国土交通省は、廃校や古民家などの遊休公的施設を官民連携で活用する「スモールコンセッション形成推進事業」について、9つの調査に派遣する専門家を選定しました。地方公共団体に専門家を派遣し、施設の現況調査、市場調査、事業手法の検討、改修計画の検討などを支援します。

発表日

令和8年6月18日

事業名

スモールコンセッション形成推進事業

対象

9つの調査

主な対象施設

古民家、学校、複数の遊休公的施設

支援内容

エリアビジョン検討、施設現況調査、市場調査、事業手法検討、耐震診断、法適合状況の確認、設備更新を含む改修計画の検討等

今後の予定

令和9年2月頃に成果報告会を開催予定

今回選定された主な対象は、次の9件です。

施設用途

地方公共団体・対象施設

選定事業者

古民家

栃木県上三川町・旧生沼家住宅

合同会社swan

古民家

静岡県磐田市・旧津倉家

静銀経営コンサルティング株式会社

古民家

京都府京都市・旧今村家住宅

株式会社エンジョイワークス

古民家

奈良県斑鳩町・安田家住宅

一般社団法人創造遺産機構

学校

静岡県磐田市・旧岩田小学校

Amame Associate Japan株式会社

学校

山口県・山口県宇部市・旧宇部西高等学校

株式会社日建設計総合研究所

複数施設

青森県弘前市・旧弘前偕行社、旧藤田家住宅

風のヘリテージ株式会社・合同会社コトプレイス共同体

複数施設

岡山県美作市・美作歴史資料館、女性活動推進センター

日本工営都市空間株式会社

複数施設

徳島県美波町・日和佐城、城山交流拠点施設

株式会社ブレインファーム

1週間で 12件ダウンロード されました

  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード

これは「すぐ工事が出る発表」ではなく、案件形成の入口です

今回の発表は、工事発注の公告ではありません。

ここは大事です。

現時点では、地方公共団体が遊休公的施設をどう活用するか、その構想をつくる初期段階です。

国土交通省の資料では、専門家のサポート内容として、次のような項目が挙げられています。

  • エリアビジョンの検討
  • 施設現況調査
  • 市場調査
  • 事業手法の検討
  • 耐震診断
  • 法適合状況の確認
  • 設備更新を含む施設の改修計画の検討
  • 建物の用途、構成、運営等に関するマーケティング
  • 受託事業者となり得る企業の発掘
  • 周辺施設・事業との連携、バンドリングの検討

つまり、まだ「何をつくるか」「誰が運営するか」「どの程度改修するか」を整理している段階です。

ただし、地域の建設会社にとっては、ここが見逃せません。

構想段階で必要になる情報の中に、建物の状態、耐震、法適合、設備更新、改修可能性があります。これは建設会社の知見が生きる領域です。

「決まってから入る」だけでなく、「決まる前に地域の課題を知っておく」。

この姿勢が、今後の公共・民間の境目にある仕事では効いてきます。

中小建設業が見るべきポイントは「施設名」と「用途の変化」です

今回の対象には、古民家、旧小学校、旧高校、歴史資料館、公共施設、城、交流拠点施設などが含まれています。

どれも新築中心の案件ではありません。

既存建物をどう残し、どう使い直すか。そこに工事、調査、維持管理、設備更新の仕事が生まれる可能性があります。

特に見ておきたいのは、次の3点です。

1つ目は、自社の営業エリア内に対象施設があるかです。

対象地域に近い会社であれば、自治体の今後の公表資料、議会資料、地域説明、成果報告会の内容を追いやすくなります。

2つ目は、施設用途が何に変わろうとしているかです。

たとえば、学校を地域コミュニティ拠点にする場合と、古民家を観光・交流の拠点にする場合では、必要な改修も管理も変わります。

水回り。空調。バリアフリー。防災。避難動線。電気容量。雨漏り。外構。サイン。維持管理。

現場の目で見ると、検討すべきことは一気に具体化します。

3つ目は、運営事業者だけでなく、施工・保全を担う地域企業の役割があるかです。

スモールコンセッションは、民間事業者の創意工夫を生かす小規模な官民連携事業とされています。

運営する会社だけで完結するとは限りません。

建物を直す会社、使える状態を保つ会社、地域の事情を知る会社が必要になる場面があります。

ここに、地元の中小建設業の出番があります。

「公共工事」だけでなく「地域事業の一部」として見る時代です

これまでなら、公共施設に関わる仕事は「発注公告を待つ」という見方が中心でした。

もちろん、それは今後も重要です。

ただ、遊休公的施設の利活用では、少し景色が変わります。

建物の工事だけでなく、地域課題の解決、運営、収益性、周辺施設との連携まで含めて構想が組まれていきます。

「この施設を直すかどうか」だけではありません。

「この施設を直して、誰が使い、どう続けるか」まで見られます。

建設会社側も、少しだけ視点を広げる必要があります。

たとえば、こんな問いです。

  • 自社は古民家や木造建築の改修に対応できるか
  • 学校施設の改修や設備更新の経験を整理できているか
  • 耐震、法適合、設備、外構など、協力会社を含めた体制を説明できるか
  • 地域の観光、福祉、教育、移住、交流などの事業者と接点があるか
  • 維持管理や小修繕まで含めて提案できるか

すべてを自社で抱える必要はありません。

ただ、「うちは施工だけです」から一歩進んで、「この建物を使い続けるために、うちなら何を支えられるか」を言語化しておくことが大切です。

令和9年2月頃の成果報告会は、案件の方向性を見る機会です

国土交通省の資料では、令和9年2月頃に、スモールコンセッションプラットフォームのイベントで成果報告会を開催予定とされています。

本事業で取りまとめる「プロジェクトの構想」等を用いて、地方公共団体や民間事業者が検討成果を報告する予定です。

中小建設業にとっては、この成果報告会が、今後の案件の方向性を知る手がかりになります。

どの施設が、どんな用途を目指すのか。

どの程度の改修が想定されるのか。

運営事業者、設計者、施工者、維持管理者にどんな役割が求められそうか。

ここを見ておくと、発注が具体化した後に慌てずに済みます。

特に対象地域の会社は、自治体の動きも合わせて確認しておきたいところです。

地域の建設会社は「古い建物を使い続ける力」を棚卸ししておきたい

人口減少が進む地域では、すべてを新しく建て替えることは難しくなります。

一方で、廃校、古民家、旧公共施設には、地域の記憶や立地の強みが残っています。

今回のスモールコンセッションは、そうした建物をもう一度地域の資産として使う流れの一つです。

これからは、壊して建てる力だけでなく、直して使う力、残して稼働させる力が評価されやすくなります。

中小建設会社が今できる準備は、難しいものばかりではありません。

  • 過去の改修工事の実績を写真付きで整理する
  • 木造、学校、公共施設、文化財周辺などの経験を分けておく
  • 雨漏り、耐震、設備更新、バリアフリーなどの対応範囲を明確にする
  • 協力会社との対応体制をまとめる
  • 地元自治体や地域事業者の動きを定期的に見る

地味ですが、効きます。

「うち、こういう建物なら見られますよ」

この一言を、根拠を持って言える会社は強いです。

自社に関係する可能性を整理するところから始める

今回の発表は、すべての建設会社にすぐ影響するものではありません。

ただ、対象地域に近い会社、改修に強い会社、公共施設や古民家に関わってきた会社にとっては、先に見ておく価値があります。

「うちの地域でも、こういう遊休施設はある」

「改修の相談は来るが、事業全体の話になると入り方が分からない」

「施工だけでなく、維持管理や地域事業者との連携まで考えた方がよさそうだ」

そう感じたら、一度、自社の立ち位置を整理してみるのがよいと思います。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援し、ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、経営者の懐刀として伴走します。

今回のような官民連携や地域施設活用についても、「うちの場合は関係があるのか」「何から整理すればよいのか」という段階からで大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する相手が必要なときは、お問い合わせはこちらからご連絡ください。