国土交通省は、令和8年9月8日、「不動産のインパクト改修投資促進に向けたモデル調査事業」で5件の提案を採択したと発表しました。

この事業は、ESGなどの社会課題に対応し、社会的・環境的なインパクトを生み出す改修投資を促すためのものです。改修によって不動産にどのような価値が生まれるのかを評価し、テナント、投資家、地域住民などに効果的に伝えるスキームを募集していました。

発表日

令和8年9月8日

事業名

不動産のインパクト改修投資促進に向けたモデル調査事業

応募数

10件

採択数

5件

目的

改修による不動産の社会的・環境的インパクトを評価し、ステークホルダーに訴求するスキームの構築

主な関係者

テナント、投資家、地域住民等

今回の発表は、すぐに中小建設企業の義務が増える話ではありません。

ただし、改修工事の市場では、少しずつ問いが変わり始めています。

「いくらで直せますか」だけではありません。

「その改修で、建物の価値はどう上がりますか」

「テナント満足度や地域への効果は説明できますか」

「環境性能やウェルネス、地域課題への貢献を数字で見せられますか」

そんな会話が、発注者側で増えていく可能性があります。中小建設業にとっては、改修提案を“工事内容”だけでなく“改修後の価値”まで語る時代へのサインとして見ておきたい発表です。

1週間で 22件の相談 がありました

  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
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採択された5件のモデル

今回採択されたのは、次の5件です。

提案者

提案スキームの概要

株式会社NTTファシリティーズ

建築物の新築・改修による効果を総合的に定量評価する独自指標「NEBs」を基盤に、地域社会への効果も含めて改良・高度化する評価スキーム

株式会社GOYOH

地域・利用者・建物の3系統のデータと改修施策データを統合解析し、インパクトの特定から改修施策の選定、経済性の検討まで行うスキーム

株式会社See Visions・株式会社価値総合研究所

地方都市の中心市街地等を想定し、地域課題を起点にインパクト、ロジックモデル、KPI、地域経済波及効果などを整理するスキーム

国立大学法人千葉大学大学院工学研究院・株式会社ザイマックス総研

CASBEE-ウェルネス不動産をベースに、「インパクト改修チェックリスト(仮称)」を構築し、改修前後の差分を定量評価するスキーム

みずほ不動産投資顧問株式会社

物件のESGポジショニング、地域課題、テナントアンケートを整理し、改修により創出すべき価値を特定して改修計画につなげるスキーム

共通しているのは、単に「省エネになります」「きれいになります」では終わらせない点です。

改修前後で何が変わるのか。誰にどんな効果があるのか。それをKPIやデータで説明しようとしている点が重要です。

中小建設業にとっての読みどころ

今回の採択提案を見ると、改修工事に求められる説明の幅が広がっています。

これまでの現場では、たとえば次のような説明が中心だった会社も多いはずです。

「雨漏りを止めます」

「設備を更新します」

「内装をきれいにします」

「法令や安全面に対応します」

もちろん、これは今後も大切です。施工品質は土台です。

ただ、これからは発注者の関心がもう一段広がる可能性があります。

改修によって、テナントが入りやすくなるのか。利用者の快適性が上がるのか。地域に人の流れが生まれるのか。建物の資産価値や収益性にどうつながるのか。

こうした話が、改修計画の初期段階から問われやすくなります。

特に、ビル、商業施設、オフィス、賃貸物件、公共性のある施設、中心市街地の建物などに関わる会社は、この流れを見ておく価値があります。

「工事の見積」から「価値の見積」へ

建設会社の見積は、材料、人工、外注、経費、工期を積み上げるものです。

一方、今回のモデル調査で見えてくるのは、別の見積です。

改修によって生まれる価値をどう見積もるかです。

たとえば、入力資料では次のような視点が出ています。

  • 地域社会への効果
  • 地域・利用者・建物データの統合
  • KPIの設計
  • 測定方法、測定時期、頻度
  • 地域経済波及効果
  • 物件価値、テナント価値、地域価値との接続
  • テナントアンケートによる利用者の声
  • 改修前後のインパクトの差分評価

これらは、施工会社だけですべてを担うものではないかもしれません。

ただし、発注者から見れば、施工会社も改修プロジェクトの重要な相談相手です。

「この改修で、どこまで断熱性能が上がるのか」

「利用者の動線はどう改善できるのか」

「テナントに説明しやすい工事内容になっているか」

「補修ではなく、将来の稼働率や満足度につながる改修になっているか」

こんな会話ができる会社は、単なる価格比較から一歩抜け出しやすくなります。

これからの改修提案では、“何を施工するか”と同じくらい、“施工後に何が良くなるか”を言語化する力が差になります。

まず社内で確認したい3つのこと

今回のニュースを受けて、中小建設企業がすぐ大きな投資をする必要はありません。

まずは、社内で次の3つを確認するだけでも十分です。

1. 改修提案に「効果」の欄があるか

見積書や提案書に、工事項目だけが並んでいないでしょうか。

もちろん、工事項目は必要です。

ただ、発注者の判断材料としては、もう一つほしいところです。

「この工事で何が改善するのか」を短く書ける欄です。

たとえば、快適性、安全性、省エネ性、維持管理性、テナント対応、地域利用などです。

立派なレポートでなくても構いません。

まずは、現場担当者が口頭で説明している価値を、紙やデータに残すことから始められます。

2. 改修前後の写真・数値・声を残しているか

今回の採択提案では、KPI、測定方法、頻度、アンケート、改修前後の差分といった言葉が出ています。

これは大きなヒントです。

価値を説明するには、改修前と改修後の変化を残しておく必要があります。

たとえば、写真、温度、照度、電気使用量、修繕頻度、利用者の声、テナントの要望などです。

すべてを測る必要はありません。

自社がよく扱う工事で、残しやすい情報からで十分です。

「この前の改修、すごく評判よかったよ」

この一言を、次の受注につながる材料に変えるには、少しだけ記録の仕組みが必要です。

3. 元請・発注者と早い段階で話せているか

インパクトや価値の話は、工事内容が固まった後では入りにくいものです。

仕様が決まり、予算が決まり、あとは施工だけ。

その段階では、提案できる余地が小さくなります。

改修の価値を高めるには、企画・計画段階から会話に入ることが大切です。

「この建物は、今後どう使いたいのですか」

「テナントからどんな声がありますか」

「修繕だけでなく、収益改善まで考えますか」

こうした質問ができると、工事会社の立ち位置が変わります。

価格競争を少しずつ抜けるための材料になる

中小建設業にとって、一番苦しいのは、工事の価値が価格だけで見られることです。

現場は頑張っている。

職人も段取りも品質も、簡単には真似できない。

それでも、発注時には「一番安いところはどこか」という話になりがちです。

今回のようなインパクト改修の考え方は、その流れを少し変える可能性があります。

改修工事を、単なる支出ではなく、建物価値を上げる投資として説明する流れです。

もちろん、すべての工事がすぐにそうなるわけではありません。

小規模な修繕、緊急対応、単純更新では、従来どおり価格とスピードが重視される場面も多いです。

それでも、改修市場全体では、発注者側が「効果を説明できる工事」を求める場面が増えていくと考えられます。

特に、不動産オーナー、アセットマネージャー、自治体、地域のまちづくり関係者と関わる会社は、早めに言葉を持っておきたいところです。

今回の発表を、自社の提案書を見直すきっかけにする

今回の発表は、採択モデルの決定です。

そのため、中小建設企業がすぐに申請する制度や、対応期限が示されたものではありません。

ただし、方向性ははっきりしています。

改修工事の価値を、環境、利用者、地域、経済性と結びつけて説明する動きが進んでいます。

まずは、自社の提案書や営業資料を見直してみるのが現実的です。

  • 工事項目だけで終わっていないか
  • 改修後の効果を説明しているか
  • 写真や数値で変化を残しているか
  • 発注者の事業目的まで聞けているか
  • 「修繕」だけでなく「価値向上」の言葉を持てているか

このあたりを少し整えるだけでも、営業の会話は変わります。

現場の腕を、発注者に伝わる言葉に変える。

それが、これからの改修市場で大事になっていきそうです。

自社の改修提案をどう見せるか、整理しておきたいときは

インパクト改修やESGという言葉は、少し大きく聞こえるかもしれません。

でも、実際には「自社の工事が、発注者にとってどんな価値を生むのか」を整理する話です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援し、ものづくりに集中できる建設業界へ近づけるための伴走をしています。

「うちの改修提案は、何を強みに見せればいいのか」

「提案書や営業資料をどう変えればいいのか」

「価格競争から少し抜けるために、まず何を整理すべきか」

そんな段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する壁打ち先として使ってください。

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