国土交通省は、災害時に被災地方公共団体を支援する「TEC-FORCE」の体制強化に向けて、令和8年度の「TEC-FORCE予備隊員」を全国の地方支分部局で募集します。

  • 募集期間:令和8年6月1日(月)〜8月31日(月)18時
  • 応募方法:必要書類を地方支分部局にメールまたは郵送で提出
  • 名簿登録期間:令和9年12月31日まで
  • 対象分野:河川、砂防、海岸、道路、上下水道、機械、電気、港湾、物流、旅客、空港等
  • 選考方法:書類選考および面接
  • 登録状況:令和8年4月1日時点で全国計342名が登録済み
  • 身分:災害時等に必要な期間、非常勤職員の国家公務員として採用され、TEC-FORCEの一員として活動予定

中小建設業にとって、このニュースは単なる国の人材募集ではありません。自社の技術者が、災害対応の現場でどのような役割を担えるのかを考える機会です。

資料ダウンロード

建設会社の技術者が関わる可能性のある業務

今回の募集では、地方整備局等に関する分野として、河川・砂防・海岸・道路・上下水道・機械・電気・港湾などが挙げられています。

職務内容としては、主に次のような活動が示されています。

  • 被災地における情報収集、関係行政機関等との連絡調整
  • 被害状況調査
  • 災害応急対策に必要となる地方公共団体等への技術的助言
  • 公共土木施設の被害状況調査
  • 被災自治体の災害申請への活用も想定した調査結果の取りまとめ

つまり、現場を見て、被害を把握し、自治体の次の判断につながる情報を整理する役割です。普段から道路、河川、上下水道、港湾、電気・機械設備などに関わっている会社にとっては、自社の技術者の経験が社会的に活かされる場面があり得ます。

会社として確認したいのは「本人任せにしない」こと

TEC-FORCE予備隊員は、通年で非常勤職員の身分を持つものではなく、研修や災害派遣ごとに必要な期間のみ非常勤職員として採用される仕組みです。また、派遣先は採用された地方支分部局の管内だけでなく、管外、つまり全国への派遣となる場合があります。

一方で、派遣は個人の事情等を踏まえた調整の上で決定されるとされています。PDFでは、本人の健康状態、家族等の状況、企業等に勤務している場合の業務繁忙等が想定されています。

ここが経営上のポイントです。応募を個人の善意だけに任せるのではなく、会社として応援できる範囲を整理しておくことが大切です。

たとえば、次のような確認が考えられます。

  • 応募を希望する社員がいるか
  • 災害派遣や研修が入った場合の社内調整をどうするか
  • 現場代理人、主任技術者、監理技術者など重要配置との兼ね合いをどう見るか
  • 地域の災害協定、消防団、防災活動など既存の役割と重ならないか
  • 会社として地域防災への関わりをどのように位置づけるか

「行ける人が行く」ではなく、「会社として送り出せる設計にする」ことが、継続的な地域貢献につながります。

人材育成の観点でも価値がある

災害対応の現場では、通常工事とは違う判断力が求められます。限られた時間で被害状況を見極め、行政や関係機関と連絡を取り、復旧に向けた優先順位を考える必要があります。

これは、建設会社の技術者にとっても大きな経験になります。特に中小建設業では、若手・中堅技術者に「地域インフラを守る仕事」の意味をどう伝えるかが、採用や定着にも関わってきます。

TEC-FORCE予備隊員への応募は、資格取得とは別の形で、技術者の視野を広げる機会になり得ます。 もちろん、会社の繁忙や本人の生活とのバランスは必要です。それでも、地域に根差す建設会社ほど、この制度を人材育成や防災対応力の一部として見ておく価値があります。

経営者がまず見るべきポイント

今回の募集で、経営者や管理部門がまず確認したいのは次の3点です。

  1. 自社の技術分野が募集対象に含まれるか

河川、道路、上下水道、機械、電気、港湾など、自社の経験と重なる分野があるかを見ます。

  1. 管轄する地方支分部局の募集情報を確認すること

募集は全国の地方支分部局ごとに行われます。応募先、必要書類、問い合わせ先は地域ごとに確認が必要です。

  1. 社員が応募する場合の社内ルールを決めること

応募承認、研修参加、災害時の派遣調整、現場の代替体制などを、事前に曖昧にしないことが大切です。

制度そのものは個人を募集する形ですが、実際には会社の理解がなければ継続しにくい取り組みです。中小建設業にとっては、「地域防災に関わる人材をどう育て、どう支えるか」という経営テーマとして捉えるのがよいです。

自社ではどう位置づけるかを整理する

TEC-FORCE予備隊員の募集は、すべての会社がすぐ応募を促すべき、という話ではありません。ただ、災害が増え、自治体支援や地域インフラの早期復旧がますます重要になるなかで、建設会社の技術と経験が求められる場面は確実に広がっています。

「うちの技術者なら対象になるのか」「応募を応援したいが現場運営とのバランスが不安」「防災協定やBCP、人材育成とあわせて整理したい」。そうした段階でも、一度考えを言語化しておくと、次の判断がしやすくなります。

ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、販路拡大、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用に加え、こうした地域防災や人材育成に関わる経営課題の整理も支援しています。無理な営業はいたしませんので、「自社の場合はどう考えるべきか」を整理したいときは、次の相談先としてご活用ください。

お問い合わせはこちら