前提

工場や大型施設の配管工事は豊富にある一方、社長が現場を見られる範囲が施工力の上限になっている現在地

岐阜県を拠点に、片道1時間ほどの中部圏で衛生・空調配管工事を手がける、年商4億円前後の専門工事会社があります。平日は大型施設やビル、休日には工場の点検・修繕に入り、新築と改修の両方に対応しています。

衛生設備だけでなく、空調配管、溶接配管、重機を使う屋外工事、集合トイレの器具付けまで、現場で求められる仕事はさまざまです。経営者の言葉を借りれば、「やることが多いから、未経験から全部できるようになるには最低でも5年。若い人なら8年くらいかかると思う」という仕事です。

案件自体が少ないわけではありません。むしろ、取引先から相談される工事は十分にあります。ただし、経営者自身も現場に出ており、これ以上受注を増やしても管理しきれません。

「仕事はたぶんいっぱいある。でも、もう受けられない」という状態です。

この会社の人手不足は、単純な採用人数の不足ではありません。幅広い工事を任せられる人が限られ、社長の管理余力が施工力の上限になっていることが本質です。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
  • 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
  • 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
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課題

5年以上かけて未経験者を育てても、独り立ちする前に辞める可能性を抱える採用判断

未経験者を採用すれば、将来の技能継承にはつながります。しかし、入社した時点では施工力として計算できません。先輩社員が現場で教え、できる作業を少しずつ増やしながら、長い期間をかけて育てる必要があります。

この会社でも若い未経験者が入りましたが、経営者は「まずは1年、2年いてくれればいいくらいに考えている」と話していました。5年以上かけて育てたい一方で、その前に辞める可能性も見ているためです。

未経験者の離職によって失うのは、採用費や給与だけではありません。

  • 教育担当者が現場で割いた時間
  • 作業を教えるために落とした生産性
  • 任せる予定だった現場の人員計画
  • 数年後の中核人材を見込んで組んだ受注計画

こうした負担を考えると、「未経験者を採って育てればよい」と簡単には決められません。一方、経験者採用も応募が多いわけではなく、一人採用できたとしても会社全体の施工力が一気に変わるわけではありません。

そこで協力会社を活用しようとしても、別のリスクがあります。「できます」と言っていた人に現場を任せたところ、実際には施工できず、自社の職人が応援や手直しに入ることがあります。事故が起きれば、病院や関係先への対応まで元請側の会社が担うことになります。

未経験者採用には育成途中で離職するリスクがあり、協力会社活用には技術や安全管理を見極めきれないリスクがあります。どちらか一方を選べば解決する問題ではありません。

背景

多能工を前提とする施工領域の広さと、社長に集中した教育・見極めの負担

育成に時間がかかる最大の理由は、この会社が求める「一人前」の範囲が広いことです。

たとえば、住宅のトイレを一つ取り付けた経験があるだけでは、大型施設の集合トイレや工場の配管工事を任せられるとは限りません。同じ配管工事でも、住宅、マンション、福祉施設、ビル、工場では、設備や施工方法が異なります。

「住宅系だけでは難しい。工場や大型施設に入っていた人なら話が早い」という言葉からも、職種名や経験年数だけでは技能を判断できないことが分かります。

協力会社についても、資格や登録書類がそろっているだけでは判断できません。この会社が重視しているのは、「現場で実際に使えるかどうか」です。そのため、最初から請負で任せず、まずは自社の職人と一緒に現場へ入り、補助的な立場で動きを見ます。問題がなければ、徐々に責任のある役割を任せていきます。

この進め方は堅実ですが、見極めを社長や限られたベテランが担い続けると、採用しても協力会社を増やしても管理負担が減りません。未経験者の教育まで同時に進めれば、既存現場を回す余力も圧迫されます。

また、経営者は売上規模をむやみに大きくしたいわけではありません。「よくやってくれる人が入ればありがたい。でも、無理に増やして社内を混乱させたくない」という考えです。

目指しているのは人数や売上の拡大ではなく、現在の受注を安定して施工でき、社長がすべてを見なくても回る体制です。人員の選び方も、この経営方針に合わせる必要があります。

解決

短期の施工力は経験者と協力会社で補い、中長期の技能継承は未経験者育成で進める役割分担

人員計画は、社員か協力会社かを二者択一で決めるより、必要になる時期と役割で分けると整理しやすくなります。

目の前の現場を回す人材と、5年後の会社を支える人材は、同じ方法で確保しなくても構いません。

1.直近の施工力は経験者採用と協力会社で確保する

数か月以内に入場してもらいたい現場がある場合、未経験者採用では間に合いません。大型施設や工場での施工経験を持つ経験者、または少人数の協力会社を優先する方が現実的です。

ただし、経験者社員と協力会社のどちらを選ぶかは、受注量の安定性で変わります。

判断軸

経験者社員を優先しやすい状態

協力会社を優先しやすい状態

仕事量

年間を通じて継続的に仕事がある

繁閑差や工期による増減が大きい

必要な役割

将来、現場責任者や教育担当を任せたい

特定現場や一定期間の施工力を補いたい

管理方法

自社の施工基準を継続して浸透させたい

現場単位で役割と責任範囲を切り分けられる

固定費

通年で雇用を維持できる見通しがある

受注量に応じて人員を調整したい

継続案件があり、現場を任せられる人材が不足しているなら、経験者社員の採用価値は高くなります。一方、工期や現場ごとの波が大きい場合は、協力会社を組み合わせた方が無理を抑えられます。

協力会社は、最初から大きな範囲を任せる必要はありません。この会社が行っているように、まず自社職人と一緒に入り、施工品質、安全意識、道具の準備、周囲との連携を確認します。その後、補助、部分的な担当、現場をまとめる役割へと段階的に広げます。

協力会社は書類や自己申告だけで決めず、小さく一緒に仕事をしてから任せる範囲を広げることが、手直しや事故への対応負担を抑える基本です。

2.未経験者は「教えられる人数」から逆算して採用する

未経験者採用は、応募人数ではなく教育担当者の余力から考えます。

整理したいのは、次の4点です。

  • 独り立ちまでに何年かかるか
  • 1年目、2年目、3年目に任せられる作業は何か
  • 誰が、どの現場で教えるか
  • 教育中の生産性低下をどこまで受け入れられるか

すべての作業を一度に教えると、本人も教育担当者も負担が大きくなります。衛生設備の補助、器具付け、配管、工場案件といったように、自社の仕事に沿って習得順序を整理し、「何ができれば次の段階か」を見えるようにします。

未経験者が一人前になるまで5年以上かかるなら、5年間をひとまとまりに考えるのではなく、半年や1年単位で任せられる仕事を増やしていく設計が必要です。これにより、育成途中でも一定の施工力として組み込みやすくなります。

3.採用の順序は、教育担当者を確保できるかで決める

教育を担えるベテランが現場で手いっぱいなら、未経験者を先に増やしても育成が進みません。その場合は、次の順序が考えやすくなります。

  1. 現在の現場を補える協力会社を確保する
  2. 経験者社員または現場をまとめられる人材を採用する
  3. 社長やベテランの現場負担を減らす
  4. 教育担当と育成現場を決めてから未経験者を採用する

反対に、受注量が年間を通じて安定し、教育担当者にも余力があるなら、未経験者採用を先行する余地があります。

未経験者採用の可否は、若手が来るかどうかではなく、入社後に誰が教え、どの現場で、どの順序で技能を身につけてもらうかまで決められるかで判断します。

まとめ

多能工化まで5年以上かかる会社では、未経験者だけで目の前の人手不足を埋めることは難しくなります。一方、協力会社だけに頼ると、技能や安全管理の見極めが経営者に集中し、手直しや事故対応の負担が残ります。

現実的なのは、役割と時間軸を分けることです。

  • 直近の施工力は、経験者社員や実務を確認できた協力会社で補う
  • 継続的な仕事と将来の現場責任者が必要なら、経験者社員を優先する
  • 繁閑差への対応や特定現場の補強には、協力会社を活用する
  • 中長期の技能継承は、教育担当者の余力をつくってから未経験者育成で進める
  • 採用人数ではなく、独り立ちまでの期間と教育できる人数から計画する

社員採用と協力会社活用は、どちらが正しいかを決めるものではありません。受注量の安定性、教育担当者の余力、独り立ちまでの期間、途中離職による損失を並べ、自社に合う組み合わせと順序を決めることが大切です。

自社に合う採用と協力会社の組み合わせを整理するために

「協力会社を先に増やすべきか」「経験者を採るべきか」「未経験者を受け入れる余力があるのか」は、会社の受注状況や施工領域によって変わります。まだ採用方針が固まっておらず、何から整理すべきか分からない段階でも問題ありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の人材課題を、現場の稼働状況、採用、教育体制、組織づくりまで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる体制に向けて、自社に必要な人員構成や採用順序から一緒に考えます。無理にサービスを勧めることはありませんので、自社の場合を整理する場としてご活用ください。

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