国土交通省は、令和8年6月10日、日野自動車株式会社から大型トラック「日野プロフィア」に関するリコールの届出があったと発表しました。リコール開始日は令和8年6月11日です。対象は計45,853台で、原動機のヘッドカバーに関する不具合により、最悪の場合、火災に至るおそれがあるとされています。
届出者 | 日野自動車株式会社 |
リコール届出番号 | 5828 |
リコール届出日 | 令和8年6月10日 |
リコール開始日 | 令和8年6月11日 |
対象車種 | 日野プロフィア |
対象台数 | 計45,853台 |
不具合部位 | 原動機(ヘッドカバー) |
改善措置 | 全車両、ヘッドカバーを対策品に交換 |
不具合件数 | 219件 |
事故の有無 | 火災2件、部分焼損3件 |
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何が問題とされているのか
今回のリコールは、原動機のヘッドカバー内にあるブローバイガス排気口の位置が不適切であることが原因とされています。
国土交通省の資料によると、坂路の連続走行によりヘッドカバー内に必要以上のオイルが滞留した場合、そのオイルが排気口を経由して燃焼室に回り込むことがあります。その結果、燃焼室内で異常燃焼が起き、コンロッドやエンジンが破損し、最悪の場合は火災に至るおそれがあるとされています。
建設業の現場では、山間部、造成地、残土処分場、資材置場への搬入路など、坂路を連続して走る場面があります。すべての建設会社が日野プロフィアを保有しているわけではありませんが、大型車両を自社保有している会社、運送を協力会社に依頼している会社は、関係車両の確認が必要です。
対象となる車両の範囲
対象は、平成29年6月6日から令和6年4月25日までに製作された日野プロフィアの一部です。資料では、計29型式、計1車種、計45,853台が対象とされています。
主な車台番号の範囲として、次のようなものが示されています。
通称名 | 車台番号の範囲 | 対象台数 |
|---|---|---|
日野プロフィア | FR1AH-100015~FR1AH-111391 | 10,600台 |
日野プロフィア | FR1AJ-100036~FR1AJ-101917 | 471台 |
日野プロフィア | FS1AG-100015~FS1AG-108238 | 4,872台 |
日野プロフィア | FS1AH-100015~FS1AH-102014 | 1,913台 |
日野プロフィア | FS1AJ-100016~FS1AJ-102305 | 1,342台 |
日野プロフィア | FW1AH-100015~FW1AH-127975 | 26,369台 |
日野プロフィア | FW1AJ-100015~FW1AJ-100392 | 286台 |
ただし、国土交通省の資料では、リコール対象車の車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれている場合があると注意書きされています。
そのため、車台番号だけで自社判断を完結させるのではなく、販売店、届出者、またはメーカー等ホームページの検索画面で確認することが大切です。
建設会社がまず確認したいこと
今回の情報で中小建設企業が見るべきポイントは、単に「リコールが出た」という事実だけではありません。実務上は、車両管理台帳、稼働予定、安全管理、協力会社管理の4点に落とし込む必要があります。
まず、自社で日野プロフィアを保有している場合は、車検証や車両台帳から車台番号を確認し、対象車両に該当するかを確認します。対象の可能性がある場合は、販売店や日野自動車の案内に従い、ヘッドカバーの対策品への交換時期を調整することになります。
次に、対象車両が現場の主要な運搬車両になっている場合は、修理・交換のために車両が一時的に使えなくなる可能性も考えておきたいところです。特に、土砂搬出、資材搬入、重機回送などで大型車両の段取りが詰まっている会社では、代替車両や協力会社への依頼調整が必要になるかもしれません。
また、自社保有ではなくても、協力会社や運送会社が該当車両を使っていることがあります。元請・下請の立場を問わず、現場に入る大型車両について、「リコール対象車が含まれていないか」「対象の場合、改善措置の予定はどうなっているか」を確認しておくと、現場の安全管理としても説明しやすくなります。
坂路走行がある現場では、特に車両情報を共有しておきたい
今回の不具合は、資料上、坂路の連続走行によりヘッドカバー内に必要以上のオイルが滞留した際に問題が生じる可能性が示されています。
建設現場では、坂路走行が珍しくありません。山間部の道路工事、造成工事、採石場や処分場への出入り、仮設道路での搬入出など、日常の業務の中にあります。
もちろん、入力資料だけで個別現場の危険性を断定することはできません。ただ、坂路走行が多い使い方をしている車両ほど、リコール対象かどうかの確認を後回しにしない方がよいとは言えます。
現場代理人や車両管理担当者に対しては、次のような共有が実務的です。
- 日野プロフィアのリコールが出ていること
- 対象台数が多く、平成29年から令和6年製作分の一部が含まれること
- 不具合内容として、エンジン破損や火災のおそれが示されていること
- 対象確認は販売店・届出者・メーカー検索画面で行うこと
- 対象だった場合は、改善措置の日程を車両稼働計画に反映すること
こうした情報は、安全大会のような大きな場でなくても、朝礼、配車担当との打ち合わせ、協力会社への連絡で十分に意味があります。
今回は「再度届出」である点も見ておきたい
資料には、本件について、平成31年2月7日付け届出番号「4436」でリコール届出を行ったものの、新たに原因が判明したため、改善措置の内容および対象範囲を見直し、再度届出を行うものと記載されています。
ここは、経営者として見逃したくない点です。
車両や機械の不具合対応は、一度確認したら終わりではありません。過去に同様の案内を受けていた車両でも、今回の見直しによって再確認が必要になる場合があります。
中小建設業では、車両管理が「ベテランの記憶」や「整備工場との口頭確認」に頼っていることもあります。それ自体が悪いわけではありませんが、車両台帳、リコール対応履歴、整備履歴が整理されていないと、こうした再届出のときに確認が遅れます。
今回のリコールを、自社の車両管理台帳を見直すきっかけにするのがよいと思います。
経営判断としては「止める」ではなく「確認して段取りする」
リコール情報を見ると、不安が先に立つことがあります。ただ、今回の実務対応は、いたずらに稼働を止めることではなく、対象車両を確認し、改善措置の予定を組み、現場工程に影響が出ないよう段取りすることです。
特に中小建設会社では、1台の大型車両が抜けるだけで、現場の搬入出、職人の待ち時間、外注費に影響します。だからこそ、早めに確認しておけば、落ち着いて調整できます。
まずは次の順番で十分です。
- 自社保有の日野プロフィアの有無を確認する
- 該当しそうな車両の車台番号を確認する
- 販売店・届出者・メーカー検索画面で対象か確認する
- 対象の場合、対策品への交換時期を調整する
- 車両が使えない期間があれば、現場工程・配車・協力会社手配に反映する
- 協力会社の大型車両についても、必要に応じて確認する
これだけでも、現場の安全と工程管理の両方に効きます。
車両管理と安全体制を一度整理する機会に
リコール対応は、単発の事務作業に見えます。しかし実際には、車両台帳、整備履歴、協力会社管理、安全書類、現場工程がつながっているテーマです。
「自社の車両管理をどこまで台帳化すべきか」「協力会社の車両情報をどう確認すべきか」「現場に負担をかけずに安全管理を回すにはどうしたらよいか」。こうした整理は、日々の忙しさの中では後回しになりがちです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような車両管理・安全管理についても、「うちの場合は何から整えればよいか」という段階から壁打ちできます。
無理な営業はいたしません。建設企業がものづくりに集中できる状態をつくるための整理先として、必要なときにご活用ください。































