国土交通省は令和8年9月4日、新明和工業株式会社から、いすゞ「エルフ」に関するリコールの届出があったと公表しました。対象は、スライドボデー付きダンプトラック計461台です。ダンプ用作動油タンクステーと後輪用ブレーキ配管が干渉し、最悪の場合、ブレーキ液が漏れて制動力が低下するおそれがあります。

届出者

新明和工業株式会社

対象車名・通称名

いすゞ「エルフ」

対象台数

計461台

対象車両の製作期間

令和6年11月12日~令和8年4月11日

リコール届出日

令和8年9月4日

リコール開始日

令和8年9月4日

リコール届出番号

5866

不具合の部位

ダンプ用作動油タンクステー

想定されるリスク

後輪用ブレーキ配管の損傷、ブレーキ液漏れ、制動力低下のおそれ

改善措置

ステー取付状態の点検、必要に応じた対策品への交換、ブレーキ配管の点検・交換

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建設会社がまず見るべきポイント

今回のリコールは、一般乗用車ではなく、建設現場で使われる可能性が高いスライドボデー付きダンプトラックに関するものです。

対象は、いすゞ「エルフ」のうち、次の型式が資料に記載されています。

  • 2PG-NPR88YM
  • 2RG-NPR88YM
  • 2WG-NPR88YM

車台番号の範囲も公表されています。ただし、国交省資料では、車台番号の範囲内でも対象とならない車両が含まれる場合があるとされています。

そのため、社内で見るべき順番はシンプルです。

  1. 自社にいすゞ「エルフ」のダンプがあるか確認する
  2. スライドボデー付きか確認する
  3. 車検証などで型式・車台番号を確認する
  4. 販売店または届出者に対象車両か確認する
  5. 対象であれば点検・改善措置の日程を調整する

「うちの車両、たぶん大丈夫だろう」で止めないことが大切です。今回の論点は、走行中の振動で部品が干渉し、ブレーキ配管に影響する可能性がある点です。現場へ向かう朝。資材を積んだ移動中。坂道や狭い生活道路。そうした場面を考えると、車両管理の優先度は高めてよい内容です。

何が不具合なのか

資料によると、対象はスライドボデー付きダンプトラックです。

不具合の原因は、ダンプ用作動油タンクステーの取付工程が不適切だったこととされています。

その結果、ステーと後輪用ブレーキ配管の間隔が小さくなり、走行時の振動で干渉することがあります。そのまま使用を続けると、ブレーキ配管が損傷するおそれがあります。

最悪の場合は、ブレーキ液が漏れて制動力が低下するおそれがあります。

これは、単なる部品交換の話ではありません。現場車両の安全、運転者の安全、周囲の交通安全に関わる話です。

国交省の資料では、事故の有無について「1件」、不具合の件数について「無し」と記載されています。

改善措置の内容

改善措置は、全車両を対象に行われます。

具体的には、次の内容です。

  • ダンプ用作動油タンクステーの取付状態を点検
  • 誤りがある場合は、当該ステーを対策品に交換
  • 後輪用ブレーキ配管を点検
  • 損傷がある場合は、ブレーキ配管を新品に交換

改善実施済みの車両には、運転者席ドアロックストライカー付近に識別ステッカーが貼り付けられるとされています。

現場側では、点検後に「どの車両が改善済みか」が分からなくなることがあります。特に複数台を保有している会社では起きがちです。

改善済みステッカーの確認と、社内の車両台帳への記録をセットで行うと、後から確認しやすくなります。

中小建設業にとっての実務影響

今回のリコールは、対象台数が計461台です。全国のすべての会社に関係する話ではありません。

ただ、該当する会社にとっては軽く見ない方がよい内容です。

理由は3つあります。

1つ目は、ブレーキに関わる不具合であることです。

現場車両は、空荷だけで走るわけではありません。資材や道具を積みます。現場に向かう道も、幹線道路だけとは限りません。住宅地、坂道、狭い道路、出入りの多い現場周辺を走ります。

2つ目は、対象がダンプトラックであることです。

土木、外構、解体、舗装、基礎、造園など、幅広い中小建設会社で使われる車両です。自社所有だけでなく、グループ会社、協力会社、リース車両として現場に入っているケースもあります。

3つ目は、車両管理の抜けが安全管理の抜けにつながりやすいことです。

「車検は見ている」 「日常点検もしている」 「でもリコール確認は担当者任せ」

こうした状態は、どの会社でも起こり得ます。だからこそ、今回のような情報をきっかけに、リコール確認の流れを一度整えておくとよいです。

社内で今日確認したいこと

対象になりそうな車両がある会社は、次の確認から始めるのが現実的です。

  • 車両台帳に、型式・車台番号が記録されているか
  • いすゞ「エルフ」のダンプを保有・使用しているか
  • スライドボデー付き車両があるか
  • 販売店、整備工場、リース会社の連絡先がすぐ分かるか
  • 改善措置後に、社内で改善済みを記録する運用があるか

特に大事なのは、車両台帳と実車が一致しているかです。

紙の台帳はある。Excelもある。でも、現場では車両の入れ替えやリース利用が増えている。こういう会社では、台帳が少しずつ古くなります。

安全書類、車検、保険、点検、リコール。これらは別々に見えますが、根っこは同じです。会社が使っている車両を、会社として把握できているかです。

リコール情報を「仕組み」に変える

リコールは、出たときに慌てて確認するものになりがちです。

でも、建設会社の経営目線では、もう一歩だけ進めたいところです。

リコール情報を、車両管理の仕組みを見直すきっかけにするという考え方です。

たとえば、月1回の安全会議や車両点検日に、次の確認を入れるだけでも変わります。

  • 国交省やメーカーのリコール情報を確認する
  • 対象になりそうな車両がないか見る
  • 対象があれば、販売店・整備工場に確認する
  • 対応状況を車両台帳に残す

難しい仕組みである必要はありません。担当者が一人で抱え込まない形にすることが大切です。

安全管理は、現場の努力だけでは続きません。会社の仕組みとして支えることで、続けやすくなります。

自社の車両管理を見直すきっかけに

今回のリコールに該当するかどうかは、販売店または届出者への確認が必要です。該当しない会社も多いはずです。

それでも、今回の情報は「うちの車両管理は今のままで大丈夫か」を見直す良いきっかけになります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、安全、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。車両台帳や点検記録、安全管理の運用も、日々の現場に合う形で整えることが大切です。

「対象車両の確認だけでなく、車両管理全体を見直したい」 「安全管理の記録が属人的になっている」 「Excelや紙の台帳をどう整理すればよいか分からない」

そんな段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしません。まずは、今の状況を一緒に整理するところからお話しできます。

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