前提

売上の約6割を特定業界の店舗工事が占める関東圏の電気・空調工事会社

関東圏で店舗の電気・空調工事を手がける、ある専門工事会社では、売上の約6割を特定の娯楽施設向け工事が占めていました。施工の中心は、店舗の営業終了後に行う夜間工事です。限られた時間内で電気や空調設備の工事を終わらせる必要があり、短時間施工への対応力を培ってきました。

一方、その業界では店舗数の減少が続いていました。既存顧客からの仕事がすぐになくなるわけではありませんが、今後の売上を増やす市場として見た場合、案件の母数が広がりにくい状況です。

会社としては人を増やしたい意向があるものの、採用を先行させるには、入社後に任せられる現場と採用費の原資が必要です。担当者からも「社長としては、やっぱり人を入れたいという考えです」と話がありました。

人を増やす前に、新しい人員を受け止められる販路と案件量をつくることが、この会社の現在地でした。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
  • 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
  • 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
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課題

縮小する業界の中だけで新規顧客を探しても売上の土台を広げにくい状況

特定業界で実績を積んできた会社ほど、新しい取引先を探すときも同じ業界の元請けや発注者を思い浮かべがちです。施工実績を説明しやすく、現場の進め方も理解しているため、自然な判断ではあります。

ただし、市場全体の店舗数が減っている中で同業界の新規案件を増やそうとすると、限られた案件を既存の協力会社と取り合う構図になりやすくなります。「他社ではなく自社を選んでもらう理由」を価格だけでつくろうとすれば、利益を削ることにもつながります。

この会社の場合、同じような電気・空調工事を担う競合会社が南関東に複数ありました。その一方で、業界そのものの現場数は減少傾向です。営業先を増やしても、営業先の先にある案件が増えていなければ、売上の土台は安定しません。

問題は既存顧客との取引ではなく、これから増やす売上まで縮小市場に求めようとしていることです。

既存案件は大切に維持しながら、増員や成長に必要な新規分だけを別市場へ振り向ける。この切り分けが必要でした。

背景

自社の仕事を「特定業界向け工事」と捉え、夜間・短時間施工という強みを切り出せていない状態

販路を広げにくかった背景には、自社の仕事を発注元の業界名で捉えていたことがあります。

「娯楽施設の電気・空調工事」と表現すると、営業対象は同じ業界に限られます。しかし、実際の施工内容を分解すると、提供しているものは次のように整理できます。

  • 店舗営業後の夜間工事に対応できる
  • 限られた時間内で施工を終えられる
  • 店舗の電気設備と空調設備を扱える
  • 南関東の現場を施工できる
  • 店舗改修に慣れた人員がいる

このように捉え直すと、同じ施工条件を持つ現場は特定の娯楽施設だけではありません。コンビニ、ドラッグストア、外食、小売など、多店舗を展開する業態にも夜間の設備改修需要があります。

担当者も「店舗系とつながれたら、やっぱりいいですよね」と話す一方、「どの店舗業態を狙いたいかまでは、あまりイメージしていなかった」といいます。販路拡大の方向性には納得感があっても、具体的な対象企業までは絞れていない状態でした。

営業活動も、建設会社向けのマッチングサービスで自社に合いそうな会社を探し、個別にメッセージを送る方法が中心でした。担当者は「現状は、自分たちに合っていそうな会社へメッセージを送っているだけです」と話しています。

候補企業を約400社並べても、会社名だけでは「どこが自社に合うのか」を判断できません。実際に一覧を見た際も、「ぱっと見ただけでは全然分からない」という反応でした。

販路開拓では、会社をたくさん集める前に、自社が売っている価値と、相手を選ぶ条件を言語化する必要があります。

解決

既存技術が通用する施工条件を定め、多店舗チェーンの案件を持つ会社へ新規分を振り向ける進め方

進出先は、知名度や店舗業態の好みだけで選ぶのではなく、需要、施工条件、自社対応力の3つが重なるかで判断します。

1.現在の施工を「業界」ではなく「提供価値」で整理する

最初に行いたいのは、施工実績の棚卸しです。ただし、「どの業界の現場を施工したか」だけを並べるのではありません。

  • 何時から何時までの工事に対応してきたか
  • どの程度の短時間施工に対応できるか
  • 電気と空調のどこまでを担えるか
  • どの地域まで無理なく動けるか
  • 現在の人員で月にどれだけ新規案件を受けられるか

この会社であれば、営業時の中心的な訴求は「特定業界での実績」だけではなく、「営業終了後の店舗で、電気・空調工事を夜間かつ短時間で施工できること」になります。

業界名を外しても成立する強みを見つけることで、既存の技術と人員を変えずに営業対象を広げられます。

2.店舗運営会社だけでなく、改修案件を受注している会社を探す

次に狙うのは、複数店舗を運営するチェーン本部だけではありません。チェーン本部から新築・改装・設備改修を受注し、施工を協力会社へ依頼している建設会社や設備会社も対象です。

実際に、南関東で次の条件に合う会社を調べると、候補は約400社まで広がりました。

  • コンビニ、ドラッグストア、外食、小売などの多店舗案件を持っている
  • 店舗の電気・空調工事が発生する
  • 自社だけでは施工機能を賄っていない可能性がある
  • 南関東で改修案件を受注している

探すべき相手は、有名なチェーンそのものに限らず、そのチェーンの案件を継続的に持っている発注経路上の会社です。

この取引構造を押さえると、単発店舗を一件ずつ探すより、複数店舗の改修案件につながる可能性が高まります。

3.案件需要があり、協力会社を必要としていそうな企業から優先する

約400社を同じ優先度で見るのではなく、公開情報から仮説を立てて順番を決めます。判断材料になるのは、主に次の情報です。

  • 主な取引先に多店舗チェーンが含まれているか
  • 売上が前年より伸びているか
  • 売上規模に対して従業員数が少なく、施工を外部へ委託している可能性があるか
  • 自社の対応地域と相手の案件地域が重なるか

売上が伸びている会社は、現場数も増え、追加の協力会社を探している可能性があります。また、少人数で大きな売上を上げている会社は、自社施工ではなく協力会社を活用していることも考えられます。

ただし、外部から分かる情報には限界があります。担当者が気にしていた「施工期間」も、公開情報だけでは判断できませんでした。ここは営業先を外から眺め続けるのではなく、接点をつくった後に直接確認する項目です。

初回の確認では、少なくとも次の点をすり合わせます。

  • 夜間・短時間での施工需要があるか
  • 電気・空調の施工範囲が自社と合うか
  • 南関東の案件をどの程度持っているか
  • 一件当たりの施工期間はどの程度か
  • 現在、協力会社を必要としているか

公開情報で候補を絞り、施工期間や発注見込みは対話で確かめるという二段階の見極めが現実的です。

4.既存顧客は維持し、新しく増やす案件だけを別市場へ向ける

販路を広げるからといって、現在の主力顧客を減らす必要はありません。既存顧客との関係や利益を守りながら、今後増やしたい売上の部分だけを多店舗改修へ振り向けます。

進め方としては、いきなり大きく業態転換するのではなく、現在の施工余力と年間の売上目標から、必要な新規取引先数を決めます。この会社では、目標水準へ近づくために、継続発注が見込める取引先を数社増やすことが一つの目安になりました。

候補企業全体へ継続的に接触し、その中から施工条件の合う数社との取引を目指します。特定の一社だけに絞って価格競争をするよりも、自社を必要としている会社を広い母数から探す方が、利益を守りやすくなります。

市場を一気に乗り換えるのではなく、既存売上を残したまま新規分の行き先を変えることが、無理の少ない販路分散です。

まとめ

特定業界への売上依存を下げるとき、新しい技術を一から身につけることだけが選択肢ではありません。まずは今の施工を、業界名ではなく提供価値で捉え直します。

今回の会社であれば、強みは「特定の娯楽施設に対応できること」だけではなく、「店舗営業後の夜間に、電気・空調工事を短時間で進められること」です。この価値で見れば、コンビニ、ドラッグストア、外食、小売など、多店舗チェーンの改修案件にも対象を広げられます。

進出先を考える順番は次の通りです。

  1. 現在の施工を、時間帯・工期・工種・地域・対応余力に分解する
  2. 同じ施工条件を持つ多店舗市場を探す
  3. チェーン案件を受注し、協力会社を必要としていそうな会社を抽出する
  4. 需要、施工条件、自社対応力を確認する
  5. 既存顧客を維持し、新規分だけを別市場へ振り向ける

販路拡大の出発点は、新しい仕事を探すことではなく、今できている仕事がほかのどの市場で必要とされるかを見直すことです。

既存技術を生かせる次の市場から整理したい方へ

「うちの施工は、ほかにどの業態で通用するのか」「候補企業は集められても、どこから優先すべきか分からない」という段階では、自社だけで答えを出し切れないこともあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、販路拡大の実行まで支援しています。既存技術の棚卸しや進出先の判断、案件を持つ元請け候補の整理など、まだ方向性が固まっていない段階からでも一緒に考えられます。

無理に営業を進めることはありません。まずは「自社の場合、何から整理すべきか」を確認する場として、気軽にお声がけください。

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