国土交通省は、土地の境界や面積などを明確にする「地籍調査」の令和7年度実施状況を公表しました。令和7年度は新たに594㎢の地籍が明確化され、令和7年度末時点の進捗率は、全国の地籍調査対象地域で53%、優先実施地域で81%となりました。
公表内容 | 令和7年度の地籍調査実施状況 |
令和7年度の実績面積 | 594㎢ |
地籍調査対象地域の進捗率 | 53% |
優先実施地域の進捗率 | 81% |
林地の進捗率 | 優先実施地域で81%、前年度から1ポイント上昇 |
主な動き | リモートセンシング手法、通知に無反応な土地所有者等への境界確認手法の活用が定着 |
今後の方向性 | 令和9年度〜令和11年度の「3ヶ年加速化施策パッケージ」に基づき、地籍調査を加速 |
地籍調査は、一見すると建設会社の日々の受注活動から少し遠く見えるかもしれません。しかし実際には、公共工事の前提となる土地境界、災害復旧のスピード、森林・農山村部での施工条件、測量・GIS・リモートセンシングの仕事の広がりに関わるテーマです。
特に土木、測量、森林土木、法面、道路、河川、上下水道、造成、災害復旧に関わる会社にとっては、「地籍がどこまで明確になっているか」は、これからの地域インフラ整備の進み方を読む材料になります。
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- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
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- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
地籍調査は、公共工事の“下ごしらえ”です
地籍とは、一筆ごとの土地について、所有者、地番、地目、境界、面積などを示す基礎情報です。国土交通省はこれを「土地の戸籍」と説明しています。
建設業の現場感覚で言えば、地籍調査は、工事そのものではありません。ただし、工事を円滑に進めるための下ごしらえです。
道路を広げる。河川改修をする。災害で崩れた土地を復旧する。森林内で作業道や治山・林道関係の整備を進める。こうした場面で、境界や面積が曖昧なままだと、事業化、用地調整、施工範囲の確認に時間がかかります。
反対に、地籍が明確になっている地域では、公共事業や災害復旧の初動が進めやすくなります。今回の発表でも、地籍調査の効果として、土地取引の円滑化だけでなく、災害後の迅速な復旧・復興、インフラ整備、森林施業を円滑に進めることが挙げられています。
中小建設業にとって大事なのは、「地籍調査そのものを受注するか」だけではありません。地籍調査が進む地域では、その後のインフラ整備や防災関連事業が動きやすくなるという見方です。
令和7年度は594㎢。全体では53%、優先実施地域では81%まで進捗
今回公表された令和7年度の調査実績は594㎢です。前年度実績の623㎢は下回りましたが、令和7年度末時点での進捗率は次のようになっています。
区分 | 令和7年度末時点の進捗率 |
|---|---|
全国の地籍調査対象地域 | 53% |
優先実施地域 | 81% |
また、地籍調査対象地域における地目別の進捗率は、DIDが27%、宅地が52%、農用地が71%、林地が47%です。優先実施地域では、DIDが35%、宅地が75%、農用地が90%、林地が81%となっています。
ここで注目したいのは、優先実施地域ではかなり進んでいる一方、都市部のDIDや林地にはまだ余地があるという点です。
都市部では、既存建物、狭あい道路、権利関係、境界確認などが複雑になりがちです。農山村部や林地では、現地立会いの難しさ、所有者不明・不在、面積の広さ、地形条件などが壁になります。
この「進みにくいところをどう進めるか」が、今後の制度運用や技術導入の中心になります。そしてそこには、測量、調査、ICT、現場対応力を持つ地域企業の出番が生まれます。
林地ではリモートセンシング活用が大きく伸びています
今回の発表で、建設・測量・森林関係の会社が特に見ておきたいのは林地です。
PDF資料では、林地の調査実施面積のうち、リモートセンシング手法を活用した面積の割合が、令和6年度の約13%から令和7年度は約36%へ大きく上昇したとされています。
また、林地における無反応所有者に対する公告による調査を活用した筆数も、令和6年度の約29%から令和7年度は約61%へ上昇しています。
林地における動き | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|
リモートセンシング手法を活用した面積割合 | 約13% | 約36% |
無反応所有者に対する公告による調査を活用した筆数割合 | 約29% | 約61% |
これはかなり大きな変化です。
山林や農山村部では、従来型の立会い・踏査だけでは時間も人手もかかります。高精度な空中写真、航空レーザ測量などのリモートセンシングデータを活用できれば、現地確認の負担を減らしながら、調査を進めやすくなります。
つまり、今後の林地・農山村部の地籍調査では、「人が歩いて確認する力」と「データを扱う力」の両方が求められる方向に進みます。
地域の建設会社にとっても、これは他人事ではありません。自社で測量部門を持っている会社、森林土木に関わる会社、ドローンや点群データの活用を進めている会社は、自治体や測量会社との連携余地を見ておきたいところです。
令和9年度から令和11年度に向けて、地籍調査はさらに加速する方針です
国土交通省は、第7次国土調査事業十箇年計画の期末に向けて、令和9年度から令和11年度の3年間で地籍調査を加速させる方針です。そのために、令和8年6月2日に「3ヶ年加速化施策パッケージ」を公表しています。
資料では、柱として次の5つが示されています。
- 調査の迅速化
- 他事業との連携強化
- 新技術の徹底活用
- 広域化・共同化
- 意欲的に取り組む地域へのインセンティブ
この中で中小建設業が特に意識したいのは、他事業との連携強化と新技術の徹底活用です。
地籍調査は、単独で完結する行政調査ではなく、防災、道路、河川、林務、事前復興、森林施業などと結びついていきます。資料でも、都市部では災害リスクエリアなどで官民境界を先行して取りまとめる「防災対策街区境界調査(仮称)」の創設や、MMSを活用した街区境界調査の実装開始が示されています。
農山村部では、市町村の林務・地籍部局が連携し、地籍図作成に至る一体的な実施体制を構築する方向性が示されています。また、リモートセンシング等の新技術のさらなる活用促進、調査体制の広域化・共同化も挙げられています。
ここから見えるのは、自治体の縦割りを越えて、地域の土地情報を整えながらインフラ・防災・森林整備を進める流れです。
中小建設業は「自社の仕事にどこで接続するか」を見るべきです
今回の発表を、単なる全国進捗率のニュースとして読むと、少し距離があります。しかし、自社の地域・工種に引き寄せると、見るべきポイントがはっきりします。
まず、公共土木に関わる会社は、自社の営業エリアで地籍調査が進んでいるか、災害リスクエリアやインフラ整備予定地と重なっているかを見ておく価値があります。地籍が明確になる地域では、将来的に用地調整や事業化が進みやすくなる可能性があります。
次に、測量・調査・設計に近い仕事をしている会社は、リモートセンシング、MMS、GIS、点群データを扱える体制づくりを検討したいところです。すべてを自社で抱える必要はありません。協力会社、測量会社、技術会社との連携でも十分に選択肢になります。
また、森林土木や農山村部の工事に関わる会社は、林務部局と地籍部局が連携する動きを見ておくべきです。林道、治山、森林施業、災害復旧などの周辺で、土地情報の整備と工事が近づいていく可能性があります。
そして、総務・管理部門としては、G空間情報センターで登記所備付地図がオープンデータとして無償公開されている点も押さえておきたいところです。案件の初期確認、土地・周辺状況の把握、自治体情報との照合など、使い方によっては日常業務の効率化につながります。
これからの地域建設業は「現場力×データ対応力」が差になります
建設業の価値は、現場を納める力にあります。これは変わりません。
ただ、今回の地籍調査の動きを見ると、現場の前段階である土地情報、境界情報、GIS、リモートセンシング、MMSといったデータの重要性が一段上がっていることが分かります。
これからの地域建設業では、現場で施工できる会社が、土地や地形のデータも読めるようになることが強みになります。
「うちは施工会社だから関係ない」と切り離すよりも、「施工前の情報整理まで少し踏み込める会社になれないか」と考える方が、今後の公共工事や災害対応では有利です。
もちろん、いきなり高度な測量機器や専門人材を抱える必要はありません。まずは、次のような確認からで十分です。
- 自社エリアの地籍調査の進捗を把握する
- 自治体の防災・復旧・インフラ整備計画と照らす
- 測量会社やICT企業との連携先を整理する
- ドローン、点群、GISを扱える人材や協力先を確認する
- 公共工事の提案・施工管理で土地情報をどう使えるか考える
地籍調査の加速は、地域の公共事業を進めるための土台づくりです。 その土台が整っていく地域で、自社がどの位置を担うのか。ここを早めに考えておくことが、次の受注機会や地域貢献につながります。
自社の地域・工種に引き寄せて整理するために
今回のような制度・調査のニュースは、全国の数字だけを見ると少し遠く感じます。しかし、自社の営業エリア、得意工種、自治体との関係、測量・ICTへの対応状況に落とし込むと、次に見るべきことが見えてきます。
「うちの地域では地籍調査がどの程度進んでいるのか」「公共工事や災害復旧の動きとどう関係するのか」「測量DXやGIS活用をどこまで考えるべきか」といった段階でも、整理する価値があります。
ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して、経営課題の整理と実行を支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、制度や市場の変化を自社の打ち手に変えるお手伝いをしています。
無理な営業はいたしませんので、「まず何を確認すればよいか」を整理したい段階でも、必要に応じてお声がけください。

































