国土交通省は令和8年8月21日、「不動産特定共同事業法施行規則の一部を改正する命令」を公布・施行しました。あわせて、「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項」と「不動産特定共同事業の電子取引業務ガイドライン」も改正されています。
不動産特定共同事業は、投資家から出資を募って不動産取引を行い、収益等を分配する事業です。今回の改正は、一般投資家の参加拡大を背景に、投資家が利回り、物件価格、工事内容、資金使途をより判断しやすくするための情報開示強化と見るのが分かりやすいです。
改正対象 | 不動産特定共同事業法施行規則、監督留意事項、電子取引業務ガイドライン |
公布・施行/発出・適用 | 令和8年8月21日 |
改正の中心 | 契約成立前の説明事項、財産管理報告書、HP等への掲載事項の充実 |
建設業との接点 | 宅地造成・建物建築を伴う商品で、工事概要、許認可、資金計画、完了時期などの説明が求められる |
経過措置 | 一部規定について、令和8年10月1日、令和8年11月30日、令和8年12月1日に関する扱いあり |
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
今回の改正は「不動産投資商品の中身を見える化する」動きです
今回の改正の背景には、不動産特定共同事業の市場拡大があります。国土交通省資料では、インターネット上の契約を通じた一般投資家の参加拡大が示されています。
そのため、制度の方向性は明確です。
投資家に対して、想定利回りだけでなく、その根拠、物件価格の妥当性、出資金の使い道、工事の進み方まで説明する方向に進んでいます。
主な改正内容は次のとおりです。
- 許可申請書等の提出部数を、現行の副本4部から1部へ変更
- 事業参加者の保護に支障を生じるおそれがある状況等を追加
- 契約成立前の説明事項を追加
- 財産管理報告書の記載事項を充実
- 電子取引業務を行う事業者のHP等への掲載事項を充実
建設会社にとって特に関係が深いのは、宅地造成や建物建築を伴う案件の説明内容が具体化されたことです。
建設会社に関係するのは「工事情報が投資家向け説明の材料になる」点です
直接の義務者は、不動産特定共同事業者や小規模不動産特定共同事業者です。すべての建設会社に直ちに新たな法的義務が発生する、という話ではありません。
ただし、開発案件や建築案件で不動産特定共同事業に関わる場合は別です。
たとえば、自社が事業者側に近い立場で関わる場合。あるいは、施工会社として事業者に工事情報を提供する場合。今後は、工事の概要、許認可、資金計画、着手・完了時期を、投資家に説明できる粒度で整理する必要性が高まります。
契約成立前の説明事項として追加された内容には、次のようなものがあります。
- 宅地造成または建物建築に関する工事の概要
- 開発許可、建築確認等の有無と、その処分の概要
- 工事に関する資金計画
- 工事の着手予定時期、完了予定時期
- 工事完了時の形状、構造等に関する事項
- 出資された金銭の使途
- 対象不動産が水害ハザードマップ上にある場合の内容
ここは実務上、とても大きいです。
これまで社内では「工程表にある」「現場代理人が分かっている」「確認済証はファイルに入っている」で済んでいた情報が、事業スキームによっては投資家説明用の情報になります。
つまり、現場資料、許認可資料、資金計画、発注者向け報告が、より一体で見られるようになります。
財産管理報告書では、工事の進捗と資金使途の説明が増えます
改正後は、財産管理報告書の記載事項も充実します。
金銭出資を伴う契約では、報告対象期間に支出した金銭について、支出した金額と使途を記載することが追加されています。
また、宅地造成や建物建築に関する工事が完了前の場合、次のような事項も報告対象になります。
- 既に着手した工事の有無、概要、着手日、完了予定日または完了日
- 今後着手予定の工事の有無、概要、着手・完了予定日
- 必要な開発許可等の処分の有無、概要、年月日
- 許可等が取り消された場合や効力を失った場合の内容と理由
- 工事に係る資金計画
- 直近の財産管理報告書から変更がある場合の変更内容と理由
ここで中小建設会社が見ておきたいのは、変更理由の説明です。
建設現場では、工程変更、資材納期の変動、追加工事、許認可の調整が起こります。それ自体は珍しいことではありません。ただ、不動産特定共同事業に組み込まれた案件では、その変更が投資家向け報告に影響する可能性があります。
「なぜ変わったのか」 「金額にどう影響するのか」 「完了時期にどう影響するのか」
この3点を、発注者や事業者と共有しやすい形で残しておくことが重要になります。
利回り・価格・利害関係人取引は、根拠説明がより重くなります
今回の改正では、投資家向けの利回り表示についても説明事項が追加されました。
勧誘時に利回り等を表示した場合は、その利回り等が予想に基づくものであることや、根拠となる不動産取引の額、対象不動産を特定する事項、取引態様、取引が行われたこと・行われる見込みの根拠などを説明する方向です。
また、対象不動産の価格についても、価格を妥当と判断する根拠が求められます。
利害関係人取引についても強化されています。対象不動産の売却等を行う場合、利害関係を有しない不動産鑑定士による鑑定評価に相当する価格での売却等をするために必要な措置を講じていない状況が、事業参加者保護に支障を生じるおそれがある状況として追加されました。
監督留意事項では、対象不動産について、鑑定評価額を概ね1割以上上回る価格または1割以上下回る価格で売却等をする行為は、「必要な措置」に該当しない例として示されています。
不動産特定共同事業に関わる開発案件では、工事費、販売想定、賃料想定、出口価格が、より説明可能な数字として扱われる流れです。
建設会社側も、見積、変更契約、追加工事、出来高、原価情報の整理が甘いと、事業者側の説明資料づくりに影響する可能性があります。
電子取引では、HP等で見せる情報も増えます
電子取引業務を行う不動産特定共同事業者については、HP等への掲載事項も充実します。
追加される主な内容は次のとおりです。
- 利害関係人取引に関する事項
- 宅地造成または建物建築に関する工事に関する事項
- 収益または利益の分配に関する事項
ネット上で投資家が閲覧できる情報が増えるということは、事業者側だけでなく、工事に関わる会社にも影響します。
特に、工事概要やスケジュールが外部向け情報になる場合、社外に出してよい情報と、契約上・営業上管理すべき情報の線引きが必要になります。
経過措置の日付も確認しておきたいところです
今回の改正は、公布・施行が令和8年8月21日です。ただし、一部には経過措置があります。
主な日付は次のとおりです。
項目 | 日付・扱い |
|---|---|
公布・施行/発出・適用 | 令和8年8月21日 |
許可申請書等の提出部数変更 | 令和8年10月1日から適用 |
契約成立前説明、財産管理報告書、HP掲載事項等 | 施行時点で既に許可・登録を受けている者は、令和8年11月30日まで従前の例によることが可能 |
事業参加者保護に支障を生じるおそれがある状況等の追加 | 令和8年12月1日以後に締結される不動産特定共同事業契約について適用 |
既に不動産特定共同事業の許可・登録を受けている会社、またはその案件に関わる会社は、令和8年11月30日と12月1日を境目として確認しておく必要があります。
中小建設業が見ておきたい実務チェック
今回の改正を、中小建設業の実務に引き寄せると、確認すべきことは大きく5つです。
1つ目は、自社が不動産特定共同事業にどの立場で関わっているかです。事業者なのか、共同事業者なのか、施工会社なのか、グループ会社として利害関係人に当たる可能性があるのか。まず立場を整理することが出発点です。
2つ目は、工事概要・工程・許認可情報を、第三者に説明できる形で残しているかです。開発許可、建築確認、工事着手、完了予定、変更理由。これらは現場管理だけでなく、投資家説明にもつながります。
3つ目は、資金使途と工事費の対応関係です。出資金の使途として、工事費用、不動産取得代金、租税公課、アップフロントフィー、積立金などが例示されています。工事費の内訳や変更が、事業者側の説明とズレないようにしておきたいところです。
4つ目は、想定利回りや販売価格の前提に、自社の見積・工程が使われていないかです。もし使われているなら、その前提が変わったときに、誰が、いつ、どのように共有するかを決めておくと安心です。
5つ目は、情報公開の範囲です。電子取引ではHP等での掲載事項が増えます。工事名、所在地、工程、価格、取引条件など、外部に出る可能性がある情報について、発注者・事業者と事前に確認しておくことが大切です。
今回の改正は、単なる不動産業界の話ではありません。建設会社が関わる開発案件でも、「施工できる力」に加えて、「説明できる情報管理」が価値になる流れです。
自社の関わり方を一度整理しておく
不動産特定共同事業そのものを行っていない建設会社でも、開発案件、共同事業、グループ会社との不動産取引、施工協力の中で関係する可能性があります。
まずは、「うちは直接関係ない」と決めつけず、いま関わっている案件が不動産特定共同事業に該当するのか、自社の工事情報が投資家向け説明に使われるのかを確認しておくとよいです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような制度改正についても、「自社に関係するのか」「工事情報や原価情報をどう整理すべきか」という段階から一緒に考えることができます。
ものづくりに集中できる建設業界へ。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場として活用してください。

































