日立建機株式会社は、令和8年6月5日、国土交通大臣に対してショベル・ローダのリコールを届け出ました。
対象となるのは、日立の「ZW140-7」「ZW160-7」「ZW180-7」「ZW220-7」「ZW250-7」の5車種、合計270台です。方向指示器操作装置の自動復帰機構に不具合があり、特定のハンドル位置で方向指示器またはハンドルの動作を妨げ、正常な運転操作ができなくなるおそれがあるとされています。
主な内容は以下のとおりです。
- 届出者:日立建機株式会社
- リコール届出番号:5822
- リコール開始日:令和8年6月5日
- 対象車種:ZW140-7、ZW160-7、ZW180-7、ZW220-7、ZW250-7
- 対象台数:計270台
- 製作期間の全体範囲:令和6年7月23日〜令和8年3月13日
- 不具合部位:方向指示器操作装置の自動復帰機構
- 不具合件数:4件
- 事故の有無:無し
- 改善措置:方向指示器の自動復帰機構を取り外す
今回のリコールで確認すべき対象機種
今回の対象は、日立のショベル・ローダ5車種です。PDFに記載された対象範囲は以下のとおりです。
| 型式 | 通称名 | 対象台数 | 車台番号の範囲 | 製作期間 | |---|---:|---:|---|---| | YDR-NTMA | ZW140-7 | 48台 | HCMNTMA0C00030103〜HCMNTMA0V00030207 | 令和7年7月15日〜令和8年3月4日 | | YDR-NTLA | ZW160-7 | 18台 | HCMNTLA0V00030105〜HCMNTLA0C00030135 | 令和7年10月8日〜令和8年3月13日 | | YDR-NTKA | ZW180-7 | 143台 | HCMNTKA0C00030106〜HCMNTKA0P00030366 | 令和6年8月20日〜令和8年3月3日 | | YDS-NUDA | ZW220-7 | 59台 | HCMNUDA0P00030103〜HCMNUDA0P00030263 | 令和6年7月23日〜令和8年3月2日 | | YDS-NUEA | ZW250-7 | 2台 | HCMNUEA0H00030103〜HCMNUEA0P00030110 | 令和7年11月27日〜令和8年2月3日 |
自社で該当機を使っている可能性がある場合は、まず「通称名」だけで判断せず、車台番号まで確認することが大切です。 同じZWシリーズでも、対象範囲外の個体がある可能性があります。
国土交通省の発表でも、対象に該当するかどうかは販売店または届出者へ問い合わせるよう案内されています。メーカー等のホームページ検索画面で確認できる場合もあります。
不具合の内容は「運転操作に関わる」もの
今回の不具合は、方向指示器操作装置の自動復帰機構に関するものです。
発表資料では、ショベル・ローダの操縦装置において、方向指示器の自動復帰機構の構造が不適切なため、特定のハンドル位置で自動復帰機構を操作すると、機構内部のピンとレバーが干渉することがあるとされています。その結果、方向指示器、またはハンドルの動作を妨げ、正常な運転操作ができなくなるおそれがあります。
事故は「無し」とされていますが、建設現場で使う機械において、ハンドル操作に関わる不具合は軽く見ない方がよい内容です。とくに、資材置場、土場、構内道路、狭い現場内などでは、重機の一瞬の操作違和感が周囲確認や誘導との連携に影響します。
今回は「壊れてから直す」ではなく、「対象なら先に確認して止めるべきリスクを潰す」タイプのリコールと捉えるのが実務的です。
改善措置と完了確認のポイント
改善措置は、方向指示器の自動復帰機構を取り外すという内容です。
また、対策完了車には、キャビンの左開口部のドアストライカー付近、または運転席前部カバーに「No.5822」のステッカーを貼り付けるとされています。改善箇所説明図では、識別として方向指示器操作装置に白色ペンチェックを行うことも記載されています。
現場側で確認するなら、次の流れが現実的です。
- 保有・リース中のZW140-7、ZW160-7、ZW180-7、ZW220-7、ZW250-7を洗い出す
- 車台番号が対象範囲に入っているか確認する
- 販売店または日立建機へ確認する
- 対象の場合は、稼働予定と整備日程を調整する
- 対策後は、ステッカーや識別箇所を確認し、社内の車両・重機台帳に記録する
リコール対応は、整備部門だけで完結させず、配車・現場・安全管理の情報として残すことが重要です。 後から「この機械は対応済みか」を確認できる状態にしておくと、現場代理人や職長の判断も楽になります。
中小建設会社が今回のニュースから見ておきたいこと
今回のリコールそのものは、対象機を持っている会社がまず対応すべき個別案件です。ただし、そこから見える経営上の論点はもう少し広いものです。
建設機械は、購入品、リース品、協力会社持ち込み機械が混在しやすい領域です。そのため、「誰が、どの機械のリコール情報を見て、誰が対応完了を確認するのか」が曖昧になりやすいという特徴があります。
特に中小建設業では、機械管理がベテラン担当者の記憶や、紙の台帳、Excel、リース会社からの連絡に分散していることがあります。この状態でも日常業務は回りますが、リコールや点検期限、安全書類の確認が重なると、抜け漏れが起こりやすくなります。
今回を機に見直したいのは、次の3点です。
- 重機・車両台帳に、型式・通称名・車台番号・購入先またはリース先を入れているか
- リコール情報を受け取ったとき、社内の誰が一次確認するか決まっているか
- 対応完了を、現場側も確認できる形で記録しているか
大きな仕組みを一気につくる必要はありません。まずは対象機を確実に確認し、その流れを次回以降にも使える形にしておくことが、現場の安全と稼働の安定につながります。
リコール対応を「安全管理の型」に変える
リコール情報は、単発の注意喚起として処理されがちです。しかし、会社としては安全管理の仕組みを点検する良い機会でもあります。
たとえば、次のような運用にしておくと、今後の対応が早くなります。
- 月1回、保有車両・建機のリコール情報を確認する
- リース機械については、リース会社からの連絡ルートを確認する
- 協力会社の持ち込み重機についても、現場入場時に点検・リコール対応状況を確認する
- リコール対応済みの記録を、安全書類や機械台帳と紐づける
もちろん、すべてを最初から完璧に行う必要はありません。ただ、「対象かどうか分からない」「誰に聞けばよいか分からない」という状態を減らすことは、会社規模に関係なく取り組めます。
重機は、現場の生産性を支える重要な資産です。同時に、安全面では大きな責任を伴います。今回のようなリコール情報を、単なるメーカー対応で終わらせず、自社の管理体制を一段整えるきっかけにしたいところです。
自社の重機・車両管理を見直すきっかけにする
今回の対象機を保有している会社は、まず車台番号の確認と販売店・届出者への連絡を進めることが第一です。そのうえで、重機台帳、点検期限、リコール対応履歴、リース機械の管理方法まで一度整理しておくと、次の対応が確実に早くなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。安全管理や車両・重機管理も、現場任せにしすぎると属人化しやすい領域です。
「うちの場合、どこまで台帳化すればよいか」「リース機械や協力会社の持ち込み機械まで、どう確認すればよいか」といった段階でも構いません。無理な営業はいたしませんので、今回のニュースをきっかけに自社の管理体制を整理したい場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。



























