国土交通省は、令和8年7月2日に「第1回 国土交通省経済安全保障政策推進本部」を開催しました。背景にあるのは、厳しく複雑化する国際情勢です。6月10日に成立した経済安全保障推進法の改正への対応、国土交通省所管の産業やインフラに必要な物資の確保、そして「モビリティ・エネリンク構想(仮称)」の推進が議題になりました。
発表内容 | 第1回 国土交通省経済安全保障政策推進本部の開催 |
開催日 | 令和8年7月2日 |
主な議題 | 経済安全保障推進法の改正、所管産業・インフラに必要な物資の安定供給確保、モビリティ・エネリンク構想(仮称) |
建設業に関係する論点 | 道路舗装のアスファルト合材、建設・住宅のシンナー・断熱材・接着剤等、燃料油・石油製品の供給確保 |
今回の性格 | 直ちに中小建設会社へ新たな手続を求める発表ではなく、国交省内の推進体制強化と今後の政策方向を示す発表 |
今回の発表は、補助金募集や入札制度変更のように、明日から提出書類が変わるタイプのニュースではありません。ですが、建設会社の経営にとっては見逃しにくい内容です。資材や燃料の供給不安が、単なる購買部門の問題ではなく、国の経済安全保障政策の対象として扱われ始めているためです。
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- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
建設業に関係するのは「必要な物資の安定供給確保」です
今回の資料では、国土交通分野における燃料油・石油製品の使用状況が整理されています。その中に、建設・住宅分野も含まれています。
具体的には、次のような品目が挙げられています。
分野 | 資料で示された主な品目 |
|---|---|
道路舗装 | アスファルト合材等 |
建設・住宅 | シンナー、断熱材、接着剤等 |
自動車整備 | シンナー |
物流・公共交通等 | 軽油、LPガス、重油、ジェット燃料等 |
中小建設会社から見ると、ここで大事なのは品目名そのものだけではありません。「工事に必要なものが、必要な時期に、想定した価格で入るとは限らない」という前提が、政策側でも明確に意識されていることです。
現場では、材料が1つ遅れるだけで工程が止まります。代替品の確認、元請・発注者との調整、職人の手配変更、追加原価の発生。影響は一気に広がります。特に専門工事会社では、材料費の上振れがそのまま粗利を削る場面もあります。
相談件数から見ると、供給不安はすでに「現場の話」になっています
資料では、中東情勢に伴う国土交通分野の重要物資の供給確保について、相談状況も示されています。
5月20日時点で、相談総数は次の通りです。
区分 | 相談件数 |
|---|---|
燃料 | 7,063件 |
燃料以外 | 1,295件 |
合計 | 8,358件 |
そのうち、安定供給に影響があると判断された案件は595件です。
区分 | 件数 |
|---|---|
燃料 | 127件 |
燃料以外 | 468件 |
合計 | 595件 |
さらに、対応中の案件は558件、解決済みは37件とされています。
この数字から見えるのは、供給不安は一過性のニュースではなく、行政が個別調整や情報提供を行うレベルの実務課題になっているということです。
もちろん、今回の資料だけで建設資材全体の不足や価格上昇を断定することはできません。ただ、燃料、石油製品、アスファルト合材、断熱材、接着剤といった品目が政策資料に並んでいる以上、建設会社としては「仕入れはいつも通りで大丈夫」とだけ考えるのは少し危ういです。
経済安全保障推進法の改正は、今後の産業政策の土台になります
今回の議題の1つは、令和8年6月10日に成立した経済安全保障推進法の改正です。
資料では、重要物資の安定的な供給確保について、現行法と改正内容が整理されています。重要な物資の供給に不可欠な役務について、外部依存性や供給途絶の可能性などが認められる場合にも、特定重要物資として指定し、安定供給確保のための取組を支援する方向が示されています。
国土交通省関係では、資料上、船舶部品の生産基盤強化等への支援が挙げられています。また、基幹インフラ役務の安定的な提供確保の対象分野として、水道、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、港湾運送、航空、空港が示されています。
中小建設業にとっては、ここで直接「建設会社向けの新制度」が示されたわけではありません。ですが、見方としては重要です。国の政策は、これから重要物資・インフラ・物流・エネルギーを一体で見ながら進んでいくということです。
建設業は、そのど真ん中にいます。道路、上下水道、港湾、空港、住宅、建築物。社会インフラをつくり、維持する側です。そして同時に、燃料や資材を大量に使う側でもあります。
中小建設会社が今見るべきは「仕入先」だけではありません
今回の発表を受けて、まず確認したいのは仕入先です。ただし、単に「どこから買っているか」だけでは足りません。
見ておきたいのは、次のような点です。
- 主要資材について、仕入先が1社に偏っていないか
- 代替品を使う場合、仕様・品質・発注者承認の確認が必要か
- 納期が延びた場合、どの工程に影響するか
- 価格が動いた場合、見積条件や契約条件でどこまで吸収できるか
- 在庫を持つべき材料と、持たない方がよい材料を分けているか
- 元請・協力会社・商社との情報共有が属人的になっていないか
特に、利益管理の面では要注意です。資材価格が動く局面では、受注時の見積と施工時の原価がずれます。「売上はあるのに利益が残らない」状態は、材料費と外注費の変動を早く拾えない会社ほど起きやすくなります。
大きな会社であれば購買部門が見ていることでも、中小建設会社では社長、専務、工事部長、事務担当がそれぞれの感覚で対応していることがあります。それ自体が悪いわけではありません。現場に近い強さがあります。ただ、供給不安が広がる局面では、情報を会社として残す仕組みが必要になります。
「モビリティ・エネリンク構想」は、インフラとエネルギーをつなぐ流れです
今回の資料では、「モビリティ・エネリンク構想(仮称)」も示されています。
これは、陸海空や地域・まちの移動体とインフラを活用し、エネルギーの自律性向上に貢献するという構想です。資料では、Create、Connect、Consumeの3つが示されています。
考え方 | 内容 |
|---|---|
Create(つくる) | 道路、ダム、上下水道、住宅、鉄道、港湾、空港等のインフラ空間を活かしてエネルギーをつくる |
Connect(つなぐ) | 再エネ・新エネの需要地と供給地をつなぐ。代替エネルギーや電力の輸送、結節点の整備等 |
Consume(つかう) | 交通、住宅・建築物で再エネ・新エネを効率的に使う |
ここでも、建設業の役割は小さくありません。道路、上下水道、住宅、建築物、港湾、空港。どれも工事と維持管理が必要です。
今回の段階では、個別の工事発注や補助制度が示されたわけではありません。ですが、今後の公共投資や設備投資のテーマとして、エネルギーの自律性、再エネ・新エネ、インフラ空間の活用がより強く意識される可能性があります。
特に地域の建設会社にとっては、将来の工事領域を読む材料になります。太陽光、蓄電、水素、EV関連拠点、上下水道、港湾、道路空間。すべてを追う必要はありません。ただ、自社の施工領域と近いテーマは、少し早めに情報を集めておく価値があります。
今回のニュースは「すぐ対応」より「経営の前提を更新する」ものです
今回の発表で、中小建設会社がすぐに申請書を出す必要があるわけではありません。新しい義務が直接示されたわけでもありません。
ただし、経営の前提は少し変わります。
これからは、資材調達、燃料、物流、エネルギー、公共インフラが、より強くつながって見られる時代になります。中小建設会社も、現場単位の調達対応だけでなく、会社全体のリスク管理・原価管理として資材と燃料を見る必要があります。
まずは難しいことをする必要はありません。
- よく使う材料を10品目ほど洗い出す
- 仕入先、代替先、標準納期を確認する
- 価格変動が利益に与える影響を見積で確認する
- 工程遅延時の連絡ルールを決める
- 資材情報を社長や工事部だけでなく、見積・経理側にも共有する
このくらいからで十分です。地味ですが、効きます。供給が不安定な時期ほど、会社の強さは「特別な情報」よりも、普段の管理の丁寧さに出ます。
自社の調達・原価管理を一度整理しておくために
資材や燃料の供給リスクは、購買だけの話ではありません。見積、契約、工程、協力会社との段取り、資金繰り、利益管理までつながります。
「うちの場合、どの材料から見ればよいのか」「価格変動を見積や原価管理にどう反映すればよいのか」「現場任せになっている情報をどう会社の仕組みにすればよいのか」。そうした整理が必要な場合は、外部と壁打ちするのも一つの方法です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、建設企業の持続的成長を支援しています。
何から整理すべきかわからない段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な範囲で状況をお聞かせください。
































