国土交通省は令和8年7月15日、地域の不動産業者の役割と期待を表す新しいキャッチフレーズ「地域とくらしのパートナー」を冠した施策パッケージを始動すると発表しました。

中心にあるのは、不動産業者を核として、自治体や他業種などと協業し、空き家・空き地等の流通や利活用を通じて地域の価値創造を応援するという考え方です。

今回、第1弾として、シンポジウム動画の公開、令和8年度「地域価値共創モデル事業」の新規採択事業6件の発表、「地域価値を共創する不動産業アワード」への国土交通大臣賞新設が示されました。

発表日

令和8年7月15日

施策名

「地域とくらしのパートナー」施策パッケージ

目的

不動産業者を核とした空き家・空き地等の流通・利活用による地域価値創造の支援

今回の主な発表

シンポジウム動画公開、モデル事業6件の採択、不動産業アワード国土交通大臣賞の新設

モデル事業の募集期間

令和8年4月15日〜5月29日

モデル事業の採択件数

6件(応募総数43件)

アワードの今後

次回から国土交通大臣賞を創設。募集は本年秋以降予定、詳細は後日公表

1週間で 19件ダウンロード されました

  • 7月16日外構工事会社東京都
  • 7月16日塗装工事会社大阪府
  • 7月16日内装工事会社群馬県
  • 7月16日総合建築岐阜県
  • 7月15日工務店東京都
  • 7月15日内装工事会社神奈川県
  • 7月15日塗装工事会社奈良県
  • 7月15日内装工事会社鳥取県
  • 7月14日配管工事会社高知県
  • 7月14日配管工事会社広島県
  • 7月14日防水工事会社神奈川県
  • 7月12日配管工事会社京都府
  • 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
  • 7月12日リフォーム会社茨城県
  • 7月11日総合建築福島県
  • 7月11日総合土木大阪府
  • 7月11日造園会社愛知県
  • 7月11日外構工事会社茨城県
  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード

建設会社にとってのポイントは「不動産業者が核」という整理です

今回の施策は、建設会社を直接の主役に置いたものではありません。

国交省の資料では、地域課題解決のリーダーとして、専門ノウハウを有する不動産業者を「核」にすると整理されています。

ここは大事です。

空き家・空き地の問題は、建物だけでは動きません。

所有者がいます。権利関係があります。賃貸や売買があります。自治体との調整もあります。地域団体、金融機関、交通、観光、教育、福祉、農業なども絡みます。

そのため、国交省は「まず不動産業者をハブにする」という設計を打ち出しています。

一方で、現場を動かす段階では、建設会社の出番が出てきます。

空き家の改修、既存建築物の利活用、低未利用地での建物建設、施設の維持管理、場合によっては解体や外構整備も必要になります。

つまり、中小建設会社にとっては「自社が補助金の主役になるか」だけではなく、地域の不動産業者や自治体の構想に、施工・改修・維持管理の実行部隊としてどう入るかを見るニュースです。

採択6件に共通するのは、空き家・空き地を「単発工事」で終わらせない動きです

令和8年度「地域価値共創モデル事業」では、6件が採択されました。

公表資料では、以下のような取組が示されています。

採択事業

活動拠点

主な内容

新発田ハレノヒ・マーケット

新潟県新発田市

低未利用地を取得し、建物建設からリーシング・管理まで一貫して対応。地域交流型都市再生拠点を形成

匠宿工芸村計画

静岡県静岡市

伝統工芸施設を核に、周辺の空き家・空き地の利活用を推進

地域ファイナンスを活用した地域活性化

和歌山県和歌山市・田辺市・白浜町

温浴施設をハブに、周辺空き家を活用した分散型滞在・二地域居住モデルを構築

CONNECT CITY構想

兵庫県たつの市

交通・金融機関等と連携し、空き家・空き地利活用の経済循環モデルを構築

塩飽諸島本島の世代間交流創出モデル

香川県丸亀市

低未利用不動産の所有者と島内外の利用希望者をマッチングし、交流拠点を整備・運営

ベリーズパーク名子

福岡県福岡市

耕作放棄地をブルーベリー農園として再生し、農福連携モデルを構築

ここで見たいのは、単に「空き家を直す」「土地に建てる」という話ではないことです。

建物や土地を、地域の産業、観光、教育、福祉、交通、金融とつなげて、継続的に使われる場所に変えていくという流れです。

建設会社の立場で見ると、これまでのような「見積依頼が来たら施工する」という関わり方だけでは、少し遅いかもしれません。

これからは、地域の不動産業者から、こんな相談が来る場面が増える可能性があります。

「この古民家、交流拠点にできると思いますか」

「最低限どこまで直せば使えますか」

「耐震や雨漏りを見たうえで、段階的に改修できますか」

「運営しながら直すなら、どんな順番がいいですか」

こうした相談に対して、工事費だけでなく、使い方・維持管理・段階施工まで一緒に考えられる会社は、地域内で声がかかりやすくなります。

「連携体制構築の活動費を支援」という点にも注目です

施策パッケージの全体概要では、「地域価値共創モデル事業」について、先進的な実践を行う事業者に対して、連携体制構築の活動費を支援すると説明されています。

ここも、建設会社としては押さえておきたい点です。

工事費そのものの補助制度として読むよりも、地域で事業を組み立てるための関係づくりを後押しする制度として見るのが自然です。

空き家や空き地の利活用は、施工だけでは前に進みません。

所有者の合意形成があります。収支の見通しがあります。利用者の確保があります。運営主体の整理があります。自治体や金融機関との接点も必要です。

だからこそ、今回の採択事業でも、不動産業者、自治体、金融機関、商工会議所、大学、交通事業者、福祉・農業関係者などが連携先として並んでいます。

中小建設会社にとっての実務的な問いは、次の3つです。

1つ目は、地元の不動産業者と空き家・空き地の相談を共有できているか。

2つ目は、自治体や地域団体が進めるエリア再生の動きを把握できているか。

3つ目は、自社が「施工だけ」ではなく、現況確認、概算、段階改修、維持管理まで話せる状態になっているか。

この3つが整っている会社は、地域価値共創の流れに入りやすくなります。

今回は「すぐ応募できる補助金」ではなく、地域市場の方向性を読むニュースです

今回の発表では、令和8年度モデル事業の募集はすでに終了しています。

募集期間は、令和8年4月15日から5月29日でした。

そのため、この記事を読んで「今からこのモデル事業に応募しよう」という話ではありません。

ただし、国交省が空き家・空き地の利活用を、地域の多様なプレーヤーによる事業として後押ししていることは見逃せません。

中小建設業にとって、これは公共工事とは違う地域市場です。

発注者が自治体だけとは限りません。

不動産業者、まちづくり会社、商店街組合、地域金融機関、福祉法人、農業法人、観光事業者などが、事業の入口になる可能性があります。

そして、建設会社に求められる役割も変わります。

「図面が固まったら施工する」だけではなく、

「この建物は使えるのか」

「どこにお金をかけるべきか」

「最初から全部直すべきか、段階的に直すべきか」

「運営しながら修繕を続けるなら、どんな体制が必要か」

こうした初期段階の相談力が、地域での存在感につながります。

空き家・空き地活用は、建設会社にとって“工事の結果”ではなく、“地域事業の入口”になりつつあります。

秋以降予定のアワード募集も、地域での見せ方を考える材料になります

今回の発表では、「地域価値を共創する不動産業アワード」に、次回から国土交通大臣賞を創設することも示されました。

募集は本年秋以降の予定で、詳細は後日公表とされています。

アワード自体は不動産業に関するものです。

ただ、建設会社としても、地域の不動産業者と一緒に取り組んだ改修、再生、拠点づくりがある場合は、地域価値をどう生んだのかを言語化する機会として見ておきたいところです。

たとえば、単に「古い建物を改修しました」ではなく、

「空き店舗が交流拠点になった」

「地域産業の体験場所になった」

「二地域居住の受け皿になった」

「福祉や農業とつながる場所になった」

という形で、自社の仕事を地域の文脈で整理することが大切になります。

これからは、施工実績を“建物の写真”だけで見せるのではなく、“地域に何を残したか”で見せる力も必要になっていきます。

自社の地域連携を一度棚卸ししてみる

今回の施策パッケージは、不動産業者を中心にしたものです。

ですが、空き家・空き地の利活用が進むほど、現場を形にする建設会社の役割は欠かせません。

まずは、自社の周りを見渡してみるだけでも十分です。

地元で空き家相談に強い不動産業者はどこか。

自治体の空き家、移住、中心市街地、観光、福祉の担当部署はどこか。

自社は改修、耐震、解体、外構、維持管理のどこに強いか。

過去の施工実績の中に、地域活用の文脈で語れるものはないか。

こうした整理は、すぐに売上になる話ではないかもしれません。

でも、地域の人口や建物の使われ方が変わる中で、地元の建設会社が“ものづくりに集中できる建設業界へ”進むための土台になります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用、販路拡大まで横断して整理し、実行まで支援しています。

「うちの場合、空き家・空き地活用の流れにどう関わればよいか」「地域の不動産業者や自治体と何から話せばよいか」という段階でも大丈夫です。

無理な営業はいたしません。まずは考えを整理する相手として、必要に応じてお声がけください。

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