前提

四国で空調設備工事を担い、社長一人で年間2,000万円前後を売り上げる会社の現在地

香川県に拠点を置き、四国東部を中心に空調設備工事を手がける、社長一人の専門工事会社があります。社長は管理だけをするのではなく、自ら職人として現場に立っています。

主な現場は、大手工場や公共施設です。大手ゼネコン、設備会社、一次協力会社と続く商流の中で、長く信頼を築いてきた会社から現場を任されています。

「仕事がないわけではないんです。人間が育って僕の手が離れたら、別のところの仕事もあります」

現在の売上は年間2,000万円前後です。将来は10人前後の体制をつくり、売上1億円に近づけたいという構想もあります。ただし、その前提になる人がいません。

忙しい時期は、以前から付き合いのある協力会社に声をかけています。「自分の仕事がある時はそちらを優先して、空いている時に入ってもらう」という関係です。すでに一定の施工体制は持っていますが、常に自社の都合で動いてもらえるわけではありません。

仕事量はある。協力会社とのつながりもある。それでも、社長の代わりに現場を任せられる人がいないため、会社として次の受注に踏み出せない状態です。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
  • 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
  • 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
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課題

未経験者を採れば社長の手がさらに埋まり、採らなければ現場を任せられる人が増えない状況

一人親方から組織へ移る際の難しさは、単純な応募者不足だけではありません。採用した人を育てる時間も、社長自身がつくらなければならないことにあります。

「全然経験のない人を10人入れても、使い物にならなかったらどうしようもない。僕らにも何人見られるかという限りがあります」

現場を回しながら未経験者に付きっきりで教えれば、その分だけ施工能力が下がります。教育に時間を使いすぎると、目の前の仕事を受けにくくなります。一方で、採用を止めれば、社長が現場から離れられる日は来ません。

過去には、知人を通じて若い未経験者を採用したこともありました。しかし、継続して戦力にするところまでは至りませんでした。経験者についても、「10年、15年やってきた」と聞いて採用しても、実際に仕事を任せると期待した水準に届かないケースを見てきたといいます。

「経験がありますと言われても、仕事をやってもらえば分かります。これをやってと言って、できなければ任せられません」

採用向けのホームページなども複数用意しましたが、採用成果にはつながりませんでした。入口を増やすだけでは、必要な人に会えるとは限りません。

この会社が必要としているのは、単なる作業員ではありません。まず必要なのは、次の役割を担える人です。

  • 社長と一緒に現場へ入り、一定範囲の施工を任せられる
  • 経験年数ではなく、実際の技能が伴っている
  • 将来的に若手や未経験者の面倒を見られる
  • 取引先から現場を任せてもらえる関係を築ける

最初の採用で求めるべきなのは「人数」ではなく、社長の施工と教育の負担を減らせる右腕候補です。

背景

仕事・教育・営業のすべてが社長一人に集まり、どれかを増やすと別の仕事が止まる構造

成長を止めているのは、営業力の不足ではありません。施工、教育、採用、取引先対応のすべてが社長一人に集まっていることです。

現在は特定の取引先から仕事のほぼ全量を受けています。現場を任せてもらえるほどの信頼関係があり、仕事量も見込めます。別の取引先との接点もありますが、社長自身の手が空かないため、積極的に受注を広げられません。

「僕の手が離れるなら、ほかの仕事もあるんです。でも今は、人を社員に入れて育てられる状態ではないんです」

ここで先に新規受注を増やすと、社長の稼働がさらに埋まります。先に未経験者を増やすと、今度は教育負担が増えます。経験者を採っても、技能を見極められなければ、結局は社長が手直しをすることになります。

協力会社を一気に増やす方法もありますが、建設業では既存のつながりを無視できません。この会社にも、前職、取引先、同業者を通じた長年の関係があります。

「この業界はつながりがあります。お客さんとのつながりも、前にいた会社とのつながりもある。知っている会社が多いからこそ、どこへでも行けるわけではないんです」

商圏にも限界があります。遠方から声がかかっても、社長一人では対応できません。以前は関西方面の現場にも出ていましたが、現在は移動距離と条件を考え、比較的近い取引先の仕事を優先しています。

人がいないから営業できないのではなく、社長以外に現場を完結できる人がいないため、採用も営業も同時に進めにくいのです。

解決

右腕候補の見極め、協力会社による余力確保、若手育成、受注分散の順で進める段階設計

この状態では、採用、育成、受注拡大を同時に始めるより、社長の負担が順番に減るように組み立てるほうが現実的です。

基本の順番は「必要な役割の明確化→経験者の見極め→協力会社で教育余力を確保→若手育成→受注先の分散」です。

1.最初に「何人採るか」ではなく「何を任せたいか」を決める

最初の一人に求める役割を明確にします。「経験者募集」だけでは範囲が広すぎます。

たとえば、次の項目を現場単位で整理します。

  • 一人で完結してほしい作業
  • 社長の確認があれば任せられる作業
  • 取引先との打ち合わせを任せられるか
  • 図面、段取り、施工のうち、どこまで必要か
  • 出張や対応可能な地域の範囲
  • 将来、後輩を教える役割まで求めるか

採用条件は経験年数ではなく、「入社後3カ月から半年で、社長から何を引き取れる人か」で決めます。

2.経歴だけで判断せず、実際の仕事で技能を見極める

経験者採用では、「業界経験10年」という情報だけでは判断しにくいものです。同じ施工領域でも、担当してきた現場や任されていた範囲によって技能は変わります。

面接では、過去の現場名を聞くだけでなく、本人が担当した工程、段取り、使用工具、トラブル時の対応まで確認します。可能であれば、入社判断の前後に実際の仕事ぶりを確認できる進め方も検討します。

この会社の社長も、「一緒に仕事をすれば分かる」と話していました。技能だけでなく、分からないことを確認できるか、任された範囲を最後までやり切れるかも見えます。

右腕候補の見極めでは、肩書や年数よりも「一人で任せられる作業」と「任せるには支援が必要な作業」を切り分けることが大切です。

3.協力会社は人数不足を埋めるだけでなく、教育時間をつくるために活用する

信頼できる協力会社がいることは、この会社の強みです。ただし、協力会社を社員の代わりと考えるだけでは、社内に人が育ちません。

そこで、新しい社員を受け入れる時期には、既存現場の一部を協力会社に任せ、社長が教育に使える時間を確保します。すべての現場で教えようとせず、教育に向く現場と、協力会社に任せる現場を分けます。

判断軸は、次の3点です。

  • 品質や取引先対応を含め、安心して任せられるか
  • 教育期間中も採算を保てるか
  • 協力会社側の本業や既存関係を尊重できるか

協力会社は売上を増やすためだけでなく、社長が次の一人を育てる時間を買うための施工体制として位置づけます。

4.右腕候補が育ってから、未経験者や若手の採用へ進む

未経験者採用が悪いわけではありません。課題は、誰が教えるかが決まっていない状態で採ることです。

社長以外に基本作業を教えられる人が一人いれば、教育の詰まり方は変わります。社長は重要な判断や難しい施工に集中し、右腕候補が日常的な指導を担えます。

年間2人程度を採用したい場合も、暦年で人数を決めるより、教育余力を基準にします。一人目が一定の作業を任せられるようになってから、次の採用へ進む形です。

将来的に外国人材を受け入れる構想がある場合も同じです。受け入れ条件が整う時期までに、教える人、任せる作業、安全や品質を確認する人を決めておく必要があります。

若手採用の開始時期は、募集を出せる時ではなく、社長以外に日々の指導を任せられる時です。

5.受注拡大は、社長不在でも一つの現場が回る状態になってから始める

新規営業を始める目安は、社員数ではありません。社長が別の現場や取引先対応に動いている間も、既存現場が止まらないかどうかです。

受注先の分散は、既存の関係を崩してまで進める必要はありません。まずは過去に取引のあった会社、既存取引先からの紹介、移動負担の少ない近隣企業など、信頼関係と施工条件が合う範囲から検討します。

確認したいのは、次の条件です。

  • 現在の人員と協力会社で施工可能か
  • 既存取引先との関係に影響しないか
  • 移動や出張を含めても採算が合うか
  • 継続案件か、繁忙期だけの案件か
  • 社長が現場に常駐しなくても品質を保てるか

受注先の分散は営業件数を増やすことではなく、自社の施工能力に合う取引先を一つずつ増やすことです。

まとめ

仕事がある一人親方の会社ほど、先に営業を増やすと社長の負担が重くなりやすくなります。一方、未経験者を先に増やしても、教育する人が社長しかいなければ現場が回りません。

進める順番は、次のように整理できます。

  1. 社長から引き取ってほしい仕事を明確にする
  2. 右腕候補となる経験者を、実際の技能で見極める
  3. 協力会社の力を借り、社長の教育時間を確保する
  4. 教育役ができてから若手や未経験者を採用する
  5. 社長が常駐しなくても現場が回る段階で受注先を分散する

一人親方から組織へ移る最初の一歩は、人数を増やすことではありません。社長に集中している現場の役割を、一つずつほかの人へ渡せる状態をつくることです。

いきなり10人規模を目指す必要はありません。まず一人。次に、その一人が教えられるもう一人。施工能力と教育余力を確認しながら進めれば、既存の取引先との信頼を守りつつ、受注を広げる準備ができます。

自社に合う採用と組織化の順番を整理したい方へ

「経験者を採るべきか、未経験者を育てるべきか」「協力会社を増やすのが先か、社員を採るのが先か」は、現在の現場数や社長の稼働、既存取引先との関係によって変わります。

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