国土交通省、農林水産省、環境省は、令和7年度末の汚水処理人口普及状況を公表しました。全国の汚水処理人口普及率は94.0%。前年度から0.3ポイント上昇しました。

一方で、まだ約740万人が汚水処理施設を利用できない状況です。特に人口5万人未満の市町村では、普及率が85.1%にとどまっています。

公表内容

令和7年度末の汚水処理人口普及状況

全国の汚水処理人口普及率

94.0%

前年度からの増加

0.3ポイント増

汚水処理施設の処理人口

1億1,602万人

汚水処理未普及人口

約740万人

人口5万人未満の市町村の普及率

85.1%

主な施設区分

下水道、農業集落排水施設等、浄化槽、コミュニティ・プラント

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建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード

「ほぼ整備済み」ではなく、地域差が残っているニュースです

全国平均だけを見ると、94.0%です。

かなり整備が進んでいるように見えます。

ただ、建設業の経営目線では、ここで止まらずに見たいところがあります。

それは、未普及人口が約740万人残っていることです。

もうひとつは、人口5万人未満の市町村では普及率が85.1%で、全国平均より低いことです。

大都市部の大型下水道整備とは違い、地方部では地形、集落の分散、人口減少、維持管理コストなどが絡みます。

現場では、「大きな管を延ばせばよい」という話だけでは済みにくくなっています。

今回の発表でも、国は自治体が地域の実情に応じて、人口減少時代に即した「集合処理」と「個別処理」の最適化を図れるよう支援を進めるとしています。

ここが大事です。

これからの汚水処理インフラは、下水道整備だけでなく、浄化槽や小規模施設、更新・維持管理を組み合わせて考える流れが強まる可能性があります。

施設別に見ると、下水道だけの話ではありません

令和7年度末の処理人口を施設別に見ると、次の通りです。

施設区分

処理人口

総人口に対する普及率

下水道

1億141万人

82.2%

農業集落排水施設等

276万人

2.2%

浄化槽

1,171万人

9.5%

コミュニティ・プラント

14万人

0.1%

合計

1億1,602万人

94.0%

もちろん中心は下水道です。

ただし、地方部では浄化槽や農業集落排水施設等の役割も無視できません。

土木工事、管工事、設備工事、浄化槽工事、維持管理に関わる会社は、自社の地域でどの方式が使われているかを確認しておきたいところです。

「うちは下水道工事が中心だから関係ない」

そう見える会社でも、自治体の方針が変われば、発注内容も少しずつ変わる可能性があります。

新設だけではありません。

更新、改築、耐震化、管路更生、マンホールまわり、ポンプ設備、浄化槽設置、保守点検に近い領域まで、地域によって必要な仕事の形は変わります。

中小建設業が見るべきは「自社エリアの未普及・低普及」です

今回の資料には、都道府県別、市町村別の普及率も掲載されています。

経営者として見るなら、全国平均よりも、まずは自社の営業エリアです。

見る順番はシンプルです。

  1. 自社の都道府県の汚水処理人口普及率を見る
  2. 主要な営業先である市町村の普及率を見る
  3. 下水道、浄化槽、農業集落排水のどれが中心かを見る
  4. 自治体の上下水道・生活排水処理の計画を確認する
  5. 自社の施工実績と合う領域を整理する

特に、人口5万人未満の市町村を営業エリアに持つ会社は、今回の数字を見ておく価値があります。

人口5万人未満の市町村は普及率85.1%で、まだ整備余地が残っています。

ただし、これは「すぐ工事が増える」と断定できる話ではありません。

人口減少時代です。

自治体も、投資額と維持管理費を見ながら判断します。

だからこそ、これからは単純な新設需要だけでなく、地域に合った処理方式への見直しや、既存施設の持続可能な維持管理が重要になります。

「集合処理」と「個別処理」の最適化は、提案力の差になりそうです

発表文では、国が「集合処理」と「個別処理」の最適化を支援するとしています。

ここは、今後の公共インフラを考えるうえで大きな言葉です。

集合処理は、下水道や集落排水のように、複数の家庭・施設から汚水を集めて処理する考え方です。

個別処理は、浄化槽など、個々の建物単位で処理する考え方です。

人口が増えている時代なら、集合処理を広げる判断がしやすかった地域もあります。

しかし今は違います。

人が減る地域もあります。

集落が点在する地域もあります。

将来の維持管理費をどう抑えるかも問われます。

そのため、自治体は「どこまで管路を延ばすか」「どこから個別処理にするか」をより細かく考える必要があります。

中小建設業にとっては、ここにチャンスがあります。

単に「工事を受ける」だけではなく、地域の実情を知っている会社として、施工性、維持管理、住民対応、安全面を踏まえた話ができる会社は強くなります。

もちろん、公共発注のルールはあります。

ただ、日頃の情報収集や技術領域の広げ方には差が出ます。

自社で確認しておきたい3つのこと

今回の発表を受けて、すぐ大きな投資判断をする必要はありません。

ただ、次の3点は確認しておくとよいです。

1つ目は、自社エリアの市町村別普及率です。

低い地域があれば、今後の生活排水処理計画や社会資本整備の方針を確認する材料になります。

2つ目は、自社の工種と施設区分の相性です。

下水道管路、処理場、ポンプ、舗装復旧、造成、浄化槽、電気設備、維持管理関連など、自社がどこまで対応できるかを棚卸ししておきたいところです。

3つ目は、元請・協力会社としての立ち位置です。

自治体発注を直接受けるのか。地元元請の協力会社として入るのか。設備会社や管工事会社と組むのか。

ここは会社ごとに違います。

汚水処理インフラは、地域密着の会社ほど情報の取り方で差が出る分野です。

派手なニュースではありません。

でも、地域の暮らしに直結しています。

そして、地域建設業の仕事にもつながっています。

自社エリアのインフラ需要を一度整理しておく

今回のような統計は、読み流すと「全国の普及率が上がった」という話で終わります。

でも、自社の営業エリアに落とし込むと、見え方が変わります。

「うちの地域は下水道中心なのか」

「浄化槽や個別処理の比重が高いのか」

「更新・維持管理の仕事に備えるべきなのか」

こうした整理は、公共工事の受注方針、協力会社づくり、人材育成、資格取得の優先順位にも関わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援し、ものづくりに集中できる建設業界へ近づけるための伴走を大切にしています。

「自社エリアではどう考えるべきか」「公共工事や維持管理領域をどう整理すればよいか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する相手が必要なときは、自然な壁打ち先としてご活用ください。

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