国土交通省は、令和8年(2026年)4月分の「建設総合統計」を公表しました。建設総合統計は、国内の建設活動を出来高ベースで把握するための統計です。今回の公表では、4月の出来高総計が4兆8,444億円、前年同月比5.6%増となりました。

公表内容

建設総合統計 令和8年(2026年)4月分

公表日

令和8年6月19日

出来高総計

4兆8,444億円(前年同月比5.6%増)

民間総計

3兆7,322億円(前年同月比8.2%増)

公共総計

1兆1,122億円(前年同月比4.2%増)

注意点

毎年6月に直前3月分から過去3カ年分を遡及改定。今回は建設工事受注動態統計調査の訂正に伴い、過去5カ年分についても最新の補正率で算定

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  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
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今回の数字から見えること

今回のポイントは、建設出来高が前年同月比で増加していることです。総計は前年同月比5.6%増、民間は8.2%増、公共は4.2%増とされています。

中小建設業にとって、この数字は「市場全体が動いているか」を見るための基礎情報になります。特に民間総計の伸びが公共総計を上回っている点は、民間建築・民間設備投資・開発案件などの動きが、地域や業種によって受注環境に影響している可能性を示します。

ただし、ここで大切なのは、建設総合統計の出来高は名目値であるという点です。資材価格や労務費の上昇がある局面では、出来高金額が増えていても、会社の利益が同じように増えているとは限りません。

つまり、経営者が見るべきなのは、単に「市場が伸びているか」ではなく、受注単価・原価・粗利が一緒に改善しているかです。

「出来高が増えている」局面で中小建設業が確認したいこと

建設市場全体の出来高が増えているとき、現場では仕事量が増えやすくなります。一方で、忙しさが利益につながらない会社も出てきます。

確認したいのは、次のような点です。

  • 受注時点の見積に、最新の労務費・材料費・外注費が反映されているか
  • 工期が詰まりすぎて、追加コストや手戻りが増えていないか
  • 民間案件と公共案件で、粗利率や入金条件を分けて見ているか
  • 人員不足を残業や外注で埋めた結果、利益が薄くなっていないか
  • 売上高ではなく、現場別の粗利と資金繰りで判断できているか

市場が伸びている局面では、受注機会も増えます。しかし、すべての案件を取りに行くのではなく、自社にとって利益と体制が合う案件を選ぶ力がより重要になります。

特に中小建設業では、1件の大型案件や難しい案件が、年間の利益や資金繰りに大きく影響します。出来高統計は景況感を見る材料ですが、最終的には自社の数字に引き直して見る必要があります。

今回は「遡及改定」にも注意が必要です

今回の公表では、通常の定例遡及改定に加えて、「建設工事受注動態統計調査」の訂正に伴う対応も示されています。

国土交通省の発表では、毎年6月、4月分公表時に、確定した建設投資額の実績値から算出される直近の補正率を用いて、直前の3月分から過去3カ年分を遡及改定するとされています。

さらに今回は、建設工事受注動態統計調査の訂正に伴い、直前の3月分から過去5カ年分の着工相当額を月別出来高に展開し、補正率を最新のものを用いて算定したとされています。

この点は、統計を社内資料や金融機関向け資料、経営計画の前提に使っている会社にとって重要です。

過去のグラフや市場見通しを以前のデータで作成している場合、今回の改定後の数字とズレる可能性があります。特に、年度比較や前年比の説明に使う場合は、最新版のe-Statデータで見直すことが望ましいです。

経営判断では「市場全体」より「自社の勝ち筋」に落とし込む

建設総合統計は、全体の建設活動を把握するには有用です。ただし、中小建設業の経営判断では、全国の総計よりも、次のように自社の事業に引き寄せて考えることが大切です。

  • 公共工事中心の会社:公共出来高の動きと、地域の発注見通しを合わせて見る
  • 民間元請・下請の会社:民間需要の伸びが、自社の専門工種に波及しているかを見る
  • 専門工事会社:元請の受注環境だけでなく、自社の単価交渉余地を見る
  • 労務依存度が高い会社:出来高増加に対して、人員・協力会社・安全管理が追いつくかを見る
  • 原価変動が大きい会社:名目の売上増加ではなく、粗利率の維持を優先する

今回のように出来高が増えている局面では、「忙しくなるかもしれない」という期待と同時に、「忙しいのに儲からない」状態を避ける準備が必要です。

具体的には、見積単価の更新、協力会社単価の確認、現場別粗利の早期把握、採用・育成計画の見直しが論点になります。市場の伸びを、自社の利益と組織づくりにつなげられるかが分かれ目です。

次に見るべき社内の数字

今回の統計を読んだ後に、社内で確認したい数字はシンプルです。

まず、直近の受注残です。受注残が増えている場合、それが利益を伴うものかを確認します。次に、現場別粗利です。売上高が伸びていても、粗利が落ちていれば経営の体力は増えていません。

そして、労務・外注・材料の単価です。出来高が増える市場では、人も資材も取り合いになりやすくなります。過去の単価を前提に見積を出すと、受注後に利益が削られる可能性があります。

最後に、資金繰りです。工事量が増えるほど、先行支出も増えます。増収局面ほど資金繰りを丁寧に見ることが、安定経営につながります。

自社の受注方針と利益管理を整理する機会に

今回の建設総合統計は、市場全体として建設活動が増加していることを示す材料です。一方で、中小建設業にとって本当に大切なのは、統計上の増加をそのまま楽観視することではありません。

どの案件を取り、どの案件は慎重に見るか。どの単価を改定し、どの原価を先に把握するか。 ここを整理することで、市場の追い風を自社の持続的な成長につなげやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

「今回のような市場統計を、自社の受注方針や利益管理にどう落とし込めばよいか」「うちの場合は、何から見直すべきか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な論点を一緒に整理する場としてご活用ください。

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