前提

8名弱で非住宅の空調改修を手がけ、営業と見積もりが社長に集中している専門工事会社

宮城県を中心に、商業施設やテナントなどの空調工事を手がける8名弱の専門工事会社があります。案件の9割以上が非住宅で、改修工事が全体の7割ほどです。自社職人に加えて施工管理と事務担当者が在籍し、必要に応じて協力会社にも施工を依頼しています。

社長は繁忙時には現場へ出ますが、普段は事務仕事や取引先への挨拶回り、見積もりなども担っています。利益率は比較的確保できており、急激な規模拡大ではなく、人員に合わせて身の丈に合った成長を目指していました。

そのなかで不足を感じていたのが、「元請けに顔が利き、仕事を取ってこられて、その仕事の見積もりまで任せられる営業人材」です。

以前、その役割を期待していた社員がいましたが、見積もりは社長のフォローが必要で、顧客への挨拶や段取りも一人では任せにくい状態でした。現在は、営業から見積もりまでを再び社長が担っています。

専門工事会社が求める営業は、顧客と話して案件を取るだけでなく、工事の成立性と採算まで判断できる人材です。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
  • 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
  • 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
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課題

現地調査から採算判断までを一人で担う営業人材の育成難度

専門工事会社における営業と、一般的な営業職では、求められる仕事の範囲が異なります。

空調改修工事の場合、現場を見て「どの工事が必要で、どの工事は不要か」を判断しなければなりません。配線を10メートル通す仕事であっても、単純に距離へ単価を掛ければ見積もりが完成するわけではありません。

確認すべきことは複数あります。

  • どのルートなら配線や配管を通せるか
  • 穴開けが必要かどうか
  • どの材料を使うか
  • 他工種の工事とどのように取り合うか
  • 何人で何日かかるか
  • 現在の人員で受注できる時期か
  • その金額で必要な利益を残せるか

相談企業の社長も、「自分たちが入る工事だけではなく、全体を見られる人でないと見積もりは難しい」と話していました。

さらに、営業は仕事を取ればよいわけでもありません。既存の元請けから受けている仕事を優先しながら、自社の施工能力に合う案件を、対応可能な時期に受注する必要があります。新規取引先から声をかけてもらっても、「今月は忙しいので来月末になります」としか答えられなければ、次の依頼につながらないこともあります。

営業、現地調査、施工計画、見積もり、採算判断、受注時期の調整が一つにつながっているため、仕事の一部分を経験しただけでは任せきれません。

背景

見積もりの判断基準と育成段階が社長の経験の中にある状態

任せられる人が育ちにくい背景には、本人の能力だけではなく、業務の教え方にも構造的な難しさがあります。

社長の頭の中では、現場を見た瞬間に、必要な施工方法、材料、人工、他工種との調整、受注可能な時期がつながっています。一方、経験の浅い社員には、その判断過程が見えません。完成した見積書だけを見ても、「なぜこの人工なのか」「なぜこの施工方法なのか」までは理解しにくいものです。

相談企業では、見積もりを任せられる水準まで少なくとも半年、会社や仕事を理解して一人前になるまでには1年程度を見込んでいました。若手が入社後すぐに担うのは難しく、他社で商売や近い業種を経験し、「どうすれば利益を出せるか」を考えられる人のほうが適しているという認識です。

一方で、採用は高卒求人や公共職業紹介を中心に進めていました。これは将来の職人を育てる入口としては自然ですが、営業と見積もりを早期に任せたいという目的とは、採用する人材像が異なります。

若手職人の採用と、営業・見積もりを任せる人材の確保は、同じ採用活動としてまとめず、必要な経験と育成期間を分けて考える必要があります。

また、「向いていそうな社員が入ったら、その人を選んで育てる」という進め方だけでは、育成開始の時期が読めません。候補者が見つかっても、何をどの順番で任せるかが決まっていなければ、社長のフォローが減らないまま時間が過ぎてしまいます。

解決

即戦力採用と社内育成を分け、見積もり判断を段階的に移す仕組み

まず整理したいのは、「営業人材」という一つの職種で考えず、任せたい機能を分解することです。

必要な機能は、大きく次のように分けられます。

  1. 元請け候補との接点をつくる
  2. 顧客の依頼内容を聞き取る
  3. 現地を調査して施工方法を考える
  4. 材料、人工、工期を算定する
  5. 他工種との調整事項を洗い出す
  6. 採算と自社の施工能力を確認する
  7. 受注可否と対応時期を顧客へ伝える

このうち、新規開拓や面談設定は社外の支援も活用しやすい領域です。一方、施工方法や見積金額、採算の最終判断は、自社の施工体制や利益の考え方に強く関わります。そのため、最終的には社内で判断できる状態をつくる必要があります。

即戦力採用が向いている場合

社長の負担を比較的早く減らしたい場合は、同業または近い工種で、現地調査や見積もりを経験した人材が候補になります。単に営業経験があるだけでなく、次の経験を確認することが重要です。

  • 図面と現場の両方を見て施工方法を考えた経験
  • 材料と人工を算定した経験
  • 他工種や元請けと工程を調整した経験
  • 見積金額と実際の原価を振り返った経験
  • 受注を断る、時期をずらすといった判断をした経験

早期に任せたいなら、営業成績よりも、現場・見積もり・採算を一連で扱った経験を採用基準に置くほうが目的に合います。

ただし、経験者であっても、自社の取引先、施工品質、利益の基準、協力会社の体制までは分かりません。採用直後から全面的に任せるのではなく、自社基準を理解する期間は必要です。

社内育成が向いている場合

時間をかけて自社に合う人材を育てるなら、職人や施工管理のなかから、現場全体と利益の両方を考えられる人を選ぶ方法があります。

候補者を見る際は、施工技術だけでなく、次の適性も確認します。

  • 顧客の話を整理して持ち帰れるか
  • 自分の担当外の工事にも関心を持てるか
  • 人工や材料を数字で捉えられるか
  • 分からない点を曖昧にせず確認できるか
  • 忙しさだけでなく採算を見て判断できるか

社内育成では、腕の良い職人をそのまま営業へ移すのではなく、顧客対応と数字の判断に適性がある人を選ぶことが出発点です。

見積もり判断を標準化する方法

見積もりを育成できる業務に変えるには、社長の経験をすべてマニュアル化する必要はありません。まずは、案件ごとに必ず確認する項目をそろえるだけでも判断過程が見えやすくなります。

現地調査では、施工範囲、ルート、穴開けの有無、必要材料、他工種との取り合い、必要人工、施工可能時期を共通の確認項目にします。見積もり提出後は、受注した案件について、想定人工と実績人工、材料の過不足、現場で追加対応になった項目を振り返ります。

見積書を添削するだけでなく、「なぜこの施工方法にしたのか」「どこに追加人工の可能性があるか」「現在の工程に入れられるか」を言葉にして確認することが大切です。

見積もりの標準化とは金額表をつくることではなく、現場を見て金額を決めるまでの確認項目と判断理由を共有することです。

同行営業から権限移譲までの育成段階

育成は、最初から一人で営業と見積もりを任せるのではなく、段階を分けて進めます。

  1. 同行・観察:社長の顧客対応と現地調査に同行し、確認項目を記録する
  2. 見積もり案の作成:候補者が人工、材料、施工方法の案をつくり、社長が修正する
  3. 限定案件の担当:既存取引先や工事内容を読みやすい案件から、現地調査と見積もりを担当する
  4. 提出前承認での運用:顧客対応は本人に任せ、見積金額と受注時期のみ社長が承認する
  5. 条件付きの権限移譲:一定の工事規模や金額までは本人が判断し、例外案件だけ社長へ相談する

各段階を進める基準は、経過月数だけで決めません。見落としの有無、想定人工と実績の差、利益の確保、顧客への回答の正確さを確認しながら、任せる範囲を広げます。

営業同行から始め、見積もり案の作成、限定案件の担当、提出前承認、条件付き権限移譲へ進めると、社長の確認を残しながら自立を促せます。

採用と育成は、必ずしも二者択一ではありません。早期の負担軽減を目指して近い業種の経験者を探しながら、若手職人のなかから将来の候補者を育てる方法もあります。前者は数年以内の戦力確保、後者はその先の組織づくりとして、時間軸を分けて考えると整理しやすくなります。

まとめ

専門工事会社の営業人材が育ちにくいのは、求めている役割が営業だけではないためです。現地調査、施工方法の選定、他工種との調整、材料と人工の算定、採算判断、自社の施工能力に合った受注時期の調整までが含まれています。

この役割を一人へ任せるには、まず必要な経験と適性を明確にします。そのうえで、早期に任せたいなら近い業種の経験者採用、時間をかけられるなら社内育成を軸に選びます。

育成では、完成した見積書の作り方だけでなく、現場確認から金額決定までの判断過程を共有することが重要です。同行、見積もり案の作成、限定案件の担当、提出前承認、条件付き権限移譲と段階を分ければ、社長に集中している仕事を少しずつ移せます。

営業も見積もりも任せられる人材をつくるには、採用だけに答えを求めず、任せたい仕事の分解、判断基準の共有、段階的な権限移譲を一つの仕組みとして設計することが重要です。

自社に合う営業・見積もり人材の条件を整理したい方へ

営業経験者を採るべきか、現場社員を育てるべきかは、自社の工種、取引構造、社長が任せたい範囲によって変わります。「うちの場合はどの経験を必須にするべきか」「見積もりの何から標準化すればよいか」という段階から整理しても問題ありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。営業・見積もり人材の採用要件や教育体制を一緒に整理することも可能です。

何を任せたいのかがまだ明確でない段階でも、現在社長に集中している業務から順番に整理できます。無理にサービスを勧めることはありませんので、自社に合う進め方を考える場としてご活用ください。

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