国土交通省は、令和8年8月25日から、令和8年熊本地震で被災した住宅の補修等に関する電話相談窓口を開設します。相談員は建築士で、国土交通省指定の住宅専門相談窓口「住まいるダイヤル」の相談員が対応します。
住宅補修やリフォームに関わる建設会社にとっては、単なる相談窓口の案内にとどまりません。被災されたお客様が、補修方法、補助制度、事業者選び、訪問営業への不安を公的窓口に相談できるようになるということです。つまり、地域の工務店・専門工事会社側にも、制度を踏まえた説明、写真・見積・契約書類の整理、過度な営業に見えない対応がより強く求められます。
発表内容 | 被災住宅の補修等に関する電話相談の開始 |
対象災害 | 令和8年熊本地震 |
開始日 | 令和8年8月25日 |
相談窓口 | 令和8年熊本地震による被災住宅の補修等相談ダイヤル |
電話番号 | 0120-330-712(フリーダイヤル) |
受付時間 | 10時〜17時(土、日、祝日、年末年始を除く) |
対応者 | 相談員(建築士) |
実施主体 | 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター |
熊本県の相談窓口 | 050-8882-5924(通信料がかかります) |
熊本県窓口の受付時間 | 9時〜12時、13時〜16時(土、日、祝日、年末年始を除く) |
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
今回の相談窓口は、被災者だけでなく施工会社側にも関係します
今回の相談ダイヤルでは、被災住宅の補修等について、建築士が無料で電話相談を受け付けます。報道資料では、相談例として次のような内容が示されています。
- 住宅の補修に使える補助制度はあるか
- 補修できる事業者はどのように探すのか
- リフォーム業者が訪問してきたが契約して大丈夫か
ここで中小建設企業が見ておきたいのは、被災者の方が「工事そのもの」だけでなく、「制度」「業者選び」「契約の不安」まで相談する局面に入っているという点です。
災害後の住宅補修では、屋根、外壁、開口部、配管、トイレなど、生活再建に直結する工事が急ぎになります。一方で、被災された方は、罹災証明、応急修理制度、保険、融資、仮住まいなど、同時に多くの手続きを抱えています。
この状況で地域の施工会社に求められるのは、早く直すことだけではありません。「この工事は制度の対象になりそうか」「先に支払うと使えなくなる制度はないか」「写真や見積書をどう残すべきか」を、少なくとも一緒に確認する姿勢です。
応急修理制度では「先に支払わない」が重要な論点です
関連資料では、被災した住宅の応急修理制度についても案内されています。
制度の概要としては、災害救助法が適用された地域で、住宅被害を受けた世帯に対し、日常生活に必要不可欠な最小限度の部分について、市町村が応急的な修理を行うものです。資料では、屋根等の基本部分、ドア等の開口部、上下水道等の配管・配線、トイレ等の衛生設備が例示されています。
基準額は、資料上、次のように示されています。
区分 | 1世帯当たりの限度額 |
|---|---|
全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊の被害を受けた世帯 | 757,000円以内(税込) |
準半壊の被害を受けた世帯 | 367,000円以内(税込) |
また、重要な注意点として、修理業者に先に代金を支払ってしまうと、この制度は利用できないとされています。
これは施工会社側にとっても非常に大事です。被災されたお客様から「すぐ直したい」「先に払うので進めてほしい」と言われる場面はあり得ます。しかし、制度利用の可能性がある場合には、支払い、契約、着工、申請の順番を市町村窓口で確認してから進めることが、お客様を守ることにつながります。
特に、住宅補修を請ける会社は、次のような社内確認をしておくとよいです。
- 制度利用の可能性がある工事は、着工前に市町村窓口の確認を促す
- 見積書、契約書、領収書、工事写真を整理して残す
- 被害箇所と修理箇所が分かる写真を、施工前・施工中・施工後で残す
- お客様に「先払いで制度が使えなくなる場合がある」ことを説明する
制度の最終判断は行政窓口が行うものですが、施工会社がこの論点を知っているだけで、お客様の安心感は大きく変わります。
ブルーシート等の緊急修理にも上限額と手順があります
関連資料では、「住宅の緊急の修理制度」についても説明されています。これは、地震で被害を受けた住宅について、雨水の侵入等を放置することで被害が拡大することを防ぐため、市町村が施工者にブルーシートの展張等の修理を依頼する制度です。
資料では、1世帯当たりの限度額は56,400円とされています。上限を超える部分は自己負担です。
この制度についても、応急修理制度と同じく、修理業者に先に代金を支払ってしまうと利用できないとされています。また、被害箇所・修理箇所が分かる写真撮影が必要とされています。
施工会社としては、「応急対応だから書類は後でいい」と考えたくなる場面ほど注意が必要です。現場は急ぎます。雨漏りも止めなければなりません。だからこそ、最低限の写真、見積、作業内容の記録を残す仕組みを社内で決めておきたいところです。
例えば、現場担当者に次のような確認項目を共有しておくだけでも、対応の質は安定します。
- 施工前に全景写真と被害箇所の拡大写真を撮る
- ブルーシート等の施工範囲が分かる写真を撮る
- お客様に制度利用の意向があるか確認する
- 市町村への相談前に支払いを受ける場合は、制度利用への影響を確認する
- 見積内容に、工事箇所と作業内容をできるだけ具体的に書く
災害対応では、早さと記録の両立が会社の信頼になります。
「補修できる事業者をどう探すか」が相談例に入っている意味
今回の資料では、相談例として「補修できる事業者はどのように探すの?」が挙げられています。また、総務省の生活支援窓口案内では、災害等により被災した住宅の補修工事等が可能な事業者を検索するサイトとして、国土交通省が協力している「住まい再建事業者検索サイト」にも触れられています。
これは、地域の施工会社にとって重要なサインです。被災地では、補修ニーズが一気に増えます。一方で、被災者の方は「どの会社に頼めばよいのか」「契約して大丈夫か」という不安を抱えています。
だからこそ、受注側は、自社が何をできて、何はできないのかを明確に伝えることが大切です。
たとえば、次のような情報を整理しておくと、お客様にも社内にも伝わりやすくなります。
- 対応できる工事種別(屋根、外壁、内装、設備、建具など)
- 対応可能エリア
- 現地確認までのおおよその目安
- 見積提出までのおおよその目安
- 応急対応と本復旧の切り分け
- 保険、罹災証明、行政制度に関する相談先の案内
ここで大切なのは、制度そのものを施工会社が断定しすぎないことです。「制度の対象になります」と言い切るのではなく、「市町村窓口に確認しましょう。そのために必要な写真や見積は整えます」と伝える。この距離感が、災害時の信頼を守ります。
悪質商法への不安がある時期だからこそ、誠実な会社が選ばれます
今回の相談例には、「リフォーム業者が訪問してきたけど契約して大丈夫?」という内容も含まれています。
災害後は、被害の不安と生活再建の焦りが重なります。屋根が傷んでいる、雨が入りそう、家族を早く戻したい。そうした状況では、強い営業や不透明な見積に対する不安も大きくなります。
中小建設企業にとって、これは逆風ではありません。むしろ、地域で長く仕事を続ける会社ほど、透明な説明、急がせない契約、記録に残る見積、制度確認への協力によって信頼を得る機会になります。
現場でのひと言も大切です。
「制度が使える可能性があるので、先に市町村へ確認しましょう」
「契約前に、ご家族とも相談してください」
「写真と見積は、申請や保険で必要になる場合があるので残しておきます」
こうした対応は、派手ではありません。しかし、被災された方にとっては大きな安心になります。災害時の仕事は、工事品質だけでなく、説明品質も会社の信用になります。
まず社内で確認したいこと
今回の発表を受けて、熊本県内や周辺地域で住宅補修に関わる会社は、次の点を確認しておきたいところです。
- 相談窓口の電話番号を社内で共有する
国の相談ダイヤルは 0120-330-712、熊本県の相談窓口は 050-8882-5924 です。
- 応急修理制度・緊急修理制度の基本を確認する
特に、先に代金を支払うと利用できない場合がある点は、営業・現場・事務で共有が必要です。
- 写真管理のルールを決める
被害箇所、修理箇所、施工前後が分かる写真を残すことは、被災者支援にも、後日の説明にも役立ちます。
- 見積書の書き方を整える
「一式」だけではなく、工事箇所、作業内容、数量、材料などが分かる形に近づけることが望ましいです。
- 制度判断を行政窓口につなぐ姿勢を徹底する
施工会社が制度適用を断定するのではなく、必要資料を整え、市町村や相談窓口への確認を促すことが大切です。
被災地の復旧では、地域の建設会社が頼りにされます。その期待に応えるためには、「直す力」と同じくらい、「迷っているお客様を制度や手続きにつなぐ力」が必要になります。
自社の災害対応を一度整理しておく
今回のような被災住宅補修では、現場対応、見積、写真管理、契約、行政制度、問い合わせ対応が一気につながります。普段は個別に回っている業務でも、災害時には会社全体の動き方として整えておく必要があります。
「うちの場合、どこまで制度説明をすべきか」「写真や書類の残し方をどう統一するか」「問い合わせが増えたとき、誰が一次対応するか」。こうした整理は、平時の業務改善にもつながります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。災害対応をきっかけに、自社の顧客対応や書類管理、社内連携を見直したい場合は、壁打ち相手としてご活用ください。無理な営業はいたしませんので、「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。

































