国土交通省は、令和6年3月に告示したトラック運送の「標準的運賃」について、活用状況や運賃交渉の実態を調査し、結果を公表しました。

建設会社にとっても、これは他業界の話だけではありません。資材搬入、産廃運搬、重機回送、現場間輸送など、現場の裏側には必ず物流があります。運送会社側の価格交渉が広がっているということは、建設会社側も物流費を見積・契約・原価管理に織り込む精度が問われるということです。

公表内容

「標準的運賃」に係る令和7年度実態調査結果

公表日

令和8年8月26日

調査期間

令和8年3月9日~3月27日

調査対象

トラック運送事業者、荷主企業

回答者数

全日本トラック協会の会員事業者 約1,200者、荷主企業 約200社

主な結果

運賃交渉を行ったトラック事業者は約90%

荷主の理解

交渉した事業者のうち、一定の理解を得られた事業者は約78%

標準的運賃との比較

令和6年3月告示の標準的運賃と比べ、8割以上収受できた事業者は約35%

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
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  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
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「運送費は上がるかもしれない」ではなく、すでに交渉の場に上がっています

今回の調査でまず見ておきたいのは、運賃交渉を行ったトラック事業者が約90%に達している点です。

令和6年度は74%でした。令和7年度は90%です。

現場感覚で言えば、「そろそろ運送会社から値上げの話が来るかも」ではありません。すでに多くの運送会社が、荷主に対して運賃交渉をしています。

しかも、そのうち約78%は、希望額の収受または一部収受という形で、荷主から一定の理解を得ています

建設会社が直接トラック運送会社と契約している場合。資材会社の見積に運搬費が含まれている場合。協力会社が運搬費を負担している場合。どの形であっても、物流費はどこかで工事原価に入ってきます。

見えにくいだけです。

そして、見えにくい費用ほど、気づいたときには利益を削っています。

建設会社が見るべき数字は「標準的運賃の8割以上収受が約35%」です

もう一つ大事な数字があります。

令和6年3月に告示された「標準的運賃」と比較して、8割以上を収受できた事業者は約35%でした。

つまり、運賃交渉は進んでいるものの、標準的運賃どおりに十分収受できている事業者ばかりではありません。

ここから読み取れることは、二つあります。

一つ目は、運送会社側もまだ苦しいということです。

燃料費、人件費、待機時間、荷役、深夜対応、高速道路料金。これらを価格に反映しきれていない会社が残っています。

二つ目は、今後も交渉が続く可能性があるということです。

今回の調査では、令和6年3月に告示された新たな標準的運賃について、燃料高騰分などを踏まえて運賃水準を平均8%引き上げ、燃料サーチャージ制度も盛り込まれたことが説明されています。

運送会社にとって、標準的運賃は「値上げの根拠」として使われやすい材料です。

建設会社側も、「急に上がった」と受け止めるのではなく、「根拠を持った交渉が増えている」と見た方が実務的です。

小規模な会社ほど、原価計算の遅れが交渉力の差になりやすいです

調査では、トラック運送事業者の原価計算についても触れられています。

原価計算を実施した事業者は77%でした。一方で、原価計算を実施していない事業者は23%です。そのうち112社は「やり方がわからない」と回答しています。

また、参考資料では、認知状況や原価計算の実施状況について、小規模事業者ほど低い傾向が示されています。

これは建設業にも重なります。

「材料は上がっている」 「外注費も上がっている」 「運搬費も何となく上がっている」

ここまでは、どの会社も感じています。

しかし、最後に利益を守れるかどうかは、“何となく上がっている”を、現場別・工種別・取引先別に数字で説明できるかで変わります。

運送会社が標準的運賃を根拠に交渉してくる。

そのとき建設会社側も、自社の見積に運搬費をどう入れているか、元請・発注者への請求にどう反映しているか、協力会社との単価にどう関係しているかを整理しておく必要があります。

「運搬費込み」の見積は、そろそろ分解して見た方がいいです

中小建設会社でよくあるのが、運搬費がどこかに溶け込んでいる見積です。

たとえば、次のような形です。

  • 資材単価に運搬費が含まれている
  • 協力会社の施工単価に搬入費が含まれている
  • 産廃処分費に収集運搬費が含まれている
  • 重機回送費を別項目にせず、工事一式に入れている
  • 遠方現場でも近場現場でも、同じ感覚で運搬費を見ている

これまでは、それでも回っていたかもしれません。

ただ、運送会社側の運賃交渉が進むと、こうした「込み」の部分にじわっと負担が乗ります。

気づくのは、月次の試算表を見たときです。

「売上はあるのに、粗利が残っていない」 「材料費だけでは説明がつかない」 「外注費の中身を見たら、運搬費が上がっていた」

こういう場面が出てきます。

だからこそ、まずは大きな仕組み変更でなくても構いません。

主要な取引先、よく使う資材、遠方現場、産廃、重機回送だけでも、運搬費を分けて見える化することが大切です。

元請・発注者への説明も「物流費の根拠」が必要になります

運送会社が荷主に対して運賃交渉をする流れが強まると、建設会社も同じように、上流に対して価格転嫁を説明する場面が増えます。

ここで大事なのは、単に「運搬費が上がったのでお願いします」と言うことではありません。

相手も予算があります。

現場も工期があります。

担当者も板挟みです。

だから、説明には根拠が必要です。

たとえば、次のような整理です。

  • どの現場で運搬回数が多いのか
  • 片道距離や待機時間が長い現場はどこか
  • 夜間・早朝・休日搬入が多い案件はどれか
  • 高速道路利用や遠方搬入が前提になっているか
  • 資材単価と運搬費を分けて把握できているか
  • 協力会社の単価改定に運搬費が含まれていないか

物流費を「交渉材料」ではなく「原価の事実」として説明できる会社ほど、価格改定の会話をしやすくなります

これは強く言い切るというより、実務の温度感です。

数字があると、話し合いになります。

数字がないと、お願いになります。

ドライバー賃上げの動きは、建設業の人材確保ともつながっています

今回の資料では、運賃交渉の結果として、ドライバーの賃上げ状況にも触れています。

運賃値上げを一部でも原資として賃上げを実施した企業は約50%でした。

平均賃上げ率では、5%~10%未満が39%で最も多いとされています。

ここも建設業に関係します。

運送業も建設業も、人手不足の中で人材を確保しなければなりません。賃上げの原資をどうつくるか。価格にどう反映するか。取引先にどう説明するか。

悩みはかなり近いです。

トラック運送業界で「適正な運賃を収受し、賃上げにつなげる」という流れが進むなら、建設業でも同じように、適正な請負金額、適正な外注単価、適正な人件費をどうつくるかが問われます。

物流費の上昇は、単なるコスト増ではありません。

人が働き続けるための価格を、サプライチェーン全体でどう支えるかという話です。

まず社内で確認したいこと

今回の発表を受けて、中小建設会社がすぐに確認したいのは次の点です。

  • 運搬費が見積書のどこに入っているか
  • 資材単価と運搬費を分けて確認できる取引先はどこか
  • 遠方現場・夜間搬入・待機時間が多い現場で、運搬費を回収できているか
  • 協力会社からの単価改定に、運搬費や燃料費の影響が含まれているか
  • 元請・発注者に説明できる原価資料があるか
  • 今後の見積で、物流費上昇分をどの項目に反映するか

全部を一気に整える必要はありません。

ただ、物流費は「現場が始まってから何とかする」費用ではなくなりつつあります。

受注前の見積段階で、どこまで読めているかが利益を左右します

「うちの運搬費はどこに隠れているか」から整理してみる

今回のニュースは、トラック運送業界の調査結果です。

ただ、中小建設会社にとっては、物流費を見直すよいきっかけになります。

「資材屋さんの単価に入っているから見えない」 「協力会社に任せているから実態が分からない」 「現場ごとの運搬回数までは追えていない」

そういう状態でも、まずは整理できます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。物流費や外注費の見え方を整えることも、ものづくりに集中できる建設業界へ近づくための大切な一歩です。

「うちの場合は、どこから見ればいいのか」「見積や原価管理にどう反映すればいいのか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な整理先として気軽に使ってください。

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