3名規模で設計から複数地域の現場管理まで社長が担う建設会社の現在地
九州地方に拠点を置く、3名規模の建設会社があります。クリニックを中心とした内装工事を元請けで受注し、年間の受注規模は1億円前後。経理は家族が担当し、実務の大半を社長が担っています。
社長の仕事は、顧客との打ち合わせだけではありません。レイアウト作成、CAD図面、見積もり、発注、注文書の作成、協力会社の手配、現場確認まで続きます。
案件は首都圏、東海、九州など複数地域で同時に動きます。さらに、開業を控える顧客は日中に時間を取りにくいため、夜間や日曜日の打ち合わせも珍しくありません。
「今年に入ってから、完全に仕事を離れて休んだ日はほとんどないんです」
案件がないわけではありません。むしろ、営業に力を入れ始めてから受注は増えています。ただし、受注が増えるほど社長の移動、連絡、判断も増えてしまいます。
売上を伸ばす力はあっても、社長がすべての現場を管理する体制のままでは、受注増がそのまま過重労働につながります。
1週間で 17件の相談 がありました
- 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
- 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
- 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
- 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
- 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
- 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
- 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
受注が増えるほど社長の休日と顧客対応の余白が減る構造
この会社が求めているのは、売上を一気に倍増させることではありません。社長が無理なく顧客と向き合い、現在の品質を守りながら仕事を続けられる状態です。
「忙しくなりすぎると、笑顔がなくなっちゃうんです。お客さんに笑顔で接する余裕がなくなったら、少し休んだほうがいいと思うくらいで」
現場では追加要望も発生します。当初2カ月で終える予定だった工事が延びれば、次の現場へ完全に移れません。新しい案件を進めながら、前の現場にも対応することになります。
顧客や関係者との連絡も並行します。6人程度とやり取りしていたところへ、既存顧客から修繕や追加工事の連絡が入れば、一時的に10人近くとの調整を抱えることもあります。
そこで候補に挙がるのが、現場を任せられる人材です。ただし、単純に施工管理経験者を1人採用すれば解決するとは限りません。
この会社の工事には、医療施設ならではの技術と品質が求められます。電気、空調、給排水、内装大工などを手配しながら、細かな納まりも確認しなければなりません。コンセントの傾きのような小さな施工不良も、見逃さずに是正する必要があります。
「何十年やっている人でも、技術が高いとは限らないんです」
実際に、経験が十分だと聞いて依頼したものの、資格取得から日が浅く、途中で別の施工者へ切り替えたこともありました。費用は余分にかかります。それでも、元請けとして品質と信用を守ることを優先しました。
必要なのは単なる人手ではなく、一定の技術を持ち、社長の意図をくみながら現場を進められる人です。
採用後の指示負担と案件の波が社員化をためらわせる理由
社員採用をためらう大きな理由は、採用後の教育と指示にも社長の時間が必要になることです。
「雇うと、今の忙しさの中で、その人に指示をしなきゃいけなくなります」
施工管理経験者を採用できれば、早い段階で仕事を任せられる可能性があります。ただし、求める技術と対応力を持つ人は限られます。経験の浅い人を採用する場合は、現場を任せられるまで育てなければなりません。
一方、この会社の案件量には波があります。新規開業工事が重なる時期もあれば、落ち着く時期もあります。工期も2〜3カ月程度です。社員を採用すると、案件が少ない時期にも固定費が発生します。
社員採用と外注の違いは、次のように整理できます。
判断軸 | 社員を採用する場合 | 外部の施工管理者・協力会社へ任せる場合 |
|---|---|---|
教育負担 | 自社の基準や顧客対応を継続的に教えられる一方、立ち上がり時は社長の負担が増える | 経験者なら教育を抑えやすいが、品質基準の共有は必要 |
費用 | 給与や社会保険などの固定費になる | 案件単位や稼働量に応じた変動費にしやすい |
案件量の変動 | 継続的な仕事量があれば力を発揮しやすい | 地域や工期に合わせて依頼先を変えやすい |
必要な技術 | 採用時点で見極めるか、入社後に育成する | 電気、空調、給排水など、案件に必要な技能で選べる |
指示の手間 | 経験が浅いほど細かな指示が必要 | 自走できる相手なら、確認中心で進めやすい |
もちろん、長期的に自社の基準を蓄積するなら社員採用には利点があります。しかし、現時点では社長に教育時間がなく、案件量にも波があります。
そのため、この会社では「まず外部へ任せる」ほうが現実に合っています。
「業者さんならプロなので、ある程度は任せて進めてもらえます。電気、水道、大工で、いい業者さんが各地域にいればいい気がします」
採用か外注かは優劣ではなく、社長が教育に使える時間、固定費を支えられる案件量、必要な技術の幅で判断することが大切です。
一部地域・工種の外注から始める段階的な現場管理の分散
この会社に合う進め方は、すべての現場管理を一度に手放すことではありません。まず一部の地域と工種に絞り、信頼できる協力会社へ任せる形です。
候補となるのは、職人出身で現場を理解し、施工だけでなく周囲への声かけや進捗確認もできる人です。大規模新築工事に常駐する施工管理者ほどの体制ではなくても、2〜3カ月のテナント工事を見ながら社長へ報告できる人であれば、負担を減らせる可能性があります。
進め方は4段階に分けられます。
1.地域と工種を一つずつ絞る
最初から全国の協力会社網をつくろうとすると、候補者の確認だけで社長の仕事が増えます。まずは案件が多く、移動負担も大きい地域に絞ります。
工種も同様です。電気、空調、給排水、内装大工のうち、手配や確認に時間がかかっている工種から始めます。
最初の外注範囲は、「社長の移動時間を減らせるか」と「品質を確認しやすいか」で決めます。
2.経験年数より、実際の施工と報告力を見る
候補先を選ぶ際は、会社案内や経験年数だけでは判断しません。資格、過去の施工内容、対応可能な工種、保険加入状況などを確認します。
加えて重要なのが、写真や動画による報告です。遠隔管理では、施工が終わってから報告されても修正が難しくなります。隠蔽前、仕上げ前、設備設置前など、確認が必要なタイミングを先に決めておく必要があります。
社長自身が現場で培ってきた「ここを見る」という基準を、写真の撮影箇所や報告項目に変えていきます。
3.写真・動画と現地確認を組み合わせる
この会社では、すでにLINE、写真、動画を使った遠隔確認が可能だと考えています。
「写真を送ってもらえれば、ここは少しおかしいと気づいて、直してもらえます」
ただし、顧客は会社ではなく社長個人を信頼して発注している面があります。社長がまったく現地へ行かなければ、顧客には丸投げと受け取られるかもしれません。
そこで、着工前、重要工程、引き渡し前など、社長が現地へ行く場面を限定します。それ以外の進捗確認は、写真、動画、オンライン通話で補います。
目指すのは現場へ一度も行かない体制ではなく、社長が行くべき場面を絞る体制です。
4.任せられた範囲を記録し、次の判断につなげる
外注を始めた後は、感覚だけで継続を決めないことも大切です。少なくとも次の項目を案件ごとに振り返ります。
- 社長の現地訪問回数は減ったか
- 電話や指示の回数は減ったか
- 手直しや工程の遅れはなかったか
- 顧客対応の品質を保てたか
- 外注費を含めても利益を確保できたか
- 次の案件も任せたいと思えるか
外部へ任せても社長の指示が増えたなら、人選か役割分担を見直します。反対に、複数案件で安定して任せられたなら、別の工種や地域へ広げられます。
その先で案件量が安定し、教育に使える時間も確保できた段階なら、改めて社員採用を検討できます。外注によって余白をつくってから採用へ進むほうが、育成も落ち着いて行いやすくなります。
まとめ
社長に設計、見積もり、発注、顧客対応、現場管理が集中している会社では、採用が必ずしも最初の答えになるとは限りません。
経験の浅い社員を採用すれば、忙しい時期に教育と指示が増える可能性があります。案件量に波があれば、固定費も判断材料になります。一方、技術と報告力のある職人出身者や協力会社なら、案件や地域に応じて任せやすくなります。
今回のような会社では、まず移動負担の大きい地域と工種を一つ選び、外部へ任せる方法が合っています。写真や動画で進捗を確認しながら、社長は重要な場面だけ現地へ行きます。
外注で社長の余白をつくり、任せ方を整えたうえで、必要なら社員採用へ進む。この順番なら、品質を守りながら属人化を少しずつ解消できます。
社長が担う範囲と任せる順番を整理するために
「採用するほど案件量が安定しているかわからない」「協力会社へ任せたいが、どこまで任せられるか判断できない」という段階では、まず社長の業務と現場ごとの負担を整理するところから始められます。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のようなケースでは、必要な人材像の整理、協力会社の開拓条件、遠隔管理の進め方などを一緒に検討できます。
「うちの場合は採用と外注のどちらが合うのか」という段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、今の体制や案件状況を整理する場として気軽にご活用ください。






























