国土交通省は、令和8年5月分の「建設労働需給調査結果」を公表しました。全国の8職種計の過不足率は1.2%の不足となり、前月の0.6%不足から不足幅が拡大しました。前年同月の0.5%不足と比べても、不足感は強まっています。

公表内容

建設労働需給調査結果(令和8年5月分)

調査対象日

令和8年5月10日~20日までの間の1日(日曜・休日を除く)

全国8職種計の過不足率

1.2%の不足

前月との比較

令和8年4月の0.6%不足から0.6ポイント不足幅が拡大

前年同月との比較

令和7年5月の0.5%不足から0.7ポイント不足幅が拡大

全国6職種計の過不足率

0.8%の不足

今後の労働者確保の見通し

7月・8月ともに「普通」

今回の数字は、単に「人手不足が続いている」という話ではありません。中小建設業にとっては、どの職種で、どの地域で、どの局面で不足が出ているのかを見る材料になります。特に、受注前の工程検討、協力会社の確保、採用・定着の優先順位づけに使える情報です。

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  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード

まず押さえたいのは「全体は普通に見えても、不足幅は拡大している」という点です

今回、国土交通省は全国8職種の今後の労働者確保の見通しについて、7月・8月ともに「普通」としています。

一方で、足元の過不足率を見ると、8職種計は1.2%の不足です。前月から0.6ポイント、前年同月から0.7ポイント不足幅が拡大しています。

ここで大事なのは、「見通しは普通」と「足元の不足幅拡大」は矛盾しない、ということです。

現場感覚で言えば、急に全職種で大混乱が起きているというより、必要なときに必要な職種をそろえる難しさが、じわりと増している状態に近いと考えられます。

中小建設企業にとっては、次のような確認が必要です。

  • 受注時点で、主要職種の確保見込みをどこまで確認しているか
  • 工程がずれた場合に、再手配できる余地があるか
  • 協力会社に依存している職種ほど、早めに情報交換できているか
  • 採用・育成の優先職種が、実際の不足職種と合っているか

「全体として普通だから大丈夫」と見るより、自社の工種・地域・繁忙期に引き寄せて読むことが大切です。

職種別では、鉄筋工(建築)を除き不足傾向です

職種別の原数値では、鉄筋工(建築)は2.0%の過剰となった一方、その他の職種は不足となっています。

主な職種別の過不足率は次のとおりです。

職種

令和8年5月の過不足率

型わく工(土木)

2.9%の不足

型わく工(建築)

0.2%の不足

左官

0.5%の不足

とび工

1.7%の不足

鉄筋工(土木)

1.1%の不足

鉄筋工(建築)

2.0%の過剰

電工

2.2%の不足

配管工

1.3%の不足

6職種計

0.8%の不足

8職種計

1.2%の不足

特に目立つのは、型わく工(土木)2.9%不足、電工2.2%不足、とび工1.7%不足です。

もちろん、この数字だけで個社の人員確保を断定することはできません。ただ、該当職種を多く使う会社では、見積段階や工程表作成の段階で、「いつもの単価・いつもの手配期間」で本当に組めるかを確認しておきたいところです。

現場では、「人は何とかなるだろう」と思って受注した後に、工程が近づいてから職人がそろわず、段取り替えや残業、休日作業で吸収することがあります。今回の調査では、後述するように残業・休日作業を強化している現場も一定割合あります。これは、現場側の努力で不足を吸収している部分があるという見方もできます。

だからこそ、経営側は受注前に労務の裏取りをする。この一手が、利益を守る動きになります。

地域別では、関東・九州・近畿などで不足が出ています

8職種計の地域別では、北海道と北陸で過剰、その他の地域で不足となっています。

地域

8職種計の過不足率

北海道

0.1%の過剰

東北

0.3%の不足

関東

1.9%の不足

北陸

1.0%の過剰

中部

0.8%の不足

近畿

1.1%の不足

中国

0.5%の不足

四国

0.7%の不足

九州

1.6%の不足

沖縄

0.8%の不足

特に、関東は1.9%不足、九州は1.6%不足、近畿は1.1%不足です。

また、前年同月との比較では、関東及び近畿が1.3ポイント増で、全国で最も増加幅が大きくなっています。一方、北海道は1.9ポイント減で、全国で最も減少幅が大きくなっています。

地域差があるということは、同じ職種でも、会社の所在地や施工エリアによって打ち手が変わるということです。

たとえば、関東・近畿のように不足幅が広がっている地域では、協力会社との年間単位の関係づくりや、繁忙期を見越した早期手配の価値が高くなります。反対に、過剰傾向が出ている地域でも、特定職種や特定時期では不足する可能性がありますので、全体数字だけで安心するのは早計です。

中小建設業では、地域の協力会社ネットワークそのものが競争力です。今回のような調査は、自社の肌感覚が全国・地域の傾向とズレていないかを確認する材料として使えます。

新規募集の不足率は、採用・応援手配の厳しさを映しています

今回の調査で注目したいのが、新規募集の過不足状況です。

新規募集の過不足率は、6職種計、8職種計ともに前年同月を上回る不足率となっています。8職種計では6.0%、6職種計では5.9%です。

職種

新規募集過不足率

型わく工(土木)

9.0%

型わく工(建築)

9.9%

左官

4.3%

とび工

5.6%

鉄筋工(土木)

6.7%

鉄筋工(建築)

2.3%

電工

9.3%

配管工

4.0%

6職種計

5.9%

8職種計

6.0%

ここは経営判断に直結します。

足元の過不足率が1.2%であっても、新規募集では8職種計で6.0%の不足です。つまり、いま現場にいる人員で何とか回っている会社でも、新たに人を確保しようとすると難しさが出やすいということです。

採用担当や工事部門からすれば、「募集を出しても思うように人が来ない」「応援を頼んでも以前ほど簡単ではない」という感覚に近いかもしれません。

ここで考えたいのは、採用だけを頑張ることではありません。

  • 採用する職種の優先順位を決める
  • 離職を防ぐために、現場配置や評価の不満を減らす
  • 技能者が定着しやすい教育・育成の型をつくる
  • 繁忙期だけ外部に頼る前提を見直す
  • 受注量と施工体制のバランスを毎月確認する

こうした地味な取り組みが、結果として人材確保力になります。

特に中小企業では、給与だけで大手と競争するのは簡単ではありません。だからこそ、働き続けやすい現場、成長が見える仕事、納得感のある評価を整えることが、採用力そのものになります。

残業・休日作業の理由から、工程リスクも見えてきます

今回の調査では、残業・休日作業を実施している現場数、いわゆる強化現場数は、全手持現場数の2.5%でした。前月の2.4%から0.1ポイント増加し、前年同月の2.7%からは0.2ポイント減少しています。

強化理由は、「その他」35.8%を除くと、次の順です。

強化理由

割合

前工程の工事遅延

31.3%

昼間時間帯の時間の制約

25.4%

天候不順

4.5%

無理な受注

3.0%

ここで見逃せないのは、前工程の工事遅延が31.3%を占めていることです。

人手不足の話は、採用だけで終わりがちです。しかし実際には、前工程が遅れると、後工程の職人手配がずれます。ずれた日程で再手配できなければ、残業や休日作業で吸収するしかありません。

つまり、労務リスクは工程リスクでもあります。

中小建設企業が見るべきポイントは、次の3つです。

  1. 工程表に、人員確保の確認タイミングが入っているか
  2. 前工程の遅れを早めに把握する連絡ルールがあるか
  3. 遅れた場合に、協力会社へどの順番で相談するか決まっているか

「現場が何とかしてくれる」で済ませると、しわ寄せは現場代理人、職長、協力会社に行きます。短期的には回っても、長期的には疲弊や離職につながりかねません。

工程管理と人員確保を一体で見ることが、これからますます重要になります。

中小建設業が今回の調査から見直したいこと

今回の建設労働需給調査は、すぐに制度対応が必要なニュースではありません。ただし、経営の前提を点検する材料としては、とても実務的です。

特に見直したいのは、次の項目です。

  • 受注判断:人員確保の見込みを確認してから受けているか
  • 見積:労務単価や外注費の上昇リスクを織り込めているか
  • 工程:前工程の遅れが後工程の人員手配に与える影響を見ているか
  • 採用:不足が出やすい職種に採用・育成の資源を寄せているか
  • 定着:既存社員や協力会社に無理が偏っていないか
  • 協力会社:単発のお願いではなく、先々の予定を共有できているか

今回の数字で最も大切なのは、不足率1.2%という単体の数字ではなく、不足幅が前月・前年同月から拡大していることです。

急に大きく構えを変える必要はありません。けれど、受注、工程、採用、外注の前提を「これまで通り」で置くのは、少しずつ危うくなっています。

まずは、自社の直近3か月の案件について、次のように確認してみるのが現実的です。

  • どの職種の手配で苦労したか
  • どの協力会社に負担が偏ったか
  • 工程変更で再手配が発生した現場はあったか
  • 採用・募集で反応が弱い職種はどこか
  • 残業や休日作業で吸収した現場はなかったか

こうして自社の実感と国の調査を重ねると、次に打つべき手が見えやすくなります。

自社の人員計画と受注判断を整理するきっかけに

建設技能労働者の不足は、採用担当だけの課題ではありません。受注、見積、工程、協力会社管理、評価制度、教育までつながる経営課題です。

「うちの場合、どの職種から手をつけるべきか」「採用を強めるべきか、協力会社との関係づくりを優先すべきか」「受注量と施工体制のバランスをどう見ればよいか」と感じたら、一度整理してみるだけでも十分価値があります。

ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで、現場と経営を横断して課題整理と実行支援を行っています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、まずは自社の状況を一緒にほどいていくところから始められます。

「何から整理すべきかわからない」という段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、必要な範囲で壁打ち先としてご活用ください。

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