国土交通省は、砂防関係事業のDXを推進するため、「砂防関係事業における遠隔・自動施工の推進検討委員会(第2回)」を令和8年7月15日に開催すると発表しました。

今回の発表は、制度改正や補助金の公募ではありません。ただし、砂防関係事業について、遠隔・自動施工を今後どのように広げていくかを検討する場です。特に参考資料では、令和8年8月に中間とりまとめ、令和8年度内に提言というスケジュールが示されています。

砂防工事、山間部の土木工事、災害対応に関わる会社にとっては、今すぐ何かを申請する話ではなくても、公共工事の施工体制や技術要件がどちらに向かっているかを読むうえで重要な動きです。

発表内容

砂防関係事業における遠隔・自動施工の推進検討委員会(第2回)の開催

開催日時

令和8年7月15日(水)13時15分~15時15分

主な目的

砂防関係事業における遠隔・自動施工の推進に必要な事項を検討

背景

中山間地域の担い手不足、急峻・狭隘な山間部や火山地域など厳しい施工条件

議事案

施工会社からの話題提供、施工会社への調査結果、中間とりまとめに向けた検討など

今後の予定

第3回を令和8年8月6日に予定、8月に中間とりまとめ、令和8年度内に提言

1週間で 12件ダウンロード されました

  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード

「砂防工事は省人化なしでは難しくなる」という認識が示されています

参考資料で特に注目したいのは、国土交通省が砂防関係事業について、かなり踏み込んだ問題意識を示している点です。

資料では、建設業が地域の守り手として不可欠な役割を担っている一方で、特に中山間地域では、生産年齢人口の減少や建設業の担い手不足が顕著であるとされています。

さらに、砂防関係事業については、近い将来、省人化の取組なしには工事ができなくなるとの表現もあります。

これは、現場で人が足りないという一般論ではありません。砂防工事は、急峻な斜面、狭い渓流、火山地域、河道閉塞の発生箇所など、もともと施工条件が厳しい工事が多い分野です。そこに担い手不足が重なると、単に「人を採ればよい」「外注先を探せばよい」では対応しきれない場面が増えていきます。

中小建設業にとってのポイントは、遠隔・自動施工が一部の先進企業だけの実験ではなく、地域の土木インフラを維持するための現実的な選択肢として扱われ始めていることです。

i-Construction 2.0の流れとつながっています

今回の検討は、国土交通省が令和6年4月に策定した「i-Construction 2.0」ともつながっています。

参考資料では、i-Construction 2.0において、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に向上させる目標が掲げられていると説明されています。

この目標は、建設業全体の大きな方向性です。その中でも砂防関係事業は、施工条件が厳しく、安全性の向上も強く求められるため、遠隔・自動施工の必要性が高い分野として位置づけられていると読めます。

中小建設企業の経営目線では、ここで大切なのは「最新機械を買うかどうか」だけではありません。

むしろ先に考えるべきは、次のような点です。

  • 自社の工事のうち、どの作業が省人化・遠隔化の対象になりやすいか
  • 元請・協力会社・機械リース会社・メーカーとの役割分担をどう組むか
  • 現場代理人や職長が、デジタル施工を前提に段取りを組めるか
  • 若手や中堅社員に、建設機械とデジタル技術を横断して学ぶ機会をつくれるか

遠隔・自動施工は、機械の話であると同時に、施工管理、教育、安全管理、協力会社体制の話でもあります。

検討内容は「どの工事で進めるか」「どんな実証が必要か」まで踏み込む予定です

参考資料では、具体的な検討内容として、次の3点が示されています。

  1. 砂防事業で取り組むべき遠隔・自動施工の方向性
  2. 遠隔・自動施工を推進すべき具体的工事内容の抽出
  3. 遠隔・自動施工の推進にあたり、実施すべき技術実証

ここは実務的に重要です。

単に「遠隔施工を進めましょう」という抽象的な議論ではなく、どの工種・どの作業で遠隔・自動施工を進めるのか、どのような技術実証が必要なのかを検討する流れになっています。

参考資料には、砂防工事における遠隔・自動施工事例として、除石、土砂運搬、自動走行、掘削、伐根、ブロック据付、遠隔操作室などが挙げられています。

もちろん、今回の発表だけで、今後の発注仕様や入札要件がどう変わるかまでは断定できません。

ただし、国が「具体的工事内容の抽出」と「技術実証」を検討項目に入れている以上、今後の公共工事で遠隔・自動施工を前提にした案件や実証機会が増えていく可能性は見ておくべきです。

中小建設業が今見ておきたい3つの視点

今回のニュースを、自社の経営に引き寄せるなら、見ておきたい視点は3つあります。

1. 発注者が求める「安全」と「生産性」の水準が上がっていく

砂防工事は、危険箇所での作業が多く、従来から安全確保が大きなテーマでした。そこに今後は、担い手不足への対応として、安全性と生産性を同時に高める施工方法がより重視されていくはずです。

経営者としては、現場で「うちは昔からこのやり方でやってきた」と言える強みを大切にしつつも、発注者が何を評価しようとしているのかを見誤らないことが大切です。

今後は、経験や技能に加えて、厳しい現場で人を危険にさらしすぎない施工計画を立てられることが、会社の信用につながっていく可能性があります。

2. 自社単独で抱え込まず、連携先を持つことが重要になる

遠隔・自動施工は、すべてを自社で保有する必要があるとは限りません。特に中小企業にとっては、高額な機械やシステムを一気に導入するよりも、まずは情報を集め、必要に応じて連携できる相手を持つことが現実的です。

たとえば、建機メーカー、ICT施工に強い協力会社、測量・設計会社、通信環境に詳しい会社、機械リース会社などです。

大切なのは、「案件が出てから探す」のではなく、「こういう工事なら一緒に組める」という関係を先に作っておくことです。

公共工事の変化は、ある日突然やってくるように見えます。しかし実際には、その前に検討会、実証、モデル工事、仕様の見直しといった予兆があります。今回の発表は、その予兆の一つとして見ておきたい動きです。

3. 若手採用・定着にも関係する

遠隔・自動施工は、人手不足対策であると同時に、若手にとっての建設業の見え方を変える可能性があります。

「危険できつい仕事」という印象だけでは、採用はますます難しくなります。一方で、建設機械、データ、遠隔操作、安全管理、災害対応が組み合わさる仕事として伝えられれば、建設業の魅力は違った形で届きます。

もちろん、現場の泥臭さや段取り力が不要になるわけではありません。むしろ、現場を知っている人がデジタル技術を使えるようになることに価値があります。

中小建設業にとってのDXは、現場を知らない人が現場を置き換える話ではなく、現場を知る人がより安全に、より少ない人数で成果を出すための道具を増やす話です。

まずは公開資料と中間とりまとめを追いかけたい

今回の委員会では、当日の議事概要や資料が国土交通省ホームページで公開予定とされています。また、参考資料では、令和8年8月に中間とりまとめ、令和8年度内に提言というスケジュールも示されています。

そのため、現時点で中小建設企業が取るべき現実的な動きは、次のようなものです。

  • 委員会資料と中間とりまとめを確認する
  • 自社が関わる砂防・山間部工事で、遠隔化しやすい作業を洗い出す
  • ICT施工や遠隔施工に関する協力先を確認する
  • 若手・中堅に任せられるデジタル施工領域を少しずつ作る
  • 安全管理や施工計画の中に、省人化の観点を入れる

今すぐ大きな投資をする必要がある、という話ではありません。

ただ、「遠隔・自動施工は大手だけの話」と決めつけないことは重要です。中山間地域の守り手である中小建設業こそ、人手不足と安全確保の両方に向き合わざるを得ない立場にあります。

今回のSABO×DXの動きは、将来の発注や施工体制を考えるうえで、早めに見ておきたいテーマです。

自社にとってのDXの入り口を整理する

遠隔・自動施工という言葉だけを見ると、少し遠い話に感じるかもしれません。ですが、実際に考えるべきことは、「どの機械を買うか」よりも前に、自社の現場で人手が足りなくなっている作業は何か、危険度が高い作業はどこか、協力会社とどう役割分担すればよいかを整理することです。

ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して、経営課題の整理と実行支援を行っています。遠隔施工やDXそのものの前に、「うちの場合は何から考えるべきか」「投資より先に業務整理をしたい」という段階でも大丈夫です。

ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、無理な営業はいたしませんので、必要なタイミングで壁打ち先としてご活用ください。

お問い合わせはこちら