前提

首都圏で20年以上弱電工事を手がけ、二次請けでデータセンターに入った実績がある会社の次の一手

首都圏で20年以上、電話・ネットワークなどの弱電工事を手がけてきた、ある専門工事会社があります。既存の元請を通じて外資系データセンターの工事に入った経験があり、許認可上対応できる工事領域も把握しています。

同社が次の成長市場として注目していたのが、データセンター工事でした。

「一番の魅力は、案件の大きさと利益率です」

日系案件よりも外資系案件の物量に魅力を感じ、将来的にはデータセンター事業者や、その大元にいる発注者との直接取引も視野に入れています。一方で、自社だけですぐに大規模案件を受けられるとは考えていません。

「仕事を受けられたとしても、自分たちだけでは施工できません。必要な許認可をそろえるにも数年はかかります」

社内には案件の概要を理解して話せる人がいるものの、実際に施工を担える人材や体制については、案件ごとに確認が必要な段階です。直接取引を見据えた英語対応も、これから整えていく計画でした。

データセンター工事への参入では、受注先を探すことと、受注後に施工を完遂できる体制をつくることを同時に考える必要があります。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
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課題

案件規模と利益率に魅力があっても、いきなり最上流を狙うと入口が極端に狭くなる構造

データセンター工事の商流には、大きく分けて、発注者となるハイパースケーラー、施設を運営するコロケーション事業者、発注や工事管理に関わるPM・CM会社など、複数の入口があります。

ただし、中小の専門工事会社が、これらの企業と新規で直接取引を始める難易度は低くありません。

主な壁は次のとおりです。

  • 対象となる発注者や管理会社の母数が少ない
  • データセンター工事として示せる実績が限られている
  • 工事規模に応じた許認可が必要になる
  • 現場を理解し、施工を管理できる人材が必要になる
  • 外資系企業との契約や打ち合わせでは英語対応が求められる可能性がある
  • 既存元請を飛び越える動きが、現在の取引関係に影響する場合がある

対象企業が数百社ある市場なら、新規開拓の件数を増やしながら反応を確かめる方法も取れます。しかし、データセンターの最上流にいる企業は限られています。接点も実績もない状態で広く電話をかけても、関係を深める前に候補先を一巡してしまいかねません。

同社からも「窓口が分からないだけで、どのような仕事をしている会社かは分かっています」という声がありました。つまり、情報不足というより、誰の紹介で、どの実績を持って、どの商流から入るかが定まっていないことが本当の課題です。

また、すでに元請を通じて特定のデータセンターに入っている場合、その発注者へ独自に接触することが適切とは限りません。

「わざわざそこへ直接入りにいって、今の契約がなくなったら困ります」

直接取引の可能性だけを見るのではなく、既存取引との関係を守りながら次の商流を開く必要があります。

背景

データセンターそのものが目的ではなく、大型で利益を残せる継続案件を増やしたいという成長方針

同社が求めていたのは、データセンターという看板そのものではありませんでした。

「利益率が高くて、ボリュームが大きいから魅力的なのであって、データセンターだけが目的ではありません」

この言葉は、参入方法を考えるうえで重要です。データセンターだけに対象を絞ると、候補企業が少なくなり、許認可や施工体制が整うまで営業活動が止まってしまいます。一方、目的を「大型で収益性のある案件を増やすこと」と置けば、実績をつくる入口は広がります。

同社には、既存元請から一つの案件を受け、その実績をもとに少しずつ取引を広げてきた経験がありました。今後も、すでに外資系事業者とつながっている元請を増やすことが近道ではないかと考えています。

たとえば、現在取引している元請と同じような立場で、海外のインフラ事業者やデータセンター事業者から工事を受けている会社を探す方法です。いきなり最上流へ行くのではなく、「第2、第3の既存元請」を増やしていく考え方です。

もう一つの入口として挙がったのが、外資系の不動産・PM・CM会社でした。こうした会社は、発注者から施設管理や工事管理を受け、案件によっては工事を分離発注する立場に入ります。ただし、接点をつくれば必ずデータセンター工事を受注できるわけではありません。

そこで同社は、まずオフィス系の弱電・電気工事から施工実績をつくり、その延長でデータセンター案件があれば対応する流れを想定していました。

「いきなりハイパースケールの案件をもらっても、到底追いつきません。まずはオフィス工事など、施工できるところから入りたいです」

大型案件への最短距離は、最上流へ直接営業することではなく、現在の施工能力で確実に完遂できる案件から信用を積むことです。

解決

既存元請の横展開、関連工事、直接取引の準備を三段階に分ける参入設計

データセンター工事への参入は、最初から直接取引だけを目標にせず、三段階に分けると進めやすくなります。

1.外資系案件を持つ既存元請と同じ立場の会社を増やす

最初に優先したいのは、現在取引している元請との関係を深めながら、同じように外資系データセンター案件を受注している会社を探すことです。

ここで狙う相手は、施工領域が同じ近隣の同業者全般ではありません。20年以上事業を続けている会社であれば、同業者の多くはすでに知り合いであり、繁忙期も重なりやすく、単価が合わない可能性もあります。

探すべきなのは、次の条件に当てはまる会社です。

  • 外資系のデータセンター事業者やインフラ事業者と取引がある
  • 弱電工事を継続的に外注している
  • 自社の施工領域や保有資格と案件の相性がよい
  • 既存元請と取引先が重ならず、関係を損なう可能性が低い
  • 小規模な案件や一部工程から取引を始められる

最初の開拓先は「データセンターを保有する会社」ではなく、「すでにデータセンター案件を受け、専門工事会社を必要としている会社」と考えるのが現実的です。

候補先を洗い出したら、社内で「既知の会社」「過去に接点がある会社」「紹介を頼める会社」「完全な新規先」に分けます。横のつながりが強い業界だからこそ、一律の新規電話ではなく、既存取引先や過去の関係をたどれる相手から優先することが大切です。

2.PM・CM会社との接点は、オフィス工事や小規模案件からつくる

外資系のPM・CM会社や不動産管理会社との接点も、中長期的には有効です。ただし、最初からデータセンターの大型工事だけを提案すると、施工実績や体制の差が大きくなります。

そこで、現在の施工能力と重なるオフィスのLAN、電話、弱電、電気工事などから入ります。小規模でも、外資系企業が関わる案件で見積もり、契約、施工、報告まで完遂できれば、次の提案に使える実績になります。

接点をつくる際には、単に「データセンター工事をやりたい」と伝えるのではなく、次の内容を整理しておきます。

  • 現在対応できる施工領域
  • 保有している許認可と資格
  • 対応できる地域と工期
  • 自社で配置できる人員
  • 協力会社を含めた施工体制
  • 過去に入ったデータセンター関連工事の範囲
  • 今は受けられない工事と、将来対応したい工事

実績を大きく見せる必要はありません。むしろ、対応できる範囲とできない範囲を明確にした会社のほうが、発注側は案件を切り出しやすくなります。

3.直接取引は、許認可・施工体制・英語対応をそろえてから狙う

発注者やデータセンター事業者との直接取引は、将来の選択肢として準備を進めます。ただし、接点だけ先につくっても、条件を満たせなければ受注にはつながりません。

まず、想定する案件規模から必要な許認可を確認します。そのうえで、現場を理解できる責任者、施工人員、協力会社、英語での契約・打ち合わせ対応を、いつまでに整えるかを決めます。

同社のように、既存元請の支援を受けながら1年後の直接取引を計画する方法もあります。現在の取引先を単なる受注元と考えず、直接取引に必要な基準を学ぶ相手として捉える進め方です。

この段階では、次の三つの軸で商流を比較すると判断しやすくなります。

判断軸

確認する内容

案件規模

自社の売上や人員に対して、無理なく施工できる大きさか

利益率

売上額だけでなく、人員配置や管理負担を含めて利益が残るか

参入難易度

実績、許認可、施工体制、英語、既存取引への影響を踏まえて参入できるか

大型で利益率が高くても、施工体制が追いつかず外注負担が増えれば、期待した利益は残りません。反対に、小規模でも次の案件につながる発注者との実績になるなら、戦略上の価値があります。

案件規模と利益率だけでなく、その案件が次の商流へつながる実績になるかまで含めて受注を判断することが重要です。

まとめ

データセンター工事は、案件の大きさと利益率に魅力がある一方、最上流の発注者と直接取引できる会社は限られます。対象企業の母数も少なく、実績、許認可、施工体制、英語対応など、受注前に整えるべき条件もあります。

そのため、参入の順番は次のように整理できます。

  1. 外資系案件を持つ既存元請との取引を深める
  2. 同じ立場の元請を横展開し、小規模な工事から実績を増やす
  3. PM・CM会社とは、オフィスなど現在対応できる関連工事から接点をつくる
  4. 許認可、施工体制、英語対応を整え、直接取引へ段階的に近づく

いきなり最上流を狙うよりも、今の施工能力で完遂できる一件をつくり、その実績を次の取引へつなげるほうが、データセンター市場への着実な入口になります。

自社に合うデータセンター工事の入口から整理したい方へ

データセンター工事に参入したいと思っても、既存元請を広げるべきか、PM・CM会社との接点をつくるべきか、直接取引の準備を優先すべきかは、現在の実績や許認可、施工体制によって変わります。

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