採用を始めたい一方で、現場を任せられる職人と教育担当が限られている創業5年前後の専門工事会社
電気工事を強みとする、創業5年前後の専門工事会社があります。会社としては今後の成長を見据え、案件を増やす前に人を増やしたいという考えを持っていました。
一方、現場で安心して仕事を任せられる職人は限られています。管理を担う担当者も、現場作業と案件の取りまとめを並行しており、教育に集中できる状態ではありません。
新人や管理者候補を採用した場合の流れについては、「まず現場を経験してもらい、うちの考え方や職人のやり方を学んでから、管理側に移ってもらうことになると思います」と考えていました。
ただし、誰が現場で教えるのかを確認すると、返ってきたのは「消去法で決める感じです」という言葉でした。
人を増やしたい意思はあっても、教える人・教える内容・独り立ちの基準が決まっていなければ、採用後の育成は現場任せになります。採用活動と受け入れ体制の整備は、同時に進める必要があります。
1週間で 20件の相談 がありました
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
教育担当が「消去法」で決まり、社長が現場に戻らなければ育成できない状態
この会社の課題は、教育を任せられる人が一人もいないことではありません。教育に必要な役割を、誰か一人にまとめて任せようとしていることにあります。
管理を担う担当者は、人への向き合い方や顧客目線について伝えることはできます。しかし、本人は次のように話していました。
「お客様目線でやりましょう、という話はできます。ただ、技術的な具体指示は難しいです。職人を納得させられるような実績が自分にはないので、発言力もあまりありません」
建設現場では、役職だけで技術的な指導が通るとは限りません。長年現場に立ってきた職人ほど、「誰が、どの経験を根拠に言っているのか」を見ています。管理担当者に技術教育まで背負わせると、本人の負担が増えるだけでなく、既存職人との関係も難しくなります。
一方で、社内の技術判断を最も深く理解している社長は、次々に入る案件の対応や施工方法の判断を抱えています。社長が新人教育のたびに現場へ戻れば、案件管理や会社運営が止まりかねません。
実際、営業中の店舗でブレーカーを落としてしまうミスも起きていました。こうした現場では、施工技術だけでなく、作業前確認、営業への影響、異常時の報告といった教育も欠かせません。
「技術を教えられる人」を一人探すだけでは、受け入れ体制は完成しません。技術、安全、顧客対応、社内ルールを一括りにしている限り、教育担当は消去法になり、最終的に社長へ戻ってきます。
職人ごとの強みが整理されず、「教育」という一つの仕事にまとめられている状況
社内には、教育に使える知識がないわけではありません。担当者も「それぞれの従業員が持つ強みはあります。何を教育するかによって、教える人は変わると思います」と話していました。
ここに受け入れ体制をつくる手掛かりがあります。
たとえば、施工技術に強い職人が、顧客への説明や社内報告まで得意とは限りません。反対に、管理担当者は細かな施工方法を教えられなくても、顧客への配慮、連絡の仕方、会社として守ってほしい考え方を伝えられます。
それにもかかわらず、「新人教育」という大きな仕事のまま担当者を決めようとすると、すべてを教えられる人が必要になります。その条件に当てはまるのは、社長か、技術と管理の両方を経験した希少な人材だけです。
会社が採用したいと考えていたのも、30代から40代の経験者で、現場にも出られ、将来的には管理も任せられる人でした。しかし、そのような人を採用できたとしても、自社の施工判断、顧客との接し方、案件情報の流れまで最初から理解しているわけではありません。
経験者採用は教育を不要にする手段ではありません。経験者にも自社のやり方を学ぶ期間が必要であり、その受け皿がなければ、期待する役割とのずれが生まれます。
「採用には人件費がかかるので、利益を出していく姿が見えない」「そのため、今いる人を教育するという答えになりやすい」という迷いもありました。ただ、既存職人を育てる場合も、新人を迎える場合も、必要な教育の構造は同じです。
誰を採用するかを決める前に、自社の中にある教育資源を洗い出し、誰が何なら教えられるのかを整理することが先になります。
技術・安全・顧客対応・社内ルールを分担し、現場同行から独り立ちまでを共通化する仕組み
受け入れ体制は、教育が得意な万能人材を一人置くのではなく、教育内容を分け、複数の担当者で支える形にすると整えやすくなります。
教育内容を4つに分ける
まず、新人に教える内容を、少なくとも次の4つに分けます。
教育領域 | 主な内容 | 担当の考え方 |
|---|---|---|
技術 | 施工手順、品質基準、工具の扱い、作業後確認 | 該当作業に実績のある職人 |
安全 | 作業前確認、停電範囲、営業中施設への配慮、異常時の停止・報告 | 技術担当と管理担当が共同で確認 |
顧客対応 | あいさつ、説明、影響範囲の共有、約束してよい範囲 | 顧客目線を伝えられる管理担当 |
社内ルール | 案件情報の受け取り方、報告先、判断に迷った場合の連絡 | 社長または管理担当 |
管理担当者は、すべてを自分で教える必要はありません。教育全体の進捗を把握し、「この技術は誰に教わるか」「次の同行先はどこか」を調整する役割を担います。
社長の役割も、毎回現場で教えることではありません。最初に会社として譲れない品質、安全、顧客対応の基準を決め、判断が難しい場面だけ確認する形に変えていきます。
管理担当は教育の責任者、職人は各技術の指導者、社長は会社基準の決定者と役割を分ければ、技術実績のない管理者でも育成を前に進められます。
現場同行を段階に分ける
「しばらく一緒に現場へ行き、慣れたら一人で任せる」だけでは、教える側によって判断が変わります。現場同行は、次のような段階に分けると運用しやすくなります。
- 事前説明:会社の考え方、安全上の注意、報告先を理解する
- 見学同行:先輩の作業と顧客対応を見て、確認項目を覚える
- 補助作業:指示を受けながら、限定した作業を担当する
- 監督下での実施:本人が中心になって作業し、先輩が確認する
- 部分的な単独対応:決められた作業だけを一人で担当する
- 独り立ち:標準的な現場を任せ、例外時には報告して判断を仰ぐ
大切なのは、同行した回数だけで次の段階へ進めないことです。現場数が多くても、判断を先輩に任せたままでは習熟したとはいえません。
各段階で確認する内容は、「理解した」「だいたいできる」ではなく、行動で見られる形にします。
- 作業前に影響範囲と停止対象を確認できる
- 標準作業を決められた品質で完了できる
- 作業後の確認項目を説明し、自分で実施できる
- 顧客へ作業内容と影響を説明できる
- 自分で判断してよいことと、社内確認が必要なことを区別できる
- 異常が起きた際に作業を止め、決められた相手へ報告できる
独り立ちとは、何でも一人で解決できる状態ではありません。任せられる作業範囲を理解し、範囲外では止まって報告できる状態です。
既存職人の強みを小さな教育単位にする
既存職人には、「新人教育を全部お願いします」と頼まないことも重要です。まず、一人ずつ次の内容を整理します。
- 自信を持って教えられる作業
- 判断基準を言葉にできる作業
- 同行させやすい現場
- 教えることが難しい領域
- 新人に最初から任せたくない作業
そのうえで、「この作業はこの職人」「顧客対応は管理担当」というように、小さく分担します。教え方を統一するため、確認項目は一枚のチェック表にまとめ、紙でも共有表でも記録を残します。
まずは既存職人一人の育成にこの流れを試し、教えにくい項目や基準が曖昧な箇所を修正すると、新人を迎える前の予行演習になります。
職人全員を教育の万能選手にする必要はありません。それぞれの強みを一部分ずつ教育資源に変えることが、小規模な専門工事会社に合った進め方です。
採用開始前に受け入れ可能人数を確認する
受け入れ体制は、書類をつくれば完成するものではありません。実際に同行できる現場と、教える時間を確保できるかまで確認します。
採用を始める前に、少なくとも次の条件をそろえておくと、入社後の混乱を抑えやすくなります。
- 4つの教育領域ごとに担当者が決まっている
- 入社直後に同行できる現場がある
- 習熟度を確認するチェック項目がある
- 独り立ちできる作業と、まだ任せない作業が分かれている
- 判断に迷った際の報告先が決まっている
- 教育担当が現場を空ける時間を見込んでいる
未経験者を採るか、経験者を採るかも、この受け入れ余力から判断します。技術同行の時間を多く取れないなら、経験者を優先する考え方があります。一方、既存職人の技術を段階的に教えられるなら、未経験者まで採用対象を広げられます。
採用する人材像は、欲しい人物像だけでなく、自社が現実に教えられる範囲から逆算して決めることが大切です。
まとめ
新人を採用しても教えられる人がいない状態は、社内に知識がないから起きるとは限りません。多くの場合、技術、安全、顧客対応、社内ルールを「教育」という一つの仕事にまとめ、万能な担当者を探していることが原因です。
今回の会社にも、技術に強い職人、顧客目線を伝えられる管理担当者、施工判断を持つ社長がいました。足りなかったのは、それぞれの強みを組み合わせる設計でした。
教育内容を分け、複数の担当者を決め、現場同行の段階と独り立ち基準を共通化すれば、社長が毎回現場へ戻らなくても新人を育てられる形に近づきます。
最初から立派な教育制度をつくる必要はありません。まずは一つの作業について、誰が教え、何ができれば任せるのかを決めるところから始められます。その小さな型を増やしていくことが、採用した人を受け入れ、既存職人も育てられる会社づくりにつながります。
自社に合う教育担当と独り立ち基準を整理したい方へ
「誰を教育担当にすればよいのか」「経験者と未経験者のどちらを採るべきか」「現場同行の基準をどうつくればよいか」は、職人の経験や受注している工事によって答えが変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の人材課題を、採用だけでなく、現場の受け入れ体制、教育担当の分担、組織づくりまで横断して整理し、実行を支援しています。
「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でも問題ありません。状況を伺ったうえで、無理にサービスを勧めることはありませんので、自社だけでは整理しにくいときの次の相談先としてご活用ください。































