国土交通省は、令和8年7月1日に経営事項審査の審査基準が改正されることに伴い、令和7・8年度の国土交通省発注工事に係る競争参加資格、いわゆる建設工事の入札参加資格について、希望者を対象に再認定を実施すると発表しました。
対象となる資格 | 令和7・8年度 国土交通省発注工事に係る一般競争・指名競争参加資格(建設工事) |
再認定の理由 | 令和8年7月1日に経営事項審査の審査基準が改正されるため |
申請できる者 | 改正前の経審による総合評定値通知書に基づき令和7・8年度資格の認定を受け、改正後の経審による総合評定値通知書を取得した者 |
受付期間 | 令和8年7月1日(水)〜令和8年12月21日(月) |
認定予定日 | 適正な申請書を受理した日から1か月〜1か月半程度 |
受付機関 | 大臣官房会計課所掌機関、地方整備局等、北海道開発局 |
今回のポイントは、新しい経審基準で評価を受けた会社が、希望により、国交省の競争参加資格を再認定してもらえるという点です。
公共工事を取りにいく会社にとって、経審の点数や資格区分は、単なる事務手続きではありません。
「どの工種で、どの等級で、どの発注機関の案件に参加できるか」に関わります。
だからこそ、今回の再認定は、総務・経理だけで処理する話ではなく、来期以降の受注方針とセットで見るべきニュースです。
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まず確認したいのは「自社が申請対象か」です
再認定の申請ができるのは、次の条件に当てはまる会社です。
改正前の審査基準による経営事項審査の総合評定値通知書に基づき、令和7・8年度の国交省の競争参加資格を受けていること。
そのうえで、改正後の審査基準による経営事項審査の総合評定値通知書を取得していること。
つまり、すでに国交省発注工事の資格を持っていて、新しい経審基準で総合評定値通知書を取得した会社が、希望すれば再認定を申請できる、という整理です。
ここで大事なのは、再認定は自動ではなく、希望による申請だということです。
「新しい経審を受けたから、勝手に国交省の資格区分も更新される」と考えると、認識違いが起きる可能性があります。
受付期間は令和8年7月1日から12月21日までです
受付期間は、令和8年7月1日(水)から令和8年12月21日(月)までです。
認定予定日は、適正な申請書を受理した日から1か月から1か月半程度とされています。
ここは、入札予定と照らして見たいところです。
再認定を申請しても、すぐに結果が出るわけではありません。
案件の公告、参加申請、指名通知、開札日。
その流れの中で、いつ再認定されるかによって、実務上の見え方が変わります。
特に国交省案件を継続的に追っている会社は、「申請するか」だけでなく「いつ申請するか」も確認したいポイントです。
注意点は「一部だけ再認定」ができないことです
今回の別紙では、かなり重要な注意点が示されています。
再認定の申請は、一部の認定部局や工種のみを選択して行うことはできません。
国土交通省の大臣官房会計課所掌機関、地方整備局等、北海道開発局から受けている全ての認定資格について、再認定を申請する必要があります。
言い換えると、都合のよい工種だけ、点数が上がりそうな部局だけ、という申請はできないということです。
また、改正後の経審による総合評定値通知書に基づいて、認定部局や工種の追加を申請する場合も、すでに受けている全ての認定資格について再認定を申請する必要があります。
ここは経営判断です。
ある工種では有利でも、別の工種では等級や参加条件に影響が出る可能性があります。
申請前に、全工種・全部局を並べて見ることが大切です。
入札中の案件がある会社は、等級変更に注意が必要です
今回の発表で、特に現場感があるのはこの注意書きです。
すでに入札手続きに参加していて、競争参加資格の確認や指名通知を受けている場合でも、開札日までの間に再認定を受けた結果、等級が変わり入札参加条件を満たさなくなったときは、その入札に参加する資格を失います。
これは、かなり実務的な話です。
「せっかく参加資格の確認を受けた」
「指名通知も来ている」
その状態でも、開札日までに再認定の結果が出て、等級が変わると、参加条件から外れる可能性があるということです。
再認定そのものはチャンスです。
ただし、進行中の入札案件がある会社は、申請時期と開札日を必ず照合したいところです。
営業担当、積算担当、総務担当で情報が分かれている会社ほど、ここは一度集めて確認した方がよさそうです。
再認定後は、従前の内容に戻せません
もう一つ重要なのは、再認定後の取扱いです。
別紙では、再認定の結果を受けた後に、希望工種区分の認定内容を従前の内容に戻すことはできないとされています。
また、再認定済みの希望工種区分の認定内容の変更もできないとされています。
つまり、申請してみて、結果を見てから「やっぱり前の方がよかった」と戻すことはできません。
だからこそ、申請前に確認したいのは次の3つです。
- 改正後の経審で、自社の総合評定値がどう変わったか
- 国交省の各工種・各部局の認定内容にどう影響しそうか
- 現在参加中、または近く参加予定の入札案件に支障がないか
これは、単なる点数確認ではありません。
受注戦略の棚卸しです。
「今年度、どの発注機関を本気で取りにいくのか」
「維持修繕系を厚く見るのか」
「官庁営繕や港湾空港関係まで広げるのか」
そんな話とつながります。
申請書類は受付機関ごとに異なります
申請書類は、受付機関ごとに示されています。
大臣官房会計課所掌機関、地方整備局等、北海道開発局で、様式や添付書類が異なります。
共通して重要になるのは、改正後の審査基準による経営事項審査の総合評定値通知書の写しです。
地方整備局等や北海道開発局では、申請内容によって、工事分割内訳表、業態調書、共同企業体等調書、工事経歴書などが必要になる場合があります。
また、提出方法については、地方整備局等及び北海道開発局への申請では、文書持参方式、文書郵送方式、電子メール方式のいずれかとされています。
申請書作成の手引きや様式は、国土交通省ホームページから、受付機関ごとに入手する形です。
実務では、まず次の順番で進めるのがよさそうです。
- 自社がどの受付機関・どの部局で認定を受けているか確認する
- 改正後の経審による総合評定値通知書を確認する
- 現在の等級・工種・部局と、再認定後に想定される影響を整理する
- 入札中案件の開札日と、再認定の認定予定時期を照合する
- 申請する場合は、受付機関ごとの様式・提出先を確認する
JVや事業協同組合は構成員側の確認も必要です
経常建設共同企業体については、構成員全てが改正後の審査基準による経審の総合評定値通知書に基づいて申請することが必要とされています。
事業協同組合の総合点数の算定方法に関する特例の適用を希望する場合も、当該事業協同組合と審査対象者全てについて、改正後の総合評定値通知書に基づいて申請する必要があります。
ただし、改正前と改正後の総合評定値通知書の値に変動がないと認められる構成員または審査対象者については、この限りではないとされています。
共同で公共工事に参加している会社は、自社だけで完結しない手続きになります。
相手先との確認が必要です。
ここも早めに声をかけたいところです。
中小建設企業は「点数が上がるか」だけで見ない方がよいです
今回の再認定は、前向きに使える制度です。
新しい経審基準で評価を受け、より適切な資格区分で入札に参加できる可能性があります。
一方で、注意点も明確です。
全部局・全工種一括での再認定になること。
入札中案件で、等級変更により参加資格を失う可能性があること。
再認定後に従前の内容へ戻せないこと。
この3点は、必ず押さえたいところです。
中小建設企業にとって公共工事は、売上の柱であり、資金繰りの見通しであり、職人さんの稼働計画でもあります。
だからこそ、今回の話は「申請する・しない」の二択だけではありません。
自社が今後どの公共工事を取りにいくのかを、経審・等級・工種・入札予定と一緒に見直す機会です。
社内では、経営者、総務、積算、営業が同じ表を見ながら話すのがよいと思います。
「この工種は上がりそうか」
「この案件の開札日はいつか」
「申請のタイミングで不利にならないか」
短い打ち合わせでも、見落としを減らせます。
自社への影響を整理するところから始める
今回の再認定は、公共工事を受注している会社ほど、丁寧に見たい内容です。
ただ、経審、等級、工種、発注機関、入札予定を一度に見るのは、意外と手間がかかります。
「うちの場合は申請した方がよいのか」
「進行中の入札に影響がないかだけ確認したい」
「公共工事の受注方針そのものを整理したい」
その段階でも、外部と壁打ちする価値があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。公共工事の資格や受注方針も、会社の持続的成長に関わる大事な論点です。
無理な営業はいたしません。まずは「何から確認すべきか」を一緒に整理する場として、必要であればご相談ください。

































