前提

社員7名弱が木造戸建ての現場で埋まり、新しい集合住宅案件に人を回せない電気工事会社

千葉県を中心に動く、社員7名弱の電気工事会社があります。現在の主力は木造戸建てです。特定の取引先から受ける案件が、木造工事全体の7割を超えています。

現場はほぼ毎日埋まっています。木造戸建ては、一つひとつの現場を短期間で回す必要があります。移動も多く、新人を同行させると一時的に効率が落ちます。

「今は新人が多いので、慣れるまでは我慢かなと思っています。慣れてくれば利益も上がってくるはずです」

社員のうち、一人で現場を任せられるのは社長を含めて3人前後です。会社としては、将来的に10名台半ばまで増員し、木造戸建てだけでなく集合住宅の改修工事にも広げたいと考えています。

一方で、集合住宅への進出に使えそうな工事を経験している人も、この3人に限られます。既存現場を回している人と、新市場へ出すべき人が重なっている状態です。

1週間で 20件の相談 がありました

  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

仕事を先に取れば既存現場が崩れ、人を先に採れば手待ちが生まれるジレンマ

悩みは、採用と案件獲得のどちらを先に進めるかです。

社長の感覚は明快でした。

「自分としては、現場を取ってから人を入れるイメージです。人を増やしても、現場がなかったら何のために採ったのか、という話になりますよね」

もっともな考えです。採用した人には、入社した日から給与や教育の負担が発生します。先に人を増やしても、任せる仕事がなければ固定費だけが先行します。

ただし、この会社は既存現場ですでに手いっぱいです。新しい案件を先に受注すると、次のいずれかを選ぶことになります。

  • 主力取引先から受けている現場を減らす
  • 協力会社へ急いで応援を依頼する
  • 社長や現場責任者が新規案件へ移る
  • 新規案件の着手や工程を調整してもらう

協力会社がすぐ見つかるとは限りません。条件が合わず、「その内容では利益が出ないので難しい」と断られる可能性もあります。最後は社長自身が新規現場へ入り、その分だけ既存現場を減らす形になりがちです。

「今の現場は、現時点では減らしたくないです。ただ、将来的には別の仕事へ置き換えていきたいと思っています」

ここが重要です。既存案件を将来減らしたいことと、準備が整う前に減らしてよいことは別です。

背景

現場責任者3人に既存顧客の維持と新市場開拓の両方が集中している組織構造

この問題は、単純な人数不足だけではありません。不足しているのは作業人数よりも、現場を任せられる責任者です。

補助として現場に入れる人が増えても、顧客とのやり取りや工程判断まで担える人が増えなければ、社長や既存の責任者の負担は下がりません。

新しく狙う集合住宅の改修工事では、施工経験だけでなく、管理会社などの顧客と話せることも求められます。社長も採用像について、次のように話していました。

「新しい工事では相手がお客さんになるので、ある程度は話せる力がないと難しいと思っています。次は、即戦力に近い人も考えたいですね」

つまり、採用人数だけを目標にしても、配置転換は進みません。未経験者を採る場合は、教育する責任者が必要です。即戦力を採る場合も、自社の仕事の進め方や顧客対応をすぐ任せられるとは限りません。

社内の意思決定にも、成長企業らしい迷いがありました。

「兄は、現場をたくさん取ってパンクするくらいなら、今の仕事をしっかり納めようという考えです。自分は、どんどん現場を取って次へ進みたいと思っています」

どちらかが間違っているわけではありません。既存顧客を守る視点と、次の柱をつくる視点の両方が必要です。

問題は、攻めるか守るかを感覚だけで決めることです。採用と営業の順番は、経営者の性格ではなく、現場の余力と受注の確度で決める必要があります。

解決

4つの判断軸で採用と案件獲得を並行させ、現場責任者から段階的に増やす進め方

この会社のように既存現場が埋まっている場合、採用か営業のどちらか一方を完全に止める必要はありません。ただし、同じ強度で進めるのではなく、採用の土台づくりを先行させながら、新規案件は受注前の確度確認まで進める形が現実的です。

順番は、次の4つの軸で判断できます。

1.既存案件の稼働率

最初に確認したいのは、社員が何日働いているかではなく、誰がどの現場から動かせないかです。

  • 現場責任者ごとの担当案件
  • 補助人員の配置
  • 既存顧客から求められる施工量
  • 一時的に減らしても関係に影響しにくい仕事
  • 社長が現場を外れられる日数

毎日予定が埋まっており、既存案件も減らしにくいなら、新規案件の本格受注を先行させる余地は小さくなります。

稼働率が高い会社ほど、売上を増やす前に「動かせる責任者」を増やす必要があります。

2.現場責任者の人数

次に、現場を一人で任せられる人を数えます。単に資格を持っている人ではありません。工程を見て、顧客と話し、補助人員へ指示できる人です。

この会社では、責任者が3人前後から5人程度になれば、配置の選択肢が広がります。たとえば、既存の木造現場に責任者を残しながら、別の責任者を集合住宅へ出せます。外国人材や未経験者を各チームの補助として配置することもできます。

そのため、採用要件は「若い人」「資格保有者」だけでは足りません。

  • 既存現場の補助を担う人
  • 将来、責任者へ育てる人
  • 入社後早い段階で現場を任せられる人

この3つを分けて考える必要があります。新市場へ進むための採用では、総人数より責任者候補の人数が基準になります。

3.新規案件の確度

「仕事はありそう」と「受注後すぐ着工する」は別です。新規案件については、少なくとも次の状態を分けて見ます。

  • 接点を持てそうな顧客がいる
  • 見積もりを依頼されている
  • 工事内容と時期が見えている
  • 受注の可能性が高い
  • 発注が決まり、配置が必要になっている

まだ接点づくりの段階なら、採用を止めて受注を待つ必要はありません。反対に、着工時期まで具体化しているなら、採用だけに頼らず協力会社の準備も進めます。

新規営業は、いきなり大きな集合住宅工事を一式で受けるより、既存の施工経験を生かせる工事を入口にしたほうが、人員計画を立てやすくなります。まず小さく実績と関係をつくり、その後に対応範囲を広げる進め方です。

案件の確度が低いうちは営業接点を増やし、確度が上がるほど人員確保へ投資を寄せます。

4.協力会社の確保可能性

協力会社は、受注後に探すのではなく、受注前に対応可能性を確認しておきます。

見るべきなのは、会社数だけではありません。

  • 対応できる工事内容
  • 動ける時期と人数
  • 顧客対応を任せられるか
  • 採算の合う条件か
  • 継続して組める可能性があるか

「いざとなれば外注すればよい」という前提だけで新規案件を取ると、条件が合わなかったときに社長が現場へ戻ることになります。

協力会社の確保が不透明なら、受注を先行させず、自社の責任者採用を優先する判断が安全です。

この4軸を踏まえると、今回の会社では次の順番が考えやすくなります。

  1. 既存現場を責任者別に棚卸しする
  2. 新市場へ移すために必要な責任者数を決める
  3. 責任者候補の採用活動を始める
  4. 同時に新規顧客との接点と案件情報を増やす
  5. 案件の確度が上がった段階で、社員と協力会社の配置を確定する
  6. 既存案件は代替売上と施工体制を確認しながら段階的に減らす

採用後すぐに新規案件が始まらなくても、既存現場が埋まっている会社なら、まず既存チームへ配置できます。そこで仕事の進め方を覚えてもらい、責任者の余力をつくります。その余力を新市場へ振り向けます。

「人を採ってから仕事を探す」のではなく、「既存現場で育てながら、確度を高めた新規案件へ移す」と捉えると、採用先行のリスクを抑えられます。

まとめ

先に採用するか、先に仕事を取るかは、すべての建設会社に共通する正解がある話ではありません。

既存現場に余力があり、協力会社も確保できるなら、案件を先に取る選択もできます。一方、既存案件で社員が埋まり、動かせる責任者が限られているなら、受注先行は既存顧客の仕事を減らすか、経営者が現場へ戻る結果につながります。

判断するときは、次の4点を並べて確認します。

  • 既存案件から人を動かせるか
  • 現場を任せられる責任者が何人いるか
  • 新規案件の内容と着工時期がどこまで固まっているか
  • 協力会社を受注前に確保できるか

今回のような会社では、採用活動の土台を先に整えつつ、新規営業は案件の確度を高めるところまで並行して進める形が合っています。

既存顧客との関係を守りながら、現場責任者を一人ずつ増やす。そのうえで、新しい市場へ段階的に配置を変えていく。採用と営業を二者択一にせず、配置転換まで含めた順番を決めることが成長投資の要点です。

採用と案件獲得の順番を自社の現場に合わせて整理するために

「うちの場合は人を先に採るべきか」「既存案件をどこまで残すべきか」と迷うときは、採用だけ、営業だけを切り離して考えると判断が難しくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の現場体制、採用、組織、販路、原価、デジタル活用を横断して整理し、実行まで支援しています。採用人数を決める前の段階や、新規案件とのバランスをまだ言語化できていない段階でも構いません。

既存現場の稼働状況と目指す事業構成を並べ、何をどの順番で進めるか一緒に整理できます。無理にサービスを勧めることはありませんので、社内だけでは整理しにくいときの次の相談先としてご活用ください。

お問い合わせはこちら