現場を動かせる人員が限られ、見込み案件の受注結果で数カ月先の稼働が変わる専門工事会社
中国地方にある少人数の専門工事会社では、現場を動かせる人員が限られるなか、新しい取引先の開拓を検討していました。足元で稼働している工事は1件ですが、10月末から12月にかけて約1カ月半続く案件を見積もっており、受注できるかどうかはまだ決まっていません。
採用も進めているものの、入社予定者はまだいない状況です。経営者から出たのは、次のような率直な言葉でした。
「つながりを持てる会社があればうれしい。ただ、今は人員が少なく、仕事が入っても対応できない場合があるのが心配です」
仕事がないわけではなく、十分な施工体制が整っているわけでもありません。さらに、見込み案件の結果によって、数カ月先の施工余力が大きく変わります。
この状況で必要なのは、営業を止めるか増やすかの二択ではなく、施工余力に合わせて営業量と受注条件を調整できる状態をつくることです。
1週間で 20件の相談 がありました
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
見積もり後に「今は施工できません」と断る可能性が新規営業をためらわせる状態
新規営業への不安は、商談が増えること自体ではありません。問題になるのは、見積もりを提出して受注の意思を示した後に、人員や工程の都合で対応できなくなることです。
相談企業でも、「見積もりをして、やってくださいと言われたときに『今はできません』となるのはまずい」という懸念がありました。新規取引では、初回案件への対応がその後の関係を左右します。受注後に工期が合わない、担当者を配置できない、対応できる工種ではないと分かれば、せっかくつくった接点を生かしにくくなります。
一方で、人手不足を理由に営業を完全に止めると、現在の工事が終わった後に案件が途切れる可能性があります。新規取引先との接点づくりから、案件相談、現地確認、見積もり、契約、着工までには時間がかかるためです。
営業を止めれば将来の空きが生まれやすくなり、営業を増やしすぎれば施工能力を超えた相談が入ります。難しいのは営業の必要性ではなく、量と受注条件の合わせ方です。
現在の稼働だけでは判断できず、見込み案件と人員確保の時期にも不確定要素があること
建設業の営業量を、現在の忙しさだけで決めるのは難しいものです。今回の会社も、足元の工事件数だけを見れば営業を進める余地はあります。しかし、約1カ月半の見込み案件が決まれば、その期間の受注余力は小さくなります。
人員面でも、採用活動をしているからといって、必要な時期までに経験者が入るとは限りません。採用できたとしても、入社直後からすべての工事を任せられるとは限らないため、採用予定をそのまま施工能力に加えるのは避けたいところです。
また、新規営業を「どの会社に何件連絡するか」だけで考えると、対応できない案件まで広く集めることになります。本来は、次の条件を先に整理しておく必要があります。
- 対応可能な工期と着工時期
- 自社の人員で納めやすい工種
- 無理なく管理できる案件規模
- 移動や現場管理を含めて対応できる地域
- 見積もり中の案件が決まった場合にも受けられる仕事
たとえば、遠方の長期工事は難しくても、近隣地域の短期工事であれば対応できることがあります。大型案件を一式で受けるのは難しくても、自社が得意とする工種に絞れば受注できる場合もあります。
人手不足の会社に必要なのは「仕事を増やさないこと」ではなく、今の体制でも納められる案件だけが入りやすい営業設計です。
受注条件を先に定め、少数の商談から反応を確かめて営業のアクセルを調整する進め方
まず整理したいのは、営業目標ではなく、向こう3〜6カ月の施工余力です。確定案件だけでなく、見積もり中の案件も含めて時系列で並べます。
見込み案件は、受注確度を断定する必要はありません。「決まった場合」と「決まらなかった場合」の2通りを考えるだけでも、営業できる範囲が見えやすくなります。
1.確定案件と見込み案件を月ごとに並べる
最低限、次の項目を一覧にします。
- 工期と予定時期
- 必要な人数
- 現場責任者を置く必要の有無
- 見積もり中か、受注確定か
- 他案件と重なった場合に対応できるか
今回のように、10月末から12月までの見込み案件があるなら、その案件を受注した場合の余力と、失注した場合の余力を分けて確認します。
受注確度が読めない案件は予定から外すのではなく、「決まった場合の工程」として別に持つことが重要です。
2.対応可能な案件を工期・工種・規模・地域で決める
施工余力を確認したら、営業先へ伝える受注条件を決めます。「内装工事なら何でも対応できます」と広く伝えるのではなく、現時点で無理なく対応できる範囲に絞ります。
判断軸は、次の4つです。
- 工期:いつから着工でき、何週間程度まで対応できるか
- 工種:自社の少人数体制でも品質を保ちやすい仕事は何か
- 規模:現場管理を含め、同時進行できる金額・面積・件数はどこまでか
- 地域:移動時間や既存現場との位置関係を踏まえ、どこまで対応するか
条件は固定するものではありません。見込み案件の結果や現場の進捗に応じて、月単位で見直します。
3.最初から商談数を最大化しない
新規営業を始める際も、いきなり多数の商談をつくる必要はありません。今回の会社では、月4件程度を上限としながら、まず2件ほどの商談で様子を見る進め方が検討されました。
少数の接点から始めれば、次の点を確認できます。
- どのような案件相談が多いか
- 希望する地域や工種の需要があるか
- 発注側が何を重視しているか
- 自社の説明のうち、どこに反応があるか
- 商談から見積もりへ進む割合はどの程度か
電話での初期反応や最初の商談内容を見て、対象企業や伝え方を修正します。条件に合わない相談が多ければ、営業先を変えるか、対応可能な案件をより明確に伝えます。
営業活動は一度に広げず、少数の商談で案件の質を確認してから次の接点を増やすほうが、施工能力とのミスマッチを抑えられます。
4.稼働状況に応じて営業を強める、緩める、休止する
営業は常に同じ量を続けるものではありません。案件が埋まった場合は新規接点を抑え、数カ月先に空きが見えた段階で再び増やす方法があります。
調整の目安は、次のように決めておくと運用しやすくなります。
- 見込み案件が未確定:少数の商談を継続する
- 大型・長期案件が決定:新規商談を減らし、将来案件の情報交換にとどめる
- 数カ月先に空きが見える:対象企業への接触を増やす
- 現場対応が難しい:一時的に新規営業を休止する
ただし、営業を緩める場合も、すでにつながった会社への返信や進捗連絡まで止める必要はありません。「現在はこの時期なら対応できる」と伝え、着工時期を調整できる案件を残しておく方法もあります。
営業のアクセルは商談数だけでなく、希望着工時期や案件条件も含めて調整します。
まとめ
人手不足のなかで新規営業を進めるとき、仕事が増えることを一律に警戒する必要はありません。注意したいのは、施工余力を確認せず、対応条件を定めないまま営業量だけを増やすことです。
進め方の要点は次の通りです。
- 確定案件と見込み案件を月ごとに整理する
- 案件が決まった場合と決まらなかった場合の施工余力を分けて考える
- 対応可能な工期・工種・規模・地域を営業前に定める
- 最初は少数の商談で反応と案件の質を確かめる
- 稼働状況に合わせて営業を強める、緩める、休止する
「仕事があればうれしいが、受け切れるか不安」という状態は、営業と施工を別々に考えると解消しにくいものです。受注機会と施工能力を同じ工程表の上で捉えることで、無理なく次の取引先を増やしやすくなります。
自社に合う営業量と受注条件を整理したいときに
新規営業を進めたい一方で、「見込み案件が決まったら受け切れない」「どの条件までなら営業してよいか分からない」という会社も少なくありません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場の稼働、案件獲得、人材確保、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。営業件数を増やすだけでなく、現在の施工能力に合う取引先や案件条件を整理し、稼働に応じて進め方を調整することも可能です。
「うちの場合は営業を進めてよいのか」「何から整理すればよいか」という段階でも問題ありません。状況を伺ったうえで一緒に整理し、無理に営業をおすすめすることはありません。































