国土交通省は、令和8年7月分の建設労働需給調査結果を公表しました。全国の8職種の過不足率は1.2%の不足となり、前月の1.0%不足から0.2ポイント不足幅が拡大しました。一方で、前年同月の1.6%不足からは0.4ポイント不足幅が縮小しています。

発表内容

建設労働需給調査結果(令和8年7月分調査)

調査対象日

令和8年7月10日〜20日までの間の1日(日曜、休日を除く)

全国8職種の過不足率

1.2%の不足

前月比

0.2ポイント不足幅が拡大(6月は1.0%の不足)

前年同月比

0.4ポイント不足幅が縮小(前年同月は1.6%の不足)

全国8職種の9月・10月の確保見通し

普通

今回の数字は、極端な悪化を示すものではありません。ただし、建設会社の経営目線では、「全体では普通に見えるが、職種・地域・工程によって詰まり方が違う」という読み方が重要です。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
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  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
  • 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
  • 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
  • 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
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全体感は「不足が続くが、前年よりはやや落ち着いた」

全国8職種の過不足率は、令和8年7月時点で1.2%の不足でした。前月より不足幅は拡大していますが、前年同月よりは縮小しています。

ここで大事なのは、1.2%という数字を「大したことがない」と見ないことです。過不足率は全国平均です。実際の経営では、自社が必要とする職種、地域、繁忙期、協力会社の状況によって体感は大きく変わります

特に中小建設業では、1人、1班、1社の協力会社が確保できるかどうかで、工程・粗利・元請との関係が変わります。全国平均が「普通」に見えても、自社の主要工種で不足が強ければ、受注余力は実質的に下がります。

職種別では、配管工の不足感が目立つ

職種別に見ると、8職種のうち鉄筋工(建築)は過剰、その他の職種は不足となっています。

主な職種別の過不足率は以下の通りです。

職種

令和8年7月の過不足率

型わく工(土木)

0.5%不足

型わく工(建築)

0.8%不足

左官

1.2%不足

とび工

0.7%不足

鉄筋工(土木)

1.9%不足

鉄筋工(建築)

0.3%過剰

電工

0.7%不足

配管工

3.5%不足

8職種計

1.2%不足

特に目立つのは、配管工が3.5%不足となっている点です。前年同月の1.2%不足から、3.5%不足へと不足幅が拡大しています。

一方で、とび工は前年同月の3.7%不足から、今回0.7%不足となっています。つまり、建設技能者全体をひとまとめにして見るよりも、職種ごとの需給のズレを見ることが、採用・外注・受注判断では重要です。

設備系、躯体系、仕上げ系など、自社の主戦場によって影響は違います。自社で抱える職人だけでなく、協力会社の確保難易度も含めて見る必要があります。

地域別では、東北は過剰、その他地域は不足

地域別の8職種計では、東北で過剰、その他の地域で不足となっています。

また、前年同月と比べた変化では、四国が1.6ポイント増で最も増加幅が大きく、一方で北海道が2.3ポイント減で最も減少幅が大きいとされています。

中小建設業にとって、この地域差は見逃せません。人材不足は全国一律ではなく、地域の公共工事量、民間工事量、災害復旧、都市部・地方部の人の流れなどによって変わります。

特に複数地域で工事を受ける会社や、近隣県の協力会社に依存している会社は、自社所在地だけでなく、協力会社がいる地域の需給も見ることが大切です。

9月・10月の見通しは「普通」だが、油断はしにくい

全国8職種の今後の労働者確保に関する見通しは、9月・10月ともに「普通」となっています。

これは、急激に確保が難しくなるという見通しではありません。ただし、調査では翌々月である9月について、「困難」と「やや困難」の合計が26.3%となっています。前年同月よりは減少していますが、一定割合の会社が確保に難しさを見込んでいます。

経営上は、ここを「普通だから大丈夫」と読むより、「大きな混乱ではないが、余力のない会社ほど早めの段取りが必要」と読む方が実務的です。

特に、秋以降に手持ち工事が重なる会社は、受注前の段階で次の点を確認しておきたいところです。

  • 自社職人だけで回せる工程か
  • 協力会社の予定をどこまで確保できているか
  • 不足時に代替できる会社・班があるか
  • 残業・休日作業を前提にした工程になっていないか
  • 採用で補うのか、外注で補うのか、受注を調整するのか

残業・休日作業の増加は、工程管理の警戒サイン

今回の調査では、残業・休日作業を実施している現場数、つまり強化現場数は、全手持現場数の2.8%となっています。前月の2.1%から0.7ポイント増加し、前年同月の2.6%からも0.2ポイント増加しています。

強化理由は、「その他」を除くと、以下の順です。

強化理由

割合

昼間時間帯時間の制約

30.6%

前工程の工事遅延

25.0%

天候不順

9.7%

無理な受注

6.9%

ここから読み取れるのは、労務不足だけが問題ではないということです。昼間作業の時間制約や前工程の遅延が、残業・休日作業につながっているという構造があります。

中小建設業では、工程遅延が起きると、どうしても現場の頑張りで吸収しがちです。しかし、残業・休日作業が増えると、安全、品質、原価、人材定着に影響します。

特に重要なのは、「人が足りない」問題と「工程が詰まる」問題を分けて見ることです。人を増やしても、前工程の遅れや作業時間の制約が変わらなければ、現場負荷は残ります。

中小建設業が見るべき実務ポイント

今回の発表を踏まえると、中小建設業が確認したいポイントは大きく4つです。

1つ目は、自社の主要職種の需給を見ることです。全国8職種計の1.2%不足だけでは、自社への影響は判断できません。配管工、鉄筋工、型わく工、電工など、自社が依存する職種の数字を見る必要があります。

2つ目は、協力会社の確保状況を早めに確認することです。自社で直用していない職種ほど、協力会社の予定に左右されます。受注後に探すのではなく、見積・受注判断の段階で確認することが重要です。

3つ目は、工程遅延が利益を削っていないかを見ることです。残業・休日作業は、単なる現場対応ではなく、原価の増加要因です。予定人工と実績人工、外注費、手戻り、休日対応の有無を振り返る必要があります。

4つ目は、採用だけに頼らない人員戦略を考えることです。採用は重要ですが、すぐに効く施策ではありません。定着、育成、多能工化、協力会社網の見直し、工程の平準化、デジタル活用による段取り改善を組み合わせる必要があります。

「受けられる工事」と「利益が残る工事」を分けて考える

人手不足の局面で最も注意したいのは、売上を追いすぎて、現場と利益が苦しくなることです。

受注できるかどうかは大事です。しかし、これからはそれ以上に、「その工事を今の体制で安全に、品質を守って、利益を残して施工できるか」が重要になります。

特に、職種ごとの不足感が違う局面では、会社ごとに得意な工事、避けた方がよい工事、協力会社を先に押さえれば受けられる工事が分かれていきます。

今回の調査は月次の需給データですが、中小建設業にとっては、単なる統計ではありません。受注、採用、外注、工程、原価をつなげて考えるための材料として使うべき情報です。

自社への影響を整理するところから始める

今回のような労務需給のニュースは、全国平均だけを見ると自社への影響が見えにくいものです。大切なのは、自社の主要工種、協力会社、今後の受注予定、現場の残業・休日作業の状況に引き寄せて整理することです。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、建設企業の持続的成長を支援しています。

「うちの場合は、採用で考えるべきか、協力会社の確保を見直すべきか」「受注量と現場体制のバランスをどう見ればよいか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、次の整理先として必要なときにご相談ください。

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