国土交通省は、令和8年度サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)に採択された「次世代住宅プロジェクト2026(第1回)」を公表しました。住宅分野でIoT技術等を活用し、住宅や住生活の質を高める先導的な実証プロジェクトを支援する事業です。

発表内容

「次世代住宅プロジェクト2026(第1回)」の採択結果公表

事業名

令和8年度サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)

第1回公募期間

令和8年5月15日から6月30日まで

応募状況

2事業者が応募

採択プロジェクト

日鉄興和不動産株式会社、MBTリンク株式会社の2件

支援対象

IoT技術等を活用した住宅・サービスの実証プロジェクト

補助内容

調査設計計画費用、建設工事費、効果検証費等の1/2等

限度額

1プロジェクトあたり3億円、1プロジェクト3年以内等

今回の採択そのものは、日鉄興和不動産株式会社とMBTリンク株式会社による実証プロジェクトです。ただし、中小建設業、とくに住宅会社・工務店・リフォーム会社にとって重要なのは、採択企業名だけではありません。国が「これからの住宅価値」として、IoT、健康管理、高齢者見守り、地域包括ケア、既存住宅への後付け技術を重視しているという点です。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード

今回採択された2つのプロジェクト

第1回で採択されたのは、いずれも「先導タイプ」です。市場化タイプへの応募はありませんでした。

代表提案者

プロジェクト名

主な取組テーマ

日鉄興和不動産株式会社

次世代ウェルネス住宅プロジェクト ー居住空間におけるパッシブセンシングと健康モニタリングの実証実験ー

その他(健康の増進)

MBTリンク株式会社

売木村発 ICTと地域人材の連携による高齢者見守り・健康支援・孤立化防止モデル実証プロジェクト

健康管理の支援、防犯対策の充実、コミュニティの維持・形成、その他

日鉄興和不動産のプロジェクトは、集合住宅の改修を対象に、ベッド、トイレ、冷蔵庫などに設置するIoTセンサーやウェアラブルデバイスを使い、生活・健康関連データを取得・分析するものです。居住者の入力負担を抑えながら、住宅そのものを「暮らしのヘルスデータを統合する基盤」にしていく考え方が評価されています。

MBTリンクのプロジェクトは、長野県売木村の戸建て住宅を対象に、分電盤に設置した電力センサーやAIを活用し、高齢者の生活状況や健康状態の変化を把握するものです。ICTだけで完結させるのではなく、地域人材によるサポートと組み合わせる点も評価されています。

つまり、今回の採択は、「住宅を建てて終わり」から「住んだ後の生活・健康・安心を支える住宅」へ政策の関心が移っていることを示しています。

中小住宅会社が見るべきポイントは「技術そのもの」より「住宅価値の変化」

今回の内容を読むと、AI、IoT、バイタルデータ、センシング、AIアバターなど、かなり先端的な言葉が並びます。中小建設会社から見ると、自社には遠い話に感じるかもしれません。

しかし、見るべきポイントはそこだけではありません。

重要なのは、住宅の価値が、断熱・耐震・設備グレードだけでなく、暮らしの継続性、健康、見守り、家族の安心まで広がっているという流れです。

特に地方の住宅会社やリフォーム会社にとって、高齢者世帯、単身世帯、離れて暮らす家族、空き家・既存住宅の活用はすでに身近な経営テーマです。今回の採択プロジェクトは、その課題に対して「住宅側に後付けできるセンサー」「生活データの活用」「地域人材との連携」という方向性を示しています。

自社でAIシステムを開発する必要はありません。むしろ中小建設業にとって現実的なのは、IoT機器メーカー、見守りサービス事業者、自治体、医療・介護関係者と組み、施工・設置・維持管理の担い手になることです。

既存住宅改修との相性が高いテーマです

今回の2件のうち、日鉄興和不動産のプロジェクトは「集合住宅/改修」、MBTリンクのプロジェクトは「戸建て住宅/技術の検証のみ」とされています。

ここには、中小建設業にとって見逃せない示唆があります。次世代住宅は、新築だけの話ではなく、既存住宅に後付けする改修領域でも展開される可能性があるということです。

国交省の資料でも、対象事業には次のような類型が示されています。

  • 住宅分野における先導的な技術等を活用した次世代住宅の新築
  • 既存住宅の改修による次世代住宅化
  • 次世代住宅に関する技術の検証

今後、住宅ストック活用、空き家対策、高齢者の在宅生活支援がさらに重要になるなかで、既存住宅へのIoT設置や小規模改修は、地域工務店・リフォーム会社が関わりやすい領域です。

たとえば、現時点で制度の対象になるかは個別確認が必要ですが、経営視点では次のような方向が考えられます。

  • 高齢者宅の手すり・段差解消とあわせた見守り機器の設置
  • 分電盤まわり、トイレ、寝室、玄関などへのセンサー設置を伴う改修
  • 賃貸住宅や集合住宅での見守り・健康支援サービスとの連携
  • 地域包括ケアや自治体施策と接続した住宅改修メニューの検討

ポイントは、改修工事を単体で売るのではなく、住み続けるための仕組みとして提案することです。

補助事業としての基本構造も押さえておきたい

今回の「次世代住宅プロジェクト2026」は、住宅分野における先導的な技術等の活用・導入により、住宅の「新たな価値創造」を目指すモデル住宅の提案を支援するものです。

資料では、令和8年度予算として「環境・ストック活用推進事業(36.02億円)の内数」とされ、支援内容は次のように示されています。

支援タイプ

先導タイプ、市場化タイプ

先導タイプ

住宅への実用化に向けた課題・効果等の実証事業

市場化タイプ

市場化に向けた課題検証を、実際に供給される住宅で行う取組

限度額

1プロジェクトあたり3億円

事業期間

1プロジェクト3年以内等

補助率

調査設計計画費用、建設工事費、効果検証費等の1/2等

第1回公募はすでに終了しています。そのため、今すぐこの第1回に応募するという話ではありません。

ただし、制度の構造を押さえておく意味はあります。こうした先導事業は、採択事例が次年度以降の公募テーマや民間サービスの開発、自治体施策、住宅会社の商品企画に影響していくことが多いためです。

中小建設業としては、補助金を「もらえるかどうか」だけで見るのではなく、国がどの領域に実証予算をつけているかを読むことが重要です。今回でいえば、健康、見守り、地域人材、既存住宅、IoTが明確なキーワードです。

評価委員会が示した今後の期待も重要です

今回の資料では、次回以降の公募に対する留意点・期待も示されています。中小建設業に関係が深いのは、次の記載です。

「健康寿命の増進および介護業界・建築生産における人手不足は、引き続き重要なキーワード」とされています。

また、「建築コストの高騰・職人不足はさらに厳しい状況になっている。フィジカルAIを主軸にコストや工期や職人の機会・AI代替に関する提案を期待したい」とも記載されています。

ここは、今回の住宅IoTの話を超えて、建設業全体に関わる重要な論点です。

国の問題意識は、単に「便利なスマート住宅を増やしたい」というものではありません。高齢化、介護人材不足、地域の担い手不足、建築生産の人手不足、コスト高騰といった社会課題に対して、住宅や建設業がどう関われるかを見ています。

したがって、これからの中小建設業には、施工力に加えて、地域課題を理解し、技術やサービスを組み合わせる編集力が求められていきます。

自社で考えるべき実務チェックポイント

今回の発表を受けて、中小建設業がすぐに大きな投資をする必要はありません。まずは、自社の事業と照らして、次の点を整理しておくとよいです。

1つ目は、自社の顧客層に高齢者世帯・単身世帯・遠方家族ニーズがどれだけあるかです。リフォーム相談、相続前後の住宅相談、空き家管理、賃貸管理などの接点がある会社ほど、見守り・健康支援サービスとの相性があります。

2つ目は、既存住宅に後付けできる設備・IoT機器の施工対応力を持てるかです。電気、通信、センサー、分電盤まわりなど、自社単独で難しい部分は協力会社との体制づくりが必要になります。

3つ目は、自治体や地域包括ケア、介護・医療系事業者との接点を持てるかです。今回採択されたMBTリンクの事例では、ICTと地域人材の連携が評価されています。地域密着の建設会社にとっては、ここが強みになり得ます。

4つ目は、補助事業に応募できるレベルの実証テーマを持てるかです。先導事業では、単なる商品販売ではなく、課題、実証方法、取得データ、効果検証、普及可能性が問われます。補助金活用を考えるなら、早い段階から技術企業や大学、自治体などとの連携設計が必要です。

今回のニュースは、採択結果の公表ではありますが、住宅業界の次の競争軸を示しています。これからの住宅会社は、建物をつくる会社から、暮らしを支える会社へ少しずつ役割を広げていく。その流れを、早めに経営会議の議題にしておく価値があります。

自社に置き換えて整理したいときに

次世代住宅、IoT、見守り、既存住宅改修と聞くと、まだ自社には早いと感じる会社もあると思います。一方で、高齢者世帯への対応、採算の合うリフォームメニューづくり、協力会社との施工体制、自治体・地域事業者との連携は、すでに多くの中小建設業に関係しているテーマです。

ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、販路拡大、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して、経営課題の整理と実行支援を行っています。今回のような制度・技術動向についても、「うちの場合は関係があるのか」「何から整理すべきか」という段階から一緒に考えることができます。

無理な営業はいたしませんので、まずは自社の住宅・改修事業にどう影響しそうかを整理したい場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、現実的な一歩を一緒に考えていきます。