国土交通省は、令和8年度「民間提案型官民連携モデリング事業」について、36件の応募の中から10件の実施調査を選定しました。

この事業は、地方公共団体が抱える課題を、民間事業者からの提案による官民連携手法で解決していくものです。今回の選定テーマには、インフラ維持管理、スモールコンセッション、グリーン社会が含まれています。

発表日

令和8年6月18日

事業名

令和8年度 民間提案型官民連携モデリング事業

応募件数

36件

採択件数

10件

主な分野

持続可能なインフラマネジメント、スモールコンセッション、グリーン社会

実施方法

国土交通省の委託調査により、官民が一体となって新たな官民連携手法を構築

中小建設業にとっては、すぐに入札条件が変わるという話ではありません。

ただし、かなり大事な兆しです。

自治体のインフラ維持管理を、従来の単発工事だけでなく、包括的・広域的・データ活用型で進める流れが強まっているからです。

1週間で 12件ダウンロード されました

  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
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今回選ばれた10件の内訳

今回の採択は、次の3分野です。

分野

採択件数

内容の方向性

持続可能なインフラマネジメントの実現

6件

道路、橋梁、インフラ維持管理、群マネ、包括的民間委託など

スモールコンセッションの推進

2件

遊休公的施設の利活用、小規模PPP/PFIなど

グリーン社会の実現

2件

グリーンインフラ、カーボンニュートラル、地域価値の可視化など

特に注目したいのは、6件採択された「持続可能なインフラマネジメント」です。

選定された調査には、次のようなものがあります。

  • 水辺利活用事業とインフラ維持管理事業を統合した群マネスキーム
  • 道路橋マネジメントスキーム
  • 市民協働を基盤としたインフラメンテナンスのまちづくり
  • 工事を含めた道路・橋梁マネジメント手法
  • 苦情・要望対応を一気通貫する低負荷インフラ維持管理モデル
  • フェーズフリー型インフラ管理体制に向けた包括的民間委託モデル

言葉は少し大きいです。

でも現場目線で見ると、こういう話です。

「壊れたら直す」「単年度で発注する」「施設ごとに別々に管理する」だけでは、自治体側も限界に近づいているということです。

中小建設業が見るべきポイントは「工事の前後」です

これまで多くの地域建設会社は、自治体から発注される工事を、仕様に沿って確実に施工してきました。

それは今後も重要です。

ただ、今回のような官民連携のモデルでは、工事そのものだけでなく、工事の前後が重くなります。

たとえば、次のような領域です。

  • 点検
  • 診断
  • 維持管理計画
  • 住民からの苦情・要望対応
  • 複数施設をまとめた管理
  • 複数自治体をまたぐ管理
  • データの蓄積・共有
  • 災害時も平常時も使える管理体制

これからのインフラ維持管理では、「施工できる会社」だけでなく、「地域のインフラを継続的に見ている会社」の価値が上がる可能性があります。

ここは、中小建設業にとって悲観する話ではありません。

むしろ地域密着の会社ほど、強みがあります。

「この橋は冬場に傷みやすい」

「この道路は通学時間帯に住民要望が出やすい」

「この水路は大雨のあと必ず確認が必要になる」

こうした肌感覚は、地域で仕事をしている会社に蓄積されています。

今後、その知見をどう記録し、どう提案に変え、どう協力体制に組み込むかが問われていきます。

大手・コンサルだけの話にしないことが大切です

別紙の選定団体を見ると、大手建設会社、建設コンサルタント、通信・インフラ系企業などの名前が並んでいます。

そのため、「うちには関係ない」と感じる経営者もいるかもしれません。

ですが、そこで切り離してしまうのは少し早いです。

モデル事業で形になった仕組みは、将来的に地方ブロックプラットフォームなどを通じて横展開されることが想定されています。

つまり、今回の10件は、すぐの案件というより、これから自治体がどのような発注・委託の形を試していくのかを見る材料です。

大きな設計は大手やコンサルが担うとしても、実際の維持管理や補修、巡回、緊急対応、地域調整では、地元企業の関与が欠かせない場面があります。

中小建設業としては、次の問いを持っておきたいところです。

  • 自社は維持管理業務の実績を整理できているか
  • 点検、補修、緊急対応を一体で語れるか
  • 協力会社や異業種との連携余地はあるか
  • 自治体に対して、困りごとの把握や改善提案ができるか
  • 現場情報を写真、台帳、報告書として残せているか

「発注が出たら取りに行く」だけでなく、「地域の管理機能の一部になる」発想が、少しずつ重要になっています。

スモールコンセッションは建築・改修・維持管理の入口になる可能性もあります

今回、スモールコンセッションの分野では2件が選ばれています。

スモールコンセッションは、人口減少などで生じた遊休公的施設を、民間の創意工夫で利活用していく小規模なPPP/PFI事業です。

中小建設業から見ると、ここには建築、改修、設備、外構、維持管理の仕事につながる可能性があります。

もちろん、個別案件ごとの条件を見なければ判断はできません。

ただ、公共施設の利活用が進むほど、単なる新築工事ではなく、既存施設をどう直し、どう使い続け、どう地域に開くかがテーマになります。

地域の工務店、専門工事会社、設備会社にとっても、関わり方を考える価値があります。

特に、空き施設や老朽施設を抱える自治体では、今後似たような検討が増える可能性があります。

自社の商圏にある公共施設を見てみるだけでも、気づきがあります。

「この施設、今後どうなるのだろう」

「改修するなら、どこが課題になりそうか」

「維持管理まで含めると、どんな体制が必要か」

そういう目線を持つことが、次の提案力につながります。

まず社内で整理しておきたい3つのこと

今回の発表を受けて、中小建設業がすぐに大きく動く必要はありません。

ただ、準備しておくと差が出ることがあります。

1つ目は、維持管理・補修・緊急対応の実績を整理することです。

工事件名だけでなく、施設種別、対応内容、工期、夜間対応、災害時対応、住民対応の有無なども残しておくと、自社の強みが見えやすくなります。

2つ目は、自治体の困りごとを聞く接点を持つことです。

営業というより、地域の会話です。

「最近、維持管理で人手が足りないところはありますか」

「苦情対応で大変な場所はありますか」

「小規模修繕で手が回りにくいものはありますか」

こうした声を拾える会社は、提案の種を持てます。

3つ目は、現場情報をデータとして残すことです。

難しいシステムから始める必要はありません。

写真、位置情報、対応履歴、報告書の型をそろえるだけでも一歩です。

インフラ管理の世界では、現場を知っていることに加えて、それを共有できる形にすることが重要になっていきます。

自社の関わり方を一度整理してみる

今回の発表は、すぐに全社で対応を迫られるニュースではありません。

しかし、公共工事や維持管理を事業の柱にしている会社にとっては、今後の方向を読む材料になります。

「うちは施工中心でよいのか」

「維持管理まで広げるべきか」

「自治体や元請、大手企業とどう組むのか」

「現場情報をどう残せば、次の提案につながるのか」

こうした整理は、日々の仕事に追われているとなかなか進みません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援する立場から、今回のような制度や発注の流れについても、「うちの場合はどう考えるべきか」という段階から一緒に整理できます。

無理な営業はいたしません。まだ方向性が固まっていない段階でも大丈夫です。

自社の公共工事・維持管理事業のこれからを整理したい方は、お問い合わせはこちらからお声がけください。