国土交通省は、環境省・農林水産省とともに、地域生物多様性増進法に基づく令和8年度第1回の認定として、56か所を「自然共生サイト」として認定しました。自然共生サイトは、企業やNPO、自治体などの取組によって生物多様性の保全・回復・創出が図られている区域を認定する仕組みです。

発表日

令和8年6月30日

制度

地域生物多様性増進法に基づく自然共生サイト認定

今回の認定数

56か所

内訳

増進活動実施計画55か所、連携増進活動実施計画1か所

制度の主務大臣

環境大臣、農林水産大臣、国土交通大臣

自然共生サイト累計

令和8年6月末時点で610か所

主な活動類型

維持、回復、創出

今回のニュースは、建設会社に対して新たな義務や規制を直接課すものではありません。ですが、「自然環境をどう守るか」が、企業活動や地域事業の評価軸として制度化されてきていることは見ておくべきです。特に、造成、外構、緑地、河川、里山、工場・倉庫用地、公共施設周辺の維持管理に関わる会社にとっては、今後の事業づくりのヒントになります。

1週間で 11件ダウンロード されました

  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード

自然共生サイトとは何か

自然共生サイトは、民間企業、NPO、自治体などの取組によって、生物多様性の保全が図られている区域を認定する仕組みです。

もともとは環境省の取組として令和5年度から始まりました。その後、令和7年4月に「地域生物多様性増進法」が施行され、法に基づく認定制度となりました。

今回の発表では、55か所の「増進活動実施計画」と、1か所の「連携増進活動実施計画」が認定されています。

活動の類型は、主に次の3つです。

  • 維持:すでに生物多様性が豊かな場所を維持する活動
  • 回復:管理放棄地などを、より良い自然環境へ戻していく活動
  • 創出:緑地などを新たにつくり、生物多様性のある場所にしていく活動

別添資料によれば、今回の56か所では、維持タイプが多く、里山林、人工林、都市の緑地、水田、河川・湖沼など、身近な自然環境が多く含まれています。

中小建設業にとってのポイントは「環境配慮が事業の外側ではなくなる」こと

この制度自体は、建設業だけを対象にしたものではありません。申請主体も、企業、自治体、NPO、教育機関、個人など幅広いものです。

ただし、建設業から見ると、重要な変化があります。

それは、自然環境への配慮が、単なる社会貢献ではなく、土地利用や地域づくりの一部として扱われ始めているという点です。

建設業は、土地、道路、河川、造成、外構、緑地、農地、山林、公共施設など、地域の物理的な環境に深く関わります。つまり、生物多様性の議論は、遠い環境問題ではなく、現場の近くにあるテーマです。

今回の認定一覧にも、都市の緑地、工場内緑地、公園、人工林、水田、藻場、里山などが含まれています。これは、「自然を守る場所」は国立公園のような特別な場所だけではなく、企業敷地や地域の身近な土地にも広がっていることを示しています。

すぐに対応義務がある話ではないが、経営上は見ておきたい

今回の発表を受けて、中小建設会社がすぐに何かを申請しなければならない、という話ではありません。

一方で、次のような会社は、一度自社との接点を確認しておく価値があります。

  • 自社で山林、資材置場、緑地、遊休地を保有している会社
  • 造園、外構、土木、河川、農地、森林、緑地管理に関わる会社
  • 自治体や地域団体と連携する事業が多い会社
  • 工場、倉庫、商業施設、住宅地などの外構・緑地整備に関わる会社
  • 地域貢献や環境配慮を、採用・広報・取引先説明に活かしたい会社

特に、中小建設業にとって見逃せないのは、地域の土地をよく知っている会社ほど、自然共生や緑地管理の実行役になりやすいという点です。

制度の主役は、必ずしも大企業だけではありません。地域の水路、里山、農地、公園、遊休地を実際に整備し、維持管理できるのは、地元の建設会社や専門工事会社であることが多いからです。

「維持・回復・創出」は建設業の仕事と相性がある

自然共生サイトの活動類型である「維持・回復・創出」は、建設業の仕事と重なる部分があります。

たとえば、維持であれば緑地や水辺の管理、回復であれば荒れた土地や管理放棄地の再生、創出であれば敷地内緑地やビオトープの整備などが考えられます。

もちろん、実際に自然共生サイトとして認定を受けるには、生物多様性の観点から計画をつくり、審査を受ける必要があります。通常の外構工事や草刈りをそのまま言い換えればよい、というものではありません。

それでも、経営目線では、これまで「維持管理」「緑化」「造成」と呼んでいた仕事に、環境価値や地域価値を重ねられる余地が出てきていると捉えられます。

今後、自治体、企業、地域団体が自然共生サイトのような取組を進める場合、現場を担う会社には、単に施工するだけでなく、維持管理、記録、地域との連携まで含めた対応力が求められる可能性があります。

自社で見るべき3つの観点

今回のニュースを、自社経営に引き寄せるなら、次の3点を確認しておくとよいです。

1. 自社や顧客の土地に「環境価値」を持たせられるか

自社が保有している土地、管理している緑地、顧客の工場・施設・倉庫の外構などに、自然共生の観点を取り入れられるかを見ます。

重要なのは、派手な取組にすることではありません。今ある土地の管理を、地域環境や生物多様性の文脈で整理できるかです。

2. 地域連携の入口になるか

今回の制度には、市町村が取りまとめ役となり、地域の多様な主体と連携して行う「連携増進活動実施計画」もあります。

建設会社は、地域の地形、排水、土地利用、維持管理の実態をよく知っています。自治体や地域団体が自然環境の保全・回復に取り組むとき、現場実装の相談相手として建設会社が関われる余地があります。

3. 採用・広報・取引先説明に使えるか

若手採用や取引先との関係づくりでは、会社が地域にどう貢献しているかを説明する場面が増えています。

自然共生サイトの認定そのものを目指すかどうかは別として、環境や地域への関わりを言語化しておくことは、企業姿勢を伝える材料になります。

「地域のインフラを支える会社」であることに加えて、「地域の環境を守る会社」としても説明できれば、会社の見え方は少し変わります。

小さく始めるなら、まずは「棚卸し」からでよい

この種の制度は、最初から申請や認定を目指すと重たく感じます。中小建設業の場合、まずは自社の周辺にある資産や仕事を棚卸しするだけでも十分です。

たとえば、次のような確認です。

  • 自社で管理している緑地や遊休地はあるか
  • 顧客施設の外構・緑地管理に関わっているか
  • 地域の水路、河川、里山、公園の維持管理に関わっているか
  • 地域団体や自治体と継続的な接点があるか
  • 既存の工事や維持管理に、環境配慮の説明を加えられるか

大切なのは、制度を目的にするのではなく、自社の仕事の価値を広げる視点として使うことです。

自然共生サイトの認定は、環境分野のニュースに見えます。しかし、中小建設業にとっては、地域の土地をどう活かし、どう守り、どう次の世代に引き継ぐかという経営テーマにもつながります。

自社の土地・地域事業との接点を整理する

今回の制度は、すべての建設会社がすぐに取り組むべきものではありません。ですが、緑地管理、外構、土木、公共施設、地域連携に関わる会社にとっては、今後の事業の見せ方や広げ方を考える材料になります。

「うちの仕事と自然共生サイトは関係があるのか」「自社の土地や地域活動をどう整理すればよいのか」「環境配慮を採用や営業にどうつなげればよいのか」といった段階でも、考えを整理する価値があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業がものづくりに集中できるよう、制度対応や地域での事業づくりについても、無理のない形で一緒に考えることができます。無理な営業はいたしませんので、まずは自社の場合どう考えるべきかの整理先としてご活用ください。

お問い合わせはこちら