引階層は「どこまで上へ行けるか」ではなく、単価、責任範囲、発注量、交渉余地のバランスで判断します。

3.まず小規模案件で現場対応を見てもらう

新しい元請に対して、最初から大量の発注を求める必要はありません。小規模案件や応援から入り、実際の現場で次の点を示します。

  • 施工品質を安定させられること
  • どこまでの工事に対応できるか
  • 現場で状況を見ながら判断できること
  • 自社だけで難しい場合に協力会社を動員できること
  • 引き受けた範囲を確実に完了できること

この会社が大切にしていたのも、「うちは何でもできます」と言うことではなく、「動ける範囲であれば協力します」と伝え、現場で対応力を見せることでした。

最初の案件は売上をつくるだけの仕事ではなく、次の単価と発注量を決めるための実績づくりです。

4.一件目の評価が残っているうちに、次の案件条件を話す

交渉のタイミングは、取引前よりも、最初の施工が終わり、次の工事が具体化する段階が適しています。元請側に施工品質や対応力の判断材料があり、自社側にも「どこまで対応したか」という根拠があるからです。

話す内容は希望単価だけにせず、前回の案件で示した対応範囲、判断した内容、組んだ施工体制を合わせて伝えます。そのうえで、次回以降も同じ水準で対応するために必要な条件として、労務単価を協議します。

交渉後は、提示された単価だけでなく、想定される案件量や責任範囲まで含めて判断します。単価が上がっても、自社で抱えきれない仕事量や過大な責任を負えば、安定した取引にはなりません。

5.受注を断る基準も交渉前にそろえる

単価交渉では、受ける条件だけでなく、受けない条件も必要です。この会社は、複数社へ一気に声をかけることにも慎重でした。

「何社かに声をかけて、仕事をもらったときに動けないのでは、相手にも失礼になります」

自社の人数や協力会社の稼働を超える案件、得意な電気通信工事から外れて対応が難しい工事、最低ラインを下回る単価については、無理に受けない判断も必要です。

受注を断る基準があるからこそ、対応できる案件には人員と品質を集中でき、その実績を次の継続発注と単価交渉につなげられます。

まとめ

下請工事の労務単価を上げるには、希望額を伝える前に、元請が納得できる実績をつくることが欠かせません。

今回のような少人数の専門工事会社では、まず一社との関係を着実につくり、小規模案件で施工品質、対応範囲、現場での判断力、協力会社を含む動員力を見てもらう進め方が現実的です。その評価が残っているうちに、次の工事に向けた条件として労務単価を協議します。

一方で、相手が大きければよいわけでも、取引階層の上位へ行けばよいわけでもありません。案件量があり、現場評価を条件へ反映できる交渉余地があり、自社の体制に合った責任範囲で取引できるかが重要です。

労務単価の交渉は価格だけの話ではなく、「この会社なら、次も安心して任せられる」という評価を取引条件へ反映してもらう取り組みです。

焦って取引先を増やすより、一件ずつ実績を積み、最低ラインを下回る案件は受けない。その積み重ねが、売上だけでなく、人材の定着と利益を伴う成長につながります。

自社に合う労務単価と交渉の進め方を整理したい方へ

労務単価を見直したくても、「どの取引先と交渉すべきか」「何を実績として示せばよいか」「どこを受注の最低ラインにするか」は、会社の人数、施工領域、取引階層によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、原価・収支管理、人材確保、組織づくり、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合はどう考えるべきか」「まず何から整理すればよいかわからない」という段階でも構いません。

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