国土交通省と気象庁は、令和8年8月27日、石川県と富山県の一部地域にレベル5大雨特別警報を発表しました。対象地域では、これまでに経験したことのないような大雨となっており、土砂災害や河川の増水・氾濫の危険性が高まっています。
建設会社にとっては、単なる気象情報ではありません。現場を止める判断、社員・協力会社の安否確認、通勤・移動の中止、資材置場や重機の安全確認に直結する情報です。
発表内容 | レベル5大雨特別警報 |
発表機関 | 国土交通省 水管理・国土保全局、気象庁 |
発表時刻 | 令和8年8月27日 7時20分 |
対象地域 | 石川県羽咋市、志賀町、宝達志水町、中能登町、富山県氷見市 |
状況 | 土砂災害や河川氾濫の危険性が高まっている地域あり |
求められる行動 | 命の危険が迫っているため、直ちに身の安全を確保 |
参考情報 | 内容 |
|---|---|
12時間降水量 | 石川県羽咋市・羽咋 252.5mm、富山県氷見市・氷見 252.0mm(8月27日6時まで) |
24時間雨量予想 | 28日6時までに富山県180mm、石川県180mm、新潟県150mm、福井県90mm |
氾濫危険水位超過河川 | 阿尾川、宇波川、上庄川、沖田川(8月27日6時20分時点) |
確認すべき情報 | キキクル、川の防災情報、自治体の避難情報、道路情報 |
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建設会社が最初に見るべきこと
今回の発表で最も重要なのは、レベル5は「避難を検討する段階」ではなく、「命の危険が迫っている段階」だということです。
該当地域に本社・営業所・現場・資材置場・協力会社・社員の自宅がある場合、まず確認すべきことは次の4つです。
- 現場に人が残っていないか
- 移動中の社員・職人がいないか
- 低い土地、河川沿い、アンダーパス付近に車両や重機がないか
- 土砂災害警戒区域や浸水想定区域に関係者がいないか
現場では「少し片付けてから帰る」「道具だけ引き上げる」「車を移動しておく」といった判断が起きがちです。ですが、今回の資料では、浸水リスクがあるエリアへの車での移動はしないこと、アンダーパスや浸水した道路に侵入しないことが明記されています。
建設業は、どうしても現場を守ろうとします。けれど、この段階では順番が逆です。現場より先に、人を守る判断です。
現場停止の判断は「被害が出てから」では遅い
国交省・気象庁の資料では、レベル5大雨特別警報について、災害がすでに発生している可能性が極めて高いと説明されています。
中小建設会社の実務で考えると、次のような対応が必要になります。
- 該当地域の屋外作業は中止する
- 河川・水路・法面・斜面付近の作業は近づかない
- 現場確認のための単独行動をさせない
- 資材置場や重機置場の確認は、安全が確認できるまで後回しにする
- 協力会社にも同じ判断基準を共有する
特に注意したいのは、中小河川です。資料では、中小河川は大雨が降ると短時間で急激に水位が上昇しやすいとされています。
普段は穏やかな川でも、短時間で様子が変わります。現場の横を流れる水路、仮設道路の近くの小河川、資材置場の脇の排水路。こうした場所ほど、見慣れているため油断が生まれます。
「いつも大丈夫だった」は、今回の判断材料にはしない。 これが大事です。
通勤・移動・現場巡回を止めることも経営判断です
建設業では、災害時に「現場を見に行く」「元請に状況を報告する」「資材を確認する」という動きが出やすくなります。
ただし、今回の資料では、避難にあたって次の注意が示されています。
- 河川、海、低い土地、地下施設、アンダーパスなどから離れる
- 浸水リスクがあるエリアへ車で移動しない
- アンダーパスや浸水した道路に侵入しない
- 道路の通行止めや冠水に注意する
これは、そのまま建設会社の移動ルールになります。
たとえば、朝の段階で現場に向かう職人がいる場合。材料を取りに倉庫へ向かう社員がいる場合。協力会社が別現場から移動してくる場合。こうした動きを、会社側が止められるかどうかが重要です。
災害時の安全管理は、現場代理人だけの仕事ではありません。会社全体の意思決定です。
情報確認は「キキクル」「川の防災情報」「道路情報」を組み合わせる
今回の発表では、気象庁のキキクルで今いる場所の危険度を確認することが呼びかけられています。
また、河川については、国土交通省の川の防災情報などで状況を把握することが示されています。道路については、事前通行規制区間や道路情報提供システム、高速道路会社、地方整備局、日本道路交通情報センターなどの確認が案内されています。
建設会社としては、次のように役割を分けると動きやすくなります。
- 経営者・役員:現場停止、出社停止、移動停止の判断
- 工事責任者:各現場の人員確認、元請・発注者への連絡
- 総務・管理部門:社員・家族・協力会社の安否確認
- 安全担当:キキクル、河川情報、道路情報の確認と共有
大事なのは、情報を見る人を決めることです。災害時は、全員がそれぞれスマホで情報を見ていても、会社としての判断が遅れることがあります。
「誰が見て、誰が決めて、誰に伝えるか」まで決めておくことが、安全管理の実務です。
雨が弱まった後も、すぐに再開判断をしない
資料では、雨が弱まったりやんだりしても、土砂災害の危険が続くことがあるとされています。また、大河川では上流の雨により、下流で遅れて増水する場合があります。
つまり、建設会社にとっては、雨がやんだことと、現場を再開できることは別問題です。
再開前には、少なくとも次の確認が必要です。
- 自治体の避難情報がどうなっているか
- 現場周辺の浸水・土砂災害リスクが下がっているか
- 通勤経路・搬入経路が安全か
- 足場、仮囲い、法面、掘削箇所、仮設電源に異常がないか
- 協力会社が無理に移動していないか
特に、掘削中の現場、法面のある現場、河川・水路に近い現場、低地の資材置場は慎重に確認したいところです。
再開判断は「工期」ではなく「安全確認の完了」を基準にする。 ここを会社として明確にしておくと、現場も迷いにくくなります。
今回のニュースから考えたい、建設会社の備え
今回のようなレベル5の情報は、発表されてから考えるのでは遅くなります。
中小建設会社が平時に整えておきたいのは、難しいマニュアルではありません。まずは、次のような実務的な備えです。
- 大雨時に止める現場の基準を決めておく
- 社員・協力会社の緊急連絡網を更新しておく
- 資材置場・車両置場の浸水リスクをハザードマップで確認しておく
- 現場ごとに避難場所と危険箇所を共有しておく
- 道路冠水時に使わないルートを決めておく
- 元請・発注者への報告テンプレートを用意しておく
災害対応は、特別な会社だけの話ではありません。地域に根を張る建設会社ほど、社員、家族、協力会社、現場、資機材、地域の復旧まで、多くのものを背負っています。
だからこそ、「止める判断」を早くできる会社が、結果として現場も事業も守りやすくなります。
自社の災害時ルールを見直すきっかけに
今回のような大雨特別警報は、該当地域の会社にとっては目の前の安全確保が最優先です。一方で、該当地域以外の会社にとっても、現場停止基準、安否確認、協力会社との連絡、資材置場のリスク確認を見直すきっかけになります。
「うちの場合、誰が現場停止を決めるのか」「協力会社への連絡は誰がするのか」「ハザードマップ上で危ない置場はないか」。こうした整理は、日常業務の延長で進められます。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。災害時の安全体制や連絡フローも、会社の持続的成長を支える大切な土台です。
「何から整理すればよいかわからない」「自社の現場に合うルールに落とし込みたい」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の壁打ちとしてご相談ください。
































