国土交通省は、令和8年度「既存建築物省エネ化推進事業(LCCO₂評価実施型)」の提案募集を開始しました。対象は、民間事業者等が行う既存建築物、特に非住宅建築物の省エネ改修工事です。応募期間は令和8年6月19日から7月31日まで。補助率は補助対象工事の1/3で、限度額は1件あたり5,000万円とされています。
事業名 | 令和8年度 既存建築物省エネ化推進事業(LCCO₂評価実施型) |
対象 | 建築物(非住宅)の省エネ改修工事 |
応募期間 | 令和8年6月19日(金)~7月31日(金) |
採択公表予定 | 令和8年10月頃を目処 |
補助率 | 補助対象工事の1/3 |
補助限度額 | 5,000万円/件(設備部分は2,500万円) |
主な対象工事 | 省エネ改修工事、併せて実施するバリアフリー改修工事、エネルギー計測に要する費用 |
事業期間 | 採択年度を含め原則2年以内 |
第2回募集 | 実施は未定 |
1週間で 15件ダウンロード されました
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
これは「工事費の補助」だけでなく、改修提案の入口になります
今回の制度は、既存建築物の省エネ化を進めるための支援です。
対象は、非住宅の既存建築物に対する省エネ改修工事です。具体的には、天井・外壁などの断熱、開口部の複層ガラス化や二重サッシ化、高効率空調、換気、給湯、照明などが例示されています。
中小建設業にとって大事なのは、ここです。
この制度は、建物オーナーや事業者に対して「今なら省エネ改修を検討しやすいですよ」と提案する材料になるということです。
「古い事務所の空調が効きにくい」 「工場や店舗の電気代が上がっている」 「窓まわりや天井の断熱が弱い」 「照明更新だけでなく、建物全体で省エネを考えたい」
こうした相談がある会社にとって、補助制度の存在は背中を押す材料になります。単なる修繕ではなく、省エネ効果を見込んだ改修計画として提案できるかがポイントになりそうです。
主な要件は「躯体改修」と「省エネ効果」です
公表資料では、主な事業要件として次の内容が示されています。
まず、躯体の省エネ改修を伴うことが求められます。 壁、天井などの改修が想定されています。高機能換気設備を設置する場合も、躯体または外皮の改修を伴う必要があります。
次に、改修前と比較して20%以上の省エネ効果が見込まれることが要件です。ただし、外皮改修面積割合が20%を超える場合は15%以上とされています。
また、改修後には一定の省エネ性能に関する基準を満たす必要があります。さらに、改修後の耐震性、省エネ性能の表示、事例集への情報提供協力も要件に含まれています。
つまり、設備だけを入れ替えるような単発工事ではなく、建物全体の性能向上として説明できる改修計画が求められる制度です。
ここは、現場を知っている建設会社の腕の見せどころです。
「この建物なら、どこを触ると効果が出るか」 「予算の中で、断熱・開口部・設備をどう組み合わせるか」 「工事中の営業や操業への影響をどう抑えるか」
こうした現実的な組み立てが、施主にとっては一番ありがたいはずです。
補助対象と限度額を押さえると、提案の幅が見えます
補助対象は、省エネ改修工事、併せて実施するバリアフリー改修工事、エネルギー計測に要する費用です。
補助率は、補助対象工事の1/3です。限度額は1件あたり5,000万円。ただし、設備部分は2,500万円とされています。
さらに、バリアフリー改修工事を行う場合は、その工事費用として2,500万円を補助限度額に加算できると示されています。
ここから見えるのは、省エネ改修とバリアフリー改修を一体で考える余地があるということです。
たとえば、古い事務所、店舗、施設などでは、省エネだけでなく、段差、手すり、廊下幅、スロープなどの課題が同時に残っていることがあります。公表資料でも、スロープの設置、廊下等の拡幅、手すりの設置、段差の解消が例示されています。
もちろん、実際に補助対象となるかは募集要領の確認が必要です。ただ、施主との会話では、「光熱費対策」と「使いやすい建物への更新」をまとめて考えるきっかけになります。
2,000㎡以上の大規模建築物ではLCCO₂評価が必要です
今回の事業名には、LCCO₂評価実施型とあります。
公表資料では、大規模建築物、具体的には2,000㎡以上の改修の場合、ライフサイクルカーボン評価を実施し、その結果を国に報告することが要件として示されています。
中小建設業でも、工場、倉庫、商業施設、医療・福祉施設、事務所ビルなどに関わる会社は、この点を見落とせません。
「工事としてはできる」だけでは足りない場面が出てきます。評価、資料作成、設計者や設備会社との連携、施主側の意思決定支援が必要になります。
省エネ改修は、現場力だけでなく、説明力と資料対応力も問われる工事になってきています。
ここは少し面倒に感じるかもしれません。けれど、逆に言えば、きちんと対応できる会社は選ばれやすくなります。
中小建設業がまず確認したいこと
今回の募集期間は、令和8年6月19日から7月31日までです。採択事業は、応募提案を審査したうえで、令和8年10月頃を目処に公表予定とされています。第2回提案募集の実施は未定です。
中小建設業としては、まず次の点を確認したいところです。
1つ目は、自社の既存顧客に対象になりそうな建物があるか。 事務所、店舗、工場、倉庫、施設など、非住宅の既存建築物を持つ顧客です。
2つ目は、単なる設備更新ではなく、躯体・外皮改修を含めた提案ができるか。 断熱、開口部、空調、換気、照明をどう組み合わせるかが重要です。
3つ目は、省エネ効果や基準適合を説明できる体制があるか。 自社だけで難しければ、設計者、設備業者、エネルギー計算に詳しい外部パートナーとの連携も選択肢です。
4つ目は、工期と施主の事業活動をどう両立するか。 事業期間は採択年度を含め原則2年以内とされていますが、実際の現場では営業中・操業中の建物も多いはずです。段取りの良さが価値になります。
補助金は、知っているだけでは受注につながりません。施主の困りごとに合わせて、使える形に翻訳して初めて力を持ちます。
「修繕」から「性能を上げる改修」へ、提案の言葉を変える
今回の発表から感じる大きな流れは、既存建築物への投資が、少しずつ「壊れたから直す」から「性能を上げて使い続ける」へ移っていることです。
電気代。暑さ寒さ。働く環境。利用者の安全性。建物の資産価値。脱炭素への対応。
施主の悩みは、ひとつではありません。
だからこそ、建設会社側も提案の言葉を少し変えていく必要があります。
「直します」だけでなく、「使いやすく、光熱費を抑えやすく、長く使える建物に近づけます」と伝える。
この一言で、工事の見え方は変わります。
特に地域の中小建設業は、施主の建物の歴史も、使い方も、困りごとも近くで見ています。その距離感は大きな強みです。制度を追い風にして、既存顧客への声かけを始める価値はありそうです。
自社でどう提案に落とし込むかを整理する
今回のような省エネ改修の補助制度は、要件を読むだけでも少し骨が折れます。自社が応募主体になるのか、施主への提案材料にするのか。設計・設備・計算を誰と組むのか。見積や工程をどう組み立てるのか。考えることがいくつもあります。
「うちのお客様で対象になりそうな建物はあるか」 「どこまで自社で対応し、どこから外部と組むべきか」 「補助金を前提にした提案書や概算見積をどう作ればよいか」
こうした整理が必要な場合は、早めに一度、壁打ちしてみるのも良いと思います。
ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで、現場と経営をまたいだ課題整理をお手伝いしています。今回のような制度についても、「自社の場合はどう考えるべきか」という段階から一緒に整理できます。
無理な営業はいたしません。まだ方向性が固まっていない段階でも大丈夫です。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、次の一手を考える場としてご活用ください。

































