令和8年6月25日7時30分頃に発生した岩手県沖の地震を受け、国土交通省と気象庁は、青森県と岩手県の一部市町村について、土砂災害に関する警報等の発表基準を通常より引き下げて運用すると発表しました。地震により地盤が緩んでいる可能性があるため、雨による土砂災害の危険性が通常より高いと考えられるためです。
発表日 | 令和8年6月25日 |
対象となる災害 | 岩手県沖の地震に伴う土砂災害リスク |
観測された最大震度 | 青森県で最大震度6強、岩手県で最大震度5強 |
運用内容 | 土砂災害に関する警報等の発表基準を暫定的に引き下げ |
対象警報等 | レベル4土砂災害危険警報、レベル3土砂災害警報、レベル2土砂災害注意報 |
運用期間 | 当分の間 |
対象市町村 | 青森県八戸市、階上町、三戸町/岩手県盛岡市、二戸市、八幡平市、普代村、軽米町 |
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対象地域では「いつもの雨」と同じ判断をしないことが重要です
今回の発表のポイントは、地震後の地盤の緩みを考慮し、土砂災害に関する警報等が通常より早い段階で発表される運用になるという点です。
対象市町村と暫定基準は次の通りです。
県 | 通常基準に対する暫定基準の割合 | 対象市町村 |
|---|---|---|
青森県 | 7割 | 八戸市、階上町 |
青森県 | 8割 | 三戸町 |
岩手県 | 8割 | 盛岡市、二戸市、八幡平市、普代村、軽米町 |
八戸市・階上町は、令和7年12月8日の地震により既に7割の暫定基準で運用中です。軽米町も、同じく令和7年12月8日の地震により既に8割の暫定基準で運用中です。
建設会社にとっては、単に「警報が出やすくなる」という話ではありません。現場の作業可否、斜面・法面・掘削箇所の点検、通勤経路や資材搬入経路の確認を、普段より前倒しで判断する必要があるということです。
現場管理で見るべきポイント
対象地域に現場がある会社は、まず次の3点を確認しておくとよいです。
1つ目は、自社の現場が対象市町村にあるかです。元請・下請を問わず、対象地域内で稼働している現場、資材置場、仮設ヤード、宿舎、通勤経路がないかを確認します。
2つ目は、雨天時の作業中止・再開判断が、現場任せになっていないかです。今回の暫定運用では、地震後の降雨と土砂災害の関係を調査し、必要に応じて基準が変更される可能性も示されています。つまり、しばらくの間は「昨日までの基準感覚」がそのまま使えるとは限りません。
3つ目は、斜面、法面、掘削部、盛土部、仮設道路周辺の点検体制です。地震直後に異常が見えなくても、雨をきっかけに状態が変わることがあります。特に山間部、河川沿い、急傾斜地に近い現場では、現場代理人や職長が警報・注意報を確認し、作業員へ早めに共有できる状態を整えておくことが大切です。
中小建設業にとっては「安全」と「工程」を分けて考える場面です
災害リスクが高まる局面では、工程を守りたい気持ちと、安全側に倒す判断の間で迷いが出ます。特に中小建設業では、限られた人員で複数現場を回しているため、1日の中止が全体工程に響くこともあります。
それでも今回のような発表では、工程判断の前に、安全判断の基準を明確にすることが先です。
具体的には、次のような整理が有効です。
- 警報・注意報が出た場合の作業中止基準を現場ごとに確認する
- 発注者、元請、協力会社との連絡ルートを再確認する
- 朝礼前、昼休み前、作業再開前など、気象情報を確認するタイミングを決める
- 土砂災害リスクのある場所での単独作業を避ける
- 迂回路、避難場所、車両退避場所を確認する
大切なのは、現場の責任者だけに判断を背負わせないことです。会社として「この条件なら止める」「この条件なら確認してから再開する」という線引きを持つことが、結果として現場を守り、工程の混乱も小さくします。
発表基準の引き下げは、地域の復旧・維持工事にも影響します
今回の対象には、青森県の八戸市、階上町、三戸町、岩手県の盛岡市、二戸市、八幡平市、普代村、軽米町が含まれています。これらの地域で道路、河川、上下水道、造成、法面、建築外構などに関わる会社は、普段以上に周辺地盤の変化を意識する必要があります。
公共工事・民間工事を問わず、地震後の雨は、現場条件そのものを変える可能性があります。見積時・着工時には問題がなかった場所でも、地震と降雨の組み合わせで、仮設計画や作業手順の見直しが必要になる場合があります。
また、警報等が早めに出ることで、発注者や元請からの安全確認、工程調整、現場巡視の依頼が増えることも考えられます。こうしたときに慌てないためには、写真記録、点検記録、作業中止判断の記録を残す運用が重要になります。
今回のニュースから自社で確認したいこと
対象地域に関係する会社は、まず次のチェックから始めるのが現実的です。
- 対象市町村に、稼働中または近日着工予定の現場があるか
- 現場周辺に斜面、法面、沢、崩壊履歴のある場所がないか
- 警報・注意報が出た場合、誰が作業中止を判断するか
- 協力会社や一人親方まで情報が届く連絡体制になっているか
- 作業再開前の点検項目が明確になっているか
- 発注者・元請との工程変更時の連絡方法が整理されているか
今回の発表は「当分の間」の暫定運用です。また、国土交通省と気象庁は、地震後の降雨と土砂災害の関係を引き続き調査し、必要に応じて暫定基準を変更するとしています。一度確認して終わりではなく、対象地域の現場では継続的に情報を見直す前提を持つことが大切です。
自社の現場ルールを整理するきっかけにする
今回のような災害関連の発表は、対象地域の会社にとってはもちろん、他地域の建設会社にとっても、現場の安全判断ルールを見直すきっかけになります。
「警報が出たら止める」だけでは、実際の現場では判断しきれない場面があります。どの情報を見るのか、誰が判断するのか、協力会社へどう伝えるのか、工程や原価への影響をどう記録するのか。こうした仕組みを平時に整えておくことが、現場を止めるべきときに迷わない体制につながります。
ネクスゲートでは、建設業界の経営者の懐刀として、安全管理、現場体制、原価管理、デジタル活用まで横断して、建設企業の持続的成長を支援しています。今回のような災害対応を受けて、「うちの現場ルールは十分か」「何から整理すべきかわからない」という段階でも、状況を一緒に整理できます。無理な営業はいたしませんので、必要なときに次の整理先としてご活用ください。

































